金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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白銀の翼(四面楚歌)128

2012-04-12 20:31:31 | Weblog
 再び西楚軍を包囲して十日が過ぎた。
各所で小競り合いはあるが、決定的な打撃を与えなられないでいた。
寄り合い所帯では手を抜く者が必ずいるのだ。
攻撃する時は常に最後尾で、恩賞を貰う時だけは人を搔き分けて前に進み出る。
これが大軍の弊害だ。
だが、大軍の圧力なくして西楚軍とは互角に対峙出来なかった。
 苛つく劉邦は見張り台に上った。
谷を挟んで西楚軍が見えた。
項羽への信頼からか、防御陣には一分の乱れも見られない。
加えて糧食の豊富さが彼等を力づけていた。
 ここに到れば再度の和議は成らない。
ここで決着をつけるしかない。
血走った目で西楚軍を睨み付けた。
 側に仕える軍師、張良が微笑みかけた。
「相手は項羽殿です。
簡単に、こちらの思い通りには運びませんよ」
「余裕があるな」
「手詰まり感はありますが、封じ込めている事は確かです。
楚から援軍が駆け付ける心配も皆無です。
何を慌てる事がありますか。
後は時間の問題。コツコツと削りましょう」
 劉邦は呆れた顔で張良を見詰めた。
「何か策があるようだな」
「力攻めだけでは面白くありません。
少し趣向を変えますか。
・・・。
我が方にも大勢の楚の将兵が加わっております。
彼等を使いましょう」
 項羽に見切りを付けた叔父の項伯を初めとして、
かなりの数の将兵が反項羽連合軍に加わっていた。
「無茶なことは止めてくれよ。怨みは残したくない」
「彼等を最前線に立てて、突撃させるような真似はしません。
どうか、ご安心を」
「ではどうする」
「楚の詩を歌わせます」
 戦場で歌わせるとは。
意味が分からない。
「それが何になる」
「西楚軍は項羽殿への厚い信頼と、豊富な糧食で士気は高いまま。
付け入る隙がありません。
そこで時間はかかりますが、搦め手から攻めようかなと。
それが楚の詩です。
夜昼無く歌わせて、里心を起こさせるのです。
故郷は近いのに、なかなか帰れそうにない。
・・・。
疑心暗鬼も起こさせます。
このまま此所に餓死するまで押し込められるのかな、と。
ただし、脱走兵が逃げ易いように包囲陣に穴を開けます。
そこのところはご承知下さい」
 劉邦は首を捻りながらも頷いた。
「膠着している今は何にでも縋りたい。試してみよう」
 張良は満足そうに拱手した。
「ではさっそく手筈を整えます。
明後日には西楚軍を楚歌で包囲させることが出来るでしょう」
「東西南北四方から楚歌を聞かせるわけか」
「はい、四面を楚歌で埋めてご覧に入れます」



★ 
桜が咲きました。
ことに奇麗だったのは金曜夜の夜桜でした。
満月を背景に、夜空に咲き誇っていました。
ここで狼の遠吠えでもあれば最高だったのですか、
酔い虎が煩いだけで、・・・。
 相も変わらず世間は騒がしいですね。
嫌なニュースばかり。
ことに、北の金王朝には世界が弄ばれています。
人工衛星だとか、ロケットだとか。
マスコミが危機感を過剰に演出している気も、・・・。
 そんなこんなで、心温まるニュースを一つ。
民主党の福田衣里子衆院議員が婚約したというのです。
彼女は薬害肝炎訴訟で九州原告団の代表を詰めた女性です。
出生時に血液製剤を投与された事が原因で、感染したようです。
 そんな彼女が東日本大震災の被災地へのボランティアで、
同じくボランティアに来ていた旧知の男性と遭い、
ボランティアを通じて交際に発展、
来月には婚姻届を提出するというのです。
 こういう暖かいニュースが増えませんかね。
あっ、マスコミは事故事件で喰ってるのか。
ニュース枠に限界があるので、心温まるニュースは後回しですね。




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