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TK-Xの正式名称は10式戦車で決定か

2010-04-15 21:16:09 | 軍事ネタ

えー、大部分の人が気になっていたであろう、TK-X(新戦車計画) の正式名称ですが・・・
なんと、正式に10式戦車 と防衛省資料に記載されていることが判明しました!

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shin-ampobouei2010/dai5/siryou1.pdf
↑該当資料。

部隊配備は来年からなので、名前は11式になるのかとか各所で論議されてましたが、
これからは10式戦車ということでよさそうです。
いやー、よかったよかった!


10式戦車

10式戦車は陸上自衛隊で現在配備されている74式戦車の後継機種。
現在主力の90式戦車よりも上回る戦闘能力を有する他に、
本土でも運用できるように小型軽量化し戦略機動性を高めるというのがコンセプト。
120mm砲を搭載し、将来的には135mm砲への換装も可能としており、全備重量は44t。


90式戦車

見ての通り、90式戦車と比べれば戦闘能力だけではなく見た目的にも大幅進化を遂げている。
10式戦車はかわいい。
間違いなく女の子にも人気が出るだろう。

ドイツのレオパルド2に似てる90式と比較すれば、
10式はイスラエルのメルカバに若干似ている。


陸上自衛隊の戦車定数は600輛と定められた為、(前は1000輛だった、ガッデム!)
90式戦車が現在340輛配備されている中、10式戦車は何輛の調達となるのか?
単純に引き算なのか。

しかし、戦車定数600輛というのは戦車だけではなく、
なんと現在開発中の機動戦闘車も数に入れるのだという。
ということは・・・
機動戦闘車とTK-Xが何輛ずつ配備されるのかが鍵となるのか。
それともやっぱり機動戦闘車は数に含めない方針となるのか、
もしくはやっぱり600輛は少なすぎ!となるのか・・・
なんらかの方針変更に期待したい。


機動戦闘車モデル

機動戦闘車は2015年に開発完了とされる、装輪式の重火力装甲車。
その軽量さで空輸性や機動性を高め、搭載する105mm砲で敵装甲戦力を駆逐可能とされる。
戦車に比べれば入り組んだ場所にも迅速に入り込め、普通科隊員たちへの大きな火力支援となることを期待されている。
イメージ的にはアメリカ軍のストライカーの日本版みたいなもん。

しかし・・・
10式戦車の配備数が機動戦闘車によって減るなら、正直これいらないかなぁ・・・という思いも捨てきれない。
2015年までになんとか改訂されてほしいね!


自衛隊の敵地攻撃能力の保有について

2010-03-25 16:37:07 | 軍事ネタ

鳩山首相、敵地攻撃「違憲でない」=参院予算委で集中審議
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date1&k=2010032300821


ほう・・・。
なかなか興味深い。
確かに、日本の敵地攻撃能力の保有は常に検討・議論されているし、
専守防衛を旨とする自衛隊が敵地攻撃を行うことが憲法違反かどうかは解釈に依るところ。

そもそも専守防衛とはどこまでが専守防衛か?
敵の攻撃を受け続けることだけを専守防衛とする人もいれば、
敵の攻撃意思が明らかならばこれが日本に到達する前に打撃を加え、
自己防衛を成立させることも含むという人もいる。

日本政府的にも一応このスタンスではあるが、差し迫った戦争の危険がないこと、
周辺国に対する配慮の観点などから、実際的な攻撃能力の保有は未だ実現には至っていない。


保有が自粛されている、いわゆる「攻撃的兵器」とは?
具体的に言えば爆撃機・弾道ミサイル・巡航ミサイル・空母・強襲揚陸艦など、
一般的に本土防衛ではなく敵地攻撃の性格が強い類の兵器だ。

一方で、他国との交戦が現実となった場合、どうしても戦争遂行には敵地攻撃能力は不可欠とされる。
敵の攻撃を受け続ければ、それら全てを完全に防御できるとは限らない、いつかは被害を受けるかもしれない。
しかし敵の攻撃の根源地を叩くことができれば、それで敵の攻撃能力を奪うことができ防衛が成立し、
そもそも自国本土を危険に晒す可能性を減じることができる。

もちろん有事を考えるならば、在日米軍のことも考慮しなければならない。
自衛隊の編成は米軍との連携を前提に考慮されている。
一般的に自衛隊は盾で、米軍が矛だとされている。

もしも自衛隊が単独で攻撃能力を保有するとしたら何が最適か?




単純に空母という人もいるが、確かに空母は遠隔地に対して絶大的な火力を投射できる強力な手段だ。
現在米海軍は11隻の原子力空母を運用しているが、1個の空母打撃群だけで中小国の軍事力を凌ぐといわれている。
だけど大規模な空母艦隊の整備には費用がかかる。

自衛隊がどの程度の規模の空母を導入するかによるが、まず空母自体の建造費に何千億円かかかる。
米軍の原子力空母であるニミッツ級は1隻5000億円の調達費といわれ、
海上自衛隊の年間予算はだいたい1兆1000億円であるから、もしも空母一隻を調達しようと思ったら、
大幅な防衛費の増額でもなければ他の部分に深刻な皺寄せがきてしまうのは明らかだ。

ニミッツ級ほどの空母じゃないにしても、例えばイギリス海軍の次期空母であるクイーン・エリザベス級がだいたい2500億円ぐらいといわれている。
海上自衛隊の規模的にもこれぐらいで十分であろうが、空母を調達するとそれを動かす人員と艦載機も必要となる。
クイーン・エリザベス級を例にとれば、2200名の人員を必要とし、艦載機も約50機が搭載できる。

人員の話をとるなら、海自はイージス艦やヘリ搭載護衛艦を中心とした護衛隊群を4個運用しているが、
1個護衛隊群の人員は2000名にも満たない。
つまり、空母1隻で1個護衛隊群を上回る人員を確保しなければならず、
そもそも人員不足の上に、人件費もかなりの予算食いとなってしまう。

また艦載機50機という数字も、どの機体を選定するかにも大きく依るが、
自衛隊の機種選定及び調達は常に最新・高額で行われてきたことを鑑みると、
1機100億円から150億円ぐらいの調達費用になってしまうことは予想に難くない。
つまり単純に考えて空母に載せる艦載機だけで5000億円から7500億円にもなってしまうということ。

そして空母を運用するなら当然それを護衛する数隻のイージス艦なども必要である。
イージス艦1隻につき1500億円と考えると、これもまた空母建造費以上の価格になってしまうし、
また現実的ではないが既存の護衛隊群に空母を組み込むとしても、
一般的に空母を常時稼働状態においておくにはローテーション等も考えて最低3隻は必要とされている。
つまり3隻分の空母の建造費・人件費・艦載機となると、現在の海上自衛隊の予算を何倍にもしないと追いつかない試算になってしまう。

もちろん上記のは他国を例にとった単純化した数値であるし、海自が現実に空母を導入するならもっと国情に合った選択をするだろうが、
とはいえ上記に準じるぐらいの費用は必要ということを見ておくと、自衛隊の空母保有は情勢に見合った最適な選択肢とは言い難い。
しかし、空母の保有自体は常にその可能性が検討されている事案であるし、
日本の地勢的条件を鑑みても、これから先も有り得ないとも言い切れないのは確かだ。




現在の日本を取り巻く情勢から、もっとも実現性があるのは巡航ミサイルの保有だろう。
米軍のトマホーク巡航ミサイルを例にとるなら、射程は3000km以上、弾頭は約500kg。
この射程ならば敵の航空基地・ミサイル発射基地・軍港などの根源地を遠隔攻撃できるし、
また巡航ミサイルは低速な反面、飛行ルートは可変的で低空を飛ぶので発見されにくいという利点がある。
米軍は湾岸戦争やイラク戦争時にこのトマホークを何百発と雨のように降らせ、イラク軍の反撃能力を遠距離から奪った実績がある。

トマホークは地上やイージス艦からも発射でき、一発の値段は約1億5000万円程度とされ、
その他手段に比べれば幾分経済的で戦術的効果も高い、費用対効果の観点から最適な選択肢となりうる。
故に、日本の攻撃能力保有を積極的に議論するならば、第一に検討されるべきで可能性も高いのは、巡航ミサイルの保有だろう。


第二次フォークランド紛争?

2010-02-28 21:06:59 | 軍事ネタ

英石油会社、フォークランド諸島近海で原油の掘削開始
http://www.cnn.co.jp/business/CNN201002220029.html


フォークランド諸島シー・ハリアー戦闘機

南米フォークランド諸島にて油田が発見され、イギリスが掘削を開始しました。
これを受けて、かねてよりフォークランド諸島の領有権を主張していたアルゼンチンはイギリスに抗議を開始。
フォークランド諸島近海の原油の推定埋蔵量は600億バレルとも言われており、
それが事実ならベネズエラ(870億) やロシア(794億) に次ぐ世界でも有数の大産油地域となります。

このフォークランド問題は1982年に最も激化し、アルゼンチン軍とイギリス軍が大規模に衝突する事態となりました。(フォークランド紛争)
近年は沈静化していたのですが、海底油田の発見により領有問題が再燃しており、
第二次フォークランド紛争 の危険性が指摘されています。
(尚、アルゼンチン政府側は武力攻撃の意思は無いとも表明しています。)


さて、1982年のフォークランド紛争といえば、太平洋戦争以来となる航空機による艦隊への大規模な航空攻撃作戦が取られ、
また現代戦闘機やミサイル、艦船類などを用いた大規模な空海戦の唯一の例であり、
この紛争による戦訓は資料的価値が極めて高く、各国の兵器開発方針に影響を与えたことで有名です。

とりわけ、実戦で史上初めて攻撃機から発射された対艦ミサイルで艦船を撃沈したこと、
また艦船から艦対空ミサイルによる迎撃が大規模に使用された初めての例であること、
西側諸国の現代兵器同士が衝突した初めての戦争であること、
装備の質で劣るアルゼンチン軍が地の利と巧みな戦術を活かしてイギリス軍に大きな被害を与えたことなどが一般にクローズアップされています。

特に航空機から投弾された対艦ミサイルや自由落下爆弾などによるイギリス海軍の艦船被害が著しく、
太平洋戦争で日本軍航空隊の攻撃を受け戦艦2隻が一方的に撃沈された「マレー沖海戦の悪夢の再現」 とまで言わしめました。


この戦いではアルゼンチン軍側航空機は諸島を遮蔽物にしての低空侵入・攻撃作戦をとっており、
早期警戒機を持っていなかったイギリス軍はアルゼンチン軍航空機を早期に捕捉することができませんでした。
これにより遠距離から艦対空ミサイルで迎撃するという手段が困難であり、
容易に接近を許してしまったことが艦隊への被害を拡大させた大きな要因となっています。


フランス軍戦闘機に搭載された「エグゾセ」 (真ん中の白いやつ)

一連の戦いでアルゼンチン軍側は保有していたフランス製対艦ミサイル「エグゾセ」 を5発使用し、
4発はシュペル・エタンダール攻撃機から、1発は地上から発射されました。
その結果、イギリス海軍の駆逐艦1隻とコンテナ船1隻を撃沈し、もう1隻の駆逐艦にも命中弾を与えました。

撃沈されたコンテナ船は搭載されていた軍用ヘリ9機ごと撃沈された為、
この被害によりイギリス軍のその後のヘリ支援能力に大きな制約を与え、
アルゼンチン側は空母と誤認して攻撃した為に空母撃沈と一時期喧伝されました。
1発のエグゾセは外し、もう1発のエグゾセはイギリス海軍フリゲートの4.5インチ主砲により撃墜されました。(偶然と言われている。)

その他、攻撃機からの自由落下爆弾により4隻が撃沈され、他10隻にも命中するという、イギリス艦隊の被害は膨大なものとなりました。
しかし命中した爆弾のうち半数以上は不発弾であり、もしも全ての爆弾が炸裂していたらさらに6隻以上は撃沈されていただろうと言われています。
この不発率の高さは、イギリス軍の警戒網を潜るため、また爆弾の命中率を上げる為に海面スレスレの低空攻撃をとっていたことが原因であり、
低空からの投弾による衝撃では爆弾の安全装置が解除されなく信管が作動しなかった為です。
(爆弾には事故防止の為に、高空からの落下による大きな衝撃が加わらないと炸裂しない安全装置が組み込まれている。)


これらの甚大な被害により空母の喪失を恐れたイギリス海軍は、空母をアルゼンチン軍航空機の手の届かない沖合に避難させたことにより、
航続距離の関係で艦載のシー・ハリアー戦闘機が十分にフォークランド諸島上空で空戦を行うことができず
十分に制空権を確保できなかったのも敵航空機の侵入を許した要因の一つです。

しかし戦闘機同士の航空戦においては概ねイギリス軍側が優位に立っており、
アルゼンチン軍航空機が装備する旧式のAIM-9Bミサイルでは敵機の背面から発射しなければ命中しませんでした。
対してイギリス海軍のシー・ハリアー戦闘機はより最新のAIM-9Lミサイルを装備しており、こちらは敵機を正面から捉えても命中させることができたので、
空戦においてはアルゼンチン側のミラージュ戦闘機はシー・ハリアーを撃墜することができなかったのです。
(ただし地上からの対空砲火とまた事故により、紛争の間にシー・ハリアー9機が喪失している。)

アルゼンチン軍側のフランス製ミラージュ戦闘機のほうが運動性能や速度性能ではシー・ハリアーよりも優れていましたが、
しかし空戦自体はシー・ハリアーが主導権を握ったことから、現代航空戦では機体性能よりも電子機器の性能が状況を左右するという結果となりました。
また上記の通り、両軍戦闘機とも新旧のアメリカ製AIM-9「サイドワインダー」短距離ミサイルを装備して対峙していました。


また陸戦では、アルゼンチン軍側は12.7mm口径弾を使用するM2重機関銃にスコープを付け、
長距離狙撃に使用し大きな効果を挙げたことで、この戦訓で各国軍に対物ライフルの普及を促進させました。

対するイギリス軍側は上記戦術で大きな被害を受けたことにより、さらに遠距離から
対戦車ミサイルを陣地に撃ち込み粉砕するというアウトレンジ戦術で対抗しました。
この戦訓はその後各国の対戦車ミサイル設計に影響を与え、(アメリカのFGM-148「ジャベリン」など。)
対戦車ミサイルでも対建築物や対地形攻撃に大きな効果を発揮することが認識されました。


一連の戦いにより、アルゼンチン側は巡洋艦1隻、潜水艦1隻、他6隻の哨戒艇などが撃沈。
航空機を79機喪失しました。(ただしイギリス側は103機の撃破を主張。)
イギリス側は駆逐艦2隻、フリゲート2隻、コンテナ船1隻、揚陸艦1隻が撃沈され、さらに12隻が損傷。
シー・ハリアー9機とヘリコプター25機の喪失を認めました。


3ヶ月で戦いは収束し、甚大な被害を出しつつも、実戦経験と装備の質でイギリス側が勝利する結果となりました。


日本の最新鋭ステルス戦闘機

2009-12-10 19:30:41 | 軍事ネタ

こんばんは、ゆっきぃです。
いえ、汎用人型電脳世界適応決戦兵器初号機 です。


先日、航空自衛隊のF-X(次期主力戦闘機選定) 関連の速報として、
航空自衛隊F-X、F-35を採用か の記事を掲載しましたが、
なんとデマ報道ということが発覚してしまいお騒がせしました。


しかし、かといって他に候補があるのでしょうか?
唯一無二の有力候補と思われたF-22 がだめな以上、もはや同じステルス機であるF-35 以外に何を取れるというのか。
F-15FX? F/A-18E? ユーロファイター? F-2増産?
どれも非ステルス機な時点でお話にならない。
ゆえにもはや選択肢はなく、今回のF-35騒動はデマだったとはいえ、
F-XがF-35 に決定するというのは十分に説得力があり、かつそれしかないような向きもあるのです。


しかし、ここで重要なことが一つ。
実はF-Xの選択肢というのは、上記に挙げたもので全てではないのです。
現在米国以外にもいくつかの有力国が、例えばロシアやインドや中国などが独自に
ステルス戦闘機の開発研究を行っておりますが、それは日本も同じなのです!

そして今回その努力が実を結んだのか、なんと新たなF-X有力候補として、
国産ステルス戦闘機が初めて表舞台に姿を現したのです!!
その画像が以下です!!



こっ、これはーーーーーーーーーッッッ!!!!!!

もはや一見しただけでわかるF-22 すらを凌駕するであろうステルス性!
そして最強の非視認性!!
こんなものが配備されてアジアのミリタリーバランスは大丈夫なのか!?!?
アジアの空を日本が支配してしまう日が現実となってしまいそうだ!!


これは反戦運動家や反自衛隊派の方々が黙ってはいなさそうだ。
これからの国内世論は荒れるぞー。

・・・


航空自衛隊F-X、F-35を採用か

2009-11-23 20:12:04 | 軍事ネタ

次期戦闘機にF35採用へ、40機購入で調整 防衛省
http://www.afpbb.com/article/politics/2666846/4949346

F-35戦闘機

えええええええええええええええ!!!
まーーーじーーーーーかーーーーーーーーーーーーーー!!!!!


かねてより航空自衛隊は次期主力戦闘機を選定していた・・ってのは、
数年前からよくニュースになってたので軍事オタクじゃなくても知ってる人も多いだろうけど、
まさかここにきてF-35に決まるとはー!

まぁF-35以外に選択肢はないのだけども、こうして現実になってみるとあヴぁヴぁヴぁがあああああああ
興奮っ冷め、や、ら、ぬ!!
うおっほおおおおおおおおお!!


今回の内容とはあまり関係のない画像

・・・ふぅ。
綾瀬はるかはかわいい。
落ち着きました。


しかし、今回の記事を見ると、ふむ。(賢者モード)
40機程の調達予定なのか。
少なく感じるなぁ。

元々今回の選定は、老朽化による退役が迫っているF-4戦闘機 の後継機の選定である。
現在稼動しているF-4 は2個飛行団のみであり、1個飛行団につき20機が定数であるから、
2個飛行団分のF-4 をそのままF-35 に置き換えるならば数的にはぴったしなんだけど・・・
通常は予備とかで多めに調達するのが常識である。
40機ぴったしだと・・・

まぁ実際に調達するのは数年後になるから、調達数も若干変わってくるかと思うけど、
40機ちょうどだったとしたら、もしかして1個飛行団を減らす可能性もある・・・?とか勘ぐっちゃいます。


元々航空自衛隊は今回の選定ではF-22ラプター戦闘機 を強く要求していたことはご存知の方も多いと思いますが、
F-22 は既存の戦闘機相手ならば恐らくどのような機種相手でも圧倒的勝利を収め得る、
自他共に認める世界最高の戦闘能力を有する戦闘機なのです。
まさに戦闘機界の高島彩といったところ。

つまり、そんな多大なる軍事力を他国に輸出するのか?とアメリカ国内で疑問が呈されたことと、
同じ時期に自衛隊がらみの機密漏洩事件が立て続けに発覚したこともあって、
アメリカ議会がF-22 の日本への輸出を承認しなかった。
それで仕方なく今回のF-35 ですね。


空自のF-4EJ改F-22ラプター

はてさて、とりあえずは前向きにF-35 を採用するメリットでも考察してみましょう。

現状、この世にはステルス戦闘機は2機種しか存在していないのです。
それはF-22 と今回のF-35 。
つまり、F-22 の他に存在する唯一のステルス戦闘機である点は、大きなメリットであるといえます。

現代の航空戦では、視界外の遠距離からレーダーで捕捉し長距離ミサイルを発射する戦闘が主流であり、(BVR戦闘といわれる)
そんな戦いの中では、レーダーから捕捉されにくくするステルス技術は圧倒的に有意なのです。
こちらからはステルス機を捕捉できないのに、あちらからは一方的にロックオンされミサイルを放たれる。
F-22 との模擬空戦を体験したF-15戦闘機 のパイロットは、
「まるで見えないボクサーに一方的に殴られているようだ」
とわかりやすいコメントを残しています。

ステルス戦闘機というものがいかに現代の航空戦においてアドバンテージとなるかは、ここです。
そしてF-35 もステルス性能という面においては、F-22 と同等のものがあるということです。
つまり、F-35 は運動性能ではF-22 やその他最新戦闘機に劣るとしても、非ステルス機に対しては圧倒的な戦闘能力を発揮する可能性があるということ。


空戦専門機としての趣が濃いF-22 と比較して、F-35 は対地攻撃能力にも重点がおかれた何でも屋です。
そもそもF-35 そのものの開発趣旨がここ、「何でも屋」ということに尽きる。

あらゆる機種の戦闘機を同時に運用していると、色々なコストがかさんでくるものです。
メンテだの、部品だの、搭乗員だの、施設だの。
またひとつのものをたくさん製造すると一つ辺りのコストが下がる量産効果も、単価が高い戦闘機では大きな影響があります。
なので可能な限り少ない機種をたくさん調達したほうが、あらゆる面での効率がいいわけで。

米軍はここらへんの最適化をF-35 に求めました。
簡単に言っちゃうと、米軍は F-16戦闘機 ・F/A-18艦上戦闘機 ・A-10攻撃機 ・AV-8B艦上攻撃機 辺りの四機種が受け持つ任務を全て一機種に統合できないかと。
ということで、F-35 の計画名は統合打撃戦闘機=JSF(Joint Strike Fighter) ともいいます。

JSF計画の結果、F-35 はステルス性能を有する戦闘機であり、対地攻撃能力も攻撃機並に存分にあり、
空母からの運用もでき、垂直離陸能力(VTOL能力)も有し、かつ低コストであってくれ(願望)という戦闘機になりました。
ただその要求の多さから、開発が難航し開発費も高騰した結果、機体の調達コストも高くなってしまうのではないかという懸念もあり、
元々F-22 の廉価版として計画していたのに、「もしかしてF-22 より高くなってしまうのではないか?」 と本気で心配されてしまうぐらいのデスマーチっぷりです。

まぁ要するにF-35 は対地攻撃能力も一般に優れた戦闘機です。
退役する航空自衛隊のF-4 も対地攻撃能力に優れた機体であるので、
F-35 でF-4 の任務をそのまま引き継ぐことが可能であるというメリットがあるのです。


空自のF-15J戦闘機

しかし、F-35 にも欠点はあります。
上記のデスマーチっぷりはともかくとして、機体設計上の欠点がある点も考慮せねばなりません。

まず鈍足であること。
F-35 は最高速度がマッハ1.7前後とされており、これは他に航空自衛隊に配備されている戦闘機、
例えばF-15戦闘機F-2戦闘機 はおろか、退役するF-4戦闘機 ですらもマッハ2を超える速度を出せるという点です。
その中にあっては足が遅いという印象を抱かざるを得ないし、また戦闘機にとってはむしろ最高速度よりも加速性能のほうが重要なのですが、
加速性能もやはり特別良いという評判を聞くことがないのです。

航空自衛隊の主任務である要撃任務においては優れた加速性能・最高速度からくる機動性は重視され得るものだし、
この点でF-35 は要撃機として向いているのか?といわれれば疑問符をつけざるを得ないのです。


また、もう一つよく言われる欠点については、武装の少なさです。
ステルス性能というのは、機体の表面に突起が少なく滑らかなシルエットのほうが発揮できるとされています。
なのでステルス機は通常、機内格納庫にミサイルや爆弾などの武装を搭載し、
他の戦闘機のように機体下部や翼下に武装をぶらさげたりしていてはステルス性能が大幅に低下することになってしまうのです。

F-35 の場合、機内格納庫にはAIM-120アムラーム中距離空対空ミサイル を4発搭載できますが、それだけです。
つまり、他の戦闘機の場合は、通常AIM-120 の他にAIM-9サイドワインダー短距離空対空ミサイル を装備して近接戦闘に備えますが、
F-35 ではステルス機ゆえか、近接距離でのドッグファイト能力は完全に捨て去っているというわけです。
また、攻撃機として2000lb爆弾 を2発搭載すると、AIM-120 は2発しか搭載できません。
(ちなみにF-22 の場合は、AIM-120 を6発とAIM-9 を2発という対空兵装をとることができます。)

一応AIM-9 は翼下に搭載できるし、他の兵装も翼下などにたくさん搭載することはできますが、
その場合ステルス能力は捨て去ることと同義であり、そうなるとただの鈍足戦闘機でしかありません。
航空優勢下での対地攻撃任務では有りでしょうが、日本上空の防衛戦でそういう機会が多くあるかどうか。

近接距離でのドッグファイト能力を有しないF-35 の要撃任務は、
敵機に向かってステルス性能で忍び寄り、遠距離からAIM-120ミサイル をばらまいて逃げる。
といったような感じになるでしょう。
ある種F-14トムキャット戦闘機 に通じる部分があるけど、F-14 と違うのはステルスと鈍足なことですね。


あとは政治的な問題。
F-35 は国際共同開発機です。
アメリカの他に、イギリスやオランダ、イタリアやオーストラリアなどの国々が出資し開発されている機体であるわけで、
当然、F-35 の開発計画に出資していない日本に実際に機体が配備されるのは上記の国々よりも後回しにされることになります。
つまり、日本にF-35 実機が到着するのは少なくとも2014年以降だと見られており、老朽化の進んだF-4 の寿命がそれまで持つかどうか。
日本がF-22 にこだわりつづけ、F-35 を敬遠してきたのはこの点も大きな理由の一つだということ。


空自のF-2支援戦闘機

まあ、航空自衛隊としてはベストだったのはやはりF-22 だったわけですが、それが叶わなかった以上、
代替案としてのF-35 採用は最良の策であるし、それしかなかったわけです。
なので多少の不向きな点があるのは致し方ないことで、それと引き換えにしてもステルス機であるというアドバンテージは非常に大きなものです。

現在航空自衛隊には、F-15戦闘機 が202機。
F-2支援戦闘機 が約80機配備されています。
ここにF-35 が40機加わる日が楽しみ。


これからのF-X(次期主力戦闘機選定計画) 動向には注目していきたいですね。