木のつぶやき

主に手話やろう重複の仲間たちのこと、それと新聞記事や本から感じたことを書き込んでいきます。皆様よろしくお願いします。

日本手話学会に参加して来ました(その5 日本手話話者はもっと少ない;神田先生)。

2008年09月21日 23時15分27秒 | Weblog
わがふるさと愛知県チームの発表は市田推計批判という内容で、無責任な外野としてはこれはこれでなかなか面白かったです。
これまた一言でつづめて言っちゃうと、2001年に国リハの市田さんらが発表した「日本手話母語話者人口推計の試み」による5万7千人という数字に異議あり、身障手帳1・2級の聴覚障害者数3万5千人がマックス(上限)だろう、という主張でした。
人口推計自体にはあまり興味湧かなかったのですが、予稿集の最後のところで神田さんらが「総人口に対するろう人口が日本は異様に少ない。つまり手話は普及していないのである。」ということで、逆に言うと手話を知らない聴覚障害者が大多数なんだから少数ろう者の日本手話に拘ることなく(正確には神田先生たちは「手話の特定変種に拘泥するような研究や運動ではなく」と書かれています。)「多様な変種について関心をもつべきであり、それにはピジン言語の研究が役に立つと考えられる。」と締めくくられているのです。
伝統的手話母語話者は今後減少傾向にあるし、IT機器の増加などによって若い聴覚障害者の日本語力はずいぶん向上し、彼らの手話はピジン手話(日本語対応手話)化が進んでいる。つまり日本手話の変化が予想されるのだから手話学会も日本手話(JSL)の研究ばっかじゃダメでしょう、とおっしゃっておられるようです。
う~ん、そうなのかぁ~?初参加の私が日本手話学会のことをうんぬんはできませんが、現場で手話通訳者養成に関わっている今の自分としては「日本手話は普及していないのである、ってそれは順序が逆でしょ」って感じです。「日本手話を普及させようという努力はどこにあったのか?」「手話通訳20年選手の自分が相変わらずろう者の手話を読み取れなくて日々みじめな思いをしているのはいったいどういうわけなんだ」と言いたい。
何度も書いて恐縮だけど聴力障害者情報文化センターの石原さんが私たちの研修で語ってくれたこと、すなわち「言語としての手話研究はとっても進歩したけど、その成果がもうそろそろ手話通訳者養成などの現場に還元されてもいいころなんじゃないだろうか」って僕も強く思うのだ、だから神戸まで来たのだ。
これは神田先生を批判したいっていうんじゃなくて、現場の通訳者は「いったいどうやって勉強したら、ろう者の自然な手話を読み取れるようになるんだろうか。ろう者の手話っていったい何なんだって誰か教えてくれぇ~」って今も悩みながら活動していることを知って欲しいということなのだ。だから「(日本)手話は普及してない」んじゃなくて、(特に「手話通訳者」と言われている人たちへの)普及のための努力が始まったばかりなんじゃないかと思うのです。
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