何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

企画展「江戸刷リ物品定メ」を見た!

2020年10月29日 | ひとり言

【横浜・金沢区】7月31日~9月27日(2020年)に県立金沢文庫で開催された『企画展・江戸刷リ物品定メ』を見に行った。 企画展のチラシには、「自分だけの展示カタログを作ろう」という特別企画で、「本企画限定! 展示室内の写真撮影を解禁します」とあって少々驚いた。 いままで、県立金沢文庫には何度も足を運んでいるが、展示物の撮影は禁止だったので、「撮影解禁」に胸を躍らせながらの訪問だった。
早い時間帯だったのと新型コロナウイルスの影響のためか、見学者はまだ数人しかおらず、じっくりと時間を掛けて江戸期の刷り物の品定めが楽しめ、多くの展示物を撮影した。 興味を引いた展示物の写真をブログにアップしたいと思い、今月中旬、駄目元で県立金沢文庫に問い合わせてみたら、「OK」との嬉しい回答を頂いた。
展示室には、江戸時代の庶民や職人らの生活がわかる刷り物、元禄時代の易占いの指南書、歴史の教科書に載っていた「御成敗式目」や「延喜式」、そして鎌倉時代の歴史の変を描いた錦絵などいずれも興味津々の刷り物が展示されていた。 寺社巡りが趣味の自分にとって最も興味を引いたのが「延喜式」で、”神祇一”から”神祇五”までが展示されていた。 詳しくは、神祇一:四時祭上、神祇二:四時祭下、神祇三:臨時祭、神祇四:伊勢大神宮、神祇五:斎宮だ。 ちなみに、「延喜式」とは、平安時代の延喜五年(905)、醍醐天皇の勅により編纂され、建長五年(927)に完成した律令の細則で、全50巻ある内の1巻(神祇一)~10巻(神祇十)が神祇官関係の式(神祇式)だ。 いままで社号標石に「式内社」と彫られた多くの由緒ある古社(当時の官社)を訪問・拝観してきたが、「式内社」が記載されている「神名帳」は9巻と10巻なのだが、残念ながらこの企画展では....。 次に面白かったのは鎌倉時代の歴史の変を描いた錦絵で、武蔵坊弁慶や将軍源頼朝らが描かれていて、鎌倉武士の生き様について大いに想像を掻き立ててくれた。

△神奈川県立「金沢文庫」の正面

△企画展「江戸刷り物品定め」のチラシ

△二階の「江戸刷リ物品定メ」展示場

△「江戸職人歌合」(国学者石原正明遍、江戸時代文化五年(1808)作の読本)....対決する題材となる職人(八卦見・人相見)が左右に描かれている

△「近世奇跡考」(山東京伝著、喜多武清画、江戸時代文化元年(1804)作の読本)....京伝自身で取材、執筆、考証した随筆集(全5巻)の一記事の挿絵

△「絵本三国妖婦伝」(高井嵐山著、蹄斎北馬画、江戸時代文化元年(1804)作の読本)....九尾の狐が絶世の美女に化け、中国、天竺、日本の三国を渡り歩いて亡国を図る物語

△「絵本三国妖婦伝」の一絵....右上に「妖狐寿羊女を吮殺」とある

△「絵本三国妖婦伝」の一絵....右上に「若藻女吉備公の船に乗り日本へ渡る」とあるが、正しい?

△「通変八卦掌中指南」(馬場信武著、江戸時代元禄十一年(1698)作の指南書)....生年と十干十二支から該当の卦を探して占う易占いの指南書

△「御成敗式目」(鎌倉時代貞永元年(1232)の制定)....鎌倉幕府で運用する式目(法令)で、源頼朝以来の先例や慣例に基づいて制定された....学生時代に習った超有名な書!

△「延喜式」(平安時代の康保四年(967)施行の格式(律令の施行規則))....延喜五年(905)、醍醐天皇の勅で藤原時平・忠平らが編纂し、延長五年(927)に成立した

△「延喜式」の神衹二~五(前の写真は神衹一)....延喜式は弘仁式・貞観式以降の律令の施行細則を取捨・集大成したもので50巻ある....寺社巡り好きの自分には興味津々の書!

△「旅行用心集」(八隅蘆菴著、江戸時代文化七年(1810)作の心得)....江戸時代の旅に関するあらゆる情報を網羅した案内書

△「大日本海陸行程図鑑」(木版墨刷・須原屋茂兵衛版、江戸時代天保七年(1836)作の図鑑)....松前(北海道)から対馬(長崎)までの海路と陸路の行程図

△「西湖之八景武之金沢摸写図」(北尾重政(二代)画、江戸時代文政元年(1573)創建(伝)の光伝寺が裏山の並木天神を再建した記念に出版....左下に金沢文庫の「称名寺」が描かれている

△「源義経平家を亡して凱旋するも、讒者の為に頼朝公の疑を蒙り相州腰越にて弁慶に命じて許状を作る図」

△因幡守(大江広元)宛に作成した「腰越状」を読み上げる武蔵坊弁慶

△「鎌倉星月夜」(歌川芳虎画、江戸時代後期作)....梶原景時の讒言で頼朝に疑われた源範頼が、潔白を証明するため富摩三郎に頼朝の寝所へ忍び込ませたが捕まり九州に流罪された

△頼朝の寝所で三浦平六兵衛に取り押さえられる富摩三郎....上座の屏風前に鎮座する頼朝,「征夷大将軍源頼朝郷」と記されている

△「源頼朝平家追討綸旨之図」(歌川芳虎画、江戸時代後期の作)....平安時代末期の治承四年(1180)、後白河法皇の皇子・以仁王が発した平家追討の令書を受け取る源頼朝

△後方に控える戦支度をした側近に見守られながら令旨を受けとる源頼朝

△「和田義盛一門九十三騎大磯において三日三夜宴を催す折から小林朝比奈義秀曽我五郎致宗が血気にはやると止めて互いに力量をおらはす図」(歌川国芳画、江戸時代後期の作)

△文化十一年(1814)に江戸・森田屋で初演された長唄「正札附根元草摺」を元に描かれた錦絵....兄曽我十郎の危機を知った弟五郎が鎧を手に駆けつけるところを、小林朝比奈が止めようとする場面

△「神奈川横浜新開港圖」(五雲亭貞秀画、万延元年(1860)作)....画面手前より、本町通り1丁目から5丁目を描いたもの

△「ポーハタン号」(江戸時代後期作)....嘉永七年(1854)、ペリー提督が艦船6隻で2度目の来航、その一艦で蒸気外輪フリゲートの軍艦ポーハタン号

△「横浜港崎廓岩亀楼異人遊興之図」(歌川芳員画、万延元年(1860)....岩亀楼で4人の西洋人が豪勢な料理と9人の芸妓を座敷に挙げて宴会をしている様子の錦絵
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