かんじゃまのつぶやき(海の見えるチベットより)

日本一細長い四国佐田岬半島での慣れない田舎暮らしの日常や風景、
  そして感じたこと、思い出などをひとコマひとコマ

こんなところに犬矢来

2008-12-23 10:23:23 | 風景
犬矢来(いぬやらい)といえば、京都界隈の料亭というイメージがあったのですが、この半島でもそれを見つけました。
ここは、旅館兼料理屋のようで、古くからあるのでしょうか、その外壁にご覧のような犬矢来がしつらえてあります。
円弧状に反りをつけて割り竹で組まれた柵・囲い。


 初めて見かけた時は、「へぇ~」という感じで、少し驚きでした。
なかなか日本的な情緒をかもし出しており、この建物の佇まいを引き立てているように思えます。

 以前、犬矢来という言葉を知るとともにその目的をクイズで紹介していたのを思い出します。
たしか、立ち聞き防止だったように思います。
なにせ料亭といえば、昔も今も密談場所? のようです。
越後屋 お主も悪よのー」などを立ち聞きされてはかないません。

 花街では雨宿りされるのを防ぐ意図もあったようです。
そうすることによって、たまたま軒下へ雨宿りに入った人が、お代官さまと越後屋の悪だくみを聞いてしまう、という不測の事態も防げたのでしょう。

 でも、本来の目的はそうなのでしょうか?
泥はねや雨水の跳ね返りによる外壁裾の損傷を防ぐことが主目的だったように思います。
とはいえ、「犬」と付いているので、やはり犬よけでもあったようです。
石や砂利で作られた犬走りではイヌの粗相があるので、それを防ぐためでもあるようです。
さらに、京都祇園あたりでは、立ちしょん防止の意味合いもあるとか・・。

いずれにしろ、その活用、効用は多様なようです。
この建物の犬矢来は、もう既に枯れてしまって、竹本来の色彩を失っておりますが、かつては青々とした清々しさがあったのだろうと想像します。
とても合理的で、調和的な美しいフォルムをもたせた先人の知恵(“粋”)に感服です。 



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