Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

HITACHI 日立製作所 K-88 について

2022-06-23 15:05:11 | テレビ

 HITACHI K-88は世界有数の電機メーカー日立製作所の製品で製造は1977年。spaceage デザインのテレビということで存在は知っていたが内外でもほとんど目にすることはなかった。この分野のデザインといえば国内ではVICTOR,SANYO,NATIONALというイメージだったが質実剛健の印象が強いHITACHIがこんな製品を発売していたことにまず驚く。

 独特の形はモダンな建築物のようで他に例を見ないが切り口はBRIONVEGA(イタリア)を彷彿させる。色はredとyellowを確認している。デザイナーは不明だが社外に依頼したのかもしれない。

 通電しないようなので掃除を兼ねて中を見てみる。

   

 電源部は大型のパワートランスとヒートシンクで物量が投入されている。切れていたヒューズを交換してスライダックで徐々に電圧を上げていくとザー音は聞こえるが画面は出ない。輝度調節つまみを回すと異臭がしてそのうち発煙してきた。煙の発生源を調べると250kΩの輝度調節ボリュームからで発火寸前。

  

 回路図はないので他の製品の回路を参考にする。映像出力Trとブラウン管のカソードとの間に0.1μF程度のコンデンサーがあり直流がカットされる。その後に輝度調整などがあるのだがこの部分にDCがかかっているので真っ先にこのコンデンサーの不良を疑って交換したが改善しない。ブラウン管のカソード(白ワイヤー)にも高電圧がかかっている状態でこれでは画面は明るくならない。あちこちパーツをはずしてどこから電圧が来ているか調べるのに結構時間がかかってしまった。原因は1μF160Vの電解コンデンサーの不良でパーツの手配をしてからとりあえず適当なコンデンサーに置き換えた。

 このパーツはブラウン管カソードとアース間にあるのだが何なのか分からずチェッカーも困っている(?)様子。導通はないので小容量のコンデンサーかと思って置き換えてみたがそうではなさそう。仕方ないのでそのまま再セットした。輝度調節ボリュームは焼けてしまったが2端子のみの配線なので抵抗体の反対側を使うことにして再使用したが(!)特に問題はなさそう(ダイヤルの向きは逆になる)。

 外観上ではロッドアンテナが破損している。このアンテナはすべてボディ内に収まるタイプで引き出すと自由に角度がつけられてSONY 8-301と同じ仕組み。一番外側は無事だったので2段目以降を加工移植した。

 

 映像は良好で安定している。

 

    

 全体の状態は良好、細かい傷は極細コンパウンドで磨いて取り除いた。あらためて眺めても「なんでこんな形になった?」と考えてしまうが決して醜悪ではない。設計に忠実に細部まで丁寧に造られているのではないかと思う。上面の取手は回転する一点支持だが信用してはいけない。破折して貴重な製品を落下させないようにここは持たない方が良いのは初代iMacと同じ。

 

 

 

 お読みいただきありがとうございました。