WE 1936 Series No,6 は名称どおり1936年の発表だが1936年はWestern Electricにとっても激動の年と言える。劇場用音響システムがそれまでのワイドレンジサウンドシステムからライバル企業に対抗するためにミラフォニックサウンドシステムに切り替わっていく変革の時期で同時に同社からの劇場用システム供給の終焉も迫っていた(1937年に撤退)。ミラフォニックサウンドシステムはダイフォニックという2wayのスピーカー群を大出力のマルチアンプで駆動するという方式でそのためのユニットも新しく開発された。48cm口径の巨大ウーハーは励磁電圧によってTA4181など名称が異なる3種類があった。このウーハーは平面バッフルとホーンを組み合わせた巨大パネルに1本から4本装着された。中高域のドライバーはWE594Aでストレートホーンに複数が装着された。励磁電源はウーハー、ドライバー共に外部から低電圧大電流DCが供給されていた。ミラフォニックサウンドシステムはワイドレンジシステムと同じように映画館の規模に合わせてシステマチックにランキングされたパッケージが6種類用意されていてすべてレンタルという形態で劇場の初期投資費用を抑えていた。いずれも2wayで例えば最大規模のM-101はアンプはWE86が1台でネットワークを介してWE87が3台、合計で150W出力 WE594Aが2機 TA4181Aが4機で3000席以上に対応した。注目するのは客席数800〜1500席のM-4と500席以上のM-5でいずれも小規模のシステムだが25Aという大型のストレートホーンに555が2機(1機)使用されていた。もはや旧式となった555だがアルテック振動板とストレートホーンの組み合わせで高域までカバーさせて使われていた。
この表は1935年から1936年にかけてのミラフォニックサウンドシステムのバッフルの一覧表だが興味深いのは表のロゴがワイドレンジサウンドシステムになっていることでまだ次世代システムの名称が決まっていなかった時期なのかもしれない。また一番上にWE 1936 Series No,6 のバッフルであるTA7331があり"Shipped complete"となっていて他と記載が異なっている。これはどういう事なのだろう?この表の段階ですでに納品が済んで完了したかのようでやはり特殊な存在だったのだろうか。
そしてWE 1936 Series No,6の再生周波数帯域だが2wayということもあり高域は実測でも6kHz程度までしかまともに再生しない。これは音響分野の最先端を走っていたWestern Electricらしからぬ点で全く不十分な性能のシステムで当然ツィーターを加えた3wayシステムでないとおかしい。仮に3wayであれば1936年にはもはや旧式となったワイドレンジサウンドシステムと同様のシステムになるがこの時期に新たなシステムとして発表することは不自然で同社にとってもかなり抵抗があったのではないだろうか。日本に輸出されたワイドレンジサウンドシステムはWE597Aヴォストウィックツィーターのアラばかり目立ってしまい不評で全て(!)取り外されて本国に返却されたと八島 誠氏が語っていた(1982年7月無線と実験)。ひょっとするとWE 1936 Series No,6は周波数帯幅を大幅に縮めてボロ隠しをした廉価版のシステムだった可能性が高いと思われる。(乱暴な記述で申し訳有りません。この点についてはお詳しい方のご教授を是非お願いします)。
条件を変えてしばらく聴いてみたがやはり色々と不満が出た。そして2wayの繋がり以前に555+22Aの出音がこれで良いのか?という一番初めの疑問に戻ってしまい再度検証せざるを得なくなった。帯域の狭い(ボロが出にくい)単独フルレンジでしっかり鳴らないと次のステップ(2way,3way)に進めない。励磁電源も整ってきたので堂々巡りとは思わずに色々と試聴してみましょう。
久しぶりにWE91Aレプリカと交換してみるとアンプにちょっと触るだけでバリバリと雑音発生で絶不調。真空管とソケットの掃除をするも改善せず。あちこち叩き回ってわかったのはカップリングコンデンサーがケースの中で動いてアースと接触しているのが原因だった。整流管はまだ5Z3だがWE755Aとの相性はやっぱり流石で久しぶりにいい音を聴いた気になった(いままでがダメすぎた?)。その後555+22Aをフルレンジ再生してみる。Bell研 2Bと比べて低域が厚い、歪み感が減ってナローレンジということが素直に確認できる。しばらくしてネットワークとウーハーを繋いだ。
以前の混濁した感じはかなり改善してBell研 2Bにはお引き取りいただいた。その前にはMcIntosh MC60も接続していたのだがやっぱりというか低域の迫力が増した以外は良いところはなかった。WE91Aレプリカは直熱三極管シングルなのに音に力感があり透明感と同居していてとても好ましくきこえる。かなりアッテネーターを絞ってもゲインが高くもう一段減衰させないと操作しにくい。そして(やっぱり)アンプのハムは増えて気になってきた。
CDプレーヤー出力をラインからヘッドホン出力にするとフロントのツマミで音量調整できる。これで随分操作しやすくなった。クロスオーバー周波数もいろいろと変えて聞き続ける。ちょっと落ち着いてきたかという段になって整流管を5Z3からWE274Aに交換した。
、、、やっぱりかなり異なる。まず高域が伸びたように聞こえる。音と音が分離して遠くまで見通せるような感じ。。不思議です。
555のレベル調整が煩わしいのでとりあえずのアッテネーターで調節した。ちょっと良くなったかな、、と感じた時にまた特性を見ると
、、全くダメでがっかりする。。200Hz付近の凹みは以前と変わらない。ネットワークではなくウーハーの特性なのでサランネットやユニットの再検討が必要。高域は4KHzあたりから下降しているのは変わりないがちょっとなだらかになったか。
これはACの昇圧トランスで大きくて重いです。115V端子もありますがWE91Aのヒーター電圧が適正になるように110V端子に繋がってます。
サランネットをはずして同条件で測定すると
やっぱり200Hz付近の凹みは少し改善されている。視覚的な効果も加わってウーハーの存在感が増した。これをAV効果(オーディオはビジュアル)といいます。嘘です。スピーカー全体を少し持ち上げたいが今の環境では難しい。
私も22ホーンと555W、4171Aとシャラーホーンの組み合わせでもっぱらモノを聴いています。
22は555を厳しく選び、低域と繋がる555を選別するのは苦労しました。
決まるまでは上と下が夫々勝手に鳴る感じで聞けるようなものではありませんでした。
今回は貴方様がアップされている7331バッフルの鮮明な図面をお持ちであれば提供をお願いしたいので連絡を差し上げました。
ネット上にある図面はどれも不鮮明で数字の読めないものがほとんどで困っていました。
お持ちであればどうぞよろしくお願いします。
掲載した図面は私の古いストックからのもので出所は不明です。なんとか読み取っていただけたら幸いです。
ご近所への音漏れを気にしつつフルレンジと交代しながら聴いていますが一連の作業はなかなか楽しくて久々に熱中しています。
555については振動板の違い以上に適切なメンテナンスが欠かせないと改めて思いました。そして劇場用の機材を住宅に持ち組む事の限界も感じています。
現在掲載している図面でも、他のものよりサイズが倍以上なのでだいぶましです。
私の資料(ウエスタンシアターサービスマニュアル)には7331バッフルのみ掲載していないので(たぶんそのページのみ抜き取られた)助かりました。
この資料にはおっしゃられているシステム6以外にもM5システムと他にもう1システム91がアンプになったシステムがあります。
いずれもかなり大型のシステムでした。
余談になりますが私も手持ち555が1個のときは同じ状況でした。ビンテージの555を手に入れたとき、始めてこのホーンはユニットを選ぶ(拙宅では)と気づきました。7331は後ろから盛大に低音が出ますので設置位置には皆さん苦労されているようです。(友人3名がつかっています)
私もKS-15750-L1 Tube Testerの1台は正常で2台を修理中で、整流管は測定できますがマイクローモーが測定できません。
いつもは測定回路の巻線抵抗の修理で直っていましたが今回は駄目でした。
何時までたっても直りません。
どうぞ今後ともよろしくお願いします。
お近くであれば是非一度お聞かせ頂きたいところですが、残念です。以前は仕事で全国各地へ行く機会がありましたが現在はリタイヤしましたので、まずめったに外出しません。ちなみにこちらは埼玉です。
難しいでしょうけれどどうか頑張ってください。
最良の結果が得られるよう影ながら応援させていただきます。