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金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

(注)文字サイズ変更が左下にあります。

白銀の翼(バンパイア)65

2011-07-31 09:21:20 | Weblog
 県警、市警は、当初は蘇ったバンパイアに面食らったものの、
流石は治安維持組織。
立ち直ると対応は迅速であった。
駆け足で追っている警官隊では無理と判断し、
現場にいた全てのパトカー、白バイを投入した。
それだけではない。
応援を呼ぶ事も忘れてはいない。
付近を巡回しているパトカーだけでなく、
近市のパトカー、それに県警ヘリもだ。
 相手が未知のバンパイアと言えど、
目の前で民間人を殺されては、警察のメンツ丸つぶれ。
是が非でも逮捕せねばならない。
最悪、射殺でも構わないだろう、という意気込みが伝わってきた。
 坂道の途中で加藤は、先行する池辺を、「待て」と呼び止めた。
「どうするんですか」と振り返る池辺。
 直ぐ背後に警官隊。
彼等の邪魔にならぬように加藤は道の脇に避けた。
不審顔で池辺もそれに倣う。
 長蛇の列になった警官隊が駆け抜けた。
けたたましいサイレンを鳴らしてパトカーと白バイが彼等を追い越した。
 加藤は池辺を見た。
「地理不案内の俺達は邪魔になるだけだ。
それにだ、足ではバイパイアに追いつけそうもない」
「確かに」と残念そうな池辺。
「俺達は別の捜査をしよう」
 池辺の目が細くなった。
興味をそそったらしい。
「別の捜査、・・、何を」
「田原が言っていたろう。雨を降らせる呪術師」
「信じるのですか」
「信じたくないが、目の前で実際にバンパイアを見た。
姿も動きも人間離れしている。
あれがバンパイアなのだろうな。
となれば呪術師が雨を降らせた、と信じても構わんだろう」と池辺の顔を覗く。
 池辺が片頬を緩めた。
「分かりました、先輩の勘に乗りましょう。
で、具体的にはどうやって探します」
「人に見られずに呪術の儀式が行える場所だ。
機材もあると思うから、搬入する車が隠せて、・・・。
ある程度の広さがあり、機密が保たれる場所」
「つまり、高い塀に囲まれた無人の場所という事ですね」
「そうなるな。
それに雨雲を呼び寄せるのだから、終点となる場所でもあるわけだ。
おそらくは、この近辺、・・・」
「まさかとは思うけど、一箇所、心当たりが」と池辺。
「どこだ」
「牟礼寺」
 意外な名を聞いた。
田原龍一が住職を務める寺ではないか。
盲点であった。
あそこは田原が単身赴任で管理しており、他には誰もいない。
その肝心の田原が跡地の発掘現場に出突っ張りなので、
昼日中は無人となっていた。
おそらく、「盗まれる物はない」と確信しているのだろう。
 この坂道を引き返し、途中で別の坂道を登れば牟礼寺の方へ続く筈だ。
「行くぞ」と駆けた。
 額から、脇下、背中から大量の汗が噴き出ていた。
息も乱れるが、気が急いて足を緩められない。
 暫く走ると前方に坊主頭の六人の背中。
田原達だ。
彼等もバンパイアに走力では負けると判断し、呪術師に切り替えたのだろう。
 牟礼寺が見えてきた。
その山門が、行き成り外側に押し広げられた。
観音開きにしたのは半袖ポロシャツに黒サングラスの二人の男。
続けて寺内より白いバンと黒い乗用車が飛び出して来た。
田原達とは反対方向に鼻先を向けていた。
白いバンが急アクセルで走り去った。
黒い乗用車も、二人の男を拾い上げると後を追う。
 気落ちしたのか、田原達の足取りが緩くなった。
ついには歩み始める。
 後方から追い上げる加藤と池辺に気付いた田原が足を止めた。
振り向いた表情は苦笑い。
「終わったよ」
「何が」
「何もかも。
警察ではない俺達の仕事はここまでだ」
「バンパイアは」
「それは警察の仕事。俺達は見物させてもらう」
「しかしバンパイアは」
「土地の管理が本来の仕事。これはサービス」と仕込み杖を掲げて見せた。
 寺に着くとタイヤ痕を遡った。
雨の後なのでクッキリ残っていた。
寺の本堂ではなく石碑の方へ。
途中の百日紅の枝に鶏が吊されていた。
それも五羽。首を斬り落とされていた。
「血を抜いたのだろう」と田原。
 石碑に程近い広い場所に地面を削って円陣が画かれていた。
三重の円陣で、外側の円は八つに区切られていた。
それぞれに何か書き込んであったのだろうが、雨で流され、読み取り難い。
おそらくは呪文の文字。
中心部の円が赤く染まっていた。
 田原が説明した。
「呪術師が血を浴びて、雨乞いをしたのだろう。
残った術式から相手が想像できる。黒魔術だ。
使い手がヨーロッパから来たとすれば厄介だな」
「どうしてヨーロッパから」
「そこまでは分からない」
 池辺が焦ったように問う。
「逃げた車のナンバーは」
「遠すぎて読めなかった」と田原。
 他の者達も同様であった。

 ルドルフの逃げ足は軽かった。
体力が完全に回復せずとも、
まるで地表を飛ぶかのように、大きな歩幅で駆けていた。
次第に追っ手と距離を広げて行く。
後方から警察車両のサイレンが耳に届くが焦らない。
そのまま正面の山中に駆け込む。
 前の戦いは妹が足枷になっていたので、
オールマン博士の手から逃げたものの、近くを離れられなかった。
しかし、今回は違う。
妹の存在がない。
悲しいが、自由になった。
どこにでも行ける。
 軽々と獣道を駆け、高所に登った。
麓に追っ手が続々と集まる声。騒がしい。
威嚇しているつもりなのだろうか。
熊ではあるまいし。




東北の放射能汚染牛に続いて、
今回の集中豪雨で新潟の米が・・・。
肝心の政府は増税論議最優先としか見えない。
景気の悪い時に増税すれば、全体の税収が縮まるだけなのに。
まったく税金で喰ってる奴の考える事は。
役立たずの上級職にある国家公務員と議員の半減が先だな。

ニュースで、
九電の「やらせメール」問題と、知事発言の関連性を扱っています。
しかし、・・・。
知事が九電寄りになるのは自然でしょう。
知事は親が九電職員だったので、九電宿舎で育っています。
そんな環境で育てば「九電っ子」になって当然。
九電印の知事、それが人間でしょう。
それに玄海町の町長も、実弟が原発の仕事を請け負う建設会社の社長。
本人達に問題があるわけじゃない。
それぞれに立場があります。
彼等は原発が立ち位置なだけ。
選んだのは県民、町民。
国政の体たらくもそう。
無能な政治家を選んだのも国民。
みんなで責任を分かつしかないか。
あぁぁぁぁ、増税だ。

ようやく蟬が鳴き始めました。
シクシク、シクシクと鳴いています。
私も一緒に泣いています。
毒を吐いて泣いています。
「どうしようもないな」と。




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白銀の翼(バンパイア)64

2011-07-27 21:59:01 | Weblog
 ルドルフは自分を包囲した者達を見回した。
前の時と同じような連中だ。
何れもが狂信者のような目付き。
坊主頭で白刃を構えていた。
幸い、今回は狙撃兵の気配がない。
それに、あの女剣士もいない。
奸計は張り巡らされていないようだ。
 それでも目覚めたばかりの彼には荷が重い。
刀を持つ相手でも二、三人なら斃せるが、六人ではキツイ。
そこまで体力は回復していない。
 新たな敵。
あちこちから制服警官が湧いてきた。
手に手に拳銃。
同士討ちの恐れがあるので、簡単に引き金を引かないだろうが、
それでも大勢いると一人、二人は例外な奴もいる。
安心はできない。
 坊主頭の六人が一斉に包囲網を縮めて来た。
ととととっと小走りで迫り、左の坊主頭が牽制の動き。
飛び込んで来たのは右の坊主頭。
人間離れした跳躍力で彼に襲い掛かった。
鋭い太刀捌き。
 この極東の国の人間は身体こそ小柄だが、性格は獰猛である。
防具を身に纏わず、刀のみで、軽装で戦う。
死を厭わない。
命を粗末にする民族性なのだろう。
 ルドルフは相手の太刀筋を読み、紙一重で、擦れ違うようにして躱した。
その際、反撃するという選択肢もあったが、無理はしない。
今は一分一秒が惜しい。
となれば逃げの一手しかない。
逃げるのなら人が大勢居る場所。
第三者を太刀の、拳銃の盾に出来る場所。
 ルドルフは跡地に設営されたテントを目指した。
蘇ったバンパイアを見て右往左往する見物人達を尻目に、
テントの中の連中は比較的、落ち着いていた。
あるいは、・・・、為す術が分からないのかも。
 テントに飛び込んだルドルフに、居合わせた者達は驚愕。
声にならぬ声を上げて後退り。
混乱に乗じてルドルフはテント内を駆け抜けた。
足の速度は申し分無い。
誰も追いつける者がいないのだ。
追っ手を振り切るようにして、跡地から抜けた。
 高台への坂道を駆ける段になって気付いた。
さっきのテントは現場指揮所のようであった。
徳はなさそうだが、偉そうな顔をした者達なら何人かいた。
それに付き従う者達も。
生憎、そこに白人の姿がなかった。
星条旗すらなかった。
米兵の姿も、・・・。
 逃げ惑う人々の服装にも見覚えがなかった。
洋風とも言えるが、違うとも言える。
無国籍な、・・・。
 あの日から何年、いや何十年、経過したのかは分からないが、
この国は米国から独立したに違いない。
 彼に執着していたオールマン博士の姿もなかった。
博士に籠絡されてルドルフの足枷となっていた最愛の妹、エバの姿もなかった。
既に二人は他界した、と考えていいのだろう。
独りぼっちになってしまった。
 坂道を駆けながら、表通りの家の窓ガラスに映る自分の姿を見た。
おぞましい姿ではないか。
生気が戻るのが遅く、乾燥したままの顔。
着ているタキシードもボロボロ。
まるで敗戦後のベルリンに大勢いた浮浪者そのもの。




まだ、お題の『白銀の翼』さえ出てきていません。
もしかすると、まだ序章なのかな。
たぶん、・・・。。
長くなる予感。

最近、一つのフレーズが頭の中を駆け巡ります。

 命短し恋せよ乙女 ~♪

乙女ではないけど、早く書き上げたいですね。
寿命が尽きる前に。




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白銀の翼(バンパイア)63

2011-07-24 09:43:39 | Weblog
 バケツの水をぶちまけたかのような降り方だった。
勢いよくドバッと降った。
排水能力を越えていた。
側溝から水が溢れ、辺りに水が溜まった。
 その雨が唐突に止んだ。
バケツが空っぽになったらしい。
そうなると頭上の雨雲が消えるのも早い。
不自然に跡形もなく消え失せてしまった。
 足下の水溜まりと頭上の青空を交互に見比べながら、
不思議そうな顔の見物人達が軒先から出て来た。
みんながみんな、この雨に納得していない様子。
「変な降り方ね」
「ああ、いつもの通り雨とは様子が違った」
「何か嫌よね」
 加藤達も車から出た。
「南国特有のスコールかな」と池辺が言えば、
「俺が言った雨乞いを信じてないだろう」と田原。
 池辺は首を竦めただけ。
 加藤も同じ気持だ。
不自然な雨だが、雨乞いと言われても困ってしまう。
それに呪術者。
理解の範囲を超えていた。
 もっとも、目の前の石棺にバンパイアだという遺骸が収められているのだが。
・・・。
これまた理解の範囲を超えていた。
鑑識が遺骸を調べて、「ただの人間です」と発表してくれれば、
安心して通常業務に戻れる。
こうなると粗暴犯や殺人犯の居る毎日が懐かしい。

 石棺の底には雨水が溜まり、背中一面を濡らしていた。
なんて心地好い。
こんな感触、生まれて初めて。
 視力が回復した。
濡れた目に行き成りの青空。眩しい。
思わずクラクラしてしまう。
これは生きている証。
贅沢を言えば、「目覚めが深夜であれば」と。
 複数の足音を聞いた。
こちらに駆けて来る。
殺気は感じ取れない。
おそらく、雨に降られた遺骸を心配しているのだろう。
激しい雨足に、「損傷したのではないか」と。
 しかし、よくぞ結界を解いてくれたもの。
外側の円陣で、他者の侵入を弾き飛ばし、
内側の六芒星が、彼の蘇りを阻止する。
練り上げられたマモンの封陣。
何があったのかは知らないが、運が彼に微笑んでいた。
 影。
激しい息遣い。
その者が石棺に覆い被さるようにして、中を覗いた。
 逆光だが、夜目の利くルドルフ。
相手と目が合わさった。
処女でないのは残念だが、血色の良い青年。
精力豊かな血液の持ち主と判断した。
願ってもない相手。
僥倖。
 相手は、事を理解するのに時間がかかった。
信じられなくて当然だろう。
遺骸の筈が、生気があり、目玉が動いたのだから。
身体を硬直させ、声にならぬ声を上げ、顔を歪ませた。
 ルドルフは容赦しない。
体力は充分に回復していないが、片手くらいなら動かせた。
スッと手を伸ばして、相手の髪を掴む。
そして、石棺内に引き寄せた。
 相手は突然の事に、どうすればよいのか分からないらしい。
声をくぐもらせるので精一杯。
 自然、ルドルフの口から牙が露出した。
その牙でもって、引き寄せた相手の首筋に噛み付いた。
牙の裏側には二つの細い穴が開いていた。
一つは、相手の抵抗を無にする為、麻酔の役目を果たす液を送り出す。
そして残った一つで血を吸う。
 生血で腹を満たすわけではない。
精神を満たすのだ。
病んだとき、気落ちしたとき。
どうしようも無い時は人間の生肉を囓り、肉混じりの血を啜る。
 最初の血の一滴が全身の神経を呼び覚ました。
視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚の五感のみならず、
第六感までもが急激に回転を始めた。
 目に見えぬ石棺の外の、あらゆる気配を読み解く。
なんと大勢居るではないか。
理解できぬ言語が飛び交っていた。
自分を見にきたのか。
たぶん、そうなんだろう。
 直ぐ傍の者達は、何が起きたか分からないので混乱していた。
その様子が手に取るように分かる。
 それとは別に膨れ上がる殺気。
四方より、こちらに押し寄せて来るではないか。
どこにでも敵は居るものだ。
 体力は回復していないが、敵の存在は自分を奮い立たせる。
気力でもって石棺より起き上がった。
噛み付いた相手を持ち上げ、グルリと周りを見回した。
 石棺周りに居た者達が悲鳴を上げた。
ヘナヘナと腰を抜かす者。
後退りして倒れる者。
その場で卒倒する者。
 吸血鬼であれば無闇に人の命は絶たない。
なにしろ人間は大事な血の供給源。
乳牛のような存在なのだ。
 生憎とルドルフは似て非なるバンパイア。
血も啜るが、必要とあれば捻り殺しもする。
時には悪戯に殺しを楽しむ事もある。
 持ち上げた相手の首筋を噛み切った。
飛び散る血飛沫。
当の相手はそれでも麻酔の効き目か、微動だにしない。
 ルドルフは全身に血を浴びながら、相手の首をへし折り、投げ捨てた。
 信じられぬものを見て、立ち竦んでいるだけだった見物人達が、
ようやくの事で事態を理解した。
悲鳴を上げて逃げ惑う。

 訳も話さず駆けだした田原を、加藤と池辺が追う。
ハッキリした理由は分からないが、刑事の勘、危険の差し迫り来る気配がした。
 駆け出したのは田原だけではなかった。
四方より六人が、石棺目指して駆け出していた。
何れもが坊主頭で、仕込み杖を手にしている。
 その時だった。
石棺から奇妙な人物が、作業員を持ち上げながら、姿を現わした。
表情が読み取り難い乾いた顔。
辺りを睥睨し、無造作に作業員を殺して投げ捨てた。
 田原達が石棺を遠巻きに包囲して足を止めた。
次々と仕込み杖を抜く、
燦めく白刃。
「拳銃は」と田原が後ろの加藤に問う。
「持って来てない」
「だったら離れろ。素手では無理だ」
「しかし」と加藤。
 田原が冷たく言い放つ。
「足手纏いになるだけだ」




昨夜、エアコンの発する異音で目が覚めました。
水がボタボタと零れているのです。
お蔭で布団がビショビショ。
久し振りにオネショ気分です。

それにしても蟬が鳴きません。
 
 鳴かないな
 セミプロなのに
 鳴かないな

「アマチュアなら、百点も零点も許されるが、
プロなら、常時、最低五十点は取れ」と。




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白銀の翼(バンパイア)62

2011-07-21 22:30:40 | Weblog
 生暖かい風が冷気を帯びるのに時間はかからなかった。
そして、雲一つない青空に黒い雲が出現した。
西からの風に乗って現れたのだ。
雨を伴っていた。
 川向こうが激しい雨で霞む。
風に押し遣られるようにして、こちらに接近して来る気配。
現場に居た人々が顔色を変えた。
誰一人として雨を予想していなかったのだ。
蜘蛛の子を散らすようにして逃げ惑う
関係者は設営してあるテントに。
見物人達は近隣の住居の軒下へ。
 大変なのはテレビ局のカメラクルー達。
カメラを初めとした機材を濡らさぬように、
非常時に備えて用意してあるブルーシートを広げ始めた。
「車に戻るぞ」と加藤。
池辺だけでなく、田原をも誘う。
最初は怪訝な顔をした田原だったが、雨が近付くのを見て、加藤に従う。
 加藤は関係者車両置き場にレンタカーを駐めていた。
どこに置いても、走っても注意を惹かぬ白いバンタイプ。
幸い雨よりも早く、その車に戻れた。
 車に乗り込むや、「すまない、助かった」と田原。
 池辺が苦笑しながら応じた。
「気にするなよ。
それより、バンパイアに血を与えようとする奴なんているのか」
「バンパイアの生存自体が信じられない事なんだ。
そのバンパイアが、乾燥しているが、今、石棺の中にいる。
となれば、世に巣くう狂信者達が騒がぬわけがない。
我等の救世主が現れた、と。
何とかして生き返らそうとする筈。
それを危ぶんでいるんだ」
 田原の事を、「血も涙もない辻斬り」と思っていたが、そうでもないらしい。
加藤は、それても田原の行動力に危惧を抱いた。
「万が一、狂信者が現れたら」
「その手の連中なら警備の警官で充分だろう。
俺達が居るのはバンパイアの目覚めに備えたものだ。
ただ、それとは別に気懸かりがある」
「それは」
「この雨、都合が良すぎる」
「と言うと」
「呪術に雨雲を呼ぶ、『雨乞い』というのがある。
これは、それじゃないかと思っているんだ」
 池辺が素っ頓狂な声。
「雨乞いで雨を降らせる事ができるのか」
「そうらしい」
「見た事は」
「ないが、信じてる」
「しかし、何の為に雨を降らせるんだ」
「たぶん、乾燥した身体を潤す為。
水が血の代用品になるのかどうかまでは知らないが、そういう事なんだろう」
 加藤が口を開いた。
「今時、呪術者が存在するのか」
「そう。
昔の職業のように思われがちだが、今も存在する」

 ルドルフは乾燥した身体に雨が降り注ぐのを感じた。
雨足は顔に穴でも開けんばかりの勢い。
実際、乾燥した肉片が何個か弾き飛ばされた。
 雨が身体に染み入る。
血液でないのは残念だが、贅沢は言っていられない。
乾燥した身体に雨が染み入る。
砂漠が水を飲み込むように、水分を体内奥深くへ誘う。
細胞の一つ一つが再活性化を開始した。
仮死状態であった心臓が、ゆっくりとだが命を刻み始め、
必要最低限の血液も生み出す。
長いこと傷付いたままだった部位に、治癒の力が及ぶ。




台風の被害は甚大でしたが、私的には助かりました。
涼しくなったお蔭で、暑さ疲れから解放されました。
あぁぁぁ、楽になった。




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白銀の翼(バンパイア)61

2011-07-17 09:30:15 | Weblog
 おそらく女剣士は何かに憑依されていたのだろう。
考えられる物は手にしていた刀以外には考えられない。
物に取り憑いている霊魂は、大半が恨み辛みを抱き、現世に留まっている。
そして機会を見て、別の誰かに憑依して操ろうとする。
最初は優しく取り憑き、慣れさせ、次第に我がモノとする。
となれば、生身の人間が無事でいられる分けがない。
あの獣の如き体捌きだけで、人の身体の限界を充分に超えていた。
当然ながら、いずれ反動が来るのは分かりきったこと。
だからあの場面で両膝をついて、身動きしなくなったのだ。
たぶんだが、人としての精神も蝕まれていたのではなかろうか。
 彼の名前はルドルフ・フォン・ゲルツ。
この身体の持ち主の名前だ。
本来の彼に名前などない。
人ではないので、名乗るという習慣がない。
なので常に乗っ取った身体の記憶を喰らい、その名前を使用する。
 米軍のベルリン大空襲の夜。
それまで乗っ取っていた身体を、爆撃の側杖で失ってしまった。
負傷し、逃げ遅れて焼け死んだのだ。
そこで新たな身体に引っ越す事になった。
幸い、近くに年若いルドルフがいた。
選ぶ、選ばぬではなく、自然に乗り移った。
頑強な抵抗はあったが、戸惑いと驚きもあり、付け入るに充分な隙があった。
一昼夜で不完全ながらも自分のモノとした。
 不完全が丁度良い。
人としての個性が多少ではあるが残っていて面白い。
このルドルフという少年、貴族の子孫であったが故、非常に個性的であった。
凡庸で、お坊ちゃま育ち。
人を裏切るという事を知らなかった。
良く言えば、「天使のような人柄」。
普通に言えば、「ただの馬鹿」。
そういう彼に少しずつだが、
悪徳と言うものを染み込ませて、慣れさせていった。
 ドイツ敗北後、少年はあらゆるものを失った。
父親はポーランド戦線で戦死。
母親は病死。
しかも家屋敷が空襲で焼失し、住むところさえも失った。
そんな彼に残されたのはただ一人、妹のエバ。
 二人は戦災孤児となった。
少年の記憶を引き継いだ彼は、エバの為に敗戦後のベルリンを駆け回った。
盗み、騙し、時には暴力。
食料を手に入れようと必死になった。
エバが満腹したままの寝顔は、何よりの歓び。
 そして、自分の為には吸血。
普段は人と同じ食事で済むのだが、時折、精神が荒ぶると、
人の生血を渇望する要求に駆られ、居ても立ってもいられなくなってしまう。
だから深夜、街を徘徊して獲物を探して襲った。
好んだのは処女の血。
 ベルリンの街に吸血鬼出現の噂が流れるのに時間はかからなかった。
少女達や、その親達が警戒を始めた。
自警団も組まれた。
 ルドルフは無理はしない。
処女の代わりに選んだのが血肉の豊かな売春婦達。
大人の女に体力では負けるが、背後から忍び寄って一噛すれば、
牙の穴から出る麻酔に似たモノで相手を自由に出来た。
その辺りは蚊の吸血活動に似ていた。
 噂を聞きつけて現れたのが米軍の軍属であったオールマン博士。
深夜の廃墟跡で遭遇した。
どうやら吸血鬼を探し回っていたらしい。
博士に、「お前は普通の吸血鬼ではないな」と声かけられた。
そういう博士も奇妙な人間だった。
灯りのない廃墟跡を、夜目が利くのか自在に動いていた。
それに、妙な気配があった。
エクソシストや呪術師と呼ばれる宗教色濃い臭いがしたのだ。
 と、人の話し声が聞えてきた。
何を話しているのかまでは聞き取れない。
耳を澄ますと聞き慣れぬ言語。
 ここが世界の果て、極東だと思い出した。
遠い国に来たものだ。
今さらながらに呆れてしまう。
 さっきまで心地好い空気と感じていたが、慣れるにしたがい、
周囲の状況が読み取れるようになって行く。
日差しが暑い。
この身体には最悪の環境だ。
だからといって逃げ出せない。
毛筋一本も動かせない。
細胞の一つも蘇っていない。
身体の奥底で、命の灯火を細々と保つので精一杯なのだ。
 血が欲しい。
渇望してやまない。
コップ一杯あれば、動けないまでも一息つける。
バケツ一杯あれば尚良い。
体細胞が活発化する。
血の浴槽に沈めてもらえれば、バンパイアの完全体として蘇るだろう。

 加藤が田原に問う。
「このまま乾燥が進むとバンパイアはどうなる」
「身体が朽ち果てるのに歩調を合わせ、体内に棲むバンパイアも朽ち果てる」
「蘇るという事は」
「朽ち果てる前に殺せば、余命があればだが、他者に乗り移るそうだ」
 田原は当然のように答えるが、加藤は半信半疑。
それでも田原の機嫌を損なわぬように問う。
「ほう、だから封じ込めたのか。
もしもだ、ここで生き返らせるにはどうすればいい」
 田原は簡単に答えた。
「血を与える。バケツの二、三杯で身動きできるようになるだろう。
それを阻止する為に俺達がいる。
このまま、何も起きなければいいのだが」
 どうやら田原の仲間が、石棺を包囲するように散開しているらしい。
加藤は周りを見回した。
大勢の見物人がいて、警官達も整理の為に要所に配備されている。
その中から見分けるのは難しい。
 池辺が加藤に囁いた。
「それらしいアメリカからのお客さんが見えませんね」
 それもあった。
日延べさせる力のある人間は、・・・。
 田原にも聞えたらしい。
「オールマンの人間だろう」
「知ってるのか」
「因縁の家系だよ。代替わりしているがね」
 視界の隅で稲光。
そして雷鳴が西の空で鳴り響いた。
突然の稲光に促されたかのように、強い風も吹き始めた。




暑さで脳味噌が溶けそうです。
もしかすると、立派な味噌汁が出来上がるかも知れません。
なのでブログにアップするのにアップアップです。
遅れたが続いたらゴメンなさい。


菅サンは相変わらずです。
「脱原発」発言したものの、
閣内、党内から、「聞いてないよ」と批判されるや、
猫の目のように、「私的見解」と二歩も三歩も後退。
消費税の時もそうでした。
TPPの時もそうでした。
菅サンは正しい事を言うのです。
でも批判に晒されると、
政治家としての信念がないのか、平気で後退発言をします。
この人に大切なのは、「新聞の一面を飾る」だけとしか思えません。
・・・。
たぶん、そうなんでしょう。
・・・。
震災から4ヶ月。
効率的な復興の姿が見えません。
・・・。
菅サンでは駄目だということが証明されました。
与野党揃って同罪です。
こうなると総選挙しかないのでしょうか。

牛の放射能汚染が大問題です。
農家からスーパー、小売店までが、テンヤワンヤです。
こうなれば着地点は一つ。
福島の農業、漁業の全収穫物を東電が買い上げるしか方法がありません。
「東電様、お買い上げ」って。




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白銀の翼(バンパイア)60

2011-07-12 22:51:19 | Weblog
 知事の合図で石棺の蓋の隙間に差し込まれた二本のバールを、
二人の作業員が同時に動かした。
蓋が少し持ち上がった。
手が入るスペースだと見極めると、周りにいた作業員達の出番。
「かかれ」の声で何本もの手が蓋に取り付いた。
「せーの」で一斉に力を込め、蓋を一気に持ち上げた。
 石棺から強烈な臭いが解き放たれた。
ゴミの悪臭か、腐敗臭。
蓋を持ち上げた者達が、思わぬ臭いに手許を狂わせて蓋を取り落とした。
コンクリートの角に当り、「バキン」と派手な音を立てて割れ、下に落ちる。
 バールを持った者達も同じ。
「ガシャン」とコンクリートの上に落とした。
 みんなが鼻を掌やタオルで覆い、石棺の中を見た。
 骨に成っていると思っていたが、違った。
干涸らびた人体があった。
生気のない目を大きく見開いていた。
髪は鮮度も皆無な金髪。
よく見ると、身体の正面を黒い筋が何本も何本も、縦横斜め、
無計画に走っていた。
黒い筋は固まったままの血。
どうやら刀傷らしい。
 知事が真っ先に吐いた。
それが合図だったかのように、他の者達も人目を憚らずに嘔吐した。
 加藤や池辺、それに田原の三人は、近くに居た者のスマートフォンの画面を、
当然のように覗いた。
上手い具合にテレビカメラが石棺の中を映していた。
「これがバンパイアか」と感心する池辺。
加藤は、「まるでミイラだな」と田原の顔色を窺う。
 田原は冷静であった。
「寒くなると冬眠する動物がいる。
蛇や熊だ。
同じように、体内の水分が失われると、
命を保つために乾燥したまま眠る生物がいる。
それを乾眠という。
バンパイアは乾眠する、知ってたかい」
 加藤は池辺と顔を見合わせた。
乾眠なぞとは聞いた事がない。
学校でも教えてはくれなかった。
 田原の言葉を信じるとすれば、
つまり、あのバンパイアは今もって生きている、という事なのか。
 黙っていたスマートフォンの持ち主が呟いた。
「乾眠、暁を覚えず」

 頬に、首筋に、風のそよぎを感じた。
鼻から新鮮な空気が体内に侵入してくる。
実に清々しい。
 どのくらい眠ったのだろう。
何年、いや何十年。
 少しずつ思い出す。
最後に目にしたのは女剣士。
奇妙な女であった。
細身の身体にしては獣の如き体捌き。
剣捌きも人間離れしていた。
バンパイアたる彼と同等か、それ以上の動き。
寸部の隙もなかった。
とても修行の賜物とは思えず、正体に疑問が湧いた。
「人間業ではない」と。
そう、何かに取り憑かれているかのように見えた。
 無表情で彼を切刻む。
彼の治癒力を上回る刀傷を加え、平然としていた。
血飛沫を浴びても顔色一つも変えなかった。
 大量出血で彼が倒れる寸前だった。
彼女の顔色が変わった。
夢から覚めたような顔付き。
剣を取り落とし、その場に両膝をついた。
力が尽きたらしい。
呆然とする彼女を見たのが最後だった。




春日部市郊外の抜け道を走っていたら、緑輝く田圃を見ました。
良いですね、日本の夏。

頬撫でる
稲穂の海を
駈ける風




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白銀の翼(バンパイア)59

2011-07-10 10:13:59 | Weblog
 六芒星の中心にあるコンクリートの塊が持ち上げられ、脇に移動させられた。
同時に、待ち構えていた作業員達が穴堀に取りかかった。
見物人の多さと、テレビカメラの砲列に、みんな意気込んでいた。
持つスコップをフル回転。
 ところが、なかなか石棺に行き当たらない。
他の穴と同じ深さまで掘るのだが、石棺の破片さえ見当たらない。
 「バンパイアの石棺なので、他に比べて深く埋めてある」と現場判断。
更に深く掘り進む。
人手に余裕があるので、範囲を広げてもみた。
ところが、直径五メートル、最深部ニメートルまで掘ってはみたものの、
石棺が姿を現わさない。
スコップの手を止め、みんな首を捻って思案顔。
 指揮所のテントより数人が飛び出して来た。
先頭の小柄な中年男が大分県の知事である。
世間の注目度が異常を通り越しているので、全ての予定をキャンセル。
急遽、現場に足を運んで来たのだそうだ。
 知事は現場の作業員達を集めて鳩首協議。
テレビカメラを意識してか、身振り手振りが著しい。
 加藤は池辺を振り返る。
「前に出るぞ」
「田原がいますよ」と慌てる池辺。
「とっくに気付かれているよ」
 加藤は渋る池辺を連れ、「御免なさいよ」と強引に人波をかきわけて、
田原の隣に並んだ。
 田原は加藤と池辺の顔を覚えていた。
苦そうに睨む。
「尾行してたのは、あんた達だったのか」と言わんばかり。
 加藤は素知らぬ顔。小声で問う。
「あそこに埋められていたのじゃないか」
「その筈なんだが」
「詳しくは知らないのか」
「俺は、この土地を維持管理するのが役目だ。
昔の古い事までは知らされていない」
「ところで、その杖は」
 田原に動揺は見られない。
「用心の為だ」 
 初めて会った時に感じていたが、やはり法律の外で生きているらしい。
傍に刑事二人がいるというのに、「歯牙にもかけない」といった態度が見え見え。
どういう育ち方をしたのか。
「何に対する用心かな」
「それは、・・・」
 周りの耳を憚っている気配。
「バンパイアを恐れている」とでも言いたいのかも知れない。
 目の前の現場が慌ただしくなった。
作業人の一人が何を思ったか、どかした筈のコンクリートの塊に駆け寄った。
そしてスコップで殴るように叩いた。
場所を変えながら数カ所を激しく叩いて、「音が違う。空洞がある」と怒鳴った。
 その意味するところは他の作業員達にも理解出来た。
みんなが駆け寄り確認の為に、同じようにスコップで叩いた。
コンクリートの下部分と上部分では音が違った。
中味が詰まった音と、空洞のある音。
 一人がマジックを持っていた。
そのマジックで境目に目印をつけた。
高さ二メートル余のうちの上部分、
一メートル余は外装だけがコンクリートらしい。
 知事が指揮所のテントに大声で命じた。
「コンクリートを壊す物がないか」
 直ぐに近くで待機していた別のトラックが動かされた。
みんなの熱気に押されたかのように現場に向けて急発進、急ハンドル。
知事の傍で急ブレーキ。
 作業員より先に知事自らが荷台に乗り込む。
荷台に、コンクリートをはつる電動ハンマーを見つけた。
「これなら」と満足そう。
 電源と脚立も用意された。
 経験豊かな作業員一人がコンクリートの塊の上に、
電動ハンマーを持って登った。
みんなの期待を背負ってスイッチ・オン。
けたたましい起動音。
ハンマーの先端がコンクリートに向けられた。
削る音と、削られて出る白い砂煙。
そして音が変わった。
「内側に板があります」と。
 一箇所に穴を開けると後は早い。ひび割れが走ったのだ。
鶴嘴やスコップで強引に擬装のコンクリートを全て剥がしてゆく。
全容が顕わになった。
コンクリートの上に細長い木箱が残った。
 木箱の上部分が蓋になっていた。
釘で閉じられてはいない。
 買って出たのは知事。
持ち上げるようにして蓋を開けた。
「中は石棺だ。周りの板を壊せ」
 作業員達が力業で木箱を壊した。
真新しい石棺が姿を現わした。
大理石の石棺だ。
 気の利く作業員が巻尺を取りだし、計測を始めた。
「高さ八十センチ、長さ二メートル、幅一メートル」
 全ての目が石棺に注がれた。
隙をみてカメラとマイクが前進した。
脚立を持ったスタッフも後に続いた。
 知事の指示でバールが二本、石棺の蓋の隙間に差し込まれた。
「待って、待って」とカメラクルー達より声が上がった。
次々と周囲に脚立が立てられ、
カメラを構えたカメラマンが忙しなげに駆け上ってゆく。
みんな汗だく。
真夏日だというのに我を忘れていた。
 見物人達も一斉に動いた。
ポケットやバックより携帯を取りだした。
大方はスマートフォン。
取り急ぎ、生中継しているキー局を探し出す。
 知事はサービス満点の笑顔で全体を見回した。
そしてカメラを意識して、厳かに宣言した。
「よし、開けろ」と。




サッカー。
少年の部は負けてしまったが、
ブラジル相手に、「よくやった」よね。
女子は、・・・。
なんと、ドイツに勝ってしまった。
驚き。
ドイツの水族館のタコも予言していたとか、いないとか。

ストレステストに晒されてる日本には唯一の嬉しいニュース、なんだな。

あっ、揺れてる。ちょっと長い。でも、緩い揺れ。
どこなんだ。
震源地は。
津波は。




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白銀の翼(バンパイア)58

2011-07-08 22:35:49 | Weblog
 初日は人骨一体の収用で終わってしまった。
見物人等が殺到し収拾がつかなくなったからだ。
 「バンパイアだ」「六芒星だ」という事のみが話題になって注目を浴びたが、
実際、誰もが半信半疑であった。
行政に圧力をかけた近隣の住民達も、
死体が埋められている事を確かめたかったのではなく、
埋められていない事を確かめたかったのだと思う。
そこに人骨発見の報。
信憑性が俄然増してしまった。
ネットだけでなく、テレビのニュースも取り上げる騒ぎ。
 翌日は早朝より全てのキー局が取材陣を送り込み、場所取りに奔走していた。
ホットな話題なので逃したくないのだろう。
 野次馬も倍増で、周辺道路は大渋滞する始末。
市警の警官達が暑い最中、交通整理に悪戦苦闘していた。
 昨日に比べ、外国人がやたらと目につく。
ことに欧米人が多い。
大戦後に欧州から来たバンパイアという事が興味を惹いたのだろう。
 二日目の作業は予定より遅れて再開された。
ミーティングが長引いたのだ。
 ユニック車がコンクリートの塊を次々と脇に移動すると、
作業員達が穴堀にかかった。
そして棺桶に行き当たると、県警の鑑識チームに交代。
 浅いところに埋めてあったので、仕事は早い。
用意した十五個の木箱に人骨が次々と収容されてゆく。
昨日のと併せて十六体。
 十七個目のバンパイアを残すだけとなった。
中心にある長方形のコンクリートの塊がそれだ。
おおよそ縦ニメートル、横三メートル、幅二メートルといったところか。
持ち上げ易いようにワイヤーがかけてあった。
 真夏日二日目の作業なので、みんなに疲れが出ていた。
休憩時間になると大半が腰を落とし、大汗をかいて水をガブ飲み。
だからかどうかは知らないが、その日の作業はそこで終了した。
 加藤は首を捻った。
「やけに中途半端だな」
 後で、知り合いの県警の刑事が事情を教えてくれた。
「東京からの指示だ。
なんでもアメリカ大使館から、バンパイアの所の穴堀は明日に延期してくれと、
強い依頼があったらしい」
「アメリカの偉い人が見物に来るのか」
「だそうだが、人目を忍ぶそうなんで、警護は不要。
明日は構わずに勝手に穴を掘っても良いそうだ」
「野次馬に紛れるということか」
 三日目ともなると混雑慣れした市警は、付近の道路に検問所を設け、
地元車両以外の通行を禁止した。
にも関わらず見物人は早朝より続々と詰め掛けた。
平日だというのに小中学生や高校生の姿も。
制服で堂々と連れ立って来る。
 外国人の姿も昨日よりも増えていた。
みんなデジカメを手に、
より現場に近付こうとして整理の警官と各所で揉めていた。
聞き慣れぬ言語が飛び交う。
相手する警官達は頭を抱え、そこここでお手上げ状態。
 『メイド・イン・ウサ』跡地では、
バンパイアの埋めてあるという場所を中心に、
二十台を超えるテレビカメラが円陣を敷いていた。
日本だけでなく、内外の主要メデアが顔を揃えているのだ。
 今日も真夏日だというのに、テレビクルーは額に汗しながら張り切っていた。
バンパイアという話題が彼等をヒートアップさせるのだろう。
 加藤と池辺は田原を尾行していた。
その田原だが、見慣れぬ杖をついているではないか。
どう見ても仕込み杖。
「取り押さえますか」と池辺。
「尾行に気付いている筈なのに、どういうつもりなんだろう」
「俺達を始末する」
「まさか、こんな人出があるのに。・・・、しばらく静観しようか」
 加藤は一帯を見回した。
いずこを見ても黒山の人だかり。
こう人出が多くては、「アメリカの偉い人」が見つけにくい。
それでも諦めるという選択肢はない。
妙に気に掛かるのだ。
 と、作業開始の声。
ユニック車のエンジンがかかった。
六芒星の中心にあるコンクリートの塊にワイヤーが巻き付けられ、
ユニック車のアームが伸びてフック付きのワイヤーが降ろされる。
そして塊のワイヤーにフックがかけられる。




唐突に出てきた「ストレステスト」。
原発のテストより・・・。

政治家に
ストレステスト
してみれば

テレビで「魔女の宅急便」。
初めて最初から見ます。
ストーリーは中世ヨーロッパの魔女狩りかと・・・。
そして、捕らえた魔女を宅急便で処刑場に届ける・・・。
違ったようですね。
次の新作は「ココリコ」でしたっけね。

暑い、暑い。
熱射病で倒れぬようにエアコンをつけて寝るかな。




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白銀の翼(バンパイア)57

2011-07-05 22:24:26 | Weblog
 『メイド・イン・ウサ』跡地の一角の雑草が刈り払われた。
姿を現わしたのは様々な形のコンクリートの塊、十七個。
壊された建物の残骸のようにしか見えないが、事情が分かった今では、
「見事に偽装している」と感心するしかない。
 これがマモンと呼ばれた教団が、バンパイアを封じ込める為に張った結界、
六芒星なのであろう。
遠目ながらも、美しく、且つ整然と並べてあるのが分かる。
 臨時に拓かれた通路よりユニック車が入って行く。
コンクリートの塊を持ち上げる為だ。
 加藤は相棒の池辺を連れ、野次馬に紛れて、その様子を見ていた。
篠沢警部に、「田原に綻びが出るかもしれない。探ってくれ」と命じられ、
再び宇佐市に出張して来たのだ。
県警の協力を得てあるので何の遠慮もいらない。
ビジネス・ホテルに腰を据え、田原の行動を探っていた。
 その田原は野次馬の先頭付近にいた。
「一切の責任を県庁が持つ」と言うので、彼は立ち会う必要がなく、
第三者的な立場というか、ただの見物人に徹し、
生真面目な顔で現場作業を見守っていた。
 しかし彼は目立つ。
周りの者達より一際背が高い上にピカピカの坊主頭。
着衣は作務衣。
醸し出す空気も僧職そのもの。
 加藤は額から噴き出る汗を拭う。
梅雨が明け、六月最初の真夏日。
風もなく、ただ蒸し暑いだけ。
 肩を並べる池辺は首筋を拭っていた。
「加藤さん、どうします」
 周りの耳を憚り、暈かして問うてきた。
「もう少し見ていよう」
 ネットで騒がれようと、田原にも寺にも妙な動きはなかった。
不審な者の出入りもなければ、彼本人がどこかに出かける事もなかった。
篠沢警部の目論見通り、田原もしくは毬谷家に綻びが出るのだろうか。
 ユニック車が手前のコンクリートの塊の傍に止まった。
運転席から降りてきたドライバーが外部のレバー操作を開始。
車体脇の四つ足を張り出し、作業員が敷いた厚板の上に降ろした。
持ち上げる物の重量を支えるのはタイヤではなく、この四つ足である。
 車載クレーンのアームをコンクリートの塊の上に伸ばし、
フック付きのワイヤーを降ろした。
 すでに作業員がコンクリートの塊に、別のワイヤーを巻き付けていた。
そのワイヤーにフックを引っかけ、クレーンで持ち上げる。
見た目よりも塊は軽そうだ。
アームを動かして塊を離れた所に移動させた。
 スコップを手にしている作業員数人が塊のあった場所に取り付く。
交代しながら、その場所を掘り始める。
塊で踏み固められていたが、深く掘る必要はなく、直ぐに結果が出た。
「スコップの先が木片に刺さった」
「どうやら棺だ」
「壊れ易くなっている。小さなスコップに替えるぞ」
そして、「中に人骨らしき物が入っています」と。
 作業が市の業者から県警に取って代わられた。
人骨が出た場合に備え、鑑識が待機していたのだ。
事件性があるかどうか調べる為である。 
 目の色を変えたのは関係者達だけではない、
居合わせたマスコミ、野次馬全てが、現場にドッと殺到した。
慌てて市警の者達が押し留めようとするが、次々と突破された。




節電、節電と煩い。
お蔭で、盲従して熱中症で倒れる人が続出。
どうして大事な事を言わないのだろう。
「ピークになるのは正午から二、三時あたりまで」と。
それ以外は電力余りの状態。
余った電力は蓄電できないので、捨てるだけ、なんだよね。
 東電は節電、節電と言うだけで、
そこに至までの状況を、情報開示していない。
「どこどこの地域が、斯く斯くしかじかで、何時になると電力が不足する」と。
もしかして電力使用状況を把握してない・・・。
それとも教えると都合が悪い・・・。

もうすぐ震災から4ヶ月。
色々な意味で無力感に襲われます。
なんにも出来ない。
なんの役にも立たない。
「せめて子供達が良い時代を迎えられますように」と祈るだけ。





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白銀の翼(バンパイア)56

2011-07-03 10:13:19 | Weblog
 新宿署の通称、辻斬り捜査本部は閑散としていた。
人が出払っているのではない。
捜査の進展が思わしくないので、各署からの応援が減らされているのだ。
新宿署の者達でさえ、「お宮入り」だと、迷宮入りを噂していた。
 篠沢は自分に与えられたデスクでPCモニターを見ていた。
ネット中継で、画面には川沿いの広大な敷地が映されていた。
伸び放題の雑草を刈るべく、草刈り機を担いだ者達が忙しく立ち働く動画。
 何時の間に忍び寄っていたのか、脇から声がした。
「ご苦労さんですね」とコーヒーが差し出された。
管理官ではないか。
申し訳なさそうな顔で立っていた。
 彼の立場は理解できるので、文句も嫌みも言わない。
「有難うございます」とコーヒーカップに手を伸ばした。
 嬉しそうな管理官。
「篠沢さんの努力が実を結びましたね」
 寺脇サツキのブログに梃子入れした結果、
地元住民のみならず多くの関心を集めた。
マスコミ的には、新聞の全国紙にこそ載らないが、
今週発売の一部週刊誌には掲載される騒ぎ。
こうなると地元行政も無視できず、
市役所や県庁が精力的に牟礼寺に働きかけた。
「一般公開しましょう」と。
 こうして『メイド・イン・ウサ』跡地の掘り返しが決定した。
「牟礼寺は勿論、毬谷家も関知せず、その一切の責任を県庁が持つ」と。
 モニターに映っているのが『メイド・イン・ウサ』跡地の草刈り風景。
費用は県庁持ちで、市役所が現場を取り仕切っていた。
実際に作業するのは市役所指名の業者。
「時間が惜しい」とばかりに手早く雑草を刈り払い、
トラック等が入る道を拓いて行く。
 周辺には野次馬が多く集まっていた。
地元民だけではないらしい。
県外ナンバーの車も多く、市警が交通整理に駆り出される騒ぎ。
 胡散臭い話しなのでテレビ中継こそないが、ネット動画を流す会社が幾つか、
勝手に中継点を確保し、勝手にネットに流していた。
今のところ、どこからの苦情も発生していない。
その一つを篠沢は見ていた。
 篠沢は管理官を振り返った。
「改めてネットの力を思い知りました。
情報も使いようで、簡単に圧力を回避できます。
出した者勝ちですかね」
「そうなんでしょうね」と管理官は苦笑い。
「貴方の立場は大丈夫ですか」
「私は大丈夫。
こうなると警察庁にある圧力回線も動けないようで、
どこからも呼び出しがありません」
「彼等も静観するしかないという事ですか」
「おそらく。
それで牟礼寺や毬谷家は」
「綻びが出るのではないかと、捜査員を張り付かせています」
 喋りながら篠沢は管理官の顔色を読む。
この時期に、ここに現れるのは不自然過ぎる。
何やら、篠沢に説明したい事があるようだ。
「それで話しは」と単刀直入に問う。
 管理官は表情を厳しくした。
「毬谷家の力は公安絡みのようで、警察庁、警視庁問わずにルートがある。
だから背後には気をつけてくれ」
 それを言いたかったのだろう。
「昔はいざ知らず、今はただの酪農家なんでしょう。
それが今も力を温存しているというのですか」
「その通り、今も力を温存している。
毬谷家がというよりは、毬谷家に仕える榊家がだ」
「家老のような存在の家だとか」
「そう。
毬谷家は酪農せずとも食えるだけの財力がある。
一流企業の株や都心の土地を所有しているので、末代まで安楽に暮らせる。
その運用をしているのが榊家だ」
 その辺りは調べてある。
しかし、せっかく教えてくれるので知らぬ顔をした。
こういうコミュニケーションの取り方も大人の世界では大事なのだ。
「ほう。
ところで、何の為に北海道で酪農を」
「先々代が決めたそうだ。
『広い土地で、人に関わらずに生きてゆきたい』と」
「だから牛ですか。家族の迷惑は」
「時代が違う。相手は明治生まれの気骨の人だ」
「なるほど、そういう事ですか。
・・・。
そう言えば、榊という名前に聞き覚えが」
 管理官が笑顔になった。
「そう、あの辻斬りと斬り結んだという女子高生だよ」
「そうか、そうか、あの娘か。たしか榊毬子。
あの娘も、その榊家と関係が」
「大あり。
毬谷家に仕える榊家とは、元は同族だそうだ。
もっとも、織田信長の生れた頃に榊家から別れているがね」
「へえ、織田信長の時代ですか」
 管理官は嬉しそうに喋る。
「ところがだ、彼女の父親が大学で出遭ったのが毬谷家の娘。
一悶着はあったが、大昔の主人筋と結婚したのだそうだ。
だから、あの娘は榊家というよりは、毬谷家の娘だ」
「もしかして、辻斬りはそうとも知らずに斬り結んだ」
「状況からすると、そうなんだろう。もし斬ってたら切腹もの」




サッカー。
なでしこジャパンが願張っています。
ワールドカップで決勝トーナメント進出を決めました。
澤のハットトリック。
宮間のフリーキック。
岩淵のドリブル。
チーム評価は「女子版のバルセロナ」だとか。

Uー17ワールドカップの少年達もベスト8に進出しました。
こちらもチーム戦術はバルセロナ。

昔のように、バックバスして、
相手が守備固めするのを待つサッカーではないようです。
これは日本にサッカー文化が根付いた証拠でしょう。
一安心、一安心。




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