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金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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白銀の翼(劉家の人々)229

2013-04-28 10:02:20 | Weblog
 マリリンの右に麗華、左には関羽が肩を並べていた。
他の姫達も見晴らしの良い所に腰を据えていた。
みんなの視線は下の草地に向けられていた。
丘の上からだと太平道の三人の駆ける様子が手に取るように見えた。
鍛えられているせいか、捕らえられていた疲労は全く見せずに、
瞬く間に遠ざかって行く。
 やがて一人が東の小川に足を踏み入れた。
それを確認した関羽がマリリンに聞こえるように呟いた。
「始める刻限だな」
 答えは待たない。
足早にその場から離れると、待機している者達の方へ向かった。
マリリンの代わりに関羽が狩りの差配を振るう事になったのだ。
 事前に打ち合わせてはいないが、流石に関羽。
現場を見ただけで勘所を押さえてしまった。
 森から獣を追い立てる勢子役の者達に指示を下した。
「静かに小川に向かい、流れに沿って森の東側に布陣する。
準備が整い次第、合図を送るので、合図を受けたら一斉に森に攻め込むこと。
慌てる事はない。
声を上げ、獣達を西側に追い出すだけでいい。
けっして無理はするな」
 舘から同道した男衆、村の者達、
近隣の村からの加勢の者達が無言で勢い良く立ち上がった。
それぞれが太くて短い棍棒を手にしていた。
木々の幹を叩いて獣達を追い立てるのに使うが、
万一の際、獣が逆上し反撃して来たら、それで殴り倒すのにも用いる。
なかには短槍を持参の者も少数ながらいるので、備えに怠りはない。
 勢子役を纏めるのは当然ながら地元の村長。
彼を先頭に千人余が動き出した。
 そうこうしている間に川を渡り終えた三人が、その先の森に消えて行く。
 マリリンは麗華を見遣った。
すると麗華が無邪気に見返して来た。
彼女の瞳が清々しいほどに生気に満ちていた。
その彼女に言う。
「我々も行きましょう」
 麗華は軽く頷き、仲間の姫達に視線を転じた。
「私の代わりに沢山の獲物を捕らえるのよ」
 姫達は軽い笑いでそれに応じた。
 二人が勢子役の隊列の最後尾に付いて丘を下ると、
どこからともなく青毛の剛が現れ、マリリンの背中を鼻先で突いた。
様子から察するに、「乗れよ」と催促しているらしい。
思わずマリリンは剛が愛おしくなった。
誰もいなければ、太い首筋に抱きついていたことだろう。
 それに麗華が水を差す。
「良いわね、馬に慕われて。
私の馬は姿も見せないわ」
 麗華は騎乗は巧みだが、方術修行に忙しく、
馬と遊ぶまでの余裕がない事を不満に思っているのだろう。
それが今の言葉になったに違いない。
「試しに乗ってみてもいいのよ」と水を向けた。
「遠慮する、そんな乱暴な馬。
私を怪我させるつもりなの」
 麗華が話題を変えた。
「ところでどうするの、あの三人。
見つけ次第、首を切り落とすの」
 隊列の最後尾なのだが、前を歩く勢子役の者達が耳を傾けているかも知れない。
用心するに越したことはない。
マリリンは剛の首筋を撫でながら答えた。
「あの三人、返り討ちしようと待ち構えているかしら」
「執念深そうな三人だったから、絶対に待ち構えているわ、きっと」
「そうすれば手間が省けるわね」
 この会話を続けると、どこで綻びが出るかも分からない。
マリリンは話しを別方向に向けた。
「方術修行は厳しいの」
 麗華は意外そうな顔でマリリンを見詰めた。
「興味有るの。
・・・。
厳しいわよ、それはもう。
出来るのなら、貴男と代わってあげたいわ」
「いや、代わらなくていいから。
それで何が得意なの」
「取り敢えず全部を教えて貰ったわ。
出来るかどうかは別にして、だけど。
今は占星術を囓っているところね」
 方術修行の様子を尋ねるマリリンに麗華は嫌な顔一つしない。
丁寧に答えてくれた。
本来、話し好きなのかも知れない。
 やがて小川に行き当たった。
前を行く隊列は左へ、川に沿って上流へと向かう。
その先の森から獣を追い出すのが彼等、勢子役の役目。
 マリリンと麗華の仕事は、川向こうの森にあった。
森に消えた三人を追わねばならない。
 浅い川を渡りながら、剛に言い聞かせた。
「ここで帰りを待ってるのよ、いいわね」と剛の首筋をピタピタと軽く打つ。
 傍で聞いていた麗華が小馬鹿にした。
「分かるわけないでしょう。馬なんだから」
 ところが麗華に反発するかのように剛の足が浅瀬で止まった。
我関せずとばかりに流れに鼻先をつけた。
そして、そこから離れようとはしない。
 麗華が剛を睨み付けながら、マリリンの後をついて来る。
「なんて馬なの。
本当に嫌な馬ね。いつか肉にしてあげるわ」
 川から森までは近い。
待ち構えているとすれば、あそこのどこからか、こちらを見ていることだろう。
 マリリンは川を渡り終えると麗華に言う。
「これから起こる事は桂英様、醇包様以外には他言無用ですよ」
 後ろにいた麗華が肩を並べて来た。
「どういうこと」
「私は、あの三人を逃がそうと思っています」
 麗華が前に回り、足を止めてマリリンを見上げた。
「分かるように説明して頂戴」
 マリリンは麗華なら口が堅いと見ていた。
単刀直入に言う。
「何時の日か太平道は反乱に追い込まれるでしょう。
その際、この領邑が血祭りに上げられるのを防ぎたいのです」
「それは勘で言ってるのよね」
「ですが、信じてください、私を」
 麗華は表情を曇らせた。
「太平道は信徒を増やす一方だと聞いているわ。
まるで軍隊みたいな教団だそうね。
・・・。
続けて」
「太平道の恨みを買う行為は、なるだけ避けるべきだと思うのです。
ですから、あの三人が森を抜け出ていたら問題はありません。
問題は返り討ちしようと待ち構えている時です。
麗華殿、その時は手出しせずに、私に任せてくれませんか」
「向こうは何も知らないのでしょう。
絶対に貴男を殺そうと、襲ってくるわ」
「それは承知です。私が何とかします」
 麗華が睨み付けて来た。
「それじぁ私はどうすればいいの。
黙って見ているだけなの、そんなのないわよ」
「万一に備えてください。
私だけでは手に負えないと判断されたら、矢を射ても構いません。
その際、致命傷だけは与えないこと。
貴女なら出来ますよね」
 麗華が首を左右に振る。
「無茶よね。
・・・。
もしかすると、この話しはお婆さまやお爺さまには通じているのよね」
「はい。そういう事から私に三人を預けられたのです」




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白銀の翼(劉家の人々)228

2013-04-25 19:49:50 | Weblog
 麗華はマリリンの武技は認めていた。
確かに優れていた。
嫉妬したくなるような柔らかさと速さを兼ね備えたもので、
その一つ一つが理に適っていた。
流麗とも言えた。
関羽のような剛力の者が相手でも、時として技で凌ぐほど。
しかし今回の相手は危ないと思った。
狂信者である。
どのような策を張り巡らして、マリリンを返り討ちしようと図るか分からない。
だから咄嗟に、「マリリンの背中を守る」と言った。
 麗華は言葉を翻すつもりは全くなかった。
マリリンが強者の立場から、
罪人三人を獣扱いで狩場に追い立てる卑劣な奴であったなら、
決してこのような言葉は吐かなかっただろう。
ところがマリリンは違った。
自分を暗殺しようと図った連中なのにも関わらず、生き延びる道を与えた。
おまけに太刀をも与える大甘さ。
 マリリンが自分の腕を過信しているとは思わない。
そのような奴ではない。
奴なりの道理に基づいているのだろう。
だからと言って見過ごしには出来ない。
万一ということもある。

 マリリンは麗華の強情振りに驚かされた。
いつもは桂英や醇包の言葉には素直に従うのに、今日は違った。
領民達の噂通りのじゃじゃ馬振り。
こうと決めたら一歩も引かぬ頑固さを見せた。
 脳内でヒイラギが笑う。
「はっはっは・・・、良いじゃないか、連れて行けば」と。
 彼女の気持ちは嬉しいけど、足手纏いよ。
「足手纏いとは麗華にたいして失礼だろう。
あれでも腕は立ち、頭も回る。
なによりも佳い女だ。まだ年若いけどな」
 若すぎるわよ。
「それにだ、議論している時間が惜しい。
このままだと昼を過ぎてしまうぞ。
ここは一つ、誰かが間に入らねば収まらぬだろう」
 分かった。
私も力を尽くすけど、アンタも麗華を守ってくれるわね。
「大船に乗ったつもりで任せな」
 マリリンは桂英に視線を転じた。
「麗華殿に背中を任せたいのですが」
 桂英が微妙に表情を崩した。
「良いの」
「はい。彼女なら安心して背中を預けられます」
 考え込む桂英。
孫娘だから身を案じて当然だろう。
それにマリリンと事前に打ち合わせていた事もあり、
策に支障を来すのではないかと危惧しているのだろう。
すると醇包が桂英の耳元に何事か囁いた。
頬を緩めた桂英。
「いいでしょう、認めましょう」とマリリンに了解し、
「マリリン殿の指示に従うこと。いいですね」と麗華に厳しい声で言い渡した。
 ホッとした顔で頷く麗華。
 問題が解決したので、マリリンは罪人三人の方に向き直った。
「聞いたように私の方は一人増えました。
それでも問題はないでしょう。
さあ、お行きなさい。
ようく考えて行動することね」
 途端に三人は太刀を肩に担いで、脱兎の如く駆け出した。
マリリンの気が変わるのではないかと疑っているのかも知れない。
勢いをつけて丘を駆け下って行く。




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白銀の翼(劉家の人々)227

2013-04-21 09:23:52 | Weblog
 大方の者達は罪人三人の正体を知らなかった。
ところが口の軽い者はどこにもいるもので、
事情通の騎兵が隣の騎兵に、マリリンと三人の因縁をお節介にも漏らした。
するとそれが、さざ波のように伝播していった。
騎兵から男衆女衆、そして村方の者達にまでも。
 劉麗華は心配になった。
「気付いた劉桂英、あるいは醇包から雷が落ちるのではないか」と。
そっと二人を見遣ると、意外にも含み笑いをしている感がした。
それは胡璋や朱郁も同じだった。
麗華は、
「自分達を蚊帳の外に置いて何事かが進行している」と理解するしかなかった。
腹立たしい思いを視線に込めて、マリリンの背中を追った。
 罪人を狩りの獲物として放つ話しは聞いた事がある。
しかし今日のこれは少し違うような気がした。
第一にマリリンらしくないのだ。
どんな理由があろうと、人をいたぶるような奴ではない。
 丘にいる者全ての熱い関心がマリリンと三人の罪人に向けられた。
それは劉麗華とて例外ではない。
腹立たしい思いや、膨れ上がる疑問は別にして、
彼女は知らず知らずのうちに、身を乗り出すようにしてマリリンの行動を見守っていた。
形や武技こそ男だが、喋り言葉だけは女。
そんなマリリンが、「強者として、どう振る舞うか」で、その器のほどが測れると思った。
 それは他の姫達も同様のようで、
一人残らず身を乗り出し、固唾を呑んで見守っていた。
 当のマリリンは不自然なくらいに落ち着いて見えた。
度胸があるのか、無神経なのか。
 マリリンの視線が胡璋に走った。
そして軽く目で頷いた。
すると胡璋が騎兵を振り返り、「用意のアレを届けろ」と命じた。
 事前に打ち合わせがあったのだろう。
一人の騎兵が機敏に動いた。
鞘に納められた三振りの太刀を両腕で抱え、マリリンの傍に駆け寄った。
 マリリンが騎兵に事も無げに命じた。
「三人に渡して」
 騎兵は太刀を三人に適当に振り分け、足早に去って行く。
 食事だけでなく、太刀までが与えられた三人は間の抜けた顔をしていた。
ますます状況が読めず、混乱に混乱を極めているらしい。
前後左右をキョロキョロと警戒しながら、仲間同士でも顔を見合わせた。
結局、最後に行き着いたのはマリリンの顔。
三人が疑問色の視線をマリリンに向けた。
 マリリンが片手を上げ、東を指し示した。
「見てごらんなさい。
向こうに細い流れの川があるでしょう。
それを渡った先に森がありますね。
貴男達三人はあそこへ走りなさい。
勿論、太刀を持ったままでね」
 三人の顔色を読んでマリリンが続けた。
「今日の狩りは川の手前の森に勢子役の男衆と村の者達が入ってから開始されます。
同時に私の狩りも開始されます。
獲物は貴男達三人。
貴男達の首を落としたら、私の勝ち。
貴男達が私を出し抜いて森から逃げ切れたら、貴男達の勝ち。
どこへなりと自由になさい」
 罪人の一人が疑問を口にした。
「俺達を追ってくるのはアンタ一人かい」
「当然でしょう。
貴男達三人には私一人で充分。違いますか」
 人数的には彼等が有利なのだが、武技としてはマリリンの方が遙かに上。
それでも男の沽券に関わると思ったのか、正直に不満を口にした。
「随分と甘く見られたもんだな」
「無事に逃げ切ってから私を笑いなさい。
それまでは後ろに用心することね」
 別の一人が太刀を鞘付きのまま頭上に差し上げた。
「この太刀で追って来たアンタを返り討ちにしても良いんだな」
「当たり前でしょう。
私は武器を持たない者を斬るほど悪党ではないわ」
 三人は再び顔を見合わせた。
小声で何事か話し合う。
 麗華は深読みをした。
誰かが、「三人が丸腰のままでは、そのまま逃げてしまう」と危惧したに違いない。
そこで太刀を持たせ、マリリンを返り討ちしようと企むように仕向けた。
太刀は三人の欲望にかけた足留め策だ。
もしかすると森に先乗りしている兵がいるかも知れない。
三人の不意打ちに備え、マリリンを加勢するために伏兵を置いても不思議ではない。
となると、マリリンとは別の誰かの意思が働いている分けだが・・・。
それが出来るのは桂英か醇包しか考えられない。
でも果たしてマリリンがそれを事前に許すだろうか。
後で知ったとして許すだろうか。
下手すると怒りを買い、マリリンを失う結果を招くかも知れない。
ますます真相が分からなくなった。
 麗華は隣で肩を並べる朱郁を見遣った。
だが、表情からは何も読み取れない。
狩りの裏側で何を推し進めようとしているのか。
そこで麗華は怒りを含む声を張り上げた。
「森の中では後ろを取られても不思議ではありません。
私がマリリン殿の背中を守ります」
 みんなの視線が麗華に集中した。
驚きの顔、顔、顔。
なかでも驚いたマリリンの顔が、何故か嬉しかった。
 桂英が負けじと声を張り上げた。
「許しません。これはマリリン殿一人の狩りです」
 全ての視線が二人の間を行き交う。
 隣の朱郁が何事か言おうとするが、麗華は遮る。
「いいえ何と言われようと、私が背中を守ります」
 醇包が呆れ顔が問う。
「足手纏いになるとは考えないのか」
 麗華は姿勢を正して祖父に向き合った。
「いいえ、けっして足手纏いにはなりません」




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白銀の翼(劉家の人々)226

2013-04-18 21:19:37 | Weblog
 丘に上がって来た劉桂英が、みんなを満足そうに見回した。
マリリンに促されて村長が出迎えの隊列から一歩前に出た。
拱手をし、歓迎の挨拶を述べようとした。
それを桂英は片手を上げて制した。
「堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。
それで準備は整っているのね」
 村長は自分が答えていいものかどうか判断に迷い、マリリンに目顔で問う。
マリリンは頷き、返答を村長に任せた。
得たりとばかりに村長が状況の説明を開始した。
地形から、近隣の村からの加勢のことや獣の種類まで。
長々とし、今ひとつ要領を得ない。
桂英は嫌な顔一つせずに耳を傾け、時折質問も交えた。
 劉麗華はその様子に変な感心をした。
自分なら、「もっと要領よく、手短に説明しなさい」と注意するだろう。
それでは、「領民の歓心が得られない」とは知っている。
前に桂英に教えられた。
「大切なのは、どんな相手であっても、話しだけはしっかりと聞くこと」と。
その境地に辿り着くには、どれだけ年を重ねればいいのか。
将来だが、果たして自分に領主が務まるのか。
 村長との話しを終えた桂英が、率いて来た騎兵に命じた。
「三人を前に連れて来なさい」
 罪人護送用の馬車で連行された三人に違いない。
騎兵に背中を押されるようにして三人が前に出て来た。
驚いたことに手鎖が外されていた。
それでもまあ、「逃げる事はないだろう」と思った。
周りを騎兵に囲まれた状況では、不審な行動は即死を意味する。
 三人は牢に入れられていたわりには顔色が良く、小綺麗な衣服を身に纏っていた。
酷い待遇ではなかったらしい。
三人は状況が読めないらしく、キョロキョロと前後左右に視線を走らせた。
 状況が読めないのは麗華も同じ。
何故なら、その三人の顔には見覚えがあった。
一度しか遭遇してないが、神樹の丘でマリリンを襲った太平道の三人に違いない。
その三人がどうしてここに。
マリリンの表情を窺うと、少しの動揺も見られない。
どうやらこれも事前に知っていたに違いない。
桂英とマリリンの間でどのような話し合いが持たれたのか。
疑問ばかりが膨れ上がる。
 その三人がマリリンに気付いた。
目を大きく見開いて凝視した。
混乱している様子が手に取るように分かった。
 桂英が、さも可笑しそうな顔でマリリンに言う。
「この三人を貴男に預けるわ。煮るなり、焼くなり好きにして」
 祖母の企みが分からないものの、三人に、より激しい動揺が走るのが見て取れた。
 当のマリリンは無表情で丁寧な拱手をした。
「有り難う御座います」
 そして三人に視線を向けた。
襲われたというのに、殺意が微塵も感じられない。
どんな神経をしているのか、麗華は理解に苦しむ。
マリリンは三人をジッと観察してから言う。
「普通に動けるようね。
ところでお腹は減ってないの」
 返事を待つより先に煮炊きしている場所を指し示した。
「お腹が減っているのであれば、あそこで勝手に食べて頂戴」
 三人は互いに顔を見合わせながらも、煮炊きしている場所に移動した。
そして大勢の目を気にしながら、残り物に手を伸ばした。
食べることと警戒に手一杯のようで、三人の間に会話はない。
何の恨みもない人間を殺そうとする輩なのに、その小心者振りに呆れるしかなかった。
 マリリンは騎兵の警護を丁寧に断り、三人の方に歩み寄って行く。
 みんなは隊列を崩して成り行きを見守る。
それを桂英や醇包は敢えて咎めない。
どちらかというと、楽しんでいる気配すらあった。




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白銀の翼(劉家の人々)225

2013-04-14 09:46:03 | Weblog
 村長達が先頭となり、村の東の小高い丘に案内した。
そこには十数人が先乗りして、忙しく立ち働いていた。
衣服から村人と判断出来た。
 良い匂いが鼻を擽る。
劉麗華は辺りを見渡した。
 辺り一面の草が刈られていた。
たぶん、今日の本陣を構える場所なのだろう。
その外れで煮炊きがされていた。
 マリリンが全員に聞こえるように言う。
「お腹が減った頃合いでしょう。軽く腹ごしらえでもしましょうか。
でも満腹にしては駄目よ。動きが悪くなるからね」
 舘から率いて来た者達、村の者達の双方から歓声が上がった。
直ぐに煮炊きした物が振る舞われた。
用意の良いことに穀物、野菜、獣の肉、魚と取り揃えてあった。
 劉麗華は軽く腹に入れると、場を離れた。
ここは辺りを見渡すのに丁度良い高さにあった。
さらに東に深い森があり、そのさらに東には細い川が流れていた。
 マリリンが傍に来て、肩を並べた。
「あの森に獣達に居着いたようですね」
 そしてマリリンは村の方を指し示した。
「村の外側に農地が拡がっているでしょう」
 木の柵の外側に拡がった宏大な農地は村人達の血と汗の結晶である。
そこが最近、獣達に荒らされ始めた。
猪とか、鹿、狸、猿。
季節によっては熊も。
そしてその獣達を狙う狼や山犬も現れるようになって困っているのだそうだ。
 農地と森の中間が広い草地になっていた。
おそらく、その辺りが狩りの主戦場になるだろう。
しかし広すぎる。
獣を射る弓を持って来たのは姫と守り役のみ。
十人足らずでは大方の獣を逃がしてしまうのではないか。
「弓を増やせないの」と指摘した。
 すると小憎らしいことにマリリンがニコリとした。
「もうじき町から加勢が到着しますよ」
「なに、それ」
 町と言えば城郭からとしか思えない。
近隣の村からの加勢とか、町からの加勢とか。
初耳が多すぎる。
「町の者達が加勢に加わるわけなの」
 マリリンは、さも面白そうな表情をした。
「もうじき分かります」と言い、説明をせずに離れて行く。
 小憎らしいが、追っていって問い詰める分けにも行かない。
そこで思い当たる人物に気付いた。
朱郁だ。
当初から何か隠し事をしていた。
きっとこの事に違いない。
さっそく朱郁を探した。
みんなの輪の中で、ノンビリと煮炊きを口にしているではないか。
 その朱郁が桂華の視線に気付いたらしい。
木皿に焼けた肉を何個か取り置き、こちらに歩み寄って来た。
「食べませんか」と木皿を差し出した。
 麗華は小さな塊を指で摘んだ。
「ありがたく頂くは」
「顔が険しいですね」
「彼奴の所為よ」
「マリリン殿ですね。それで、どうしました」
 幼い頃から身近にいて、なにくれと世話してくれる朱郁だから毒が吐きやすい。
「彼奴は何様のつもりなの。
隣村からの加勢だとか、町からの加勢だとか、私達は聞かされてないわ。
ここの設営準備も前もって話してくれれば、私達だって手伝えたわ。
そうは思わない。
それに朱郁、貴女だって私に何か隠し事をしているでしょう」
 朱郁が微笑む。
「もっと声を落として。
大きな声だと、みんなの関心を惹きますよ。
・・・。
それで、私が何を」
 マリリンは声を小さくするも、怒りが倍増した。
「貴女は彼奴が何をやるのか知っていながら、私に内緒にしていたでしょう」
 朱郁が小さく頷いた。
「これにはマリリン殿一人でなく、桂英様も噛んでいらっしゃるのです。
ですから私の口からは申せません」
 領主である祖母が関係しているとは思いもしなかった。
「ただの狩りではなかったの」
「表向きは狩りですが、裏に別件が一つあるのです。
みんなには内緒ですよ。
終われば私が説明いたします。
ですから何も詮索しないで、誰にも疑問を抱かせないように振る舞って下さい」
 もう一つの加勢が現れた。
遠目にも領邑の騎馬隊と分かった。
 マリリンの命令で丘に赤劉家の旗印が高々と掲げられた。
それに気付いたのだろう。
騎馬隊が進路をこちらに向けて来た。
その数、およそ百騎。
そして隊列の中央には馬車が一両。
近付く従い罪人護送用の馬車だと分かった。
 騎馬隊は丘の下で下馬すると、馬車から囚人三人を引き出し、丘を上がって来た。
その先頭に立つ二人の姿には驚かされた。
劉桂英と醇包であった。
領主とその夫が狩りに加わるとは聞かされていない。
そういう素振りさえなかった。
 マリリンが命令を発した。
「領主様を迎える。
全員、隊列を整えよ」
 胡璋が数騎を従え、出迎えに丘を駆け下って行く。
その対応の早きこと。
事前に知っていた一人に違いない。
 多くの者にとっては寝耳に水であった。
煮炊き場所を離れ、アタフタと隊列を整え始めた。
ことに村人達は慣れないことなので四苦八苦。
だからと言ってマリリンは怒鳴りもしなければ、舌打ちもしない。
微笑ましそうに様子を見守っているだけ。
 麗華は肩を並べる朱郁に小声で問う。
「これも知っていたの」と。
 朱郁は至極当然のように頷いた。
少なくともマリリン、胡璋、朱郁の三人は知っていたのだろう。




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白銀の翼(劉家の人々)224

2013-04-11 19:55:24 | Weblog
「鞘に収めても、太刀に取り憑いたものの気配までは隠せないようですね」と劉林杏。
「怒りが漏れ伝わってきます」と続けた。
 マリリンが眉を顰めた。
「そんなに分かり易いですか」
「普通の人には分からないでしょうね。
でも私達は方術修行で鍛えられているから」
 すると劉水晶が否定した。
「少なくとも私には分からないわ。
これでも一応、方術修行を積んでるのだけどね」
 それに劉紅花と劉深緑が同意した。
彼女らは、その力量にまで達していない。
対して劉林杏は精霊を呼び出せる段階にまで進んでいた。
太刀に取り憑いたモノの気配に、いち早く感応出来て当然だろう。
 劉麗華は林杏よりも少し送れて怒りの入り混じった気配を感じ取った。
まだまだ方術修行の点では劉林杏には敵わない。
しかし、神樹の丘に裸体で倒れていたマリリンに感応出来たのは、
舘敷地内にいた者達のなかでは彼女一人。
それだけは誇っても良いだろう。
 マリリンの体内に潜むモノでさえ要警戒なのに、
これに太刀に取り憑いたモノが加わった。
実に厄介な事なのだが、マリリン本人の人に好かれる性格が功を奏しているのか、
誰一人、嫌悪感を露わにする者はいない。
領主の劉桂英に到っては、
「方術師にとっては面白い興味対象よ」と歓迎している節が見られた。
他の姫達もマリリンを警戒しながらも、何かと周りに群れたがる。
 領邑はそれほど広くはない。
点在する村の数も多くはない。
狩りの拠点とする村は舘の北にあった。
五十数戸で三百人ほどの小さな村だ。
村全体が木の柵で囲われていた。
獣だけでなく、盗賊団の襲撃にも備えたもの。
 村人達がマリリン一行を出迎える為、ワラワラと大勢で村の外に飛び出して来た。
彼等の表情から、心底から歓迎しているのが読み取れた。
それにしては人数が多すぎた。
村の住民数を軽く超えていた。
千人近いのではなかろうか。
その多くが大人で、いずれもが狩りの装束を見に纏っていた。
 麗華の疑問が顔に出たらしい。
マリリンが説明した。
「近隣の村からの加勢ですよ」
「知ってたの」
「ええ。
昨日下見した際に、予定の人数では足りそうもないと思ったので、
幾つかの村に声をかけたのですよ」
 昨日の今日で、これだけの人数が集まるとは。
「神樹に愛されるマリリン様」と評判されるだけのことはある。
 大柄な男が前に出て来て、両膝をついた。
村長なのだろう。
彼に全ての者達が倣う。
 マリリンが当然のように下馬した。
こういう場合は馬上から挨拶しても構わないのだが、マリリンは全く偉ぶらない。
先頭の関羽と胡璋が開けてくれた道を進み出た。
「お出迎え、ご苦労様」とニコヤカに村長の手を取り、
「立っても構いませんよ」と。
 言葉は柔らかいが、することは荒い。
恐縮する大柄な村長を強引に引き立たせた。
「昨日も申したでしょう。私に跪くのは止めて下さい。
私はあなた方の領主様ではないのですからね」
「はい、マリリン様」
「用意は済ませてくれましたね」
 村長が恭しく答えた。
「はい。ご指示通りに」




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白銀の翼(劉家の人々)223

2013-04-07 09:47:32 | Weblog
 マリリンの隊列が動き出すのを待っていたかのように、
東の空に一条の明かりが差した。
直に日が昇る頃合いで、空模様から本日も晴天と判断出来た。
 舘敷地内に住む人々が表門に詰めかけ、篝火、松明を点けて、
狩りの隊列を見送ってくれた。
男衆女衆の家族、友人達なのだろう。
彼等から遠慮のない声が飛ぶ。
「足手纏いになるんじゃないぞ」
「獣に間違えられるな」
「衣装が立派すぎる」等々。
暖かい声援で見送られた。
 不審な事が一つ。
領主である劉桂英の姿がない。
通常であれば見送りに顔を出すはず。
体調不良なら夫の醇包が代理として顔を出してもよいはず。
だが、その何れもない。
 見送りに出た分家や臣下の重鎮達の顔色を読むが、異常は読み取れない。
あるのは狩りの成果を期待する空気だけ。
隊列を止めてまで問い質すことではないらしい。
 少し離れた所に城郭があり、門もあるのだが、そちらはしっかり閉じられていた。
開門してもよい頃合いなのだが、こちらの隊列に気をつかい、
開門を遅らせているのかも知れない。
 劉麗華は先頭を行くマリリンの騎乗振りに驚いた。
普通に乗っているではないか。
あの人嫌いな筈の青毛がマリリンに何の抵抗も示さない。
しばらく様子見を続けていたが、何も起こらない。
足を止めることも、振り落とそうとすることも。
 麗華はマリリンの傍にいた胡璋に馬を寄せた。
「青毛の名は剛だったかしら」
 胡璋への問い掛けだが、「マリリンに聞こえても構いやしない」と思った。
実際、応じたのはマリリンであった。
「そうです、剛ですよ」と相変わらずの丁寧な女言葉。
 最初は嫌悪感があったが、この頃は耳も慣れて来たらしい。
素直に受け止められるようになってきた。
「その剛だけど、調子が悪いの。
何か変な物でも食わせたの。
いつもだとマリリン殿に逆らい、落馬させたり、道の草を食ったりする筈よね」
 マリリンが苦笑いで麗華を振り向いた。
「酷い言われようね」
「褒めたつもりなんだけど。ほんとに。
しっかり乗ってるから」
 マリリンの傍にいた胡璋と関羽が目配せをして、マリリンを追い越した。
気を利かせて先頭に立つつもりのようだ。
 何を思ったのか、思っていないのか、他の姫達が当然のように隊列を崩した。
そして平気な顔で、マリリンと麗華を取り囲むように馬を寄せて来た。
マリリンと麗華の遣り取りが聞こえていたようで、劉深緑が口を開いた。
「このところマリリン殿は馬場ではなく、舘の外で調教してますよね。
どうしたのですか。馬場だと、みんなに見られるから恥ずかしいのですか」
 劉水晶の言葉が重なった。
「みんなの前で振り落とされたり、無視されたりすると恥ずかしいですものね」
 不意を突くようにマリリンが笑う。
肩を揺らせて笑う。
軽やかな笑いが天高く響いた。
声音も、笑う仕草も男とは思えない。
遠くから見ている者がいるとすれば、女と見間違えて当然だろう。
そう、装束の色合いも女物だった。
 マリリンを乗せている剛に異常は見受けられない。
マリリンをチラ見しただけで、平然と歩を進めた。
一人と一頭の間に信頼感が培われたと言うのか。
 マリリンが目尻を指で拭う。
笑い涙で濡れたのだろう。
「剛は馬場よりも外の草地が好きなようなので、連れ出して自由に奔らせています。
まるで子供のように疲れるまで奔りますよ。
浅い流れを見つけると、これまた勝手に入っていって水遊びを始めます。
ですから私は身体を洗ってやるようにしました」
 言いたいことは分かった。
麗華は口を尖らせた。
「剛の我が儘に振り回されているだけでしょう。
それを調教とは言わないでしょう。違う」
「麗華殿は手厳しいですね」
 何だかムカついてきた。
私達は方術だけでなく、馬術においても厳しく鍛えられてきた。
なのにマリリンはたいした努力もせずに普通に騎乗していた。
水遊びの際に馬体を洗うだけ。
それだけで馬から信頼感が得られていいのか。
「当たり前のことを言ってるだけよ」
 劉林杏が割って入った。
「マリリン殿の背中の太刀は、例のアレですか」
「目立たない鞘に仕立てて貰ったのですけど、やっぱり分かりますか」
 となれば神樹から降ってきた剣に違いない。
鞘が出来上がったことは知らなかった。




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白銀の翼(劉家の人々)222

2013-04-04 19:58:26 | Weblog
 夜も明けきらぬのに、劉家の舘は熱い空気に包まれていた。
ドタバタと、それなりの人数が忙しなく動いていた。
年に何度かある狩りなのだが、
みんなが我が子のように思う姫達が主戦力となった狩りなので、
いつもに増して準備に熱がこもっていた。
 劉麗華が狩りの装束に着替えた頃合いを見計らい、
彼女の守り役に任じられている朱郁が現れた。
「参りましょう」
 朱郁も狩りの装束なのだが、その色合いの派手さは、まるで祭り衣装そのもの。
「ずいぶんと派手ね。目立つわよ」
「獣と間違えて矢を射られては困るので、人目につく色を選びました」
 実際、前回の狩りで獣と間違えられて矢を射られていた。
幸いにも無傷で済んだが、その反省に立った装束選びなのだろう。
 玄関を出てもピンと空気が張り詰めていた。
舘敷地内の馬場に行くと、直ぐに麗華と朱郁の愛馬が引き出されて来た。
馬達にも狩りの空気が伝わっているのか、興奮しているように感じられた。
 他の姫達もそれぞれの守り役の女武者を伴って現れた。
守り役は、いずれも劉桂英が選んだ手練れ者ばかり。
騎乗に優れ、槍を繰り出し、矢も射る。
 色黒の姫、劉紅花が誰にともなく問う。
「マリリン殿は遅いわね」
「マリリン殿も狩りに出るの、聞いてないけど」と意外そうに別の姫が首を捻った。
「采配を振るうのはマリリン殿だそうよ」
「本当なの・・・」
 麗華も初耳だった。
思わず尋ねた。
「誰に聞いたの」
「親しくしている侍女の一人が耳打ちしてくれました」
 麗華は隣で肩を並べる朱郁に問いの視線を飛ばした。
朱郁は冷静な表情で頷いた。
「直前まで伏せておくように言われてました」
「どうして」
「みんなを驚かせましょうと桂英様が」
 麗華は呆れた。
「驚かせてどうするの」
「さあ」と朱郁は首を傾げるだけ。
 朱郁とは長い付き合いなので、「彼女が何か隠し事をしている」と見抜いた。
だが敢えて問い詰めない。
聞かせたく事情があるのだろう。
 兵舎からマリリンが現れた。
その狩り装束は朱郁と張り合う派手な色合いだった。
祖父の醇包が選んだに違いない。
どう見ても麗しい女武者振り。
男のくせに祖父の言いなりではないか。
ちょっとだが、むかついた。
 マリリンに関羽と胡璋の二人が距離を置いて従っていた。
まるで守り役のような顔をしていた。
二人は幸いにも地味な狩り装束を身に付けていた。
領邑の騎馬隊が調達している物だ。
 マリリンが姫達の前で足を止め、生真面目な顔で言う。
「私が本日の狩りの采配を振るう事になりました」
 麗華はマリリンの肩口からのぞく物に気付いた。
柄ではないか。
となれば太刀を背負っているのだろう。
みんなは狩り用の矢筒を背負っているのだが、マリリン一人が違った。
弓の用意すらもない。
 麗華の顔色を読んだマリリンが言う。
「私は矢を射た覚えがないので、采配のみに専念します」
 驚くような厚顔振りに麗華は怒りを覚えた。
「弓が引けないなら狩りに出るな」と言いたいが、言葉を飲み込む。
朱郁が何事か隠しているように、祖母も何かを隠している。
大人の事情なのだろうが、私に話してくれないのは、信用がないのか、
あるいは他の姫達と同列に扱っているのか。
 何時の間にか他の者達も集まって来ていた。
手負いの獣に備える騎兵が二十騎。
狩場の境界線を警戒をする騎兵が三十騎。
獣を追い立てる役の男衆が五十人。
仕留めた獣を積む馬車が三両。
仕留めた獣を捌く女衆が十人。
 狩りは模擬合戦であると同時に祭りでもある。
男衆や女衆に選ばれた者達の装束がそれを物語っている。
倹約してこの日の為に装束を新調する力の入れよう。
色取り取りの衣服が賑々しい。
彼等彼女等にとっては年に一度の晴れ舞台なのだ。
 マリリンの号令で隊列が組まれた。
当然ながら先頭はマリリン。
その直ぐ後に姫達が従う。




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