to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

アンナとロッテ

2009-11-16 23:19:25 | the cinema (ア行)
ずっと一緒にいたかった……
原題 DE TWEELING/TWIN SISTERS
製作年度 2002年
製作国 オランダ/ルクセンブルク
上映時間 137分
監督 ベン・ソムボハールト
出演 テクラ・ルーテン/ナディヤ・ウール/フドゥルン・オクラス/エレン・フォーヘル/ユリア・コープマンス/シーナ・リッヒャルト/ユルン・スピッツエンベルハー/ローマン・クニッツカ

オランダの女性作家テッサ・デ・ローの同名ベストセラー小説を映画化。2003年度のアカデミー外国語映画賞ノミネート作品
1926年ドイツ・ケルン。幼い双子の姉妹、アンナとロッテ。いつも一緒で仲の良い2人は、ある日突然、両親の死によって引き裂かれてしまう。アンナはドイツの貧しい農家に、一方のロッテはオランダの裕福な家庭に引き取られる。離れ離れになってもお互いを想い続ける2人。ロッテはアンナに宛てて手紙を書き続けた。しかし、その手紙は養父母によって秘かに処分されていた。お互いに相手が死んだと教えられ成長した2人だったが、ある時アンナが生きていると知ったロッテは彼女を訪ね、感動の再会を果たす。しかしそれも束の間、彼女たちにはさらなる過酷な運命が待ち構えていた…。

あらすじだけを見ると、昔の少女漫画のような絵に描いたようなストーリーですが、
二人の生家がドイツであったこと。
二人が生木を裂かれるような別れをしたのが、まだ6歳という幼年期だったこと。
そして、再会できたのが、ナチスが台頭し始めた時代で、二人が別々の国でその時代を迎えたこと―が、
その後の二人の人生に大きく関係して、ドラマチックな展開にしていきます。

この双子の主人公を6人で演じるわけです。

少女期のロッテは結核という設定なので、いかにも病弱な色白のユリア・コープマンスという子役。
農家に引き取られるアンナぷっくりほっぺで眉が太いシーナ・リッヒャルトで、
おそろいのドレスだととても似ている。

でも、若き、10代から20代を演じる段階で、私は戸惑う。
きかん気そうなふと眉毛でぷっくりほっぺが"ロッテ"テクラ・ルーテン
腺病質そうな色白の方が"アンナ"ナディヤ・ウールとなり、
また老いたふたりはどうしても若き時代の二人から似ても似つかない、イメージ的にもまた逆のふたり・・・
"ロッテ"は高ピーだが細く白髪のエレン・フォーヘル
"アンナ"はまたふと眉ででっぷり、、、フドゥルン・オクラス

近頃ではこいういう子供時代から役者が代わっても、どこから見つけてくるの?と感心するぐらいの作品が多く、
こんなに似ていない、しかも時代が変わる度に双子の体型やイメージが反対というのも珍しいくらいで、
およそ双子という設定に無理があるし、混乱しました。

ですが、そのパートそのパートの各人の演技はみな素晴らしく、
混乱はするものの(イメージ的に)
それぞれのパートでは思い切り感情移入できますし、ふたりが愛しいです。

裕福な家に貰われていくけど、心は離れていくばかりのロッテは、やがて愛する人に出会うのですが、
オランダでは問題にならなかった彼がユダヤ人ということも、
ロッテがドイツ人ということも、やがて大きな問題として心に棲み付きます。

ドイツの貧しい農家に貰われたアンナの人生は更に壮絶を極めます。が、
裕福な生家で幼い時にもう読み書きが出来ていたことが、彼女の人生を幾度となく救います。
そして自分で人生を切り開いて、やがてドイツ軍の将校と愛し合うことに―。

この若き時代のアンナと、ロッテ、演じた女優の巧さもあるのですが、
どちらの恋も上手くいって欲しいと祈らずにはいられない、
盛り上げ方がとても素晴らしいドラマになっていました。