PHILCOは米国フィラデルフィアにある電気関連企業で1882年にカーボンアークランプ製造会社として創業した。その後バッテリー充電器やラジオ、テレビなどを製造していたが秀逸な(奇抜な)デザインの製品が目立っていた。特に白黒時代のテレビは箱の上にブラウン管が載っているような一連の製品が有名。現在はphilips傘下となっている。
1982年の9inchシリーズはカラフルなカプセルなボディとパネルを持つ白黒テレビで「ミッドセンチュリー」と呼ばれる米国発祥のデザインの製品と言われる。ミッドセンチュリーとは世紀半ばという事だが第2次世界大戦の自国が戦場にならなかった戦勝国である米国の戦後の経済発展に支えられて、プラスチックの成形技術の進歩やアルミニウム素材による形状の自由度が増した時代のポップでシンプル、明るい色彩のデザインらしい。このシリーズの製造は台湾のメイカーで米国へOEM供給された。
今回のPHILCO B357は装飾のある前面パネルと背面までデザインされた美しいボディが特徴。
米国仕様のRFコンバーターでビデオ信号をアンテナから入力すると受信はするが画面は不鮮明。とにかく内外の掃除をしていきましょう。
スピーカー周りのウレタンスポンジはボロボロで周りに散っている。ボディの裏は焼けている所もあるが修理の手は入ってないようで埃も少なく比較的良好。
樹脂製のボディ(ケース)は茶色に変色しているので久々に漂白してみましょう。全バラして酸素系漂白剤を買ってこよう。
ビニール袋は漂白剤で侵されてすぐに穴が開いて漏れてしまって漂白剤また買ってきてやりなおし。真冬で気温も低いのでしばらくバットで原液に漬け込んで放置しておく。
しっかり使われていたらしくパネルも手が触れたところは擦れていてここはタッチアップしたり黒ライン引いたり。チャンネルの数字が見えないほどダイヤルの樹脂の黄ばみが進んでいてここも漂白しよう。ボディなどと一緒に漂白は3日間ほど行った。
内部はほとんど手をつけていない。高圧部が煤けていたのでケース裏同様にできるだけ綺麗にした。
日米のVHFアナログ放送chの周波数は異なっているので米国製のテレビのRFコンバーターは米国用が必要。テストテープをVHSビデオデッキで再生して表示させる。
最優秀とはいえないがまあ及第かなと思う。
小洒落たデザインはアジアンテイストの部屋に似合いそう。
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