to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

母なる証明

2009-11-05 00:55:49 | the cinema (ハ行)
最も"謎"に満ちているのは、
人間そのものである―。

原題 MOTHER
上映時間 129分 映倫 PG12
製作国 韓国
監督 ポン・ジュノ
原案 ポン・ジュノ
脚本 パク・ウンギョ/ポン・ジュノ
出演 キム・ヘジャ/ウォンビン/ チン・グ/ユン・ジェムン/チョン・ミソン 他

「殺人の追憶」「グエムル -漢江の怪物-」のポン・ジュノ監督がとある寒村を舞台に、息子の無実を信じてたった一人で真犯人探しに奔走する母親の執念の姿をスリリングに描き出した衝撃のヒューマン・サスペンス・ミステリー。
静かな田舎町。トジュンは子どものような純粋無垢な心を持った青年。漢方薬店で働く母にとって、トジュンの存在は人生の全てであり、いつも悪友のジンテと遊んでいることで心配の絶えない毎日だった。そんなある日、女子高生が無惨に殺される事件が起き、容疑者としてトジュンが逮捕されてしまう。唯一の証拠はトジュンが持っていたゴルフボールが現場で発見されたこと。しかし事件解決を急ぐ警察は、強引な取り調べでトジュンの自白を引き出すことに成功する。息子の無実を確信する母だったが、刑事ばかりか弁護士までもが彼女の訴えに耳を貸そうとしない。そこでついに、自ら真犯人を探すことを決意し行動を開始する母だったが…。

暗く、重い作品を覚悟して観にいきました。が、
意外なことに、そんなに暗いばかりの描写ではなかったです。

人は思いつめると、その行動はどこか喜劇的様相を帯びてくる。
そんな悲劇と喜劇は紙一重の、一生懸命になればなるほど嵌っていく母親を演じるキム・ヘジャは凄いです!

この作品を5年ぶりの復帰作に選んだウォンビンくんも、
今までに見たこともない、イメージをかなぐり捨てる演技で、謎に引きずり込まれました!
セリフも独特なテンポの言い回し。
何より、打算の無い喜怒哀楽を、内から滲み出る恐怖と恨みを、
陽と陰の演じわけが巧かったと思います。

知的障害児を抱え、共依存ともいえる母には共感する部分もありながら、
ここまでやってしまう母には遠く及ばないけれども、
目の中に入れても痛くないトジュンの一言に傷つき崩れ折れる母には泣けました。

息子を取り戻すため、なりふり構わぬ母の鬼気迫る迷走の日々。
孤独な闘いに味方は現れるのか?!

何度か 嗚呼…… と母の胸の痛みを共に感じ、
この先もトジュンが見つけてくれた針で、自らの癒しのツボに何度針を打つのだろうかとの
余韻の残るラストでした。
恐ろしい緊迫した状況を繋いでいきながら、どこかユーモアも感じる―。
そしてまた、そこが悲しい作品でもありました。