HoI3AAR、前回分からの続き。
前回分 → ドイツプレイ(12) - ブロークン・イングリッシュ
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スターリンとの交渉で我が国の背後は確保され、 かつて前大戦でドイツを敗戦に導いた二正面作戦を阻止した。 この同盟を私の外交政策の頂点とみなすものである。 ──リッベントロップ外相、独ソ不可侵条約締結について |
1939年ポーランドでの戦いが終結した後、その土地には引き続き1個の軍集団が駐留していた。
西ではフランス・イギリスという強大な宿敵たちとの戦争があったにも関わらず、
北ではノルウェーで、南では北アフリカや中東で戦争があったにも関わらず。
ベルリンからどちらを向いても敵ばかり、一兵たりとも暇のないこの大戦争の最中で、
当面の敵は既に駆逐されたはずの東部ポーランドに大兵力が配置され続けていた。
当初、A軍集団 から改称されたこの東方軍集団 は、フランス・イギリスを欺く陽動作戦だと理解されていた。
ソ連とは8月に不可侵条約を締結し世界を驚かせたばかりであるから、第一次大戦の轍を自ら踏むことはないだろう。
当の東方軍集団の指揮官から、兵卒に至るまでそう信じ込んでいた。
ノルウェーでの戦いが終わり、北アフリカ・中東も制圧されたとき、
その都度各戦線から、主兵力が抽出され東部に送られていた。
そして1941年6月、イギリスの降伏を勝ち取ったB軍集団 までもが、
連戦続きの割に休暇を与えられることもなく、慌ただしく東部に送り込まれた。
独ソ国境地帯での兵力・物資の移動は一段と著しくなった。
何かが始まろうとしている。
それが何かは、もはや誰の目にも明らかだった。
ドイツは1939年8月以来の不可侵条約を裏切るつもりなのだ。
ヒトラー総統はスターリンと戦争をやる気だ!
予期していたこととはいえ、ドイツ軍将兵たちは、
開戦数時間前になってようやくその旨を告げられた。
ソ連に対し奇襲大侵攻作戦を実施することを。
その為に現在この独ソの無限の国境線に、77個師団がかき集められていた。
130年前にナポレオンが、30年前にヴィルヘルム2世が、
なしえなかったロシア侵攻をヒトラー総統は実現させる気だ。
この眠れる巨人を叩き起こす行動に、懸念を示すドイツ軍首脳部に対しヒトラーは、
「ソ連は腐った納屋のようなものだ。
入り口を一蹴りすればたちまち倒壊してしまう。」
と豪語した。
かくしてドイツは、戦史上最大の戦争に足を踏み入れる。
独ソ国境に集められた兵力は3個の軍集団として編成され、
それぞれが北方軍集団、中央軍集団、南方軍集団 と改称された。
1941年7月22日深夜2時。
独ソ国境に潜んだドイツ軍部隊は息を潜め、黎明を待つ。
1時間後に始動する歴史的な大作戦、この「バルバロッサ」 はかつてない大戦争の夜明けであり、
第三帝国の暁でもあるのだ。
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