「大阪都」で府民のくらしはよくなるの?
橋下知事は、大阪府と大阪市・堺市を統合し、「大阪都」と「特別自治区」に再編する「大阪都構想」をうちだしています。
しかし、その中味は、住民生活にかかわる行政サービスは市町村と「特別区」にまかせ、「大阪都」は「成長戦略、産業基盤の整備」を担うというものです。大企業の税金を大幅にまけ、空港・港湾・高速道路・高速鉄道の整備などに府民の税金をばらまくことがねらいです。
増税と補助金で大企業を誘致したところで、大阪府民の雇用や所得、中小企業の仕事が増えるという保障はありません。10億円の府の補助金で進出したサンヨーの太陽電池工場では、部品のほとんどを世界4~5社から調達し、正社員の新規採用は10人だけです。
橋下知事は、「大阪経済の成長には関西空港強化がカギ」として、高速鉄道「なにわ筋線」や関空リニアの建設などを計画しています。この「なにわ筋線」は、総額1900億~3900億円もの巨大事業ですが、関空の利用状況が大幅に改善される見込みはありません。
阪神高速道路淀川左岸線延伸部も、第二京阪と阪神高速湾岸線をつなぐ10km道路に、3500億円もの巨額の経費をつかう事業です。
橋下知事と「維新の会」は、こうした「成長戦略」で税収を増やして福祉を充実するといいますが、見通しのない大型開発をすすめるお金があるのなら、今すぐ福祉とくらしの応援、中小企業支援に使うべきです。
大阪都構想で大阪はよみがえるの?
大阪の中小業者・中小企業は事業所の99.6%、雇用の6割を支えるとともに、製品出荷額の65%、卸小売販売額の72%で(いずれも09年時点)、経済における位置は他の大都市に比べても決定的な役割を果たしています。
しかし、大阪府の中小企業・業者支援はというと、ものづくり支援予算は07年度比44%、商業振興費は5分の1に激減しています。さらに、昨年発表された「財政構造改革プラン」では、中小業者の営業を下支えしてきた斡旋制度への支援を大幅に削減するなどその役割とは乖離しています。
今年4月の統一地方選挙で「よみがえる大阪」と書かれた、橋下知事率いる「維新の会」のマニフェストには、中小企業・業者施策は皆無、商店・商店街は言葉すらありません。鉄道・高速道路・関空・港の開発で大企業や外資が自由に稼げるようにつくり変え、主役は外国人エリートと外国からの観光客だというのです。これが、橋下知事の構想する大阪の未来と経済の姿です。これで、なぜ大阪経済がよみがえるのでしょうか。