二本足で突進して来る熊の目が笑っていた。
ルドルフの細身の身体を見下しているらしい。
「それで受け止められるのか」と。
ルドルフにも意地があった。
左肩を前に出して半身となり、睨み据えて待ち構えた。
そこに、「ドドーン」と熊のぶちかまし。
熊が左肩から体当たりを喰らわして来た。
左と左の勝負。
ルドルフは押されるも耐えた。
そして素早く反撃。
右拳を熊の脇腹に突き入れた。
深々と入る感触。
何本かの骨を砕いた筈だ。
熊も反撃。
脇腹を痛めながらも右前脚の爪で、ルドルフの背中を引っ掻いた。
その鋭さは凶器そのもの。
あまりの痛みにルドルフは悲鳴を漏らし、熊から身体を離した。
大きく後方へ跳び退り、体勢を整えた。
背中から血が噴き出る嫌な感触。
尻までもが濡れてきた。
弾痕の穴なら小さい上に細いので治癒の力で弾を弾きだし、
傷口も僅かの時間で塞いでしまう。
ところが刃物や動物の鋭い牙や爪の傷跡だと、
皮膚が大きく切り裂かれるわけで、
治癒に手間がかかってしまう。
しかも状況によっては大量に血を失うことにも。
獣化すれば治癒の力も倍加するが、あいにく今は吸血鬼との戦いで、
獣化するに必要なエネルギーを失っていた。
満杯までの充填には今暫くの時間を要した。
悪い事に、血を大量に失えば、それだけ時間のロスも出る。
熊は脇腹の何本かの骨を失ったが、
出血が止まらないルドルフの方が圧倒的に不利だ。
それは相手方も承知のようで、包囲している猿達が陽気に笑う。
熊の姿勢が良くなってきた。
どうやら奴も治癒の力を備えているらしい。
これまで戦ってきた連中とは勝手が違った。
厄介な相手を敵に回したものだ。
ルドルフは戦いを一時中断することにした。
このまま戦いを続ければ敗北は必死。
なんとしても、それだけは避けなければならない。
逃げるのではない。態勢を整えるのだ。
決断すると早い。
素早く踵を返し、後ろも見ずに駆けた。
追ってくる気配。
それでも熊には追い付かれないと思っていた。
ところが予想せぬ事態に。
猿達が併走を始めたのだ。
右に四匹、左に四匹。
木の上だけが得意の猿と思っていたら違った。
悠々とした走力。
様子に余裕すらも感じられた。
猿達は時折、前方を塞いで邪魔をした。
熊の為に遅れを生じさせようと図ったのかも知れない。
その度にルドルフは猿達を避けて、コースを変えざるを得なかった。
出血が弱まった。
ようやく治癒の力が効いてきたらしい。
「殺気が溢れているな」とヒイラギ。
結界の入り口から悲鳴のように溢れ出てくるのだ。
毬子の傍を通り過ぎる者達は誰一人として気付かない。
汗を拭いながら緩い坂道を下って行く。
あるいは上って行く。
「伯父さんが来たよ」とサクラ。
思いもかけないことだ。
振り返ると、交通量が多いにも関わらず、覆面パトカーが歩道に沿って停車し、
後部座席から伯父が下りてきた。
亡き母の兄、毬谷紘一。
ボディガードのように左右を固めるのは秘書の榊英二と、
牟礼寺の住職だった田原龍一。
二人とも武芸で鍛えた身体をサマースーツで隠しているが、
その身ごなし、眼光の鋭さまでは隠しようがない。
「伯父様」と毬子が驚けば、
「こんなところで何してる」と伯父は怪訝な顔。
「私は気晴らしに散歩。伯父様は」
「警視庁に挨拶に立ち寄った。
今はその帰りだ。
反対車線を走っていたら、お前が見えたからUターンをしてもらった」
「あの覆面パトカーはどうしたの」
伯父は口の端を歪めた。
「東京に滞在している間は運転手付きで貸してくれるそうだ。
好意は嬉しいが、まるで見張られてるみたいでな」
田原龍一が不審顔で辺りを見回した。
「妙な気配がする」
★
消費税増税のお話です。
民主党はワイワイガヤガヤと党内手続きをしておりましたが、
ついに、「年度末に間に合わせよう」として、
例の、「口だけ番長」の誉れ高い前原サンが、
「一任を取り付けた」として議論を打ち切りました。
さながら昔の自民党の党内手続きのようです。
まあ、それは置いといて、大事なのは増税分を払う側の痛みです。
困るのは大企業に納入する業者です。
現在でも多数の業者が、相手方に消費税分を請求できずに、
しようがなく自分達で被っています。
正面切って請求すると、
「中国から輸入するか」とか、
「他に安いところを探すか」と暗に脅されるからです。
これでは怖くて請求が出来ません。
納入業者苛めの実体は、つい先頃、「ザ・ダイソー」でも発覚しました。
支払うべき代金の、2~5%の「歩引き」を下請け業者に要請し、
業者178社に飲ませたのです。
減額総額は2億7900万円。
まあ、似たような話は昔からあります。
大企業の収益源の一つが納入品の強圧的な値切りであり、
人件費の削減なのは常識です。
今回の増税が決まれば納入業者は大変です。
今でも苛められているのに、さらに上乗せです。
大丈夫でしょうか。
日本を今日まで支えてきた下町の中小企業。
下町ロケットを飛ばす体力を削るのでしょうか。
★
ランキングです。
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(クリック詐欺ではありません。ランキング先に飛ぶだけです)

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「それで受け止められるのか」と。
ルドルフにも意地があった。
左肩を前に出して半身となり、睨み据えて待ち構えた。
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熊が左肩から体当たりを喰らわして来た。
左と左の勝負。
ルドルフは押されるも耐えた。
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右拳を熊の脇腹に突き入れた。
深々と入る感触。
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熊も反撃。
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その鋭さは凶器そのもの。
あまりの痛みにルドルフは悲鳴を漏らし、熊から身体を離した。
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背中から血が噴き出る嫌な感触。
尻までもが濡れてきた。
弾痕の穴なら小さい上に細いので治癒の力で弾を弾きだし、
傷口も僅かの時間で塞いでしまう。
ところが刃物や動物の鋭い牙や爪の傷跡だと、
皮膚が大きく切り裂かれるわけで、
治癒に手間がかかってしまう。
しかも状況によっては大量に血を失うことにも。
獣化すれば治癒の力も倍加するが、あいにく今は吸血鬼との戦いで、
獣化するに必要なエネルギーを失っていた。
満杯までの充填には今暫くの時間を要した。
悪い事に、血を大量に失えば、それだけ時間のロスも出る。
熊は脇腹の何本かの骨を失ったが、
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ルドルフは戦いを一時中断することにした。
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決断すると早い。
素早く踵を返し、後ろも見ずに駆けた。
追ってくる気配。
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猿達が併走を始めたのだ。
右に四匹、左に四匹。
木の上だけが得意の猿と思っていたら違った。
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熊の為に遅れを生じさせようと図ったのかも知れない。
その度にルドルフは猿達を避けて、コースを変えざるを得なかった。
出血が弱まった。
ようやく治癒の力が効いてきたらしい。
「殺気が溢れているな」とヒイラギ。
結界の入り口から悲鳴のように溢れ出てくるのだ。
毬子の傍を通り過ぎる者達は誰一人として気付かない。
汗を拭いながら緩い坂道を下って行く。
あるいは上って行く。
「伯父さんが来たよ」とサクラ。
思いもかけないことだ。
振り返ると、交通量が多いにも関わらず、覆面パトカーが歩道に沿って停車し、
後部座席から伯父が下りてきた。
亡き母の兄、毬谷紘一。
ボディガードのように左右を固めるのは秘書の榊英二と、
牟礼寺の住職だった田原龍一。
二人とも武芸で鍛えた身体をサマースーツで隠しているが、
その身ごなし、眼光の鋭さまでは隠しようがない。
「伯父様」と毬子が驚けば、
「こんなところで何してる」と伯父は怪訝な顔。
「私は気晴らしに散歩。伯父様は」
「警視庁に挨拶に立ち寄った。
今はその帰りだ。
反対車線を走っていたら、お前が見えたからUターンをしてもらった」
「あの覆面パトカーはどうしたの」
伯父は口の端を歪めた。
「東京に滞在している間は運転手付きで貸してくれるそうだ。
好意は嬉しいが、まるで見張られてるみたいでな」
田原龍一が不審顔で辺りを見回した。
「妙な気配がする」
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民主党はワイワイガヤガヤと党内手続きをしておりましたが、
ついに、「年度末に間に合わせよう」として、
例の、「口だけ番長」の誉れ高い前原サンが、
「一任を取り付けた」として議論を打ち切りました。
さながら昔の自民党の党内手続きのようです。
まあ、それは置いといて、大事なのは増税分を払う側の痛みです。
困るのは大企業に納入する業者です。
現在でも多数の業者が、相手方に消費税分を請求できずに、
しようがなく自分達で被っています。
正面切って請求すると、
「中国から輸入するか」とか、
「他に安いところを探すか」と暗に脅されるからです。
これでは怖くて請求が出来ません。
納入業者苛めの実体は、つい先頃、「ザ・ダイソー」でも発覚しました。
支払うべき代金の、2~5%の「歩引き」を下請け業者に要請し、
業者178社に飲ませたのです。
減額総額は2億7900万円。
まあ、似たような話は昔からあります。
大企業の収益源の一つが納入品の強圧的な値切りであり、
人件費の削減なのは常識です。
今回の増税が決まれば納入業者は大変です。
今でも苛められているのに、さらに上乗せです。
大丈夫でしょうか。
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