「うちの子供たちが映画が好きなのは、ママが好きだからだね。」
映画好きというのは、親からも影響されるのかもしれない。
私の両親も映画が大好きだった。いまも健在なので「だった」と過去形で書くのは問題あるかもしれないが。
レンタルビデオなんか無い昔、家の近所には二番館なる映画館が三軒あった。いわゆるロードショウ館ではない。安くて大体2本から3本立てだった。そうだった、二番館とは言わないで名画座と言うんだった。
母はよく私の手を引いて、その名画座に連れて行ってくれた。あるときは母と二人で、又は母と姉妹二人または三人で、だけれど母と姉妹四人で行った事はない。なぜなら、私と末の妹は10歳の年の差があって、10歳の私は、もう母とは映画には行かなかったからだ。
名画座の子供料金は、私が小学校2年の時百円ぐらいで、一ヶ月のお小遣いの4分の一程度、充分子供たちだけでいける金額だった。
街で新作の映画のポスターを見かけると、
「よし、これ●●●座に来たら、行こう。」と子供だった私は思った。それは、テレビのCMで、その映画が観たいと思った子供が、
「よし、これビデオで出たら借りてもらおう。」と思うのと似たような感覚だと思う。しかし、似たような感覚でも、腐っても鯛ではないが名画座でみる映画は映画そのもので、家のテレビでビデオを見るのとは同じではない。
それでも、レンタルビデオの普及等で、名画座というものが消えていってしまったことはことは、時代の流れと言えども寂しい事だと思っている。
昔テレビを見ていて、映画に影響を受けて俳優になった人や、映画評論家になった人の話で、家の隣が映画館でよく裏口から入れてもらったと言うのがあって、とっても羨ましかったのを覚えている。毎回映画の内容が変わるたびに全部見ることが出来る環境というのは、どんなに素晴らしい事だろうか。
父と一緒に映画に行った思い出もあるが、なぜだか、私は父とは二人だけで、テレビの映画を見ていた思い出の方が強い。そして、私の映画好きはどちらかと言うと、この父からの影響と言えるような気がするのだ。
ブログの映画レビューは「最近、観た映画」についてが基本かもしれないが(新作にしても昔の名画にしても)私はここで、自分の中の記憶の中の映画に触れていきたいなと思っている。
要するに―映画と私― 又は―映画の思い出― というのがテーマと言えるかもしれない。
その中で、読んでくださる方の思い出にクロスするものがあったりしたならば良いなとも思ったりしている。