しかし、あれだね。この記事には関係のない独り言だけど、
「老いる」って言う事は、いつの間にか、周りが病人と老人そして頑固ジジイばかりになっちゃうって事なんだな。
フフフと笑ってみたら、ちょっとだけそれを受け入れる事が出来たみたい。
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と言うわけで、今日は少々遅れて感想を書いている、「『ポーの一族』秘密の花園」のVol.3の感想で
「ポーの一族」秘密の花園 Vol.2の続きです。
華やかで自己主張の強い人に感じたパトリシアでしたが、その時代に生きた普通の女性でしたね。
美しくそして女性らしい優しさを持っていて、アーサーにとってはとっても大事な人だったと思います。それでもその時代の普通の女性らしく、若くして親が決めた人に嫁ぎ、嫁いだからにはその人に尽くし、少しでも自分の意見を言うと
「女のくせに口答えするな」と言われてしまう・・・・・。
敢えて言えば、パトリシアのような人でさえもです。子供の頃は、少年たちの中心に咲く大輪の花だったと思うに。
女性の描き方が、凄くシビアでリアルに感じました。
アーサーの母メリッサも、命を自ら断つ人を描くのに類型的に描かれるような、楚々としてか弱く影のように儚い人のようには描かれていませんでしたね。
パトリシアの縁談をそっと打診に来たバンクスたちに、アーサーを奪われまいとヒステリックに罵倒します。
アーサーは自分の知らないうちに、母の身勝手な態度で幼い恋を失っていたのですね。
だけど離婚問題で揉めていて、夫に捨てられる女性の目いっぱいギリギリの姿がそこにはあったかも知れません。
アーサーの物語・・・・・。
そこにエドガーやアランが居なくても、ググッと引き込まれました。
アーサーとパトリシアのフォルテとダ・カーポをまつわる話も、凄く素敵でした。
そしてドミニクの詩と手帳に描かれていた少年時代の話も、それ自体が詩的。
ずっと変わらずにそこにいたドミニクに、自ら望んでいたとしても変わっていくことを余儀なくされていたアーサーは、心の奥底ではそれを妬ましく思っていたのでしょうか。
エドガーはアーサーに絵を描かれながら、彼の話・彼の気持ちを引き出していました。
《「読んだ詩を笑われてドミニクは怒った ?」
「・・・バラの陰で泣いていた」
「なぐさめた ?」
「いいや」
「友達だったのに ?」》 本文一部抜粋
アーサーは思わず、過去の自分と向き合っていくのでした。
エドガーを通してドミニクを描こうとしているのに、すべてエドガーになってしまうランプトンの模写。
ドミニクは14歳で天使のままで亡くなり、大人になったぼくは汚れて きっと天使を描くことはできないんだ、とアーサーは一人思うのでした。
しっとりとしたアーサーに物語が綴られた後、それだけではもちろん終わりません。
人の良いバンクス爺を襲うシーンは、かなり怖いシーンでゾクゾクしました。彼が善人であるかどうかなど関係がありません。
エドガーにとって彼は獲物のひとりにしか過ぎないからです。
しかし彼が狩りをするシーンを私たちに見せるのは、いつも誰かのためですね。リデルの両親を襲った時も、やはりアランのためでしたし。
そしてそのバンクスの葬儀の時に語ったパトリシアの告白は、吃驚するものでしたね。
エドガーたちは「切り裂きジャック」とも絡むと言う事なのかしら。
今回も滅茶苦茶面白かったです。
そして次回も凄く楽しみです !!!
☆ トップ画像は「横浜イングリッシュガーデン」。メリッサ夫人の庭のイメージだなと思ったものですから。
このブログで「横浜イングリッシュガーデン」を検索していただければ、美しい薔薇と紫陽花の花々を見る事が出来るかと思います。
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このお約束が、嬉しいですね♡