ボクんち、不協和音。
上映時間 119分
脚本 マックス・マニックス/黒沢清/田中幸子
監督 黒沢清
音楽 橋本和昌
出演 香川照之 小泉今日子/小柳友/井之脇海/井川遥/津田寛治/児嶋一哉/役所広司
東京に暮らす、ごく普通の家族がたどる崩壊から再生までの道のりを、家族のきずなをテーマに見つめ直した人間ドラマ。日本が直面している社会問題を、独特の緊迫感でサスペンスフルに描く黒沢の演出に注目。(シネマトゥデイ)
佐々木家はトウキョウに暮らす一見ごく普通の4人家族。平凡なサラリーマンの父・竜平は、家長としての自負を持ち、家族のために懸命に働いてきた。ところが、ある日リストラであっさり会社をクビになってしまう。その事実を家族に伝えられず、毎朝スーツで家を出ては、公園などで時間をつぶす竜平。母・恵は、せっかくドーナツを作っても誰にも見向きもされないなど、やり場のない不満と虚無感を募らせる。一方子どもたちも、大学生の長男・貴は、突然アメリカ軍への入隊を志願し、小学生の次男・健二は家族に内緒でピアノ教室へ通い続けていた。すっかり家庭崩壊への道を突き進む佐々木家だったが…。
最初に予告で目にした時に、にやりとしたシーン。
本編を通してみると、可笑しいのに、笑えない。
「ゆれる」の時以上かもしれない香川照之さんの演技に圧倒されました。
殆どのシーンでその時々の心理を全身で演じたキョンキョンも凄く伝わるものがあり
とっても心に残る作品でした。
観ている時よりも、観て時間が経ってからのほうが(日曜に観ました)心に迫ってくるものがあったというか、
余韻の残る、いい作品でした
何時もと変らない日常が、ある日それぞれに変り始める。
父は小学生の子供と同じくらいの帰宅時間になり、
母は、、その家での存在自体に虚しさで気力を失いかけていたし、
子供たちも自分の目の前の社会や生き甲斐を相手に闘っていた。
しかし―家族で闘ってはいなかった―。
冒頭に、なぜか心惹かれる印象的なシーンがある。
激しく降り出した雨に気付いたこの家の主婦恵(小泉今日子)がベランダに向かうシーン。
吹き込んだ雨が水溜りを作っていてそれを黙々と拭いている姿。その水溜りが
この家の家族の心に溜まっている怒りや悲しみを象徴しているようにみえる。
そしてもう一つ。
怒りや、恐怖や、諦め、疑い・・など、様々な思いを抱える彼らが、
黙々と食事を取るシーン。
大きいお茶碗をみつめながら、黙々と、でももりもり食べるんです。
失ったものを補給するように。皆が。
―ゆっくり沈んでいく船―
そういった嘗ての同級生・黒須のキャラも、自演のEPとか、可笑しいのに笑えない。
この黒須と過ごす時だけ、どこか救われていた竜平に変化が訪れるのだけど・・・
あり得ないような展開も、アルかも知れない。
あって欲しい展開も、、あるかも知れない。
デフォルメされたトウキョウ――でも、本当はもっともっと色んな貌をもっている。
歩き疲れた兵士のようだった夫婦が、
一筋の優しい光に導かれるように・・・・・・
何かがあるから生きているわけじゃない。でも、
何かが欲しくて生きている。
そんなことを考えながら、
ドビュッシーの『月の光』に癒されて帰ってきました
上映時間 119分
脚本 マックス・マニックス/黒沢清/田中幸子
監督 黒沢清
音楽 橋本和昌
出演 香川照之 小泉今日子/小柳友/井之脇海/井川遥/津田寛治/児嶋一哉/役所広司
東京に暮らす、ごく普通の家族がたどる崩壊から再生までの道のりを、家族のきずなをテーマに見つめ直した人間ドラマ。日本が直面している社会問題を、独特の緊迫感でサスペンスフルに描く黒沢の演出に注目。(シネマトゥデイ)
佐々木家はトウキョウに暮らす一見ごく普通の4人家族。平凡なサラリーマンの父・竜平は、家長としての自負を持ち、家族のために懸命に働いてきた。ところが、ある日リストラであっさり会社をクビになってしまう。その事実を家族に伝えられず、毎朝スーツで家を出ては、公園などで時間をつぶす竜平。母・恵は、せっかくドーナツを作っても誰にも見向きもされないなど、やり場のない不満と虚無感を募らせる。一方子どもたちも、大学生の長男・貴は、突然アメリカ軍への入隊を志願し、小学生の次男・健二は家族に内緒でピアノ教室へ通い続けていた。すっかり家庭崩壊への道を突き進む佐々木家だったが…。
最初に予告で目にした時に、にやりとしたシーン。
本編を通してみると、可笑しいのに、笑えない。
「ゆれる」の時以上かもしれない香川照之さんの演技に圧倒されました。
殆どのシーンでその時々の心理を全身で演じたキョンキョンも凄く伝わるものがあり
とっても心に残る作品でした。
観ている時よりも、観て時間が経ってからのほうが(日曜に観ました)心に迫ってくるものがあったというか、
余韻の残る、いい作品でした
何時もと変らない日常が、ある日それぞれに変り始める。
父は小学生の子供と同じくらいの帰宅時間になり、
母は、、その家での存在自体に虚しさで気力を失いかけていたし、
子供たちも自分の目の前の社会や生き甲斐を相手に闘っていた。
しかし―家族で闘ってはいなかった―。
冒頭に、なぜか心惹かれる印象的なシーンがある。
激しく降り出した雨に気付いたこの家の主婦恵(小泉今日子)がベランダに向かうシーン。
吹き込んだ雨が水溜りを作っていてそれを黙々と拭いている姿。その水溜りが
この家の家族の心に溜まっている怒りや悲しみを象徴しているようにみえる。
そしてもう一つ。
怒りや、恐怖や、諦め、疑い・・など、様々な思いを抱える彼らが、
黙々と食事を取るシーン。
大きいお茶碗をみつめながら、黙々と、でももりもり食べるんです。
失ったものを補給するように。皆が。
―ゆっくり沈んでいく船―
そういった嘗ての同級生・黒須のキャラも、自演のEPとか、可笑しいのに笑えない。
この黒須と過ごす時だけ、どこか救われていた竜平に変化が訪れるのだけど・・・
あり得ないような展開も、アルかも知れない。
あって欲しい展開も、、あるかも知れない。
デフォルメされたトウキョウ――でも、本当はもっともっと色んな貌をもっている。
歩き疲れた兵士のようだった夫婦が、
一筋の優しい光に導かれるように・・・・・・
何かがあるから生きているわけじゃない。でも、
何かが欲しくて生きている。
そんなことを考えながら、
ドビュッシーの『月の光』に癒されて帰ってきました
香川さんの演技、私も『ゆれる』を思い出してしまいました。
何とも言えない表情がうまいですね。
小泉さんも、何を考えているのかわからない表情しますよね。
あの曖昧さが、映画なのに妙にリアリティを生み出しているように感じます。
TBさせていただきますね。
弱い、不器用な、頑なな父親から目が離せませんでした。
多かれ少なかれ、こういうとこありますよね。
ダメだとどこかで解っているのに、突き進んでしまう。
立ち止まれない、引き返せない、勇気がない。。本当に上手い役者さんです。
キョンキョンも、堕ちるトコまで堕ちた女のスイッチの変わり目を上手く演じてて、
とても感情移入できました
kiraさんも、とても魅了されたようで何よりですー
そうそう、後からジワジワくるタイプの作品でしたね。
私も、黒須の場面は最初はゲラゲラと笑っていたのですが。よく考えてみたら、余り笑えないよなぁ・・・といった具合に、後からジワジワときました。
この作品は、香川さん主演で正解ですよね。
私は、役所さんの場面が少し浮いて見えたんですよ。役所さんのような熱演する俳優さんと、この作品の流れがはまらないような気がして。(役所さんは好きな俳優さんの1人です)
ラストの香川さんが目に涙を一杯ためている表情なんて、ジーンときました。
パンフレットに、あの場面は監督の指示が一切なかったとあって(キョンキョン談)
香川さんとキョンキョンの自然体の演技が、心に深く残りました。
何度も繰り返し描かれている
「家族の崩壊~再生」というテーマを、
この実力派2人を使って、どういう風にみせてくれるのか、
とても期待がありました。
現実を受け入れられないでいる竜平の毎日。そこに登場する黒須。2人の時間―。
その描写が、リアル東京でありながら、異空感のように感じられたり、
何事も起こらない日々に疲れていた妻に訪れた時間もまた異空間のようでもあり、
自分を見失った大人を演じたふたりの底力を見ることが出来ました
黒須、竜平、恵、そして泥棒になっちゃった男、、
それぞれの結末に教えられるものはあり、
あきらめない日常に帰っていけるいい作品でした~
普通の家族の日常の普通だけど普通じゃないこと。
そんな家族の風景でした。
香川さんはガニマタ(O脚?)ぎみの歩き方からしてうまいよなぁ、と感心するばかり。
あの家族の住む線路ギリギリに建つ家の存在が彼らの生活に妙にリアリティを与えていたように思いました。
私は彼の唇の開き具合と、目の開き具合に感心しきりだったでございます(笑)
なんでこんな開け方がこんなにセマルんだろう~です!
そうですね、ホントは今は少なくなった権威をより所のお父さん。その父が頑張って建てた一戸建ての家。
食事風景。
あの後の家族の食卓も見てみたかったですよね~
>冒頭に、なぜか心惹かれる印象的なシーンがある。
私もそのシーンには心惹かれました。これから見る家族のドラマの予告のようでした。しかも小泉さんのシルエットも綺麗でしたね。
>何かがあるから生きているわけじゃない。でも、
何かが欲しくて生きている。
いろいろな事を考えたくなる映画でしたね。
ところでなんですが、kiraさんのこの「to Heart 」を、私の所のお気に入りに入れさせてくださいね。
そうでしたね~。
キョンキョン(どうしてもこの呼び名で呼んでしまう)のシルエット、
どこかネジを失くしているような不安な動きにも惹かれました。
劇中の、黒須と恵のセリフは印象的なものがありました
「お気に入り」だなんて嬉しいです~
拙い記事ばかりですが、いろいろとお話させて下さい。
こちらこそこれからも、宜しくお願いします♪
自分でも気付かないで堪っていく不満や何かでいっぱいになっていく様子は見ていて苦しいですよね~
お父さんが「いただきます」を言うまでじっと待たされているあの間も苦しかったです。そしてそれが自分の特権で家長であることを実感している様子は何だか哀れでした~
それを当たり前だとする父親の姿。
どこかにいるかも知れないけど、ここもデフォルメされたトウキョウの姿が描かれてましたね~。
滑稽で哀しい男の姿を露骨なほどみせてくれたので、
それだけに、焦りまくる姿もまた解るのでした
このあり得なさが、リアルと背中合わせのような感覚がちょっと怖くもありましたね~。