クランクリンの後続はない。
他は、・・・何も引っ掛からない。
昨夜の邪龍の影響で、行動を控えているのかも知れない。
暇なので俺は仲間達を鑑定した。
マジックバッグの中身までは分からないが、スキルは見られる。
やはりだ。
シンシア、ルース、シビルの大人組に探知が生えていた。
三人共、元々が魔法使いなので、取得が容易だったのだろう。
あっ、ボニーも生えた。
探知を取得した。
これは、・・・邪龍の鱗に残る魔力のお陰だろう。
彼女の探知の真似事に残滓魔力が反応したので、
真似事が真似事では終わらず、スキルに昇華した、そう理解した。
俺は探知に注力した。
鱗の破片を探した。
ああ、当初の半分になっていた。
消えたのは彼女達のマジックバッグの中か。
皆の新たなスキル取得のどさくさに紛れて、
俺の偽装ステータスも上昇させておこう。
少しだけなら問題ないだろう。
「名前、ダンタルニャン佐藤。
種別、人間。
年齢、十一才。
性別、雄。
住所、足利国尾張地方戸倉村生まれ、国都在住、美濃地方木曽。
職業、子爵、木曽の領主、冒険者、幼年学校生徒。
ランク、C。
HP、115。
MP、75。
スキル、弓士☆☆、探知☆、鑑定☆、光魔法、身体強化☆」
んん、これで活動の幅が広がる。
と思っていたら、シンシアのスキルが増えていた。
それも鑑定が。
理由はたぶん、水草の下にあった血液だろう。
大方、血液を回収しながら鑑定の真似事をしたのではなかろうか。
それが功を奏した。
探求心の為せる技。
んっ、good job!
シンシア達はスキル取得に気付いていない様で、
鱗を探しながら相方の面倒を見ていた。
その相方達だが、こちらも実に熱心だ。
微小な魔力を枯れさせない様に注意を払いながら、
時にはポーションを飲みつ、探知の真似事で懸命に鱗を探した。
けなげだ、実に。
幸運続きでスキルを大量に取得した俺に、
彼女達の爪の垢を煎じて飲ませたい。
大人達のサポートが花を咲かせた。
女児組が自力で鱗を探し当てた。
そして時間差はあったが、漏れなくスキルを取得した。
流石に鑑定まではないが、魔法使いとしての第一歩を踏み出したのだ。
邪龍様々だ。
人目がなければ邪龍様に五体投地で感謝したい。
あっ、接近して来る濃い魔力。
魔波は、慣れ親しんだ物だ。
アリスが遥か上空から降下して来た。
『何してるの。
人が大勢、蟻の様に群れなしているわね』
『昨夜のドラゴンが噂になってさ、それで、
街の者達が何か落していないか、総出で探し回っているのさ』
『それでアンタ達もなの』
『当たり』
俺はその辺りの事情を説明した。
そしてスキルの取得も。
するとアリスに盛大に呆れられた。
『邪龍の残滓魔力が反応して、良い方に転んだ、そう理解しなさい。
下手すると汚染されたかもよ』
えっ、考えていなかった。
それを脳筋妖精に見透かされた。
『次が有るならだけど、次はダン一人で探すのね。
アンタなら、たぶん、神龍の加護で切り抜けられる筈よ』
反省しきりの俺にアリスが提案した。
『まあ、私とハッピーの後始末が不十分だったのね。
そこは、反省ね。
ちゃちゃっと片付けるから、アンタ達はここを引き上げなさい』
アリスが邪龍の残留物を探して浄化させると言う。
なので俺は邪魔だと。
それで俺は気付いた。
『ハッビーは』
ハッピーの魔波がない。
上空にもいない。
『ダンジョンで穴掘りよ』
邪龍を収容するフロアを造っているのだろう。
『アリスはさぼり』
『人聞きが悪いわね。
これから一仕事よ。
アンタから預かったエビスを仲間達に配るのよ』
彼女に妖精九人に宛てたエビスを託した。
それをこれから手渡しに行くのだと言う。
序に取説もすると。
俺は引き上げる事にした。
丁度、頃合いだった。
「そろそろ時間だよ」
午後も間近。
屋敷に戻って風呂に入り、着替えて王宮に向かわねばならない。
予定を熟す、パーティのリーダーとして当然のこと。
皆も反論せずに集まって来た。
人目があるが、俺は気にせずに光魔法を起動した。
入浴と洗濯のライトクリーン。
何時もの事なので皆は感謝はするが、質問はしない。
そういうお約束。
俺はまず、シンシア、ルース、シビルの三人に言った。
「ステータスを確認して」
魔法使い三人は無言で頷いた。
起動したステータスは当人にしか見えないが、
起動した事自体は魔力の漏れで認識できる。
その魔力の漏れは二流三流の証で、恥ずかしいこと。
そこは如何ともし難い。
俺は三人からの漏れを感じ取った。
三人は表情を崩した。
歓喜。
国軍時代からの長い付き合いなので、ステータスは隠さない。
互いに見せ合う。
そして肩を叩いて喜び合う。
シンシアが三人を代表した。
「子爵様、ありがとう」三人揃って頭を下げた。
擽ったい。
アリスの言によれば、害になる可能性もあったのだが、そこは忘れよう。
都合の悪い事は忘れて前に進む、それが人生なんだから。
「僕は何もしていない。
皆の努力が実っただけだよ」
話に付いて行けない残り五人も、それと察したらしい。
喜びの輪に加わった。
それを俺は大人の様に見守った。
これからが大事なのだ。
暫くすると皆の視線が俺に向けられた。
理由は分る。
俺は魔法使い三人に指示した。
「魔法の初心者にステータスの遣り方を教えてやって」
途端に三人が笑顔になった。
仲間五人に視線を転じた。
代表してシンシアがステータス開示の方法を懇切丁寧に説明した。
戸惑いながらも表情を崩す五人。
他は、・・・何も引っ掛からない。
昨夜の邪龍の影響で、行動を控えているのかも知れない。
暇なので俺は仲間達を鑑定した。
マジックバッグの中身までは分からないが、スキルは見られる。
やはりだ。
シンシア、ルース、シビルの大人組に探知が生えていた。
三人共、元々が魔法使いなので、取得が容易だったのだろう。
あっ、ボニーも生えた。
探知を取得した。
これは、・・・邪龍の鱗に残る魔力のお陰だろう。
彼女の探知の真似事に残滓魔力が反応したので、
真似事が真似事では終わらず、スキルに昇華した、そう理解した。
俺は探知に注力した。
鱗の破片を探した。
ああ、当初の半分になっていた。
消えたのは彼女達のマジックバッグの中か。
皆の新たなスキル取得のどさくさに紛れて、
俺の偽装ステータスも上昇させておこう。
少しだけなら問題ないだろう。
「名前、ダンタルニャン佐藤。
種別、人間。
年齢、十一才。
性別、雄。
住所、足利国尾張地方戸倉村生まれ、国都在住、美濃地方木曽。
職業、子爵、木曽の領主、冒険者、幼年学校生徒。
ランク、C。
HP、115。
MP、75。
スキル、弓士☆☆、探知☆、鑑定☆、光魔法、身体強化☆」
んん、これで活動の幅が広がる。
と思っていたら、シンシアのスキルが増えていた。
それも鑑定が。
理由はたぶん、水草の下にあった血液だろう。
大方、血液を回収しながら鑑定の真似事をしたのではなかろうか。
それが功を奏した。
探求心の為せる技。
んっ、good job!
シンシア達はスキル取得に気付いていない様で、
鱗を探しながら相方の面倒を見ていた。
その相方達だが、こちらも実に熱心だ。
微小な魔力を枯れさせない様に注意を払いながら、
時にはポーションを飲みつ、探知の真似事で懸命に鱗を探した。
けなげだ、実に。
幸運続きでスキルを大量に取得した俺に、
彼女達の爪の垢を煎じて飲ませたい。
大人達のサポートが花を咲かせた。
女児組が自力で鱗を探し当てた。
そして時間差はあったが、漏れなくスキルを取得した。
流石に鑑定まではないが、魔法使いとしての第一歩を踏み出したのだ。
邪龍様々だ。
人目がなければ邪龍様に五体投地で感謝したい。
あっ、接近して来る濃い魔力。
魔波は、慣れ親しんだ物だ。
アリスが遥か上空から降下して来た。
『何してるの。
人が大勢、蟻の様に群れなしているわね』
『昨夜のドラゴンが噂になってさ、それで、
街の者達が何か落していないか、総出で探し回っているのさ』
『それでアンタ達もなの』
『当たり』
俺はその辺りの事情を説明した。
そしてスキルの取得も。
するとアリスに盛大に呆れられた。
『邪龍の残滓魔力が反応して、良い方に転んだ、そう理解しなさい。
下手すると汚染されたかもよ』
えっ、考えていなかった。
それを脳筋妖精に見透かされた。
『次が有るならだけど、次はダン一人で探すのね。
アンタなら、たぶん、神龍の加護で切り抜けられる筈よ』
反省しきりの俺にアリスが提案した。
『まあ、私とハッピーの後始末が不十分だったのね。
そこは、反省ね。
ちゃちゃっと片付けるから、アンタ達はここを引き上げなさい』
アリスが邪龍の残留物を探して浄化させると言う。
なので俺は邪魔だと。
それで俺は気付いた。
『ハッビーは』
ハッピーの魔波がない。
上空にもいない。
『ダンジョンで穴掘りよ』
邪龍を収容するフロアを造っているのだろう。
『アリスはさぼり』
『人聞きが悪いわね。
これから一仕事よ。
アンタから預かったエビスを仲間達に配るのよ』
彼女に妖精九人に宛てたエビスを託した。
それをこれから手渡しに行くのだと言う。
序に取説もすると。
俺は引き上げる事にした。
丁度、頃合いだった。
「そろそろ時間だよ」
午後も間近。
屋敷に戻って風呂に入り、着替えて王宮に向かわねばならない。
予定を熟す、パーティのリーダーとして当然のこと。
皆も反論せずに集まって来た。
人目があるが、俺は気にせずに光魔法を起動した。
入浴と洗濯のライトクリーン。
何時もの事なので皆は感謝はするが、質問はしない。
そういうお約束。
俺はまず、シンシア、ルース、シビルの三人に言った。
「ステータスを確認して」
魔法使い三人は無言で頷いた。
起動したステータスは当人にしか見えないが、
起動した事自体は魔力の漏れで認識できる。
その魔力の漏れは二流三流の証で、恥ずかしいこと。
そこは如何ともし難い。
俺は三人からの漏れを感じ取った。
三人は表情を崩した。
歓喜。
国軍時代からの長い付き合いなので、ステータスは隠さない。
互いに見せ合う。
そして肩を叩いて喜び合う。
シンシアが三人を代表した。
「子爵様、ありがとう」三人揃って頭を下げた。
擽ったい。
アリスの言によれば、害になる可能性もあったのだが、そこは忘れよう。
都合の悪い事は忘れて前に進む、それが人生なんだから。
「僕は何もしていない。
皆の努力が実っただけだよ」
話に付いて行けない残り五人も、それと察したらしい。
喜びの輪に加わった。
それを俺は大人の様に見守った。
これからが大事なのだ。
暫くすると皆の視線が俺に向けられた。
理由は分る。
俺は魔法使い三人に指示した。
「魔法の初心者にステータスの遣り方を教えてやって」
途端に三人が笑顔になった。
仲間五人に視線を転じた。
代表してシンシアがステータス開示の方法を懇切丁寧に説明した。
戸惑いながらも表情を崩す五人。