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現代の対空砲について

2010-12-08 11:16:05 | 軍事ネタ

こんばんは、ゆっきぃです。
今日のテーマは、軍事の中でもメジャーなほうではない、対空砲について。


対空砲というのは、もちろん空中に打ち上げられる砲のこと。
戦争映画などを見ると、空に向かってズババババッと光りながら弾が打ち上げられているのをよく見ると思う。
敵航空機の意図を阻止し、または撃墜する為の兵器だ。

まず対空砲と一口にいっても、その口径によって細かく言い分けられる場合がある。
20mm以下のものは機銃、20mm以上のものは機関砲、70mm以上のものは高射砲、といった感じで。
しかし銃と砲の境目は日本やアメリカなら20mmだが、ドイツなどでは30mmからといった風に、
国ごとに差異があったりして、厳密な定義があるわけではない。

対空機関砲と高射砲は、狙うターゲットの差異で運用される。
小口径で小回りが利く機関砲は低空を飛ぶ敵の戦闘機や急降下爆撃機などを、
大口径で砲弾が高空まで威力を保ったまま届く高射砲は、高空を航行する大型爆撃機を狙う。


4連装20mm対空機関砲ドイツ軍の8,8cm高射砲

現代においては、高空を狙う高射砲の役割は対空ミサイルに置き換えられており、
大部分の先進国では高射砲は廃れた兵器となっている。

しかし依然、低空を狙う機関砲は各国軍に配備され続けており、
「誘導式で高命中率が期待できる対空ミサイルが存在する時代に、
射程距離が短く命中精度も低い対空機関砲を配備するのは無駄ではないか?」

と疑問を呈する人も少なからずいる。
しかし実のところ、これは無駄なことではない。


まずミサイルには最小射程距離という概念が存在する。
この距離以下の至近距離からミサイルを放っても、上手く目標に誘導しない、という距離だ。
つまりミサイルを目標に当てるには、近づきすぎずある程度の距離が必要となる。
ミサイルによって異なるが、この最小射程距離を500mから600m程度を目安とした場合、
高度500m以下を飛行する航空機に対しては真下から対空ミサイルを放っても命中しない、ということになる。
低空で飛行する航空機を500m以上先から捕捉したとしても、
高速で移動する物体と静止している地上との相対速度は、
飛行する航空機が低空なほど速くなり、つまり一瞬で視界から飛び去ってしまう。
(電車から見る景色が遠くは遅く進み、近くは速く流れるのと同じ。)

またレーダー波は遠距離の低空目標は捕捉しにくいという弱点もあり、これらの要因から、
高速で低空侵入してくる航空機を捕捉・撃墜することは対空ミサイルだけでは困難、と結論づけられる。


自衛隊でも配備している20mm対空機関砲「VADS」ソ連軍の対空戦車、ZSU-23-4「Shilka」

要するに現代における対空機関砲とは、この対空ミサイルの最小射程距離をカバーし、
低空至近距離での対空戦闘を補佐する役割を担う。
これが、現代の軍隊においても対空機関砲という、一見時代遅れな兵器が配備され続ける理由である。
また精密電子機器であるミサイルと違い、ジャミングなどに影響されにくい点もメリット。

遠距離高空は対空ミサイルで、
近距離低空は機関砲の弾幕で。

両者の相互補完の関係を以て、対空システムは完成する。
それ故に誘導兵器が主体となる現代においても、対空砲は配備され続けているのである。

弾道ミサイルについてと、MDに関して

2010-10-23 20:00:13 | 軍事ネタ

→ 巡航ミサイルについてと、自衛隊の保有に関して

前回に書いた上記記事のコメント欄で、
弾道ミサイルと巡航ミサイルの区別について説明できなかったので今日はそれをテーマに。
巡航ミサイルそのものの解説については上記記事を参照してください。


ナチス・ドイツ軍のV-2ロケット

弾道ミサイルという兵器は、第二次世界大戦中にドイツ軍が開発したV-2ロケットから始まった。
巡航ミサイルの始祖となったV-1飛行爆弾と同じく、連合軍に制空権を握られている中で
イギリス本土やフランスなどを爆撃する長距離攻撃手段として開発されたV-2は、
約1,000kgの弾頭に射程距離は300kmで、第二次世界大戦中だけで3,000発以上が発射された。

パルスジェットエンジンによりほぼ水平に航空機のように飛翔するV-1は時速600kmと低速で迎撃が可能だったが、
V-2は液体燃料ロケットにより一度ほぼ直上に発射され、宇宙空間に到達してから目標地点へ落下する為に、
超音速で飛来し落下するV-2を迎撃することは当時では不可能だった。
V-2による攻撃を阻止する為には、発射基地を制圧するしかなかったのである。


試験発射されるICBM、LGM-118A「ピースキーパー」

現代の弾道ミサイルは射程距離を大幅に延伸し、大陸間弾道ミサイル(ICBM=InterContinental Ballistic Missile)
の最大クラスとなると地球上ならばどこでも攻撃範囲に収められるようにまでなった。
弾道ミサイルと巡航ミサイルには様々な特徴の違いがある。

巡航ミサイルの特徴としては、主に
・ほぼ水平に飛翔し目標地点へ突入する。
・無人航空機のようなもので、飛行経路の可変などが可能。
・命中精度が高く、精密攻撃が可能である。
・低速であるので捕捉されれば迎撃されやすい。

のようなものであるが、対して弾道ミサイルについて説明すると、


弾道ミサイルはほぼ真上に発射され山なりに弾道を描き、一度宇宙空間を経由してから高高度から高速で目標地点へ突入する。
また巡航ミサイルと違い発射時にしか推進しない為、飛行経路の可変などはできない。
発射時に目標地点までの距離・方向・角度などを調整し、あとは慣性によって飛翔するのみなので、
巡航ミサイルが無人航空機なら弾道ミサイルは巨大な大砲のようなイメージである。

基本的に命中率は低い為に、ICBMクラスのものとなると核弾頭を搭載するのが普通で、
目標地点から数kmずれても強大な破壊力によって被害を与えられるようにしている。
しかし命中率に関しては最近ではかなり改善されており、それに伴い搭載される核弾頭の出力も低く抑えられる傾向にある。
またイラン・イラク戦争で両国家が応酬し合った短距離弾道ミサイル「スカッド」のように、
短距離のものならば核ではなく通常弾頭で使用される場合もある。

一度宇宙空間を経由してから落下するという性質上、突入時は加速度的に高速となる。
長距離を飛翔する大型のミサイルほど速度は増し、迎撃の猶予時間と手段が限られてくる故に、
現代の最先端技術をもってしても弾道ミサイルの迎撃は困難である。


弾道弾迎撃ミサイル「THAAD」の試験発射

近年ではアメリカと日本でミサイル防衛(Missile Defense=MDと言われる。) システムの開発に取り組んでおり、
ニュースでもやっているので知ってる人は多いと思われる。
パトリオット・ミサイルやスタンダード・ミサイルなどの従来の対空ミサイルを対弾道ミサイル迎撃用に改修したものがあり、(それぞれをPAC3とSM3という。)
PAC3は地上から、SM3はイージス艦から発射することができ、日本のMDの要となっている。
最近ではTHAADのように弾道ミサイル迎撃専用に設計された新型ミサイルも登場した。

しかし、上記で説明したように弾道ミサイルは大気圏への再突入時に加速度的に高速となり、ICBMクラスとなると終末速度は秒速8kmにも達する。
秒速8kmという速度を他のもので例えると、以下のようなスピードということになる。
高速ライフル弾の約8倍、標準的な現代戦闘機の約10倍、音速の約23倍、新幹線の約100倍。

このようなスピードで突入してくる物体を迎撃するのは困難であり、弾道ミサイルを迎撃ミサイルで撃墜する困難さを、
「拳銃から発射された弾丸を散弾銃で打ち落とすようなもの」などと例えられたりもし、
現状のMDでは依然高い迎撃率は見込めないものとなっている。
しかしソ連で開発された「スカッド」のような短距離弾道ミサイル(SRBM=Short-Range Ballistic Missile) などに対しては、
ICBMほどの速度にはならない為に試験においても実戦においても高い迎撃率を示した事例はある。


またMDの手法としてABL計画というものもあり、弾道ミサイルが高速となるのは落下時である為、
比較的低速の上昇段階のうちに航空機からレーザーを照射し破壊するというもので、実用化に向けて開発が進行している。
このABL計画については以前に当ブログでもニュースとして記事にした為にそちらを参照。
→ 対空レーザー迎撃実験、ABL計画


巡航ミサイルについてと、自衛隊の保有に関して

2010-10-19 22:34:06 | 軍事ネタ

→ 自衛隊の敵地攻撃能力の保有について
→ F-Xに艦載機は無意味


などの当ブログの過去の軍事ネタ記事で、現代日本に必要な装備は巡航ミサイルという自論をかねてよりしつこく言ってきたので、
今日はその巡航ミサイルそのものについて。


ナチス・ドイツ軍のV-1飛行爆弾

巡航ミサイルという兵器は、その始祖は第二次世界大戦に端を発する。
当時ドイツ空軍はイギリス空軍との間で熾烈な本土爆撃合戦を繰り広げていた。
しかし戦況の悪化に伴い、イギリス空軍の必死の防空戦の前にドイツ爆撃機の損耗は拡大し戦果を期待できないどころか、
逆にドイツ本土はイギリス軍やアメリカ軍の爆撃機により日々空襲に晒されていた。
その報復手段として、爆撃機をブリテン島に飛ばすのではなく、
直接爆弾を飛行させ爆撃する長距離攻撃兵器の開発を命じ、これがV-1飛行爆弾となった。

V-1はパルスジェットにより推進し、プロペラの回転数によって距離を計算し
自動的にエンジンを停止させ落下するという簡易な誘導装置を持っており、
およそ250kmほどの航続距離を持っていた。
V-1は飛翔速度が時速600kmほどでしかなく、当時の戦闘機よりも遅かった為に、
捕捉されれば戦闘機や対空砲火により撃墜されることが多かった。

しかしV-1による攻撃には利点があった。
それは爆撃機を飛ばす必要がない為に、撃墜されても人命的損失が皆無なこと。
つまり一方的な攻撃が可能な兵器であり、またコストも爆撃機より格段に安かった。

ドイツ軍は第二次世界大戦中にこのV-1を20,000発以上も発射し、
どこからともなく飛んできて無差別に爆発するこの兵器はロンドン市民を恐怖に陥れた。
これが現代の巡航ミサイルの始まりである。


アメリカ軍のトマホーク巡航ミサイル

現代では技術の発達により、巡航ミサイルは飛躍的な進化を遂げた。
1983年から配備されたアメリカ軍のBGM-109「トマホーク」は最も成功した巡航ミサイルで、
射程距離は2,500km、弾頭重量は約450kg、命中精度は「建物の窓の中まで狙える」と例えられるほど。
配備が開始されてからアメリカ軍のいるあらゆる戦場で大量に使用されており、
湾岸戦争、ユーゴ紛争、アフガン、イラクなど現代の大きな戦争のほとんどで活躍している。

トマホークの利点としては、やはり長距離から一方的に攻撃できる兵器であることと、
地上・水上艦・潜水艦・航空機から発射できるという発射プラットフォームを選ばないこと、
精密攻撃ができること、などが挙げられる。

速度はせいぜい時速800kmほどでしかないので、
捕捉されれば撃墜が容易なのは相変わらずだが、
トマホークは航空機のように飛行経路や高度を自在に設定でき、
危険地域は迂回したり、低空飛行でレーダー網を掻い潜ったりができる為に
また小型で多数発射するので結果的に迎撃は困難とされている。


艦隊から斉射されるトマホーク

日本がトマホーク巡航ミサイルを保有するメリットは大きい。
海上自衛隊は世界有数の護衛艦隊戦力を有しており、もしもトマホークを導入すれば、
護衛艦や潜水艦などから多数のトマホークを発射でき強力な攻撃手段を獲得することになる。

自衛隊は爆撃機などの敵地攻撃能力がなく、F-2支援戦闘機などが申し訳程度に誘導爆弾を扱えるのみである。
敵勢力の策源地を壊滅させなければ、際限なく攻撃を受け続けそれを迎撃するのみでは、
いつまでも完璧な本土防衛ができるとは望むべくもない。
このような状況にあっては、巡航ミサイルの導入は強力な敵地攻撃手段となり、
敵勢力の策源地を攻撃できればそもそもの侵攻能力を未然に削ぐことが可能となる。
また爆撃機や空母の導入など他の考えられる手段よりもよっぽど安価で、高い費用対効果が期待できるのも理由の一つ。


以上のことから、巡航ミサイルの導入は自衛隊の防衛能力・手段を効率的に大幅に拡大させうると考えられるわけです。


F-Xに艦載機は無意味

2010-10-18 18:21:45 | 軍事ネタ



よく、日本のF-X(次期主力戦闘機選定) には海軍機を!という希望の声を聞いたりする。
その真意は艦載機を導入することで、日本の空母保有の足がかりとする!
もしくは現在配備されている、もしくは配備予定である、
ひゅうが型や22DDHなどといった全通甲板のヘリ搭載護衛艦を改装し実質の軽空母として運用する!
といった点があると思うけど。

しかし非常に基本的なことながら、F-Xは航空自衛隊の戦闘機の選定であるので、
軽空母といった艦の運用は当然海上自衛隊が担うので、
よしんばF-XでF/A-18EF-35Bなどの艦載機の導入が決定されたとしても、
日本の空母運用とは全く関連性があるわけもない。


その艦載機の運用ノウハウは得られるかもしれないけど、しかし陸上機としてのノウハウである。
海自が空母を保有するとするならば、まずは大きな予算的なハードルをクリアしなければいけない。
そこのところは以前に詳しく記事にしたのでそちらを参照。
 自衛隊の敵地攻撃能力の保有について

それと戦闘機の運用経験がない海自に、戦闘機アビエイターとしての部門を設立し、教育を施さなければならない。
これが案外一番ハードル高いのかもしれない。
トップガンの世界である。

専守防衛だとか憲法だとか世論だとかは、もはやさしてハードルにならないと思われる。
ここのところ急激な高まりを見せる中国脅威論、誰でも悪役としての中国を憂いるご時世だし、
またおおすみ型輸送艦、ひゅうが型護衛艦、そして配備予定の22DDHなど、
軍事的知識があまり無い人からすれば見るからに空母そのものな艦が日本には既に何隻かあるわけで。
それらの就役時に大きな論争が巻き起こったかといえば、そんなことはない。
一般の人にとっては日本に空母があろうがなかろうが、多分どうでもいいことなわけで。
もし日本に本格的な固定翼機を運用できる空母が配備されたところで、そんな大した騒動にはならないと思われる。
むしろおおすみ型やひゅうが型から始まった全通甲板の連続した採用は将来の空母保有への布石か。


ひゅうが型護衛艦

でもやはり、前述した自衛隊の敵地攻撃能力の保有について の記事中でも述べている通り、
日本は空母を建造する前に準備すべきものが他にたくさんある。
今の事情で空母を建造するぐらいなら、その予算を他に回すべきである。

それはやっぱり巡航ミサイルの導入だとか、空中給油機だとか、巡航ミサイルの導入だとか、
イージス艦や汎用護衛艦を増やすとか、巡航ミサイルだとか、
これから定数が純減される予定の戦闘機や戦車の数の補填とか、巡航ミサイルとか、である。
(要するにゆっきぃ的にはどうしても巡航ミサイルが欲しい。理由は上記記事で述べている。)


まあまずは目先のF-Xがどうなるか。
中国の拡大と、尖閣への侵攻、日本の備え、台湾情勢や米軍など。
世界で軍事的に今一番HOTなのはこの東アジアなのだろう。
日本人なので他人事じゃないけど、この情勢の行く末に興味は尽きないね。

2011年度の概算要求でAH-64Dアパッチが調達再開

2010-09-06 21:39:40 | 軍事ネタ



先月末に防衛省より公開された平成23年度の概算要求。
各種調達兵器や研究の予算が盛り込まれた書類ですが、
その中にAH-64Dアパッチ の記述がありました。

陸上自衛隊は対戦車ヘリとして既にAH-1Sコブラ を90機保有していますが、
コブラは世界最初の攻撃ヘリであり陸自でも運用開始からもうすぐ30年経とうとしています。
老朽化に対応するために次期攻撃ヘリ選定(AH-X) が行われており、
AH-Xで選定されたAH-64Dアパッチは62機調達するものとして2002年度から陸自に納入されていました。

しかし、同時期にアメリカでの生産が終了したAH-64Dアパッチの調達費は高騰化し、AH-Xは62機から13機までの計画に縮小された他、
一機200億円超という主力戦闘機並の調達費に、とうとう2007年度の10機目の調達を最後にAH-64Dの調達は中止されています。

そして平成23年度(2011年) の概算要求で唐突に浮上したAH-64Dの1機のみの調達再開。
このまま予定通り13機までの調達を再開するのかな?
しかし、54億円とは破格に思えるけど、何があったのだろうか。


AH-1SコブラAH-64Dアパッチ・ロングボウ

既に90機配備されているAH-1Sコブラは、数の上では陸自の攻撃ヘリ戦力の主力ともいえるが、
戦闘能力でいえば圧倒的にAH-64Dアパッチに分があります。
というのもまず機体規模が違うので兵装搭載量が大きく違い、

例えば陸自のAH-1Sは対戦車ミサイルを8発搭載できるが、
これがAH-64Dとなると対戦車ミサイルを16発搭載できます。
またAH-1Sは旧式機の為に、運用できる対戦車ミサイルはBGM-71TOWであるが、
AH-64Dが搭載する対戦車ミサイルはより最新式のAGM-114Lヘルファイアです。

TOWミサイルは有線誘導式で、発射から着弾まで目標を照準し続けなければいけない。
これは発射から着弾するまでその場を移動できないということであり、反撃される危険性が大きいです。
一方AGM-114Lヘルファイアミサイルは撃ちっ放し式ミサイルであり、発射後の誘導を必要とせず、
発射した瞬間から隠れたりができる為に反撃の可能性を大きく減じることができます。




また、AH-64Dのヘルファイアミサイルは稜線の向こう側にいる敵にも身を隠したままアウトレンジ射撃が可能であり、
これもAH-64Dの生存性向上に一役かっています。

他にもAH-64Dの搭載するロングボウ・レーダー火器管制システムは、
複数の敵を距離や脅威度によって自動的に優先度を算出しレーダーに投影することができ、
優れた索敵能力と識別能力、そして攻撃能力をもっていたり、他にも優れた機能を多く有しています。


以上のことから、AH-64Dは1機のみで現行のAH-1S数機分の働きが期待でき、ヘルファイアミサイル16発の携行数は、
理論的には上手くいけば1機で1個戦車中隊を殲滅せしめることが可能な搭載量ということです。
また近接距離での自衛程度の空対空戦能力も有しており、実際に航空機の撃墜戦果も挙げています。

この重武装さからAH-64Dアパッチは世界最強の攻撃ヘリともいわれており、
また山がちな地形が大半の日本本土では、通常は移動が困難な地形をヘリは高速移動でき、
そして山が身を隠してくれるという、もしも陸戦を行うなら攻撃ヘリの運用に向いた国土となっています。


AH-64アパッチはイラク戦争において、イラク軍の戦車隊陣地を攻めこみ、
30機中29機が損傷し1機撃墜されるという大損害を出したこともありますが、
いくら重装甲とはいっても所詮ヘリはヘリということです。
戦訓の1つということ以上の意味はなく、AH-64Dの有用性を減じるものではないでしょう。


今のところ陸自にはたった10機のみの配備で、これ以上満足に増える展望も今のところありませんが、
しかしこの度1機のみでも調達再開されたのはなかなか期待できることでしょう。