

生き尽くす。
その使命を、その大切な人を、守るために。
製作年度 2010年
上映時間 133分
原作 池宮彰一郎 『最後の忠臣蔵』(角川文庫刊
監督 杉田成道
出演 役所広司/佐藤浩市/桜庭ななみ/山本耕史/風吹ジュン/田中邦衛/伊武雅刀/安田成美/片岡仁左衛門
赤穂浪士の吉良邸討ち入り事件で大石内蔵助率いる四十六士が切腹して主君に殉じた中、ひそかに生き残った二人の男の知られざる物語を描く。

大石内蔵助から密命を受けた為に、心ならずも名誉の死を遂げることが許されなかった二人の男の、
討ち入りから16年後の、16年を掛けた物語―。
とっても良かったです!大好きな作品に出会えました

大石内蔵助という人物がいかに深慮遠謀の人であったか、
序盤の吉良邸討ち入り後、寺坂吉右衛門の働きをねぎらい、すぐさまお家断絶後の家臣の家族のその後のフォローを命じ、
後に明らかとなる瀬尾孫左衛門へは、まだみぬ吾が子の行く末を細かに指示した上で託すなど、
先に観た「十三人の刺客」の明石藩主や、「必死剣 鳥刺し」の海坂藩主のような暴君とは大違いの、人望厚き赤穂藩家老であったことが伝わってくる。
年末にはお馴染みの『忠臣蔵』は、その忠誠心、武士道の犠牲的献身など、
現代の誰もが忘れてしまったような、むしろ軽視されがちなその一途さが、3百年の時を超えてなお人気があるのは、
やはり日本人の中に否応なく繰み込まれているDNAもあるでしょうが、
まず一つに、この大石内蔵助というリーダーが、尊敬に値する人物として描かれているからだという気がしています。
その内蔵助に「お前は生きろ」と言われてからの16年を、「切腹を免れた者」として殉死した家族の冷ややかな目線に耐え続けた吉右衛門の孤独な旅が終わる時、親友の孫左衛門をみかける。

大石家の用人だった孫左衛門の16年は―・・・
誰にも知られずに、ひっそり主君の忘れ形見を育てる、緊張と使命感と、ある意味愛に満ちたものだった。
託された赤子だった可音を、慈しみ、傅き、導く。。。
だけれど、ひっそりとしたその生活も、美しく成長した可音に変化が訪れ、
孫左衛門に新たな試練と決断の時が近づいていた・・・

共に密命を受けながら、誰とも心を寄せ合えない旅をしてきた嘗ての親友同士が、
巡り会い、すれ違い、また心をひとつにするも、待っていたその時―。
任務を果たしながらも、16年のやるせない息苦しさから抜け出れない心の欠落した吉右衛門、佐藤浩市さんに胸が締め付けられました。

全てを捨てて殿の隠し子を育て上げる。そうしながらも、いつも主従関係を崩さない孫左衛門の脳裏に人形浄瑠璃が甦る時・・・
お髭に白いものが目立とうとも、役所さんはとてもセクシー!とてもチャーミング

迷い、悩み、怖れ、愛でる・・・全ての心情表現がビシビシ伝わってきました。

京都・大覚寺敷地の竹林は、孫左衛門が様々な想いで何度も歩く、隠れ家へと続く道。
本当にいい折々の竹林のシーンでした。
人形浄瑠璃「曾根崎心中」の舞台が上演されるのは、香川県仲多度郡琴平町に1835年に建てられた現存する最古の芝居小屋「金丸座」。
オフィシャルサイトを見るまでは素晴しいセットだと思っていましたが、ホンモノだったんですね~。
他にもこの作品の隅々まで、美術の数々が素晴しかったです

安田成美さん演じる夕霧邸も小粋で素敵な佇まいでした。

静かで、美しく、哀しい物語・・・
途中からぽとりぽとりと、泪が止まりませんでした。








恭子ちゃんと金城さんの『神様、もう少しだけ』の小岩井宏悦プロデューサーのお名前を
この作品の製作陣にみつけて、それも期待したところでした。
小岩井P、次は恭子ちゃんの「豆腐小僧」


>ぼくも涙腺決壊でした
オトナの男子がマジ泣きするのは長いこと見てないので、
これはそのチャンスだった貴重な1本でしたね^^
>佐藤浩市の目線演技
>すべてを画で見せた
全く仰るとおり、キャストとスタッフが最高の調和を見せた
自慢できる日本の映画でしたね♪
ぼくも涙腺決壊でした。
すべえt理解したよという佐藤浩市の目線演技、
どんどん膨らんでいく行列。
すべてを画で見せた、
ほんとうに映画らしい映画でした。
12月の忙しさがかなり老体にキテタみたいで(笑)
あんまりお出かけもしなかったよ~。
単身赴任・・結構新鮮じゃない?
気を遣うってのもなんかいいね(´艸`)
これは見せ方もヨカッタよね。
忠臣蔵の「前」「後」の、説明的じゃない見せ方が成功してた!
キャストも音楽も映像もステキだった♪
そうそう「金丸座」、何年か前、BSだったかNHKだったかで琴平歌舞伎の様子、みた気がします。
先の海外での評価もよかったとか、ホントに~?!
という日本ならではの武士道の描き方だったと思うのですが、
ちゃんと理解できるのでしょうか
私は最初から最後までドップリ好きな作品でした!
今年も押しかけますので、こんな作品に出会えることを願っています!
宜しくお願いします♪
私は帰省した主人に、せめてものと食事サービス頑張ったよ(単身赴任って、返って気を使う~爆)
そうそう、大石内蔵助って人物ありきなんだよね。
「忠臣蔵」の物語好きには琴線に触れたわ。
「金丸座」は、琴平歌舞伎で有名だったよね?趣がある素敵な芝居小屋です。
さすがにみゆみゆさんの記事は、一味もふた味も違っていて、
とっても興味深かったです♪
あの趣のある「金丸座」もいらしたんですね
あの辺りもなんて凝ったセットだろう~と感心していたんですが、
どこか懐かしさを感じさせるのも無理ないですよね~(笑)
早速ベストにランクインでした♪
こちらこそ、今年も宜しくお願いします♪
夕方の回だったからかも知れませんが、若いカップルとか、
男性のお一人様の姿も多かったですが、
やはり後半はすすり上げる声が聞こえてきましたよね。
語りすぎずにあのクライマックスに持っていく。
やはりスタッフも一流だと言うことを証明している作品だと思いました。
お正月は少しのんびりできましたか?
miyuさんのバランスのいいレビュー、今年も楽しみにしています
別角度での忠臣蔵、良い時代劇でしたw
昨年はお世話になりました。
今年もよろしくです!
役者さんもすばらしかったですし、映像もすばらしかったです。
あの人形浄瑠璃の芝居小屋のロケに使われた金丸座には以前訪れたことがあるので、懐かしい~!あそこだ~と思いながら見ていました(笑)
佐藤さんも役所さんもその覚悟を背負ってきた男という
役どころにぴったりな素晴らしい役者さんですよね。
桜庭さんの初々しくも澄んだ美しさもまた
ぴったりな役どころでしたね♪
あ~もうあと2時間で年越しですね^^
今年もありがとうございました♪
来年もよろしくお願いしますね~☆
静かな佇まい、生き方。
美しい精神・・生き方。
哀しい想い。その選択、でした。
まさに"掌中の珠"と共にあの16年があり、それを手放す時にこそ、
彼の任が解かれる。
一人武士の魂である刀の手入れをする孫左衛門の姿に、
その時点で、もうその決意が見て取れました。
その通りでした。
決して派手ではないですが、日本人の心の琴線に確実に触れる物語。
最後の選択は悲しく、別の選択を選んで欲しいと思いつつも、あれしかあり得ないだろうということも良くわかります。
忠臣蔵というタイトルですが、これはまたテーマ的にも別物ですね。