
【大分・豊後高田市】天念寺前を流れる長岩屋川の川中の巨石に刻まれた水害防止のために造立された磨崖仏で、室町時代~安土桃山時代作とされる。 刻まれている磨崖仏は不動明王と脇侍の制多迦童子と矜羯羅童子の不動三尊像で、不動明王の像高は約3.2mある。
江戸時代の寛永四年(1751)に寺社役所に提出された由緒書には、護摩堂と川中不動のことが記されていて、川中の巨石を「月見の大岩」と呼ばれていた。
また、他の同時代の古文書から天念寺に詣でるために石造りの車橋(眼鏡橋)が渓流に架けられていたが、昭和十六年の洪水で崩壊した。
天念寺から長岩屋川に架かる不動橋を渡って川中不動に向かう。 川中不動の巨石は不動橋の少し下流にあるが、多分、太古に地震か異変によって山上から転落してここに居座ったのだろう。
川中に突き出た礼拝所に進み、近くから不動三尊像を仰ぐ....巨像であることを実感する迫力だ。 不動明王が天念寺ではなくいかめしい表情で川の上流を向いているのは、やはり氾濫が起きないよう睨みをきかせているのだろう。 素朴で無骨な浮彫りの不動三尊像だが、いかめしい表情にはなんとなく親しみが感じられ、忘れ難い磨崖仏だ。

天念寺前の道路から眺めた川中不動


長岩屋川に架かる不動橋の上から眺めた川中不動「不動三尊像」

川中不動は安土桃山時代作と表記されているが、室町時代まで遡るとの説が強い


この場所にはかつて1間四方の護摩堂が建っていた/川中に突き出た礼拝所への参道の石橋

不動明王と脇侍の制多迦童子と矜羯羅童子の不動三尊像

右手に三鈷剣を持っていかめしい表情の不動明王像


不動明王の像高は約3.2m、制多迦童子は約1.7m、矜羯羅童子は約2.1m/不動三尊像は天念寺ではなく川の上流を睨んでいる..向こう岸の建物は天念寺の講堂

不動明王像は素朴な浮き彫り
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