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to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

蟲師

2007-04-04 00:55:22 | the cinema (マ・ヤ行)
漆原友紀の大人気コミックを、『AKIRA』の大友克洋監督が実写映画化したファンタジー。

製作年度 2006年
監督 大友克洋
原作 漆原友紀
脚本 大友克洋/村井さだゆき
音楽 配島邦明
出演 オダギリジョー/江角マキコ/大森南朋/蒼井優/りりィ/李麗仙

一夜の宿を求めてさまよう蟲師のギンコ(オダギリジョー)は、ようやくたどり着いた庄屋で荷をほどいていると、庄屋夫人(りりィ)が片耳の聴力を失った3人の患者の診療を頼みにきた。そして、患者の耳の穴を覗いたギンコは、そこにカタツムリのような形をした、音を喰う“蟲”が付着しているのを見つけ、駆除に取りかかる。 (シネマトゥデイ)

何度も予定がつぶれて観にいけない間に、既に観賞した人達からちらほら聞こえていたので、そんなに期待しないで行ったのが良かったのでしょうか。
原作漫画、アニメとも未見ですが、
100年前の日本の美しい姿が映し出された途端、すんなり入っていくことが出来ました。

霞がかったような神秘的な山々。
登場人物のコスチュームもそれぞれがセンス良くマッチしているようで、先ず映像の美しさに惹かれました。

冒頭の旅の親子の遭難シーンから、雪深い山郷を旅するギンコが最初に出会う角のある少女とのエピソードあたりで、
これはもしかしたら、、と思っていたのですが
ぬいとの別れのシーンにきてやっぱり!という確信めいたものになりました。

ギンコは人々を癒す能力を持つ”蟲師”ではあるけれど
少女の奇病を治したのはギンコの洞察と、少女の母親の最後の声からの解放。
旅の友、虹郎の自分探しの旅のその訳も、
淡幽の宿命も。
さらに蟲師としてのギンコのエピソードの少なさも含めて、
全てが”親子”を指している。

ギンコが蟲を辿れば、子別れ、親離れの切なさがみえてくる。
そこを軸にしたかった映画なのだろう。
そういう意味でのギンコの自分探しの旅のラストがあの難解なシーンになったのだという気がする。

それにしてもオダギリさん、「どぉすんのォ」って・・・あなた、困りました
ここ笑うとこ~?

ゆれる

2007-02-23 23:46:28 | the cinema (マ・ヤ行)
2006年:西川美和監督
出演:オダギリジョー/香川照之/真木よう子/伊武雅刀/蟹江敬三

地元で家業を継いだ真面目な兄・稔(香川照之)。東京でカメラマンとして自由に生きる弟・猛(オダギリジョー)。久しぶりの弟の帰郷で、兄弟は幼なじみの智恵子(真木よう子)と一緒に近くの渓谷に出かけ、そこで兄と吊り橋を渡っていた女性が転落して死亡。稔は容疑者として逮捕される・・・

猛が帰省した晩、一人洗濯物をたたんでいる兄の背中越しに、兄弟が女性への思惑を探りあう場面が印象的。
最初にスタンドに寄った時には、智恵子に気付かれまいとしていた猛が、兄との息の合った様子を見てその日のうちに彼女を誘う。
そして家にいて父の面倒をみ、家事を片付けながら兄は弟に探りを入れる。
この時から兄弟の絆はゆれ始めたのだろう。

おそらくは昔から心の底にあっただろう兄の、弟への羨望。弟の兄へのライバル意識。甘え。
吊り橋を渡り、欲しい物を手に入れる自由な弟。吊り橋を渡れず、周りに気を使って生きている兄。
兄の逮捕後、面会でのやりとりでの二人の演技が素晴しい
抑えていた兄の心の闇が噴出し、諦めや嫉妬、やりきれない怒りをみて、弟はショックを受け激しくゆれる。

7年後、母の形見分けのとき兄から貰った映写機とテープを観るオダギリジョーには泣かされる
そして通りをへだて、弟を見つけた時の香川照之の一瞬の笑顔にも


過剰な演出を抑え,無駄なエピソードも無い。丁寧な脚本に静かな演出が逆に観客の心を揺らす。
主役二人の演技が素晴しい
熱いものがこみあげてくるそんなラストシーン。とてもいい映画でした