カタログで存在は知っていて以前から気になっていたのだが実物は見たことはなかった。無駄のないデザインが素晴らしく独特のカラーと相まってとても美しい。そして「パナステート」という名前から当初は考えもしなかったがこの白黒テレビはなんと真空管方式。日本にもこんなに洒落た真空管テレビがあったとは!オークションでも滅多にみることは無かったのだが最近幸いにも入手することができた。
かなりくたびれているが外装パーツに欠品はなさそう。このブルー系統のカラーはカタログにはなく後発の製品かもしれない。ブラウン管サイズは12inch、12本の真空管を使用している。
放熱を考慮して後ろ半分はスリットだらけの見た目ザル状態。中身をとりだしてドンガラにすると素地は鮮やかなスカイブルーだが場所によっては緑黄色になっている。これは塗料の変色か熱による変色かよくわからない。まだら状態なので丸洗いして劣化塗装をカッターの刃で削ぎ落としてからサンドペーパーの番手を上げていった。前面のアクリルカバーの小傷は極細コンパウンドで磨く。
この作業で2日間費やした。相変わらず根気が続かない。とよちゃんガレージを見習おう。。
内部も相当埃が溜まっていてがんばって綿棒でかき落とす
ナショナルの真空管トランスレステレビは多くの機種が発売された。シャーシを持たないワンボードのプリント基板回路は真空管テレビの最晩年の様相と思います。背の高い真空管ソケットを用いてプリント基板に発熱による影響が及ばないように配慮されている。基板はねじ止めされておらず溝に収まっている。メンテナンスがしやすく裏には真空管の電極の記載もあってサービス性も良好。詳しい発売年は不明だがすでに同社からソリッドステートのテレビも発売されていた時期で近代的な筐体と内部のアンバランスはなぜ?手本となる製品があってそのコピーだったのかもしれない、、などと妄想したりこの構成のままでそっくりソリッドステートへの移行も容易だっただろう、、と考えたり。幸いこの個体は機能的には大きな問題はなさそうだがやはり大きなプリント基板は真空管の発熱の影響ですこし歪んでいる。前回メンテナンスした業務用ポータブルビデオ VICTOR BR-1600のRF出力を直接アンテナに接続してビデオテープで視聴した。
側面の調整ツマミや前面のボリュームツマミの中心部分も本体と色を合わせていてセンスの良さが伺える。
となりはRCA AC 095Y 1978年 だがそれよりも少し大きい。こちらはソリッドステート。
この製品の正式な名前は「new pana☆pana(ニュー・パナパナ)」で現金正価39,900円 毎月2,600円 x 14回 初回金7,800円 月賦定価(15回 43,700円)とある。当時は終身雇用、毎年の賃金上昇でもっと長期のローンにも何の不安もなかったのだろうと思う。冒頭のカタログでは一家に一台のテレビから各部屋毎に、、という需要の掘り起こしからかプライベート、リビング、ゲストルーム用として各々の部屋に相応しいテレビのラインナップが紹介されている。半世紀前の日本は憧れのカラーテレビ、車、クーラー(いわゆる3C)の獲得をめざして活気付いていてだれもが明るい未来の到来を疑わなかった。
お読みいただきありがとうございました。
備忘録
多重音声出力(MULTI)へのコードプラグを接続しないと音声が出ない。