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to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

耳に残るは君の歌声

2008-04-22 22:43:39 | the cinema (マ・ヤ行)
原題 THE MAN WHO CRIED
製作年度 2000年
上映時間 97分
監督 サリー・ポッター
音楽 オスヴァルト・ゴリジョフ
音楽プロデューサー サリー・ポッター
出演 クリスティナ・リッチ/ジョニー・デップ/ケイト・ブランシェット/ジョン・タートゥーロ/ハリー・ディーン・スタントン/オレグ・ヤンコフスキー

1927年、ロシア。貧しい村に住むユダヤの少女フィゲレ(クリスティナ・リッチ)は母を亡くし父と祖母と暮らしていたが、父はゆくゆくは娘を呼び寄せると胸に誓いひとり渡米を決意する。しかし、やがて戦火の荒波の中フィゲレはひとりイギリスへと流れ着き、スージーと名付けられキリスト教の家庭に預けられる。言葉が通じず孤立するスージーはある日、ジプシーの一団を目にしたとき、その口から美しい歌声を発した。10年後、成長したスージーは父を探す旅に出る・・・・・・。

ロシアでの幼少期に迫害に遭い、祖母が持たせてくれた金貨と父の写真を胸に
頼りの年長の少年等ともはぐれ、"アメリカ"であって欲しかったそこはロンドンだった・・・
この幼いフィゲレの瞳が哀しい。

それからスージーとして育ち、心を閉ざしたままのロンドン生活に別れを告げるのは10年後。
再びコインと写真を胸に旅立った、第2次大戦直前のパリが主な舞台となる。

少しネタバレ★してます↓



コーラスガールとしてアメリカ行きの旅費を貯めたいロシア出身のスージーが
そこで出会う、故郷を追われた3人の若者。
ダンサーを夢見るロシア人のローラ(ケイト・ブランシェット)。
オペラ歌手として成功しているが、イタリアの貧しい生活から這い上がってきたダンテ(ジョン・タートゥーロ)。
そしてジプシーとして流れてきたチェザー(ジョニー・デップ)。

野心家のローラは美貌を武器に、オペラの舞台に君臨するダンテに近づき、やがて華やかな生活を手にするが、
ドライにみえるローラもいつも孤独の影を引き摺っている・・・

父を思い出させる歌声のダンテに一時は気を惹かれるスージー。
そんな彼女に優しい視線を投げかけてきたチェザーと、初めて心を許しあえたスージーなのに、
ドイツ軍のパリ侵攻によって、スージーに身の危険がせまり・・・
幸せの最中にも寡黙な二人。
言葉はなくても、なぜかロシア時代にもロンドンでもジプシーに強く惹かれていた
魂が求めていたような二人だったのに、ここでドイツ軍に殺されてはいけない。
白馬のジョニーは言った「生きていれば、君を待ってる」

ダンテへの見切りをつけたローラはスージーとの友情を取り
スージーは父への想いを胸に、
ダンテは神に祈り、
チェザーは家族の為に生きる―
混乱のパリで愛と裏切りが交錯し、また生きる為の次の戦いに向かう若者たち・・・

暗い画面を流れるビゼーの「真珠採り」、プッチーニやヴェルディのアリア、懐かしいシャンソン。
音楽もまた孤独のうちに惹き合い、すれ違う4人のように哀しい。。。

主演はクリスティナ・リッチなのだけれども、個性派揃いで皆いい。
ジョニーは何をやっても嵌るけど、今回は白馬のジプシー!器用なところを見せています
ケイトは先日の「リプリー」の翌年の出演作ということだけど、役柄の所為か、とてもこちらの方が大人っぽく、色っぽい

煌びやかさと対極に生きるひとたち、その人生。
暗い映像が苦手な人は駄目かも知れないですが、私は好きな雰囲気でした。



マイ・ブルーベリー・ナイツ

2008-03-28 15:49:19 | the cinema (マ・ヤ行)
原題 MY BLUEBERRY NIGHTS
製作年度 2007年
製作国・地域 香港/中国/フランス
上映時間 95分
脚本 ローレンス・ブロック 、ウォン・カーウァイ
監督 ウォン・カーウァイ
出演 ノラ・ジョーンズ/ジュード・ロウ/デヴィッド・ストラザーン/レイチェル・ワイズ/ナタリー・ポートマン

香港の名匠ウォン・カーウァイが、アメリカを舞台に描くロードムービー仕立てのラブストーリー。

恋人の心変わりで失恋したエリザベス(ノラ・ジョーンズ)は、元恋人の家の向かいにあるカフェに出入りするようになる。毎晩、ブルーベリーパイを用意してくれるオーナー、ジェレミー(ジュード・ロウ)と話すことで、徐々に慰められていくエリザベス。しかし、どうしても終わった恋を引きずってしまう彼女は旅に出る決心をする。(シネマトゥデイ)

先ず、エリザベスの失恋自体にリアリティを感じられないから、
失恋したって騒いでる彼女の心の傷があまり伝わってこなかった。
手付かずのブルーベリー・パイを、ただ嗜好の問題だというジェレミーは鍵を捨てられないロマンチスト。
NYで一番美味しいパイの店のオーナーとして働く珍しいジュードの姿が観れる(笑)
そして、いつしか彼の待つものが変わっていくのだが・・・

エリザベスの物語・・・というにはちょっと、という内容。
使われない鍵と、売れ残るブルーベリー・パイ・・・
ニューヨークで待つのが、単なるパイ屋のオヤジでなく、ジュードだったから
この話がラブストーリーになった気がする。

エリザベスがNYを遠く離れて出会った男女との関わりも、なぜ相手がエリザベスだったのか
孤独な勝負師として生きるレスリーとの関わりで何を学んだのか、なぜNYに帰ったのか
その決め手がなかったように思う。

大切な物への扉を開く"鍵"はあっても、
もうその中に大切なものは入ってないかもしれない。
過去にしがみついて時を浪費していても、前には進めない。過去の自分でしかない。

3つのEPにそれぞれ魅力的なキャストが配されていたのが
最後まで飽きさせなかった理由だったのだろう。

個人的には、ただ美しいだけでなく、その演技力、存在感においてさすがのジュード・ロウと
ナタリー・ポートマンが光っていた作品だった

「恋する惑星」でウォン・カーウァイに出会った人にとっては、この作品は感激とまではいかなくても
懐かしさは感じられる、オシャレなタッチの作品ではないかと思う。

魔法にかけられて

2008-03-11 20:58:42 | the cinema (マ・ヤ行)
原題 ENCHANTED
製作年度 2007年
上映時間 108分
監督 ケヴィン・リマ
脚本 ビル・ケリー
音楽 アラン・メンケン
出演 エイミー・アダムス/パトリック・デンプシー/スーザン・サランドン/ジェームズ・マースデン/ ティモシー・スポール/イディナ・メンゼル

アニメと実写を融合させたディズニーのファンタジック・コメディ

“アニメーションの世界”に暮らす心優しいプリンセスのジゼル(エイミー・アダムス)は、夢にまで見た王子様との結婚式の当日、意地悪な魔女に騙されて魔法をかけられてしまい、世にも恐ろしい世界へ追放されてしまう。そこは“おとぎの国”とは正反対の刺激的な“現代のニューヨーク”で、ジゼルはパニックに陥ってしまう。(シネマトゥデイ)

去年からすっごく楽しみに待っていました。
いそいそと先行上映で観てきました。が、
世間的には楽しめた方が圧倒的だと思いますが・・・期待しすぎたのでしょうか、
ファンタジー好き、ラブコメ好きなワタシですが―
なんだか、、普通??(笑)

ジゼルのアップが映った途端、になってしまい、、、
引退した歌のお姉さんが仮装してるようにしか見えなくて・・(ああ~~ん、ごめんよ~)
そこがねらい、にしてもちょっと引いちゃって、お伽の世界に入れなかったわ
プリンセスにしてはトシ取り過ぎぢゃないの・・って目の周りトカお肌トカ
歌重視のキャステイングなのかもでしたが、
その他のキャストも、この設定にしてはなんだか老けすぎ・・・。
あ、エドワード王子役のジェームズ・マースデンの浮きまくりキャラは良かった!
思ったより出番が少なくて残念だったくらい

魔女に「世にも怖ろしい世界」とか「永遠の愛なんて存在しない世界」とか
言われ放題のニューヨークでのロマンスも昔の映画みたいで
新鮮味に欠け、ふ~んという感じで見ちゃったし・・・ちょっと退屈で

頭の中では「木綿のハンカチ」のあのフレーズがぐるぐる
ねえ都会の絵の具に~ 染まらないで帰って、染まらないで帰って~

わくわくもドキドキも全くない―そう、記事にするのを止めちゃった
「ナショナル・トレジャー」の時と似てるかも。

ディズニーアニメが大好きな子供でも、このパロディを楽しめ、ミュージカルっぽい演出を楽しめるのは
男の子じゃムリじゃないか、とか。
この年齢のいったプリンセスとおとなの男の恋物語にどれだけ熱中できるんだろうとか
そんなこと考えながら観ていたわけです(笑)

でも、期待したほどではなかったけど、笑いどころもあり、
お馴染みの動物キャラは可愛いし、ディズニー好きの方には観る価値はあるかも!
そうでない方は、DVDでも、観てもみなくても、、

やわらかい手

2008-01-31 23:47:30 | the cinema (マ・ヤ行)
                    この穴から幸せが見える。
原題 IRINA PALM
上映時間 103分
監督 サム・ガルバルスキ
原案 フィリップ・ブラスバン
脚本 フィリップ・ブラスバン
出演 マリアンヌ・フェイスフル/ミキ・マノイロヴィッチ/ケヴィン・ビショップ /シヴォーン・ヒューレット/ドルカ・グリルシュ/ジェニー・アガター/コーリー・バーク

60年代の伝説の女神マリアンヌ・フェイスフルが、『あの胸にもういちど』以来39年ぶりに主演した女性讃歌。

ロンドン郊外に暮らす平凡な主婦マギー(マリアンヌ・フェイスフル)は、病気の孫の手術代を稼ぐ必要に迫られていた。偶然セックスショップの“接客係募集”の張り紙を見つけた彼女は面接を受け、採用される。オーナー(ミキ・マノイロヴィッチ)の見込んだ通り、彼女はその手の滑らかさで店でナンバーワンの“接客係”になる。(シネマトゥデイ)

ロンドンの曇った空。浮かない顔の暗い親子・・・。
重病の孫を見た途端に優しいお婆ちゃんの顔になるが、
病院を一歩出れば、先の見えない治療と、高額な医療費のためにまた重苦しい空気が流れる。
既に家も失い、ローンも断られ、仕事を求めて彷徨うマギーと、風俗店のミキとの出会い。
長年の専業主婦としての穏やかな真面目な生活が覗える“接客係”の理解も無理はない
この時、この世間知らずを嗤わず、婉曲な言い回しで中年女性に説明するミキが可笑しいけど
暗い容貌の中に潜む、人間的な優しさも感じたシーンだった。

一度は逃げ帰りながらも、高額を得る手段は他に無く、、何度となく自分の手を見るマギー
ただ愛する孫、オリーの為・・・
好奇心の強い村人の目を気にしつつも、黙々と仕事に通う。
そして目標の6000ポンドを手に入れるが――

マギーが良く立ち寄る地元のお店のシーンは、その時々の彼女の心を映し出し印象的…
財布が変り、タバコを吸い、"名誉の負傷"をし、、「イリーナ・パーム」は少しずつ変わって行く。

トシを取ってて、スキルもない―そう言われて、自分に自信が無かったマギーが、ソーホーの夜の街で出会った仕事と人との関わりの中で
次第に自分に自身を持ち、解き放たれていく過程を、マリアンヌ・フェイスフルが丁寧に演じていく
我慢することを止めて、見せかけの友達にも「親切に告白」
無くしたものは過去のもの。掴んだものは大切な絆。
彼女は黙ってただ大切なものに微笑む

劇場でパンフレットを見て、初めて気がついた。あのミック・ジャガーの嘗ての恋人
ドラッグ中毒、ホームレススクリーンから消えてその後の壮絶な人生は全く知らなかった。
その壮絶な人生を物語るように、年齢の割りに荒れた手、硬い爪。38年という年月が別人のように変えてしまった体型。
しかし、だからこそこの極めてセリフの少ないマギーの内なる心の葛藤も、強さも伝わってきた気がする。
どんな状況でも頑張って生きていけば、いいことがある♪この作品もまたそう思わせてくれましたね

ムーラン・ルージュ

2007-12-17 01:22:44 | the cinema (マ・ヤ行)
原題 MOULIN ROUGE!
製作年度 2001年
上映時間 128分
監督 バズ・ラーマン
出演 ニコール・キッドマン/ユアン・マクレガー/ジョン・レグイザモ/ジム・ブロードベント/リチャード・ロクスバーグ/ギャリー・マクドナルド

1899年パリ。作家を目指してモンマルトルにやってきた青年クリスチャン(ユアン・マクレガー)は、宿で知り合った芸術家たちとアブサンをひっかけて潜入したナイトクラブムーラン・ルージュの高級娼婦サティーン(ニコール・キッドマン)に恋をする。
華麗なショーで成功しているように見えるムーラン・ルージュも舞台装置に金が掛かり経営は火の車。
オーナーのジドラー(ジム・ブロードベント)は、資産家の公爵(リチャード・ロクスボロウ)に新しいショーの主役サティーンをあてがうことで出資して貰おうと考えていた。
しかし、サティーンはクリスチャンを公爵だと勘違いしてベッドに誘い込もうとするが、思いがけず、彼に恋してしまう。

純情な貧乏作家と、女優を夢みる"日陰の花"の恋

資産家の公爵を抱きこみたいジドラーと、
サティーンを我が物にしたい公爵の、数々の策略と妨害が愛し合う二人を襲う。

そして、二人の愛でも抗えない悲劇が待っていた・・・

           


ニコール・キッドマンの素敵な衣裳は、マリリン・モンローやリタ・ヘイワースといった
往年のハリウッド女優をイメージしてデザインされたものだとか。
衣装の下につけるコルセットが原因で、キッドマンは肋骨を2度も骨折
「私は女優」というシーンでは、まさに"女優魂"で車椅子に乗って撮影に挑んだのだそうだ

スレンダーなんだけどちゃんと女性らしい優しい曲線もあって、
この頃のニコールは本当にキレイです!
もちろん歌も頑張っていました

悪戯っぽい少年のような目をしたユアン~
ちょっと気恥ずかしくなるくらいの純情青年を好演しています
今となっては懐かしいヒット曲の数々を、愛情たっぷりに歌うニコール&ユアンは、
可愛く、切なく・・・
ジドラーが公爵をまるめ込もうと、歌い踊るシーンは思わず噴出しそうになるが、
くり返された古典的な悲恋ものなのに、やっぱり最後は泣けてきます

マイ・ルーム

2007-10-23 02:08:11 | the cinema (マ・ヤ行)
 心の部屋を開けたのは・・・
原題 Marvin's Room
製作年度 1996年
監督 ジェリー・ザックス
脚本 スコット・マクファーソン
音楽 レイチェル・ポートマン
出演 メリル・ストリープ/レオナルド・ディカプリオ/ダイアン・キートン/ロバート・デ・ニーロ

戯曲『マーヴィンの部屋』を映画化した作品。白血病といった重いテーマを扱いながら、人間ドラマとして希望のある描き方がよかった。

父親の看病を放棄し、実家から遠く離れた町で暮らすリー(メリル・ストリープ)。
姉のベッシー(ダイアン・キートン)は結婚もせず、寝たきりで認知症の父親と叔母の面倒を一人で看てきた。
しかしベッシーが白血病にかかり、親族の骨髄提供が必要となり、連絡を貰ったリーは20年ぶりに実家に戻ることに・・・・。

婚期も逃し、父親の介護を一人で担ってきた長女。
しかも同居の叔母さえも物忘れが酷く、父親の事を頼める状態にないのに、
相変わらず自分の事しか考えない妹・・・死ぬわけにはいかない、ベッシー。。。

美容師のライセンスを取り、子供2人と安定した生活をする為に頑張っているが
自己中心的で周りを見る余裕がなく、常にイライラとして
生きていくことで精一杯で息子のことが理解できない母親、リー。
姉の身体は心配だが、父親の看護を押し付けられたくない。

母親からの愛情を感じることが出来ず、記憶にも無い父親の写真だけを残し
家に火を放って、更生施設に入れられてしまうが、心の奥で母の愛情を試している
心の居場所を求め、自分をもてあます思春期の長男、ハンク(レオナルド・ディカプリオ)。

姉妹の20年振りの再会のシーンにあるぎこちなさ。
そこに長く実家に寄り付かなかったリーのうしろめたさが見て取れる。
ハンクや弟は、初めて会う叔母や祖父に戸惑いながららも子供らしく馴染んでいくが
リーは今までの生活を捨てる気はない。
姉とのわだかまりがとれていく一方で、
自分には反抗的なハンクが、会って間もない姉に心を開いていることに驚くリー。
ハンクの変化をみて、少しづつ変わっていく母親をM.ストリープが丁寧に演じていく。

主演は一応M.ストリープなのだが、3人の心情が同じような割合で映し出されるため、ちょっと見誰が主演か判らない。
ベッシーの包み込むような優しさと、病気への不安。
役作りの為か、パサついたようなダイアン・キートンに感情移入して観てしまいました。

やがて誰にも訪れる親の介護、または自分の病気、或は老い。
ベッシーの立場になるヒトもいるだろうし、リーのような生き方をしていた人もいるはず。
人が一人死んで何も変わらないということは無い。
ベッシーに命の危険があるということは、老いた二人の面倒を誰が見るかということも問題になるはずだが、ここでは直接的なセリフは無い。

痴呆のみられる老人二人との生活の中で、味わった事の無いハンスとのエキサイティングなドライヴに
悲鳴を上げながらも楽しむベッシーが微笑ましい。
この海辺のシーン、ディカプリオの悪戯っこい表情が可愛い♪
優しいベッシーとの触れ合いの中で、少しづつ変わっていく心の変化をその表情だけで伝えてくるレオの巧さはここでも光っている

派手なストーリー展開はないけど、どこにでも居るような壊れかけた家族が
現実から逃げないで、ぎこちないながらも寄り添っていく姿がえがかれるラスト。

「愛を注げる人がいたなんて、本当に幸せ・・」
介護に明け暮れた人生をこう締めくくる、ベッシーの言葉が胸に沁みる、いい作品でした

ミス・ポター

2007-10-19 01:07:02 | the cinema (マ・ヤ行)
原題 MISS POTTER
製作年度 2006年
製作国・地域 イギリス/アメリカ
上映時間 93分
監督 クリス・ヌーナン
製作総指揮 レネー・ゼルウィガー 、レニー・ゼルウィガー 、ルイス・フィリップス 、ナイジェル・ウール 、スティーヴ・クリスチャン
脚本 リチャード・マルトビー・Jr
音楽 ナイジェル・ウェストレイク
出演 レニー・ゼルウィガー/ユアン・マクレガー/エミリー・ワトソン/ビル・パターソン/バーバラ・フリン/マッティエロック・ギブス/ロイド・オーウェン

ピーターラビットの生みの親、ビアトリクス・ポターの波乱に満ちた半生を描いたヒューマン・ドラマ。

1902年、ヴィクトリア王朝時代。封建的で身分の高い女性が仕事を持つことなど考えられなかった時代に、上流階級の女性ポター(レニー・ゼルウィガー)は“ピーターラビットとその仲間たち”の物語を次々と出版する。やがて編集者のノーマン(ユアン・マクレガー)と恋に落ちるが、身分違いの恋には思わぬ運命が待っていた。 (シネマトゥデイ)

20世紀初頭、まだ女性は親か夫に頼って生きるしかなかったその頃、好きな絵本で身を立てたいと願うポターは、
自ら出版社に赴き、絵本の出版にこぎつける。
世間体を気にし、干渉する母親やお目付け役の侍女を明るくかわしながら
彼女の担当になった編集者のノーマンの理解のもとで、嬉々として夢に向かう姿が可愛い
絵本に登場するお気に入りの動物たちはみんな彼女のお友だち
そのお友だちは、時々誘うように動き回り彼女を慰める

少女のころ過ごした湖水地方の自然の中で出会った動物たちを描き、
弟にその動物たちのお話を作って聴かせるのが得意だったポターは、そのまま想像の世界を絵本に投影。
ピーターラビットの誕生だった。
そしてそのポターに信頼を寄せ、一緒に知恵を出し合い導いてくれたノーマンへの愛にも
純粋に一途な姿は微笑ましい。
30代で未婚―これは現代においてもやはり周囲の目がうざったく感じる女性は多いだろうが、
この時代に特に体裁を気にする母を相手に、凛として見合いを断り続ける事がいかに大変だったか想像に難くない。
このあたりの母娘のやりとりは、先に観賞した"高慢と偏見"が思い出され、
(結婚に)「愛を求めてはいけないの?」にジンとしてしまった。

キュートで愛らしい女性、ポターと、穏やかで優しいノーマン。
レニー・ゼルウィガーは厭味なく自然に演じていて、
純情な恋する紳士、ノーマン役のユアン・マクレガーもぴたりと嵌っていた
ふたりが恋に堕ちた場面でユアンが歌う"ダンスを教えて"にうっとり・・・
史実に基いたドラマだと解かっていても、理想的な微笑ましいカップル
このままふたり幸せになってもらいたかったな・・・

ケイティ・メルアが歌う主題歌「ダンスを教えて」が流れる時、再び涙に襲われる
ポターの、いつまでも瑞々しい感性と愛を静かに綴った、すてきに心地よい作品でした

めがね

2007-10-11 23:42:53 | the cinema (マ・ヤ行)
製作年度 2007年
上映時間 106分
監督 荻上直子
出演 小林聡美/市川実日子/加瀬亮/光石研/もたいまさこ

海辺の小さな町にやって来たタエコ(小林聡美)は、素朴で小さな宿・ハマダに到着。宿の主人・ユージ(光石研)とその愛犬、さらには不敵なほほ笑みをたたえた女性・サクラ(もたいまさこ)らに出会う。何日かを過ごしたタエコは、マイペースに明け暮れるハマダでの毎日に違和感を覚え、別の宿へ移る決心をするが……。 (シネマトゥデイ)

友人Yのリクエストで「めがね」を観てきた。

ただ、なんとなく前回一緒に観たキサラギで、「邦画も面白い」ぐらいで、疲れないものが良かったんだと思う。
でも、、、結果的に、疲れはしなかったが
疲れても「面白いもの」「心にのこるもの」の方が良かったのかも・・・でした

う・・ん、、、なんていうか、押し付けのようなものを感じてしまったのね。。。
意図的なセリフの少なさ、観光地のPRのようなストーリー性のなさはいいとして
登場人物の喋り方も、セリフもちょっとわざとらしい。(加瀬くん、光石さんを除く)笑えない繰り返しの手法。
出演者では、ホンのちょっと出てた薬師丸ひろ子が一番巧かったと思う。


「たそがれる」って分かりましたかー?!
みなさぁーん!癒されましたかー?!って小林聡美さんの声が聞こえてきそうで、
なんだかよくTVで見た新興宗教みたいな感じを受けちゃった。

特に最後の方でタエコさんの例の口調で発せられるセリフ「ここに来るまでは○○なんて云々・・」はちょっと引いた。
ちょっと陳腐っていうか、いっぺんに安物になった感じがしたし、
たとえば朝黙って布団の脇に座ってじーーっと見てられるような(笑)
威圧感?駄目押し?のように感じた。
こっちが「むり。」ですって
絶対ハマダには泊まりたくない。コワイ、ブキミだよ~。「マリンパレス」と大差ない。
さり気なく、さりげなくを装って、けっこう押し付けてきてたくせに!(笑)


―何が自由か知っている―というキャッチコピーも、え~~??という描かれ方。
客をほったらかしにしてあげる自由?食事ぐらい用意するだろ、普通。
好きなことだけする自由?ルーズになる自由。無関心になれば自由?それが思いやり?
そんなことなの??????????
その割りにあの幼稚な女教師は詮索ばっかりしてたっけ(笑)


それでもロケ地、与論島の海の色、砂浜の色は美しい。
ちょっと流れたチェロの音も素敵だったな~。他はなにも残らなかったけど

あちこちから大きなイビキが聞こえてましたから、確かに疲れた身体にイイのかも

ということで、正直な(やや押さえ気味)感想です。
ま、相当に疲れていると思っていた私と友人Yも肩は懲りませんでしたが、合わなかったという事でちょっと気分転換が必要になり
ケーキ&お茶して帰ってきました。コレがホントのお茶を濁す~・・ゴ・ゴメンナサーイ

マッチポイント

2007-10-03 23:24:35 | the cinema (マ・ヤ行)
  愛に負けるか。
     欲に勝つか。

原題 MATCH POINT
製作年度 2005年
製作国・地域 イギリス/アメリカ/ルクセンブルグ
上映時間 124分
監督 ウディ・アレン
製作総指揮 スティーヴン・テネンバウム
脚本 ウディ・アレン
出演 ジョナサン・リス・マイヤーズ/スカーレット・ヨハンソン/エミリー・モーティマー/マシュー・グード/ブライアン・コックス/ペネロープ・ウィルトン


元プロテニス・プレイヤーのクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、大金持ちのトム(マシュー・グード)と親しくなり、やがて彼の妹クロエ(エミリー・モーティマー)と結婚。しかし、トムの婚約者で、セクシーなアメリカ人女優のノラ(スカーレット・ヨハンソン)に心を奪われ、不倫の関係に陥ってしまう。 (シネマトゥデイ)

接戦での勝敗を決める、あと1点。
だれもがテニスの試合を観戦していて感じたことがあるだろう。
ネットに当たってはじかれたボールがどちらかに落ちて、勝敗に影響したシーンなど、
運も実力のうちかも知れない・・・と。
向こうに落ちたら勝ち、こちらに落ちれば負けを意味する。

勝負の世界から身を引いたはずのクリスが、ある日コーチした気さくな男が、実は大富豪の息子だったことから始まるラブサスペンス。

密かな野心はあっても、いつも運は向こうからやって来た。
気まぐれな幸運の女神に微笑まれ、いつも受身のようにみえた、
唯一つ、ノラへのアプローチ意外は―。
そんなに欲しがった上流階級の生活ではなかった。ただ手に入った。
そしていつの間にか馴れ親しんだ贅沢な暮らし。

―愛と、愛欲の違いだよ―
選択をせまられるその時、彼の心の中でどちらが勝ったのか?
ボールは本当に彼に味方するのか・・・
ひたひたと押し寄せる波のような恐怖と悔恨、罪の意識にさいなまれる人生か・・・
果たして「運」が良かったのか、、悪かったのか・・・

おそらくモチーフとなっているのは、モンゴメリー・クリフト、エリザベス・テイラーで映画化された『陽のあたる場所』の原作、「アメリカの悲劇」であろうと言う事だけど、
途中、私はアラン・ドロンの「太陽がいっぱい」を思い出していました。
登場人物の誰にも感情移入することなくクライマックスを迎えましたが、
後半はスリリングでけっこう楽しめました。

麦の穂をゆらす風

2007-09-22 10:48:03 | the cinema (マ・ヤ行)
  願ったものは同じだったはずだった・・・

原題 THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY
製作年度 2006年
上映時間 126分
監督 ケン・ローチ
出演 キリアン・マーフィ/ポードリック・ディレーニー/リーアム・カニンガム/オーラ・フィッツジェラルド/メアリー・オリオーダン/メアリー・マーフィ

1920年アイルランド、英国による圧政からの独立を求める若者たちが義勇軍を結成する。医師を志すデミアン(キリアン・マーフィ)も将来を捨て、過酷な戦いに身を投じていく。激しいゲリラ戦は英国軍を苦しめ停戦、講和条約にこぎつけるものの、条約の内容をめぐる支持派と反対派の対立から同胞同志が戦う内戦へと発展する。 (シネマトゥデイ)

当時のアイルランドは長く続く英国支配の下で、人々の暮らしは貧困を極め
アイルランド独自の言葉(ゲール語)を話す事さえも禁じられていた。
デミアンはロンドンでの医師としての仕事も決まり、故郷を離れる前に禁じられているハーリング(アイルランド、独自のスポーツ)を仲間と楽しむが
幼い頃からお世話になった家族に挨拶に行ったところに、武装警察隊「ブラック・アンド・タンズ」が現れる。
横柄で屈辱的な取調べに反抗したこの家の17歳のミホールは、ゲール語でアイルランド名を答えた為に納屋に連れ込まれ、殺されてしまう。

ミホールの葬儀で、村の女性たちが死者を悼んで歌う"麦の穂をゆらす風"
この日、若者たちは武器を持ってアイルランドの独立の為に戦うことを決意、デミアンを誘うが、英国軍の強大な力には勝てないと断る。
そんなデミアンに運命を分ける出来事が、まさに故郷を離れようとする時に起きてしまう。

医者となって病んだ人たちを助けたかったデミアンが
戦うために必要な銃を手に入れるために兵士を撃つ。
ゲリラ戦を繰り返す中では裏切りもある。
仲間を守る為に、幼馴染をも・・・
「(幼馴染の命を奪ってまで)意味のある戦いなのか」悲鳴のようなデミアンの言葉に答えは無い―

彼らは多くを失い、やがて痛手を負ったイギリス軍から休戦を勝ち取る。
しかし、つかの間の平和の後に訪れたのは兄弟の分裂、仲間の分裂。
完璧な自由か、アイルランドを分断する講和条約を受け入れるか―悲劇を重ねていく内戦の始まりだった。

そして主が入れ替わった建物の中で繰り返される悲劇...。
―愛するものを奪われる悲劇を、なぜ人は繰り返すのだろう―


今も北アイルランド問題を抱える英国を論争の渦に巻き込んだ問題作。

暴力とは無縁の若者が、貧しい民衆の為に銃を手にレジスタンス運動に身を投じていく
引き返せない道を突き進んでいくデミアンの人生に慟哭。。
舞台となったコーク出身だというキリアンの静かな熱演に心が震える。
失われた兄弟の絆、残していく愛、奪われたたくさんの命、、、
正義と信念から、やがて苦しみと悲しみに満ちていく兄弟の姿に泣かない人はいないだろう....

胸が痛くなるシーンの連続で、人間の愚かさと向き合うことになっても目を背けないで観てみたい1本
ケン・ローチ監督、凄いです

ゆりかごを揺らす手

2007-09-08 00:54:33 | the cinema (マ・ヤ行)
―ゆりかごを揺らす手は 世を支配する手なり―

原題 THE HAND THAT ROCKS THE CRADLE
製作年度 1991年
上映時間 110分
監督 カーティス・ハンソン
出演 アナベラ・シオラ/レベッカ・デモーネイ/マット・マッコイ/アーニー・ハドソン/ジュリアン・ムーア/マデリーン・ジーマ

逆恨みした女の復讐劇を描いたサイコ・スリラー。

二人目の子どもを妊娠中のクレア(アナベラ・シオラ)は受診した産婦人科の医師にセクハラされたとして医師会に訴えた。
その事件は大きな社会問題にまで発展し、ついに医師はピストルで自ら命を絶つ。その妻で妊娠中のペイトン(レベッカ・デモーネイ)は財産を奪われ、ショックで流産してしまう。
全てを失ったペイトンは半年後、クレア一家にベビー・シッターとして接近。しだいにその狂気を剥き出しにしていく。

ペイトンはまず、クレアからジョーイを奪い、幼いエマも手なずける。
家族から慕われていた知的障害を持つ使用人ソロモン(アーニー・ハドソン)を罠にはめ・・・

一方は愛する夫を亡くし、母になることも叶わず、棲家を追われた女。
対して、一方はもう一人の家族を迎え、喘息の持病はあるものの、愛する家族や
友人夫婦に囲まれて今も変わらない幸せな日々。
絵に描いたような善良で温かい家庭が、日常生活のトラブルを機に、
知らないうちに復讐のターゲットになっていく。

最初夜中にこっそりジョーイの授乳をし、そのうちクレアから母乳を飲まなくなる、母親としての役目を奪ってくペイトン。
いろいろな物を使って小細工をし、クレアを罠にはめて少しづつ勝利を確信していく彼女はぞっとするくらい怖ろしい。

どこにでも居そうな只のちょっと裕福な家庭の主婦でしかないクレアは、いとも簡単に罠に掛かり次第に家族との距離を感じ孤独をつのらせる。
次々に仕掛けられる小細工を予測できるこちら側のほうが、少しドンくさいクレアより先に恐怖を感じてしまう

レベッカ・デモーネイの静と動の切り替えの見事な演技!
キレたシーンの迫力は心臓が痛くなるほどだけど、
失った夫のかわりにマイケルに近づき、吾が子のようにジョーイに授乳する顔に
怖さとともに切なさも感じる
クレアの友人、マリーン役のジュリアン・ムーアも存在感があり、
エマ(マデリン・ジーマ)は可愛いだけじゃないなかなかの名子役!

実は十数年前一度観ているのだけど、あまりの怖さに途中数分間が観れていない
なまじ一度観ているから余計に怖かった部分もあるが、
サスペンスとしての見応えとともに、「信頼」できる人間関係ということも考えさせられ、
感動できた1本

夕凪の街 桜の国

2007-08-06 02:39:45 | the cinema (マ・ヤ行)
製作年度 2007年
上映時間 118分
監督 佐々部清
出演 田中麗奈/麻生久美子/藤村志保/堺正章/吉沢悠/中越典子

昭和33年広島、皆実(麻生久美子)は同僚の打越(吉沢悠)から求愛されるが、彼女は被爆した心の傷と、自分が生き残った罪悪感に苦しんでいた。やがて、皆実に原爆症の症状が現れ始める。半世紀後、皆実の弟の旭(堺正章)は家族に黙って広島へ向い、父を心配した七波(田中麗奈)は、後を追う内に家族のルーツを見つめ直す。 (シネマトゥデイ)

                 
『夕凪の街』
原爆投下から13年後の広島
雨漏りのするバラックの家でミシンを踏む母と暮らす平野皆実は倹約家
水戸の親戚の家に疎開したまま養子になった弟、旭に会いに母を連れて行くため
ちいさな建築会社に勤めながら倹しく生きていている。
そんな彼女を襲う13年前の記憶―何処からか聞こえる自分を呼ぶ苦しげな妹の声

彼女は思っている
―わたしはこちら側に居ていいのだろうか・・・
―この街の人たちは、皆どこかヘンだ・・・
生き残ったひとたちはみんな、あの日のことを語らない。
身体にもこころにも酷い傷を抱えながら。

誰かに聞いてもらいたかったこころの叫びを、同僚であり、想いを寄せる打越に伝え
初めて安堵する。
「生きとってくれて、ありがとう」


                 
『桜の国』
それから50年後、平成19年の東京
皆実の弟旭は家族に黙って家を出る。
その後をつける娘の七波は、偶然会った幼馴染の東子とともに広島まで行く事になる。

父の足跡をみつめながら七波は思う。
―東子には遇いたくなかった
―どんなにつらいことがあっても、前を向いて生きてかなきゃいけないのはみんな同じ

いつか目を背け、忘れたフリをしてきた祖母の事、母親の死の原因。
そして、自分も弟も、その血を受け継いでいる子供なのだということ。

そして、物語は終っていない――

そう、これはとても静かな反戦の映画、反核の映画。
そして、その時広島に生きていた全ての家族の悲劇を知る物語。
『夕凪の街』のキャストはよかったです。
おそらく、復帰後、直ぐの作品になる吉沢悠くんの昭和っぽさ。
凛とした中にも儚さを感じさせる麻生久美子さん。
彼女のセリフが、短いけど、ひとつひとつが哀しい。こころに刺さります。

『桜の国』への導入部分にも違和感がなく、田中麗奈ちゃんが達者なところをみせています。
セリフが少ないのでほとんどその佇まいと表情で、さばさばとしていながらも屈託のある現代女性を自然にみせていました。

どこかで、今なお苦しんであるいは亡くなっている被爆者や家族のことを思い出させ、
伝えてくれる、大切な物語だと思います。






ママが泣いた日

2007-06-30 22:01:46 | the cinema (マ・ヤ行)
原題 THE UPSIDE OF ANGER
製作年度 2005年
監督 マイク・バインダー
脚本 マイク・バインダー
出演 ジョーン・アレン/ケヴィン・コスナー/エリカ・クリステンセン/エヴァン・レイチェル・ウッド/ケリー・ラッセル/アリシア・ウィット/マイク・バインダー/デーン・クリステンセン

ある日テリー(ジョアン・アレン)は夫が家を出たことに気づき、彼が秘書と駆け落ちしたと思いこむ。彼女は大学から帰省中の長女ハドリー(アリシア・ウィット)や、三女アンディ(エリカ・クリステンセン)らに怒りをぶつけてしまう。そんなとき酒浸りの彼女を、元野球選手の隣人であるデニー(ケヴィン・コスナー)が土地の開発のことで訪れ……。 (シネマトゥデイ)

夫が若い秘書と駆落ちし、
捨てられた妻の憤り、惨めさを繕う八つ当たり、アルコールへの逃避。
世間的には別に珍しくもない夫婦の終わりの一つの形だろう。
見当違いの怒りを、
美しく素直な4人の娘や
明らかに自分に好意を持っているヤモメの隣人、デニーにぶつけることで
ギリギリ踏ん張っているテリー、、ちょっと恐い

ストーリーテラーのポパイ役、(エヴァン・レイチェル・ウッド)のナレーションで
いままで優しかったママ――というセリフが出てくるんだけど、
登場した時からずっと青筋たてて怒鳴ったり、
ケンカを売っているような凄まじいママばかりで、
優しいママを想像できなかった(笑)
ジョアン・アレンは『きみに読む物語』でも威圧的な母親役だったっけ・・
クールで、理知的な印象だけど、片時もお酒のグラスを離さず
酔ってるわけではない彼女の目は可愛くない(笑)
それでも娘たちは美しく好い娘で、それぞれに瑞々しい花のよう
『若草物語』を思い出させる
元大リーガーの酔いどれ中年デニー(ケヴィン・コスナー)は先ごろの
「ロッキー~ファイナル」を思い出してしまった
3年かけて真実にたどり着く、3年の間怒り続けていたママ・・・
不当な怒りでした。。。

私的にはヒステリックなママより、
娘たちがみんな良かったなぁ
自然に娘たちに受け入れられるデニーの打算のない雰囲気も良かった

でもこれ、正直DVDでヨカッターって感じ


もしも昨日が選べたら

2007-06-07 23:52:06 | the cinema (マ・ヤ行)

原題 CLICK
監督 フランク・コラチ
出演 アダム・サンドラー/ケイト・ベッキンセイル/クリストファー・ウォーケン/デヴィッド・ハッセルホフ/ヘンリー・ウィンクラー/ジュリー・カヴナー

仕事優先で家族を顧みない建築士のマイケル(アダム・サンドラー)は、スーパーの怪しげな店員モーティ(クリストファー・ウォーケン)から人生を操作できるリモコンを与えられる。早速使い始めたマイケルはペットの吠え声を消音したり、妻ドナ(ケイト・ベッキンセール)との口論を早送りしたりと、面倒なことをすべて回避しようとする。 (シネマトゥデイ)

この邦題って、あり?
てっきり、何度も巻き戻す人生のお話だとばかり思っていました

仕事人間のマイケルは、スーパーリモコンを手に入れると、
人生の面倒なことは全て早送り、美味しいところで着地するという素敵な時間飛行を繰り返す。
でも、面倒だと思えることにこそ、実はささやかな幸せが潜んでいる
家族の為に出世したかったはずが、妻との会話もスルー、子育てもスルー
出世できたところで再生してみれば、、、
彼は面倒な今を飛び越えて、未来だけを覗き見して、そのうちスーパーリモコンは意思をもってしまう
より良い明日だけを欲しがったはずが・・・

こういう仕事人間、私世代には沢山います。
早送りこそしてないけど、面倒な家庭のことはスルーしちゃって(笑)
でも、コレ観ながら早い段階で、子育ての大変さは実は"幸せ"
妻との日常会話は実は"幸せ"だって、気付いてほしいな~
だって、昨日は選べないんだもん!

でも、一時停止は使ってみたいかも

2007-05-23 17:41:20 | the cinema (マ・ヤ行)
原題 THE BOW
製作年度 2005年 韓国
監督:脚本 キム・ギドク
出演 チョン・ソンファン/ハン・ヨルム/ソ・ジソク/チョン・グクァン

韓国の鬼才キム・ギドクの監によるラブロマンス。

海に浮かぶ船の上で、2人きりで暮らす老人(チョン・ソンファン)と少女(ハン・ヨルム)。10年前に老人の手でどこからともなく連れて来られた少女は、17歳の誕生日に老人と結婚することになっているが、船にやって来た1人の青年(ソ・ジソク)の存在が彼らのきずなを揺るがし始める。 (シネマトゥデイ)

穏やかな広い海に浮かぶ、一隻の古びた漁船。
文明社会から隔離された世界で、日がな一日を穏やかに、のんびり過ぎる時に何の疑念も持たない二人の暮らし。
老人の鋭い目は、時に訪れる釣り客の少女への好奇心を見逃さず、弓で少女を護る。
夜になれば湯を沸かし、背中を流し、
寝入った少女の手を握って休む。
二人に会話はほとんどなく、穏やかな静かな生活に老人のヘグム(韓国二胡)の 音色が優しい。
―これは、男女の愛なのか?
親が子に与える無償の愛なのではないか―或は祖父が孫を愛でるような・・・

しかし、常識も知識も備えた青年の出現でむき出しになる老人のエゴ。
孫ほど歳の離れた青年に嫉妬し恐れ、形振り構わず、滑稽なほど荒れ狂う・・・
そして少女は――

これはうつせみを原型とした作品なのか、登場人物に名前さえなく、主人公にセリフは無いし
なにより最後の一矢の後の展開...
不変の愛?揺るぎ無い愛?

本作もまた、男性から観るか女性側からみるかで印象が大きく違うのではないだろうか
どこか韓国昔話っぽい世界の雰囲気が、画面に溢れていて、ヘグムの音色もノスタルジック
だが独特の世界観をもつこの監督作品、好みが分れるところは他の作品と同じだと思う。