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50口径弾は非人道的?

2009-03-13 04:29:01 | 軍事ネタ

戦争や銃弾の話になると、有名な話の一つに、

「戦場で12.7mm(50口径)弾で人を撃つことは国際法で禁じられている」

とまことしやかに語られることがよくあります。
(12.7mmというのはメートル法での表記。この弾丸を開発したアメリカはヤード・ポンド法なので、インチ表記にすると.50口径となる。)




上の画像でいうと、一番左の12.7x99弾のこと。
一見してわかる通り、NATO諸国の標準的な突撃銃に使用される5.56mm弾と比べても、
または軽機関銃用の7.62mm(.308WIN)弾と比較しても、そのサイズと迫力の違いは明白です。
実際のところ、12.7x99弾はライフル弾としては最大クラスのもので、対物銃や重機関銃などに採用されています。
(ちなみにロシアではこれよりもわずかに大きい、12.7mmx107の銃弾が採用されている)


で、最初の話に戻ります。

「戦場で12.7mm(50口径)弾で人を撃つことは国際法で禁じられている」

恐らく、FPSゲームやまたは軍事趣味などで銃についての知識を少しでもかじった人ならば、
大半の人は一度は聞いたことあるんじゃないかな?ってぐらいよく言われている話です。
では実際はどうなのか?

実際のところ、12.7mm弾を使用するM2重機関銃は戦車やハンヴィー(高機動多用途車)などにもよく搭載されているし、
そういう車両に搭載される重機関銃というのは、ヘリなどに対しての防御火器でもありますが、
当然戦車砲に比べれば小回りの利く対人用火器としての使用も念頭において装備されています。


戦車に搭載されたM2(左)とM240汎用機関銃(右)ハンヴィー車上のM2

また、この場合で言う国際法とは、陸戦における使用禁止兵器などのルールを規定しているハーグ陸戦協定のことを指しますが、
協定の条項を読めば、第23条5項にて「不必要な苦痛を与える兵器、投射物、その他の物質を使用すること」を禁じているのみであって、
50口径という弾の大きさについては規定されていないわけです。
(稀に捕虜・戦病者の人道的取り扱いを規定するジュネーブ条約と混同している人がいて、
「50口径弾の対人使用はジュネーブ条約で禁止されている!」と言う人もいるが、誤りです。)


むしろ大口径弾は弾道直進性に優れ、長射程での命中精度も安定していてガラスや壁なども貫通できる為に、
50口径弾を使用するアンチ・マテリアル・ライフル(対物銃)は長距離狙撃用途が主であり、
狙撃という任務の性質上、それは明確に人間個人に照準を合わせて発射されるわけです。

このように、実際のところ、50口径弾を対人使用することを禁じている条約はないし、またクラスター爆弾や対人地雷と違って、
「50口径弾は非人道的なので対人使用は控えよう」と自主規制してる国もないわけです。
50口径弾は著しく人体を損壊する可能性があるので非人道的と解釈する人がいるのならば、そうかもしれないけど、
そもそも敵勢力に所属する人間を殺傷することを目的に開発された兵器類に、人道的なものなんてないのかもしれません。


アンチ・マテリアル・ライフル(対物銃)については、「50口径弾対人使用禁止」神話と合わさって、こんな話がセットで語られることがよくあります。

「50口径弾を対人使用することは禁止されてるから、この銃弾を使う狙撃銃はカモフラージュとして便宜的に「対物銃」と呼ばれている。」

聞けばなるほどともっともっぽい話ですが、実のところ、これもガセです。
この種の大口径ライフルは第二次世界大戦時には「対戦車ライフル」と呼ばれていた種類であり、
当時の戦車相手ならば装甲の薄い部分を狙えば、弾丸が貫通して中の乗員を殺傷したり、
機関部や弾薬庫などを狙い撃ちして戦車そのものを戦闘不能にすることもできたわけです。

しかし、戦車の装甲技術の発達により、大口径ライフルで戦車の装甲を貫通させるなんてことは現実的ではなくなり、対戦車用途としては廃れ、
代わりに軽装甲目標やヘリなどに対してはある程度の効果が期待できるとされて「対物ライフル」と呼ばれるようになっただけです。
だから実際のところ、単に「対戦車」と呼ばれていたものが「対物」にランクダウンされただけであり、
「50口径を人間に撃つのは非人道的」云々とはまったく関係ない話です。


まぁこのように50口径弾は非人道的云々は何故か広く浸透したガセ軍事トリビアなのですが、
例えハーグ陸戦協定やジュネーブ条約に正しく規定されてる禁止事項だったとしても、戦場においてはそれら全てが遵守されるとは限らず、
また破ったところで処罰されるとは限らないことも覚えておくといいかもしれません。

あとやっぱり基本的には、銃弾の大小関係なく、兵器なんて概して非人道的なものであると思います。

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イスラエル軍、女性兵士

2009-03-01 13:23:35 | 軍事ネタ

先日、知人とスカイプにて、"イスラエル軍女性兵士"について語り合いました。
戦う女性たちの美しさ、特殊さ。


イスラエルは中東のユダヤ人国家であり、人口650万人余りの小国であるが、
パレスチナ問題や周辺アラブ諸国との外交問題を抱え、紛争や戦争が絶えない地域である。
中東戦争のような大規模な戦争を何度も経験し、建国以来常に国家の生存を懸けて戦い続けてきた国であり、
イスラエル国防軍(IDF)は今では世界で最も実戦経験の豊富な軍隊の一つとされている。

徴兵制が施行され、有事の際には国民一丸となって国家を防衛するよう義務付けられている国民皆兵国家であり、
年頃の若者には兵役期間が義務付けられ、男子より短いとはいえ女子も例外ではない。


成人前の年頃の少女が手に持っているもの・・・
それはぬいぐるみでもブランド品のバッグでもなく、5.56mm口径のライフル。
日本人の感覚からは著しく乖離しているイメージだけど、そんな戦う少女たちの姿をご覧ください。






美人たちでも、装備をつけていると兵士という感じに。



顔に泥を塗りたくっていても美しい。



花と女性。
そんなありふれた組み合わせの中に、異物であるはずの銃が妙にマッチする。



売店に並ぶ女性兵士たち。









M4A1カービンでの射撃訓練中。



目標はマン・ターゲット。
狙うのは人。



こういう場面を見ると、やっぱり年頃の少女って感じがする。






まだあどけなさが残る笑顔。








戦う為に銃を握り、無邪気な笑顔を見せる少女たちを見ると考えさせられることもあるけど、
こうした戦う女性兵士たちに不思議な魅力を感じるのも確かだと思う。

以下のサイトにたくさんまとめられてます。
Yeeeeee - Beautiful Israeli Women Soldiers


ウォッカと対空戦車

2008-03-17 09:05:04 | 軍事ネタ

ロシア兵士、ウオツカ片手に戦車を運転・民家に激突
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2361530/2714110

> 【3月8日 AFP】ロシア・ウラル(Ural)地方にあるスベルドロフスク(Sverdlovsk)地域のオクチャブリスカヤ(Oktyabrskaya)で7日、
> 酔った兵士がウオツカの瓶を片手に戦車を運転し、村外れの民家に突っ込んだ。
> 国営テレビ、第1チャンネル(Channel One)が報じた。

> 兵士はウオツカ2本を購入後、千鳥足で戦車によじ登り、発進しようとして塀や民家に激突した。
> 村人は「彼は酔っぱらっていた」と話している



なんだか、実にロシアらしい事件。
ロシア兵の原動力はウォッカだといわれており、ウォッカが無ければ十分に力を発揮できないといわれている。
ソビエト時代では、戦闘の恐怖をやわらげるために前線にはウォッカが支給されていた。
ウォッカ欲しさに工業用アルコールを飲んで身体に異常をきたした兵もいた。
ウォッカがないとロシアの冬は乗り切れない。
ウォッカとロシア兵は、切っても切り離せない存在である。

さて、今回暴走した戦車とやら。
記事によると対空砲が装備された重量25トンの戦車。
記事中にリンクされているYouTube動画を拝見したところ、どうやらツングースカ自走対空砲のようである。


2k22 ツングースカ とは、ZSU-23-4 シルカ の後継として開発された自走対空車両及びシステム。
4門の30mm機関砲と8基の9M311対空ミサイルを搭載し、低空を飛行する航空機を撃墜し味方地上部隊のエリア防空を担う車両である。
レーダー探査距離は約18km、対空ミサイルの射程高度は約3500mで距離は約8km、30mm機関砲の有効射程距離は4km程度といわれている。
攻撃ヘリなどを相手にアウトレンジ攻撃することで機甲部隊を防護する役割が主とされているが、
30mmという大口径機関砲を4門搭載していることで、対地攻撃に転じても十分な火力を投射することが可能である。
記事と違い、重量は30トンを超えているが。

似たような自走対空車両では、ドイツ軍の ゲパルト や航空自衛隊の 87式 などが有名である。


参考動画: ツングースカのPV


YouTube - 2K22M Tunguska-M1
http://www.youtube.com/watch?v=S3JY-9nLay0



『本当の戦争』

2008-02-27 23:18:39 | 軍事ネタ

こんばんは、ゆっきょんです。
読んだのは随分前の話ですが、なかなか面白い本があるので、今日はご紹介。
誰にでもわかりやすく読みやすく、そしてなかなか興味深い内容だと思う。



『本当の戦争』
- すべての人が戦争について知っておくべき437の事柄 -



戦争・戦場や兵士たちの実態について、Q&A形式で437の疑問に回答していくという実にシンプルな内容。
一番始めには「戦争とは何か?」という根本的な疑問から始まり、最後まで実に淡々と同じようにQ&Aが続く。
内容としては作者主観の考察や独自データはほとんどなく、他資料からの引用が多いので人によっては知ってる事柄も多いが、
しかしそれこそがこの本の本質であるともいえる。
疑問符を投げかけたくなるような回答も一部あり(特に最初の回答)、大体の回答において米軍基準の話なのは注意すべき点であるが、
軍事雑学を仕入れたい人とかこの分野に興味ある人は読んでおいて損はない。
淡々としてる分、スイスイ読めて時間をとらせる本でもないし面白い。


- 戦争とはなんですか? -
1000人以上の命が奪われる激しい紛争と定義されている。

- 世界が平和だったときはあるのですか? -
3400年にわたる人類の歴史で、人間の世界がまったく平和だったのは268年間、すなわち全体の8%にあたる。

- 民間人にとって、戦争はどれほど危険なのでしょうか? -
きわめて危険だ。 1990年代の戦争における全死者の75%から90%を民間人が占めている。

- 軍隊で最も危険な仕事はなんですか? -
陸軍や海兵隊の歩兵。 地上戦でじかに敵と交戦する部隊だからだ。
歩兵は戦争に参加する将兵のうち10%から30%を占めるにすぎないが、死傷者の80%が歩兵という場合がある。

- 戦争に行ったとき、負傷したり死んだりする可能性は? -
大規模な戦争で歩兵として戦う場合、5分の1というところ。
歩兵でなければ、負傷もしくは死亡する確率は50分の1に減る。

- 負傷で最も苦痛が激しいのは? -
火傷だ。火傷は全身に負う場合がある。痛みを鈍らせるのが難しい。

- 死体を見るのはどんな感じでしょう? -
戦闘員が自分と同じ年格好なのを知って驚くかもしれない。
肉が腐る様子と臭いに胸がむかむかするだろう。

- 戦闘環境はどういう感じなのでしょうか? -
すさまじい騒音と振動にさらされるとともに、酸素が不足し、息が苦しくなる有害な煙、化学物質、皮膚を刺激する物質、まばゆい光、靄に包まれる。
重い背嚢を背負い、武器を持って、発砲を受けながら不安定なでこぼこの地面を進む。
ずぶ濡れになり、あるいは凍え、あるいは暑さにうだる。



といった感じである。
他にも、爆発の威力はトラック激突と同じぐらい、とか、損害の15%は味方からの誤射である、など。
こういった形式で、実にわかりやすく明快に、延々とシンプルに答えられている。

この本では、第二次世界大戦中の米軍兵士の銃発砲率は半分以下としているが、
『戦争における人殺しの心理学』という本では15%程度とされていた。
戦場であっても、人は人を殺すことに強烈なストレスと嫌悪感を覚え、敵に向かって銃を発射することが難しい為だ。
たいがいの銃弾は敵の頭上に向けて発砲されており、敵を殺して罪悪感を感じない兵士は全体の2%ほどしかいない。
そしてその2%ほどの兵士は生まれついての殺し屋気質であり、その2%ほどが全体の殺害数の50%を占めているということがある。

『戦争における人殺しの心理学』によると、この人が人を殺そうとするときに感じる嫌悪感こそが人類の希望の光だとしているが、
現代の軍隊の訓練では様々な効率的なシミュレーションなどにより、人殺しに対する精神的な箍を取り外し、
発砲率を90%以上に上げることに成功している。


他にも、銃に撃たれる感覚や自分が死にゆく感覚など、誰もが戦場という状況で想像する事柄についても回答されている。
死にゆく兵士たちが考えることは、どこの国においても多くは共通しているらしい。


- 最期の言葉はどういうものになるでしょうか? -
戦闘中に死ぬ者の多くが、母親を呼ぶ。
ベトナム戦争中にこういう例がある。

「ベトナム語がしゃべれたわけではない。 ただ言葉はいくつか知っていた。
ある日、初めて経験した銃撃戦のさなかに、負傷したべトナム人が叫ぶのが聞こえ、その言葉が理解できた。
負傷すると、だれしも母親や妻や恋人の名を叫ぶ。
そこでわたしが聞いたべトナム人の叫びも同じだった。」




TK-X発表

2008-02-16 13:22:07 | 軍事ネタ

1両7億、陸自が新型戦車
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080213/plc0802131146007-n1.htm

2月13日、陸上自衛隊の新型戦車TK-Xの試作車がマスコミ向けに公開されました。
現在自衛隊に配備されている74式戦車の後継車とされ、90式戦車よりも火力・装甲・通信システムの向上を図り、
車体サイズも若干小型化、かつ90式戦車の重量50tに比べTK-Xは44tと大幅に軽量化された。
これにより戦略機動性に優れ、90式戦車に比べ日本国土内において運用できる場所が増え即応性に優れているとされている。
90式戦車に搭載されていた自動装填装置も装備。
乗員数も同じく3名とされた。

調達価格はTK-Xは一両7億円ほどと発表。
90式戦車は一両約9億円ほど。


YouTube - Japan New 44ton MBT Type 10 Prototype (TK-X) Test
http://www.youtube.com/watch?v=TLnjfYKhcU4

さすがに最新鋭の日本車なだけあって、出来はかなりよさそうです。
見かけも思ってたよりすごいかわいい。 エロい。
これは間違いなく女の子に人気が出るな・・・。

海外の軍事フォーラムを見ても、概ね好評の様子。
また日本の軍事板と同じように、メルカバやレオパルド2に似てね?という書き込みも散見された。
小さい日本人は小さい車に乗るのがお似合いだ、みたいな皮肉もあったけど。


さて、こういう軍事時事ネタが話題になると軍板に人が大量に流入してくるのはいつものこと。
今回も、軍板のTK-Xスレは異常なスレ進行速度を見せていた。



あまり詳しくない人が入ってくると、こういう質問も毎回のこと。
兵器というのは、作られた国で必要とされる仕様で設計されるので、それぞれ運用時に想定されている前提や局面が違う。
故に各兵器同士が万全に戦闘力を発揮できる状態でぶつかり合えるという状況は発生し得なく、"最強兵器"などといった比較はできない。
あえていうなら、必要な時に必要とされた能力を発揮できる兵器が最善である。

恐らくそれを説明しようとしたのか、



各兵器の前提の違いについてわかりやすく武道家に例えてみる人がいるも・・・



マジレスの嵐w
武道には剣道三倍段という、同じ段位なら剣道は三倍強いと例えた有名な言葉がある。



面白かった。