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何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

長弓寺-(1) (生駒)

2018年12月17日 | 寺社巡り-奈良

【奈良・生駒市】奈良時代の神亀五年(728)、聖武天皇(第45代)が行基に命じて御堂を建立させ、十一面観音を祀ったのが始まりとされる。 寺伝では、この地を治めていた豪族・小野真弓長弓と養子・長麿が聖武天皇に従って狩猟をしていた時、長麿が森から現れた農作物を荒らしていた怪鳥を射るさい、誤って父を射ってしまい、それに心を痛めた天皇が建立を命じたもの。
延暦年間(782~806)に藤原良継が伽藍を中興、堀河天皇(第73代)は大般若経六百万巻を施入するなど信仰を集めたが、平安末期の火災で堂宇を焼失した。 本堂は鎌倉時代の再建だが、蒙古襲来の時期で寄進が集まらず、約60年間は素屋根でしのいだとされる。
本堂が再建された中世には寺運も栄えたが、室町時代文明五年(1473)、応仁の乱(応仁元年~文明九年)で敗れた山名宗全の落人に寄って寺宝などが破壊された。 宗旨は真言律宗で、本尊は平安時代作とされる木造十一面観音立像。 大和十三仏霊場第九番勢至菩薩札所。

富雄川沿いのバス停から長弓寺に向かう。 参道の入り口に寺号標石があり、少し先に社号標石と参道を跨ぐ大きな石造りの明神鳥居がたち、参道奥に山門が小さく見える。
鳥居をくぐり、真っ直ぐに延びる参道を進むと、白壁の脇塀を設けた開放的な大小2つの山門が繋がって建つ。 山門の手前に、鮮やかな朱塗りの擬宝珠欄干があり、欄干がないと気づかないような小さな石造り反橋「真弓山橋」が架かっている。 反橋の袂に真っ赤な前垂をした10体ほどの石仏が鎮座し、参詣者を迎えている。 大きい方の山門は「大門」と呼ばれるが、2つの山門が繋がった造りは珍しい。
山門をくぐって参道を少し進むと、左手に「長弓寺 宝光院」と刻まれた寺号標石が立ち、狭い境内に地蔵堂が一宇ポツンと建っている。
先に進むと、朱色の擬宝珠欄干で囲まれた大きな蓮池があり、その先に長弓寺と塔頭等の堂宇が建ち並んでいる。 塔頭や鎮守社の伊弉諾神社がある参道を真っすぐ進んで本堂に向かう。
鮮やかな朱色の擬宝珠欄干で囲まれた亀池の傍の石の階を上り詰めると、静寂な境内に、約740年前の鎌倉時代に建てられた檜皮葺の本堂が力強く構えている。 優美な屋根の曲線と大きく延ばした深い軒、そして軒下の和様を基本とした簡素な意匠は、これぞ国宝と思わせる風格が漂う。
境内左手に腰高障子のような扉を全開させた古民家風の大師堂が立っているが、縁に大きな2つの薬缶とバケツが置かれ、堂内で二人のおばあちゃんが何やら楽しそうに話し込んでいたが、どうも掃除をしていたようだ。
 
参道入り口に立つ長弓寺の寺号標石、伊弉諾神社の社号標石と明神鳥居....鳥居は寺の鎮守社だった伊弉諾神社のもの

朱塗り擬宝珠欄干を設けた反橋「真弓山橋」の袂に赤い前垂れをして鎮座する石仏群

2つの山門が連なっているのは珍しい....いずれも白壁の袖塀を設けている

大きい門は江戸末期建立の切妻造本瓦葺の四脚門で「大門」と呼ばれている

「長弓寺 宝光院」の寺号標石が立つ地蔵堂....境内奥にあった塔頭・宝光院の地蔵堂をここに移築して宝光院に

露盤宝珠を乗せた宝形造本瓦葺の地蔵堂
 
地蔵堂の向拝....鰐口、釣灯籠が下がる        擬宝珠高欄を設けた切目縁

地蔵堂には本尊逆修延命地蔵菩薩像の他、阿弥陀如来、不動明王、弘法大師の各尊像を安置

堂宇境内入口にある大きな蓮池....4つの塔頭名が表示されているが、宝光院は大門近くに移築

左側に燈籠が並ぶ参道から眺めた本堂前境内..石段上の正面に国宝の本堂が建つ

境内の中央にある「亀池」には朱塗りの擬宝珠欄干が巡らされている....上奥に本堂と鐘楼が見える
 
亀池の傍から眺めた本堂/参道右手に長弓寺守護社の伊弉諾神社(牛頭天王宮)が鎮座している
 
本堂前の石段下にある石の手水鉢....鎌倉時代に僧侶が使った風呂とされる/薬師院近くの石畳の参道にある手水鉢....形からこれも鎌倉時代の僧侶の風呂だろうと思う

入母屋造檜皮葺の本堂(国宝)....鎌倉時代弘安二年(1279)建立の密教仏堂

正面五間、側面六面と奥行きが深い造りの本堂....和様を基本とし正面三間は連子入り桟唐戸、脇間に連子窓
  
簡素な向拝だが軒が深くて趣がある/簡素な形の擬宝珠親柱を設けた湾曲した登り高欄/本堂裏手にある閼伽井(閼伽水を汲む古井戸)の跡

連子入り桟唐戸の内側は格子扉で、上に菱格子欄間がある....内部は手前の三間分を外陣、その奥三間を内陣とし、内外陣の境は透格子で結界

軒周りは二軒繁垂木、組物は出三斗で中備は正面は脚間に彫刻のある蟇股、側面は間斗束

向拝柱は角柱で、柱上に連三ツ斗、虹梁上に蟇股が乗る....周囲に擬宝珠高欄付き切目縁を廻らす

切妻造本瓦葺で白壁の宝蔵....入り口は大きな入母屋破風屋根....白壁の築地塀に囲まれている

宝蔵脇の参道から眺めた本堂

入母屋造本瓦葺の簡素な大師堂....御堂の柱に「大和十三仏第九番霊場」の聯....大和十三仏の本尊の勢至菩薩が祀られている
 
軒周りは一軒繁垂木で、組物は長い束の舟肘木....頭貫の上は小壁、正面三間は中央が腰高障子戸、脇間に格子窓/大師堂右脇の切妻造銅板葺の覆屋に鎮座する賓頭盧尊者像
 
切妻造桟瓦葺の簡素な鐘楼/梵鐘の池の間に「諸行無常」の銘文がある

本堂脇に佇む石造物群....西国三十三所霊場巡礼塔、五輪塔、宝篋印塔など
大師堂南側に鎮座する役行者石像と前掛けをした舟光背型石仏群(千体仏は殆ど観音菩薩像)   
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