
【奈良・宇陀市】創建は不詳だが、寺伝によると、白鳳九年(681)に修験道の開祖・役行者(役小角)によって草創され、平安時代天長元年(824)に弘法大師空海が室生寺の西の大門として一宇を建立し、慈尊院弥勒寺と名付けたのが始まりとされる。 大野寺弥勒大磨崖仏の造立に興福寺の僧が関係していることから、興福寺の高僧によって創建された室生寺と同様、興福寺と関係が深い寺院だったとみられる。 明治三十三年(1900)の火災で堂宇が焼失したが、本尊を含む仏像などは持ち出され難を逃れた。 真言宗室生寺派で、本尊は秘仏の木造弥勒菩薩像。
室生寺へ向かうバスの車窓から宇陀川対岸の巨大な弥勒磨崖仏を眺めながら、室生寺後の大野寺訪問に心が躍った。 室生寺からの帰路、大野寺バス停で下車し、川向うの弥勒磨崖仏を少し眺めてから、「弥勒大石佛別当 大野寺」の寺号碑が立つ山門をくぐった。
宇陀川の畔に建立された室生寺の西の大門といわれた古刹だが、境内は意外に狭い。 本堂前庭には樹齢約300年とされる見事な枝ぶりの2本の枝垂桜があり、開花期には多くの観光客やカメラマンで賑わうようだ。 枝垂桜の前を通って境内の奥に進む....本堂の少し先に禅宗様高欄の切目縁を設けた霊牌堂があり、その前に宇陀川の対岸に鎮座する弥勒磨崖仏の礼拝所(遙拝所)が建つ。 礼拝所の前に立ち、礼拝所奥に望む弥勒磨崖仏に向かって合掌した。


「弥勒大石佛別当 大野寺」の石標越しに眺めた弥勒大磨崖仏/小さな袖塀を設けた切妻造桟瓦葺の山門(薬医門だったか)

山門から眺めた境内..庫裏と奥に本堂、2本の枝垂桜は樹齢約300年で見事な枝ぶりだ

境内奥から眺めた右から山門、鐘楼、庫裏


切妻造桟瓦葺の鐘楼..下半分に袴腰のような羽目を設けている/山門前から眺めた鐘楼

横長の寄棟造桟瓦葺で、身舎に裳腰を設けた庫裏

宇陀川の畔にある境内の奥に弥勒大磨崖仏を参拝する礼拝堂がある

入母屋造桟瓦葺の本堂..本尊は弥勒菩薩立像(秘仏)、他に「身代わり地蔵」と呼ばれる鎌倉時代作の地蔵菩薩立像を安置


本堂の質素な向拝..梁の上の蟇股は龍の彫り物/扁額は「金剛輪」と書かれているのかな?


本堂前に佇む優しい形の石燈籠..平面円形で格狭間のある中台、お椀をかぶせたような笠

本堂前の石燈籠越しに眺めた宇陀川対岸に刻まれた弥勒大磨崖仏

露盤宝珠を乗せた宝形造桟瓦葺の霊牌堂(地蔵堂ともいう?)


正面と側面に禅宗様高欄を設けた切目縁をめぐらす/霊牌堂の左手の石段の上に鎮座する境内社

霊牌堂前に建つ弥勒大磨崖仏の礼拝所(遙拝所)

入母屋造桟瓦葺の簡素な礼拝所


礼拝所の奥に宇陀川対岸の弥勒大磨崖仏が望める

礼拝所越しに眺めた宇陀川対岸の山壁に線刻された弥勒大磨崖仏
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