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金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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白銀の翼(四面楚歌)71

2011-08-28 10:12:04 | Weblog
 風が吹きスカートの裾が煽られた。
榊毬子は慌てた。
左手は鞄で塞がっていたので、右手を裾に伸ばした。
それで何とか事なきを得たが、下校時間だというのに空気は蒸し暑い。
昼間に道路に滞留した熱が太腿の辺りにまで届いた。
これで六月だというから始末に困る。
 歩道を歩く毬子に擦寄るかのように、黒塗りの乗用車が近付いてきた。
スピードを緩めて毬子の真横で停車すると、一人の男を降ろして離れて行った。
 降り立ったのは長身の男。
牟礼寺の住職にして、例の辻斬り犯、田原龍一であった。
今日も奇麗に頭を剃り上げていた。
毬子を認めると軽くお辞儀をした。
「お久しぶり、毬子さん」
「この前と同じパターンの現れ方ね。またカラオケかしら」
「いや、今日は歩きながら」と毬子の隣に来た。
そして家路方向に肩を並べた。
「どうしたの」
「毬谷様が色々と忙しいので、私が代理で来た」
 それはそうだろう。
なにしろ、あの大分でのバンパイア騒ぎ。
雨に降られたにも関わらず、何台ものカメラが全ての場面を撮っていて、
それが日本のみならず世界に発信されたのだ。
 尋常ではない存在に戦慄が走った。
国境を越え、人種、宗教の壁をも越え、全世界が沸騰した。
 それから四日目である。
世界のマスコミが大分に特派員を送り込んで来た。
メイド・イン・ウサ、牟礼寺の所有者である毬谷紘一が注目されぬわけがない。
取材が殺到した。
それに応じたのは今日の昼だった。
 毬子は昼休みだったので、一部始終をワンセグで見た。
伯父は相変わらずの上物のスーツに身を包み、弁護士同席で会見した。
その口から出たのは、
「申し訳ないが、皆さんの期待には答えられそうもありません。
全てを知るのは祖父と祖父の世代の人間達だけです。
私達世代は何も聞かされていません。
ただ、あの土地を百年は守れ、という遺言に従っているだけです」。
 あとは丁寧に質問に応じた。
もっとも、実のある答えは一切出なかった。
最初から最後まで、「知りません」「聞いてません」で押し通したからだ。
そして最後に、
「残念ながら、石棺を管理する私達の仕事は失敗に終わりました。
精一杯努力はしたのですが、・・・。
申し訳ありません」と頭を下げた。
 低頭したのは一瞬だった。
次の瞬間には頭を上げ、正面を正視して堂々と言葉を続けた。
「バンパイアが復活しましたが、これから先は私達の仕事ではありません。
石棺を開ける事を決定した方々の責任です。
当方は手を引かせて頂きます。あとは宜しく」と締めくくった。
 毬子は龍一に問う。
「伯父様は本当に手を引くつもりなの」
 龍一は皮肉そうな視線を返した。
「君はどう思う」
「無責任な人じゃないわ」
「確かに。
でもここは、みんなの関心を引き剥がす必要がある」
「そういう事か」
「そういう事」
 毬子は足を止め、龍一の方を振り向いた。
「貴方達が抜き身でバンパイアに襲い掛かる場面をテレビで見たけど、
不法所持で捕まらなかったの」
「あぁ、あれは模造刀だ」
 どう考えても龍一達があの場面で、
模造刀でバンパイアに襲い掛かるわけがない。
「ふうん、模造刀という事にしたんだ」
「そう、立派な模造刀」
 伯父が裏から手を回したのだろう。
「そういう事か」と毬子。話題を変えた。
「それで、ここには何の用なの」
「毬谷様からの伝言だ。
一つ、
バンパイアには関心を持つな。
二つ。
風神の剣を抜くな」
「何よ、それ」
 龍一が笑顔になった。
「分かるだろう、君を巻き込みたくないんだよ」
 毬子は少し考えた。
伯父が電話すれば事足りる伝言ではないか。
それを他人に頼むとは。
導き出された答えは。
「事態が悪化しているのね」と龍一を睨む。
 世間の知らぬところで、世間に知られてはならぬ事態が進行中らしい。
 龍一の口の端が歪む。
 それまで黙っていたヒイラギが言う。
「面白いじゃないか。
トラブル大歓迎。バイオレンス ~♪、バイオレンス ~♪」
 サクラがヒイラギを嘲笑う。
「すっかり現代に馴染んでるよ、この馬鹿者が」
「二人とも脳天気ね」と毬子。
 三人の遣り取りは龍一には聞えない。
それでも毬子の表情の変化から、危惧を抱いたらしい。
「何を企んでいるんだ」
 毬子は、「何も」と答えるので精一杯。
脳内でヒイラギとサクラが言い合っていて喧しいのだ。

 項羽は、いつものように岩の上に寝そべっていた。
日差しが強いので片手を翳し、雲の流れを見ていた。
もう十日も晴天続き。
戦には絶好の日和なのだが、包囲する劉邦は攻撃の気配すら見せない。
 足音が近付いて来た。
虞姫に違いない。
項羽は上半身を起こして彼女を待ち受けた。
 虞姫は今日も豊かな胸を強調する衣服を身に纏い、項羽の隣に腰を下ろした。
香しい薫りに鼻を擽られた。
 項羽の左手に自分の右手を重ね合わせ、虞姫が尋ねた。
「毎日雲を見ていて飽きないの」
「お前と同じで、毎日見ていても飽きない」
 虞姫が照れ笑いで、重ねた手を解き、項羽の肩を平手で打った。




民主党の代表選が、・・・。
震災復興には重い腰なのに、自分達の事となると超早いです。
ある意味、偉いです。
ここまで自分達本意で行動できるなんて、普通の人には出来ません。
軽蔑の極みです。

 本命、海江田万里。
バブル期に花咲かせた経済評論家でしたよね。
計算に強いから経産省大臣に起用された、かも。
経産省の操り人形、そんな印象しかありません。
 二番手、野田佳彦。
太った増税論者。
こちらは財務省の操り人形。
彼もそんな印象ですね。
 上の二人の議員としての実績が分かりません。
何をやってのけたのでしょう。
比べて菅サンは、カイワレ大根を食べましたよね。
たしかサラダにして食べましたよね。
 三番手、前原誠司。
この人は突っ込みどころ満載です。
始まりは、偽メール事件での対応の悪さ。
近場では国交省大臣として、
八ッ場ダムの中止を明言したものの、言いっぱなし。
JAL問題にしても、モタモタ。
外相となるや、尖閣列島での中国漁船衝突事件で、問題を複雑化させただけ。
そして極めつけは外国人の違法献金問題。
外相を辞任したものの、みんなを納得させられませんでした。
何も起こらなければ説明しなかったのでしょうね、たぶん。
でも代表選が、・・・。
慌てて昨日、詳細を明らかにしました。
代表選の為に厭々説明したとしか思えません。
この人、菅サンに似て口先男にしか見えません。
 残りの方は省略です。
 代表選で「親小沢」「反小沢」がクローズアップされています。
でも、それは矮小化でしかありません。
今の問題は震災復興、原発対応、増税問題です。
大丈夫ですかね。こんな人達に国を託して。
でも代わりが見当たりません。
なら、クジ引きで代表を決めたらどうでしょう。
たしか・・・昔、室町の足利将軍様の時代だったかな、
クジ引きで将軍様を決めましたよね。
・・・。
いいか、それでも。




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白銀の翼(バンパイア)70

2011-08-26 22:10:47 | Weblog
 グルカ兵のドイツ最後の仕事は総統官邸防衛であった。
「私が自害すれば官邸にガソリンが撒かれ、火が点けられる。
それを合図に君達は契約解除だ。
あとは投降するもよし、闇夜に紛れて大陸を走って故郷に戻るもよし。
・・・。
これまで長いようで短い付合いだった。
ご苦労さん」と総統、アドルフ・ヒトラー。
 総統官邸に迫ったのはソ連軍。
野戦砲の掩護下、戦車隊と共に歩兵隊が進撃して来た。
これを阻止すべく戦ったのは親衛隊とグルカ兵であった。
彼等は貧弱な火器ながらも臆する事なく戦った。
要所に狙撃兵を配備し、塹壕の前に土囊を積み上げ、執拗に抵抗を続けた。
功を焦って前進するソ連兵。
阻止せんとする親衛隊とグルカ兵。
大勢が傷付き倒れた。
 そしてついに守備陣の一角が崩された。
どっと侵入するソ連兵。
それが合図だったかのように総統官邸から黒い煙が立ち上った。
ガソリンが撒かれたようで、火の回りが早い。
それは総統夫妻の自害の報せでもあった。
 クララの祖父はヒトラーの言に従い、故郷に戻る事を選んだ。
近くにいた仲間達と、遮蔽物から遮蔽物へと移動しながら戦場から離脱した。
敵の目を欺くなどグルカ兵には容易い事だった。
 ところが。
ソ連軍から逃れて気が緩んでいたらしい。
田舎の麦畑を移動していたところ、巡回中の米軍の発見され、
待ち伏せ攻撃を受けてしまった。
仲間達が為す術もなく次々と銃撃に倒れた。
辛うじて生き残ったのは数人。
彼等は散開して応戦した。
阿吽の呼吸で交代しながら殿を努め、後退に次ぐ後退を重ねた。
無理して一箇所に踏み留まれば敵の増援が来た場合、退路を失うからだ。
 銃撃を受けて倒れた一人にクララの祖父がいた。
銃創は肩口。幸いにも一発だけだった。
彼は負傷しながらも草陰に身を隠した。
幸いだったのは生き残った味方が応戦しながら後退するので、
米軍もその追撃に血の道を上げざるを得なかったこと。
倒れた祖父達を検めに来る米兵は一人もいなかった。
 祖父は米軍が遠ざかるのを見計らって草陰から身を起こした。
近くの小銃を掴む。
が、左肩を撃たれていたので自由に扱えない。
となると、頼りは腰の後ろのククリナイフだけ。
 小銃を手放し、周りの仲間達はと見ると、全員が既に息絶えていた。
この場で生き残ったのは彼一人。
祖父は手早く止血して、銃声とは反対方向に駆けた。
仲間達の負担になりたくないから一人で行動することを選んだ。
 止血したとはいえ簡易な手当て。
駆けるにしたがい血が噴き出してきた。
敗残兵である上、田舎の田園地帯。
医者の看板どころか、人家すらも疎ら。
医療は欠片も望めない。
 ついに祖父は駆けながら前のめりに倒れた。
大量出血と、今日までの溜まりに溜まった疲れが原因だった。
そのまま気を失った。
 行き合わせたのがクララの祖母。
農地からの帰り、道の脇に血塗れで倒れている親衛隊の兵士を見つけた。
祖母にとっては見慣れた制服であった。
戦死した兄が親衛隊に所属していたからだ。
 クララの話が終わるより先に森から出た。
人家はなく、田舎道が走っているだけ。
先の方の空き地に古い車が停まっていた。
その車をクララが指し示した。
「あれがそうよ」
「埃を被ってるみたいだが、手入れはしてるのか」
「見た目、目立たぬようにしてるのよ。
エンジンをかければ、手入れしてあるのが分かるわ」
 ルドルフは足を止めた。
「あれで俺を東京に運ぶ気か」
 アンネの口から出た、「東京」という地名が気にかかっていた。
 クララは太々しく笑う。
「東京というのはね、この国の首都で、世界でも一、二の町よ。
ドイツ人も多いの。
貴方がアンネ様の話を受ける受けないは別にして、
東京という大都会は貴方が身を隠すには丁度いい場所だと思うわ」




雨が、雷が、・・・。

嫌な円高です。
欧米の財政赤字のお蔭で日本の円が高止まりしています。
我が国の財界首脳とやらが、いつもの得意の台詞を吐きます。
「円高では国内で製造が出来ない、海外に工場移転だ」と騒ぎます。
原発の稼働停止でも財界首脳が騒ぎます。
「電気の供給が安定しないなら、海外に工場移転だ」と。
こんな煩い連中は日本での商売を止めて、
会社ごと、さっさと海外移住すればいいのに。
 農業では農地を大事にします。
種蒔き前に、農地を太らせる為に耕し、肥料等を撒きます。
それから種蒔きです。
大事に手入れ、管理し、そして収穫。市場に出荷。
それで終わりではありません。
収穫を終えた農地は痩せ細っています。
そこで肥料を撒きます。
御礼の肥料です。
常に農地の状況に目を配っているのです。
 企業にとっての農地は消費者です。
そして消費者=労働者です。
その労働者を企業は安く、安く雇用しています。
あまりの低賃金に、
例えば自動車製造に携わる派遣労働者、彼等は車が購入できません。
結婚も出来ません。
住宅購入などは論外です。
お蔭様で社会は衰退しました。
デフレに失業者増加、自殺者数の高止まり、少子化。
地域社会は崩壊し、家族すらバラバラです。
 昔は商人道がありました。
代表例は近江商人です。
彼等の家訓には考えされられます。
「売り手良し、買い手良し、世間良し」。
これは、「三方良し」として知られています。
・・・。
共存共栄。
他者を蹴落とさない社会。
だからといって、「怠け者を認める」という社会ではありません。
至極普通の社会。
働いたら、働いただけ受け取る。
けっして余分には取らない。
・・・。



ランキングはお休みです。

白銀の翼(バンパイア)69

2011-08-21 10:05:55 | Weblog
 ルドルフはクララの説明に戸惑ってしまう。
彼女の言葉を信じれば、吸血鬼ギルドの放った刺客達が接近していた。
奴等の体技はバンパイアよりは落ちるが、人間よりは上であった。
クララは、いくら呪術師といえども所詮は女。
雨乞いは出来ても、吸血鬼相手の立ち回りは無理だろう。
暴力沙汰では足手纏いでしかない。
それを承知でクララはルドルフに同行するのだろうか。
迷惑至極。
「正気か、相手は吸血鬼だ。人間では相手にならん。ましてや、お前は女だ」
 答えは平然たるもの。
「貴方が守ってくれるんでしょう」と。
「それは、・・・。出来るだけの事はする。
しかし、人数次第だ。守りきれるとは約束出来ない」
 クララは得たりとばかりに頷いた。
「それで良いのよ」
 ルドルフは納得出来ない。
「しかし」
「しかしも、かかしもないわ。
貴方はこの国の言葉を喋れるの。
お金を持っているの。
地理が分かるの。
何も無くて、どうやって生きてゆくの。
ずっと山に籠もるつもり。
私なら、この国の言葉を喋れる。
現金も持っている。
地理も分かる。
それに足になる車も用意しているわ」
 その剣幕と言い分の正しさに返す言葉がない。
ましてや車まで用意してあるとなれば逆らえない。
思わず自分の不甲斐なさに溜息をついた。
 それをクララは了承と受け取った。
「歩きながら話しましょう」と川原を川上へ向かう。
「待ってくれ、追ってくる奴等を見てみたい」
「貴方は目覚めたばかりで体調は完璧じゃないと思うの。
ここは一旦退きましょう」
 まるで母親みたいな口振り。
ルドルフは記憶にある母親を思い出した。
彼は本来、本性はバンパイアであるが、
通常の行動様式は乗っ取ったルドルフの性格が優先する。
だから感傷的になるのも無理はない。
そういう特性を彼女は知っている気配がした。
おそらくオールマン博士が書類にして残していたのだろう。
 クララの足取りは軽かった。
小川を跳び越えて反対側に移り、獣道を選ぶ。
そして迷うことなく右に左に折れて行く。
まるで勝手知ったる我が庭ではないか。
 ルドルフは道々の印に気付いた。
折れる箇所に小石が数個並べてあるのだ。
どうやら事前に退路を確保していたらしい。
その小石をクララは何気無さそうに、
爪先で道端に押しよりながらながら先を急ぐ。
ルドルフの目に触れないようにしているのではなく、追っ手の目を意識し、
自分の関与が察知されぬように細心の注意を払っているらしい。
 と、クララに続いていたルドルフは、彼女の背中が気になった。
ゴツゴツ感があるのだ。
何かを隠し持っている気配。
「背中には何を」と尋ねた。
 答え代りにクララは歩きながらシャツの裾を払い、
背中に手を回し、何かを取りだした。
「くの字」に緩やかに曲がったナイフ。ククリナイフ。
意外な物を見せられた。
 クララは無言で、ナイフを軽く振って道端に垂れ下がっている枝を切り払い、
後ろに目でもあるかのように、背中の鞘にすっと戻した。
慣れた一連の動作には感心させられた。
ただの呪術師ではないと思っていたが、ククリナイフの使い手とは。
 現在もだが、最強の傭兵として衆目の一致するのはグルカ兵。
彼等が白兵戦ではククリナイフを好んで使う。
 イギリスがインドに侵攻し植民地化した折り、
最も頑強に抵抗したのがヒマラヤ山脈の麓に住む北方山岳民族王朝。
幾つかの少数民族が離合集散を繰り返し、独立国家として存在していた。
彼等は一般には「グルカ」と呼ばれていた。
 イギリス軍は支配したインドの兵も加えて、
北方のネパール山岳地帯に侵攻した。
が、大軍にも関わらず初戦から敗退した。
火器を持たぬグルカ兵に敗れたのだ。
それでもイギリスには近代兵器を装備した大軍の裏付けによる政治力があった。
それでもって周辺の王朝や有力者を切り崩した。
対する少数民族の寄り集まったグルカは兵数が圧倒的に不足していた。
長い戦線を維持出来るわけがない。
ついには敗れ、講和が結ばれた。
 このグルカ戦争でイギリスが手に入れた最大の物は傭兵であろう。
グルカの人々を雇用し、近代戦の訓練を施したのだ。
かくして最強の傭兵、グルカ兵が誕生した。
 彼等は近代戦術は学んだが、得意とする武器は昔ながらのククリナイフ。
山岳では農耕、狩猟に常に帯同していた。
それに民族抗争でも。
人も、雑草や山羊のように平等に斬り払った。
傭兵となっても同じ。
潜入路の草を払い、獣を狩って食料とし、敵を仕留めた。
 ルドルフはクララに問う。
「グルカの血が混じっているのか」
「祖父がグルカよ。ヒトラーのグルカだったの」
 ナチス総統のアドルフ・ヒトラーの事だ。
彼は嫌ユダヤのドイツ至上主義なのに、
どういうわけか東洋の神秘が好きだった。
憧れていた。
ことにネパールからチベットにかけての山岳一帯に興味を抱いていた。
古代宗教文化を探究させるため、調査団を派遣する熱の入れよう。
おそらく調査団のレポートからグルカ兵を知り、雇い入れる事にしたのだろう。
「総統のグルカ兵がドイツ女と結婚したのか」
「公式な婚姻ではないわ。
ベルリン攻防で傷付き倒れていた祖父を助けたのが縁だそうよ」
 イギリスの目を欺いての雇用だから、万単位ではなかった。
おおよそ二千人。
傭兵にも関わらず手厚く優遇されていた。
異人種で有るため表舞台には出られないが、親衛隊の制服着用が許され、
ヒトラーの身辺警護を任されるほど。
その信頼振りに、
「ヒトラーがグルカ兵と血の誓約を結んだ」という噂もあった。




お盆に読んだ本は、被災地のこども80人の作文集「つなみ」。
・・・。
健気な子供達、・・・。
比べて東京の大人達は、・・・。言いますまい。
「東京の政治家、官僚は別の星の人達」とか。
「我等とは関わりなき人達」と。
だから民間の頑張りだけが救いです。
頑張れ民間活力。

非難だけしか出来ない私に、天罰か、夏バテが下されました。
疲れて、疲れて、・・・、まあ、それでも何とか生きています。

更新が遅いにも関わらず、
毎日ランキングをクリックして頂き、まことに有難うございます。
お陰様で狭いジャンルですが、ファンタジー部門では上位です。
本日までの集計ですが、トータルでの閲覧数が102351。
訪問者数が47274。
予想外に携帯からのアクセスが多いようです。
ただ、携帯からのアクセスを考慮する文章になっていません。
実に心苦しい限りです。御免なさい。

さて、「ランキング・クリック」の提案です。
遅い更新なのに毎日クリックして頂くと、罪悪感に苛まれてしまいます。
「これで良いのかな」と。
小心者なのです。
なので、日曜だけのクリックで結構です。
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白銀の翼(バンパイア)68

2011-08-14 09:12:13 | Weblog
 妹のエバは温和しい娘であった。
人と争うところを見た事がなかった。
比べて孫のアンネは遠慮というものを知らないらしい。
ずけずけと物を言うところは、まるでオールマン博士を思わせた。
それに、着ている赤シャツ。
博士も好んだ衣服は赤系統が多かった。
エバの血が流れていても、性格までは引き継いでいないようだ。
しかし、アンネを憎めない。
 それを見抜いたようにアンネが言う。
「私と一緒にアメリカへ戻らない」
 思いもかけぬ提案ではないか。
「何を、・・・」
「これから先、貴方はどうするつもりなの」
 聞かれても困る。
「どうすると言われても」
「ここはヨーロッパではないのよ。アジアの片隅よ。
言葉が通じない。肌の色も違う。生活習慣も違う。
時代遅れのバンパイアが、ここで暮らしていけると思うの。
その点、アメリカは良いわ。
他人種国家で、色んな肌色の人間がいる。
文化も様々。
変なので一杯、狂信者や犯罪者もね。
バンパイアが紛れても誰も不審に思わないわ」
 返す言葉のないルドルフにアンネが畳みかけた。
「貴方には追っ手がかかっているわ。
この小さな島国を逃げ回れると本気で思っているの」
「警官なら心配いらない。簡単にあしらえる」
「警官ではないわ。もっと手強い連中よ」
 何を言おうとしているのだろう。
気に掛かる口振り。
「・・・」
「吸血鬼のギルドよ。
彼等が刺客を送り出したわ。
今のところは私達が一歩先んじているけどね」
 意外な事を聞かされた。
吸血鬼のギルドとは。
中世のヨーロッパではあるまいし。
手前勝手な奴等に、よくもまあ組合が結成できたものだ。
「ギルドを結成するほどに吸血鬼が増えているのか」
 アンネが首を捻った。
「んー、増えたと言うよりは、選別していると言うことかな。
有能というか、悪賢い連中が寄り集まりギルドを結成したのよ。
無能な吸血鬼や、凶暴な吸血鬼を暗殺してね。
一般には知られていないけど、世界的に広がる組織よ。
まあ、私達に敵対していないから、目こぼししているけどね」
 吸血鬼のギルドに対して上から目線の言葉。
オールマン家がユダヤ財閥の一つという事は知っているが、
どうやら、その力の根源は金だけではなさそうだ。
「どうして刺客という話しになるんだ」
「彼等は人間に紛れて静かに暮らしているの。
血も新鮮なのが欲しい時、いつでも入手できる立場にいるわ。
噂では牛馬扱いの人間達がいて、それらを牧場で飼ってるそうよ。
絶海の孤島にね。
そこで血液を採取して都会に空輸する。
あるいは孤島にバカンスに行き、直に狩りをする。
だから、このところ一般には吸血鬼騒ぎを聞かないわ。
そんな立場の彼等にすれば、今回のバンパイア騒ぎは悪夢よね」
「ふん、吸血鬼の刺客を返り討ちにすれば良いんだろう」
「出来るの」
「昔は何度も戦ったが、負けは一度もない」
 クララが口を差し挟んだ。
「吸血鬼よりバンパイアの方が好戦的という事ね」
 アンネが付け足した。
「ただ、粗暴という事よ」
 ルドルフは両手を広げた。
「なんとでも。
・・・。
奴等は昔から俺達、バンパイアを目の仇にしていた。
手出ししてくるのは、いつも連中だった。
その癖、弱かった。本当に弱かった。
数で執拗に襲って来るんだが、とにかく弱かった」
「昔の事は知らないわ。
でも今の吸血鬼を侮らないようにね。
昔では考えられないような武器を装備している筈よ」
「んっ、・・・そうか武器か。連中だったら有るな」
「麻酔銃も考えないとね」とクララ。
「眠らせてコンクリート詰めにするかもね」とアンネが応じた。
「冷凍保存はどう」とクララが悪のり。
 好き勝手を言うが憎めない。
血の繋がりが成せる技なのだろうか。
だが、アメリカには同行しない。
ただの親切で渡米を誘っているとは思えない。
裏がありそうで、・・・。
ルドルフはエバの孫を殺す事態に発展する事を恐れた。
「好意は有り難いが、アメリカには渡らない。自分の力で乗り切ってみせる」
 アンネとクララが顔を見合わせた。
「やっぱりね」とアンネが笑えば、「思った通りね」とクララが肩を竦めた。
 これまで黙っていた男達の一人がアンネに声をかけた。
「そろそろでは」と。
 途端にアンネが表情を改めた。
「わかった」と答え、ルドルフを真正面から見据えた。
「東京で待ってるわ」
 身を翻し、男達を引き連れ川原を川下へ向かう。
残されたのはルドルフとクララの二人だけ。
「どうしたんだ」
「吸血鬼に遭遇する前に退散するのよ」
「近くにいるのか」
「まだ離れているけど、今日中にはこの辺りが連中の捜索範囲に入るわ」
 どうやら吸血鬼側の動きを完全に掴んでいるらしい。
内通者を飼っているのかもしれない。
 ルドルフは自分が斃した二人を指し示した。
「あれは」
「あのままでいいのよ」
「仲間なんだろう」
「オールマン家側の人間がバイパイアに殺された証拠になるわ。
だから置き去りにするの」
 吸血鬼側へのメッセージということか。
「我が方もバイパイアと戦っている」と。
 オールマン家は何をしようとしているのだろう。
金満だけでは不足なのか。
どうにも掴み所のない家系だ。
「ところで、お前は余裕があるみたいだが、早く行かないと仲間達を見失うぞ」
 クララが嬉しそうに笑う。
「心配してくれるの。バイパイアは優しいのね。
でも心配しないで、貴方の世話を頼まれているのよ。アンネ様にね。
バイパイアに連れ去られた、という形になるけど、宜しくね」
 年齢の割に喋り方が若々しい。
まるで少女。
それでも雨乞いが出来る呪術者なので油断は出来ない。




暑い、暑い。
思考回路が夏バテ中です。
仕事だけで精一杯。
帰宅するとバタンキュウ、・・・。
嗜好回路も夏バテ中なのか、
特売の天丼を買ったのだけど、なんか不味く感じる。
油が二級品なのかな。
でも、ついでに買ったプラム「貴陽」が美味い。
スーパーで買った物でこの美味さだから、完熟ものだと、・・・。

意外な話しを聞きました。
東電が東北電力に上限二百万キロワットまでを融通する準備を始めたそうです。
いい話しですね。
困っている東北地方を助ける。
素晴らしいの一言です。
東電所有の原発は十七基で、現在稼働しているのは三基のみ。
どうやら原発がなくても東電は大丈夫なようです。
余力たっぷり。
安心しました。
 さあ、エアコンを20度設定。
布団を被って朝寝しよう。




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白銀の翼(バンパイア)67

2011-08-07 09:38:34 | Weblog
 ルドルフが二の足を踏んでいると、川原の方から声をかけられた。
「何を遠慮しているの。こちらに来なさいよ」と。
 ドイツ語ではないか。懐かしい。
その声の主は赤シャツの小柄な女。
こちらを振り向き、帽色を脱いだ。
 輝くような金髪を短く揃えていた。
顔形は卵形。
目鼻立ちが整い美人には違いないが、鋭い眼差しが雰囲気を別物にしていた。
まるで女王様。
年頃なら三十歳前後か。
 誰かに似ていた。
そうだ。
妹のエバに。
 ルドルフの心中を察したかのように女の声が響いた。
「まるで亡霊でも見るかのような顔をしてるわね」
「お前は」
「アンネ・オールマン。
貴方の好きなオールマン博士の孫よ」
「孫、・・・。
いや、オールマンは好きではなかった。
あんな油断ならぬ奴。何を考えているのか分からなかった。
おまけに平気で人を裏切る」
 アンネが手の平を上げて、それ以上の言葉を遮った。
仕草が堂に入っている。
「孫の前で悪口は止めてよ」
「そうか、すまん」
「それに、貴方の妹のエバは私のお婆さん。
見れば一目瞭然でしょうけどね」と笑い、
「だから、お願い。博士の悪口は止めて。
祖母は博士を愛していたのよ。
だから博士を侮辱するのは、エバを侮辱する事と同じよ」と続けた。
 やはりエバの血が。
自然に足が前に出ていた。
他の四人の顔など目に入らない。
アンネの顔だけを見ていた。
「分かった。それで、エバはどうしてる」
「十年ほど前に亡くなったわ。
子供三人、孫八人に囲まれて、幸せだった。
だから貴方は妹を不憫に思う事はないのよ」
「そうか、・・・、それは何より」
「詳しい話しは後回しにしましょう。
待ちすぎて、肉の残りが少ないのよ。早く食べて」
 彼の為に肉を焼いて待っていたらしい。
 もう一人の女が前に出て来た。
アンネより長身で、目付きが妖艶な雰囲気を醸し出していた。
アンネもだが、この女も普通ではない気配。
油断すれば足下を掬われるだろう。
 彼女は、「クララ・エルガー」と名乗り、一枚のタオルを差し出した。
「食事の前に顔でも洗ったら」と。
 勧めに従い、せせらぎで顔を洗おうとした。
と、川面に自分の姿が映った。
昨日は土色に乾燥したままの顔であったのが、
今は生気に満ちた顔に戻っていた。
服装も同様。布地が身体から生気を分け与えられていた。
昔のままの、タキシード姿の金髪の少年。
驚いた事に歳を食ってはいなかった。
 顔を洗い、口を濯ぐ。
ついでに川の水を一口、二口と飲む。
なんと、瑞々しいことか。
喉を潤した水が胃へと落ちて行くのが分かる。
 背後からアンネの声がした。
「美味しいの」
 ルドルフは照れくさい顔で振り返った。
「久し振りだからな」
「血よりも」
「はっはっは、血は気付け薬のようなものだよ。
水がなくては死ぬ」
「そうなの。
・・・。
肉を焼けすぎないうちにどうぞ」
 肉の味付けは塩のみであったが、上質の牛であるせいか、美味い。
記憶にない美味さ。
口の中に入れると蕩けた。
「これは」
「この国の最高の肉よ。
何でも、ビールで飼育しているみたい。
おまけに牛舎で聞かせる音楽はモーツアルト」
 想像すら出来ぬ飼育法だ。
「ビールにモーツアルトか。
時代も変わったものだな」
 アンネに代わってクララが意地悪そうに問う。
「肉に毒が仕込まれているとは思わないの」
 ルドルフは手を止めて肉を見た。
そしてクララに視線を転じた。
「それは考えなかった。
久し振りに生き返ったから、そこまでは頭が回らなかったみたいだ。
・・・。
そうそう、さっきの二人は君達の仲間かい」
「そうよ」と平然と答えるクララ。
「どうしてかな」
「貴方の腕を試したの。いけなかった」
 不思議と怒りが沸かない。
エバの孫、アンネの存在がそうさせているのだろう。
「・・・、合格かな」
「刺されたのは失点ね」
「次は巧くやるさ。
しかし俺の居場所がよく分かったな」
「私達の仲間は色々な特技を持っているのよ。大抵のことには対応できるわ」
 彼女は詳しくは説明しない。
 ルドルフは、あのオールマン博士の特異な気配を思い出した。
けっして博士は持つ力を誇示しなかったが、
「エクソシストや呪術師ではないか」と疑っていた。
結局は分からなかったが、宗教色の濃いモノである事は確かだった。
それからすると、彼女等の特技の話しも納得出来た。
バンパイアもいれば吸血鬼もいる。
何があっても不思議ではない。
 ルドルフはアンネに問う。
「仲間を殺してよかったのか」
「貴方が気に病む必要はないのよ」と冷静なアンネ。
 彼女の性格は博士に似ているようだ。
常に自分本位。人すらも道具としてしか見ない。
 疑問が頭に浮かんだ。
昨日、都合よく降った雨。
「もしかすると、俺の為に雨を降らせてくれたのか」
「それはクララの仕事よ。彼女は良い仕事をするから感謝する事ね」
 思わずクララに目礼してしまう。
正体はバンパイアなのに、なんて人間臭い。
気を取り直してアンネを睨む。
「それで、俺に何の用なんだ」
 アンネは視線を逸らさない。
太々しく答えた。
「用があるからここに来たのよ」
「しかし、博士は俺を消滅させようと石棺に封じた。違うか」
「男のくせに昔の事をグダグダ言わないの。昔は昔、今は今」
 アンネを睨み殺そうと力を込めるが、上手く力を込められない。





甲子園に愛知代表として出場する至学館の校歌が話題になっています。
「夢追人」
作詞作曲は普通の新聞記者。
年代からして、フォークソング世代らしい味わいがあります。
当初は校歌として作ったものではありませんでした。
(エピソードは色々とありますが、長くなるので省略)

一番高い所に登って  ~♪
一番光る星を掴んだ
一番辛い道を選んで
一番強い心をまとった
海を渡る風が吹いた
カシオペアが近くに見えた
夢を追い続けた
そしてここまで来た
でもどうしてかな
熱い涙が止まらない
うつむきかけた時
君の顔が見えた
差し出された白い腕が
翼に見えた
・・・
(省略)
・・・
     ~♪

歌い易い。

動画を何度も見ました。
正規の校歌も聴きました。
でも、地方大会優勝で、野球部員達が整列して歌うのが一番ですね。
これを是非とも甲子園で歌って欲しいものです。




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白銀の翼(バンパイア)66

2011-08-03 22:46:57 | Weblog
 寝入っていたルドルフの顔を何かが撫でた。
雑草の長く伸びた葉っぱが風にそよぎ、頬に触れたのだ。
 その瞬間、彼は俊敏に動いた。
寝起きだというのに一目で地形を読み取り、跳躍して右後方の木陰に身を隠した。
 辺りをソッと窺う。
誰もいない。
隠れている気配もない。
勘違いに苦笑いした。
 木漏れ日が眩しい。
 昨日、逃げ込んだ山は麓を警官隊に封鎖されてしまった。
しかし彼等は一向に動こうとはしなかった。
未知の存在であるバンパイアを恐れたのだろう。
 煮え切らない警官隊の隙を突き、宵闇に紛れて山から抜け出した。
二つの農村を迂回し、ついに力尽きようとしたとき、この森を見つけた。
手入れがされておらず、荒れ放題の深い森だった。
丈の高い雑草をかき分けて、奥へ奥へと。
が、ついに力尽きた。
場所を選ぶ余裕もなく気を失ってしまった。
そこまでは覚えていた。
 木陰から出て周辺を歩いた。
幸い、ここにも獣道があった。
 その時だった。
何かを焼く匂いがした、
肉、・・・。
 そちらに足を向けた。
足音を消して風下から風上へと歩を進めた。
 せせらぎの近くに彼等がいた。
男三人に女二人。
狭い川原で石を組み上げ、肉を焼いていた。
 傍に人の通れる道など見当たらない。
獣道すらない。
どこから入ってきたのか。
もしかして、川沿いに来たのか。
だとしたら、何の為に。
 目を凝らして見たら、五人とも白人ではないか。
いずれも見慣れぬ洒落た物を着ていた。
色もとりどり。
ただし履き物は同じような地味なブーツ。
 笑い声一つ上がらない。
寡黙に肉を焼いていた。
彼等の様子から、帽子をかぶっているので年齢も美醜も分からぬが、
赤シャツの小柄な女がリーダーらしい。
 肉の焼ける香ばしい匂いに空腹を感じるが、動くに動けない。
目の前の状況が、あまりにも不自然なのだ。
自分を誘っているとしか思えない。
 と、行き成り黒い影が動いた。
其奴は右の木陰から飛び出て来た。
何時の間に忍び寄っていたのか、脇腹に体当たりされた。
激しい痛みを伴っていた。
刃物で刺されていた。
抉るつもりのようだ。
 油断するにも程がある。
空腹と疑問に、身辺の警戒を怠っていた。
 其奴一人だけではなかった。
左からも一人が駆け寄って来た。
此奴も刃物を持っていた。
どうやら二人でルドルフを切り刻むつもりらしい。
 考えるより先に身体が反応した。
右の男の刃物を持つ手を捻り、続けて腹部を蹴り飛ばし、
倒れたところを狙って喉元を踏み潰した。
そして左から刃物ごと突っ込んで来る男を、流すように躱しながら、
後ろから首を鷲掴み。
引き戻すようにして捕らえ、強引に両肩に担ぎ上げて、背骨をへし折った。
 その騒ぎにも関わらず、
川原の五人は一度として手を止める事も、騒ぎに目を向ける事もなく、
ただひたすら肉を焼き続けていた。
妙な事に、焼き上がった肉を食う者はいない。
焼き上がった肉は足下に捨てられるだけ。
 ルドルフは彼等への対応が分からない。
敵なのか、味方なのか。
どうすれば、・・・。
取り敢えず脇腹に刺さったままのナイフを抜いた。
傷口から暖かい血が迸った。
慌てる事なく掌で傷口を押さえた。
やがて、出血が止まり傷口が塞がる気配。治癒の兆し。




晴れていたのに突然の雨でした。
まるで集中豪雨。
おかげで靴がズブ濡れ。
 赤坂周辺は特に激しかったです。
走行する車がライトを点灯するほどでした。
でも、国会議事堂は流されませんでした。
残念な事に。




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