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森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた

2009-05-26 11:28:35 | 観劇・コンサート日記

 5月24日、シアターコクーンにて観て参りました。

どちらかのサイトでだったか、「元気が出る。」と言う言葉を見つけて、行くか行くまいか天秤にかけ、行かない方に傾いていた私の気持ちに変化が起きました。

「やっぱり行こう!」急遽、姉を誘って行く事にしました。

でも私・・。

鳳蘭に真琴つばさ、セットは大階段、「元気になる」と言うキィワードで、勝手にあの宝塚のような華やかな舞台が何処かで一度は展開されるのかと、期待してしまいました。

私の心の片隅に勝手に膨らませたイメージによる自爆的な何かがくすぶりだした頃、それを払拭するような思いがけない展開が起きるのです。

結構その趣旨は難解な深いお話でした。

見終わって、私がウームと難しい顔をしていましたら、姉が
「なんだか私、がんばらなくちゃと言う気分になったわ。」と言いました。

「ふーん。」「へえ~」と、私の心は密かに動揺。姉はこのお芝居で元気が出たのですよ。そう言えば、劇場から出てくる人の顔はみんな結構明るかったです。

そうすると、私は何かを見逃してしまったと言うのでしょうか。

でもそれは、頭の中でリピートしたい事がたくさんあって、単純に「元気、ヤル気」が出てこないだけなんだと思います。脳内二次的鑑賞をゆっくりやっていこうと思います。

なんたって劇中で三回も泣いてしまいました。ただ私は泣き虫なので、参考にはなりませんね。姉はクールな人なので劇中では一滴の涙もこぼしませんが・・・

だけど、吃驚しましたよ~!!

カテコで流れた曲!!
最初からの予定曲だったのでしょうか?
5月6日からの公演だから、公演前から決めていた予定曲ではないかも知れませんね。

思わず私も姉も涙です。カテコで泣くというのもアレですが・・・

何の曲かって?

それもネタバレになってしまうので、下の方に書いておきますね。

やっぱりこのお芝居は、私にとっては観るべきものだったのですよ。

 

30日までです。
以下ネタバレ感想です。
(と言っても、あらすじは追っていません。あらすじなどはこちらにあります。→ここ

 

  

 一幕目が終わった時、私は姉に言いました。

「風吹景子の世界が真実で、周りにいる人たちの方が夢の世界のような、そんな違和感を感じるなあ。」

もちろん、そんなSF的などんでん返しのある物語ではありません。

なぜそう感じたのか―

ちょっと私が最初に涙が出てきたシーンのお話をさせてください。

石楠花少女歌劇団のメンバーが、恐る恐る集まってきたシーンですが、最初は三人、そのメンバーが再会の喜びに沸き立っていると、後から後から人が現れて三十人になるのです。

このシーンは、ちょっと脳内で映像に転化させてしまいました。その転化した映像の中で一人一人が大きく映し出されました。爆撃によって散り散りになってしまった歌劇団でした。本当はどんなに再会しその生存や近況を知りたかったことでしょう。でも彼女達は自分たちでは、長い間それをしなかったわけです。

それは怖かったから。知りたくない現実がそこに待っているかもしれないからです。

問い合わせの電話でも、自分の事は何も言わないで切ってしまう・・
そんな風に感じました。

そんな彼女達が、新聞の優しい文面に惹かれて逃げていたものから向き合おうと、みんなみんな恐る恐る現れた・・・
そんな感じだったのでしょうか。

なので、ジーンと涙が溢れました。が、ワイワイと集まってみると、そんなことを感じさせるセリフもないし、雰囲気もまるで女子高校の同窓会のように見えてしまいました。

ああ、なんだか感動未満。

「三十人」とタイトルで謳っておきながら、これではただの脇役の群集ではないか―

それでなのか思考が飛んでいきます。

人はいったい、いつからいつを振り向いて懐かしく思うのか・・・
なんだか舞台を観ていたら、そんな疑問がわいてきたのです。

 

そんなところで一幕目が終わったわけではありませんが、心の中に巧く説明できないものを感じていたのです。

でもそれは良く考えると、真琴つばさの弥生理恵と三田和代の風吹景子のセリフの応酬の中にあったのだと思いました。

自分の「時」を止めて、夢見る永久少女である景子に
「思った以上のモンスター」と理恵はののしり、そんな理恵を景子は
「何処かの地下から出てきた亡霊」だと応えるのです。

そうか、と私は気がつきました。

「時」を止めてしまったがゆえに、景子はずっと「今」を生き続け、現実を生き続けている者は、過去からの亡霊となって「今」ここに集いあっている・・・

ゆえに最初に感じた、夢に生きるものと現実に生きる者の世界が逆転しているように感じたのだと思います。

 

次に涙が出てきたシーン。

もうこれは条件反射です。「ロミオとジュリエット」のセリフは辛いです。ロミオのセリフをいろいろな方が語って面白かったですね。

中川安奈の加納夏子の夜明けの別れのシーン。
「あれは雲雀ではないわ。」って、前から簡単に泣いてしまうシーンなんです。

最初に脇役の群集などと失礼な事を思ってしまった、元歌劇団のメンバーもどんどんパワーを持っていきましたね。追放された、たくさんのロミオを思ってたくさんのジュリエットが嘆き、遠くで砲弾の音がする。

この物語は、頭の中でリピートするたびにいろいろなものが、湧き出てくるような罠が仕掛けられているのかもしれません。

ああ、そうですね。劇関係の人は脳内リピートをしないで、また観に来てというかもしれませんね。今の私には無理な事ですが、お芝居と言うのはそういう楽しみがあるのかもしれませんね。(お芝居だけではなく本とか映画なんかもそうですね。)

 

「ロミオとジュリエット」の物語に託されたシーンで圧巻だったのは、やはりジュリエットが薬を飲むシーンと鳳蘭の弥生俊の墓地でのシーンでした。二人とも凄かったですね。

 

夢の途中で目覚める恐怖

「ロミオとジュリエット」のお芝居の中では、ひとり墓地の中で目覚めてしまう恐怖をジュリエットが語ります。暗い地下の墓地の中で白骨と化した過去の人であったものの残骸、つい最近まで同じ時を生き生きと生きた従妹のティボルトの新しい遺体。シンと静まり返ったそこで彼の亡霊が語るかもしれない。その中で目覚めてしまう勇気を与えよと願いつつ薬を飲むのでしたね。

このお芝居の通し稽古の中で、徐々にずっと夢の中で生き続けた景子の中に変化が現れるのです。「生きたマネ」をし続けてきた景子の幕引きはジュリエットの選んだ道と同じ。

ずっと見ていた夢を、過去からの亡霊たちの中で目覚めさせる事を拒んだのでしょうか。

お芝居の中の悲劇は現実の悲劇となってしまいます。

私はここでもちょっと泣きながら、心の中の何処かで
「こんな話だったのか。」と、少し動揺していました。

ウエンツ君の北村次郎の
「あんた達、やりすぎなんだよ。」と言うセリフは、このラスト周辺では一番の現実的な言葉だったと思います。

若き次郎には彼から見た、この物語のストーリーがあったように思います。かつては父の愛した人かもしれない女性を、智慧を絞りここまで連れてきたのです。ロミオを演じさせる事によって、彼女に救いを与えたかったはずです。

・・・こんな終わり・・・
次郎の驚きは半端ではないと思います。ずっと見守り続けた「バラ戦士の会」の男達の動揺も同様(ドウヨウもドウヨウなんて書いて喜んでいるようじゃ、おばさん度が増しちゃったかな・・汗)。

だけど彼らの現実の嘆きは、あっという間に片隅に追いやられてしまいます。

三十人のジュリエット、このラストの群像劇は素晴らしかったですね。

「ああ、私は忘れたい。でも・・・」
・・・
・・・

セリフを覚えていないのが悔しいほど残念です。

 

そして最後に夏子が決めのセリフを言うのですが、痺れましたね。

不正確なので書けませんが、
―今を生きろ、今の自分の歌を歌え
と言う内容だったかと思います。
・・・プログラムの中にセリフを見つけました。
「うたえ!自分の歌をうたえ!」でした。

そして三十人の女達の叫びで舞台は終わります。

 

 体から搾り出すような夏子の叫びに、感動した方の多いかもしれません。その方々には、次に書く事は叱られてしまいそうですが、この時夏子の声が、擦れていなく透き通った甲高い声であったなら、たぶん鳥肌が立ったと思います。

でも生の舞台はそんなところが、堪らなくいいんですよね。

女達の叫び、その時流れた曲は「姫神」でしょうか。違うかな?映画の「ミスト」で流れた曲の方かな。ぴったりでしたね。プログラムに音楽情報もちょっと欲しいですね。

女達の叫びの声を聞きながら、私の中で一幕目の終わりに感じた、夢に生きるものと、現実に生きるものの微妙に違うと感じたパズルが、符合していく、そんな感じがしたのでした。

 

長々と感想を書いてしまいました。読んでくれる人なんかいるのかな?
と言う疑問は闇に閉ざし、カテコで流れた曲ですが、なんと忌野清志郎の「ディドリームビリーバー」だったのですよ!!

ねえ~、驚いてしまいますよね。

でも、「雨の夏、」で検索してきたいただいた方には、ナンデか分からないと思います。こんな所などを読んでくださると幸いです。
こんな所
ついでにここも

最後にミーハーチックに叫ばせてください!

蘭さま~、つばささま~、やっぱり超カッコイイ~

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (2)
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