【奈良・桜井市】日本最古の道である”山の辺の道”の金屋集落から大神神社へと続く道沿いに、「金屋の石仏」を安置する小堂がある。 堂内には平安時代後期~鎌倉時代にかけての造立と推定されている二体の石仏が、高さ約220cm、幅約80cmの板石(石棺の蓋を転用したとされる)に薄肉彫りされていて、国の重要文化財に指定されている。
石仏はかつて三輪明神(現・大神神社)の神宮寺だった平等寺に祀られていたが、明治維新の廃仏毀釈によって破壊されるのを防ぐため村人が現在地に移した。 挙身光を背負って蓮華座に鎮座する石仏は、向かって右が説法印を結ぶ釈迦如来立像、左が右手施無畏印、左手与願印の弥勒如来立像といわれる。
■平成二十八年(2016)に”山の辺の道”近くの寺社巡りをしていた際、金屋の二尊石仏を拝観した。 鉄筋コンクリート造りの小堂の腰高鉄格子戸の隙間から中を覗くと、大きな板石に薄肉彫りされた石仏が安置されている。 風化による摩滅が進んでいるが、やわらかで流麗な線で彫られた像容であり、とくにみごとな衣文を示している衲衣のひだがハッキリと確認できる。 二尊石仏はいずれも肩幅が広く、肉付きがよいふっくらとした体つきだが、全体にバランスがとれたお姿だ....合掌。
△日本最古の道「山の辺の道」の沿道に建つ「金屋の石仏」が安置されている切妻造桟瓦葺の小堂....昭和五十六年(1981)の建立で鉄筋コンクリート造り
△高さ約220cm、幅約80cm、厚さ約21cmの板石に薄肉彫りされた二体の石仏(重文)....平安時代後期~鎌倉時代にかけての造立(推定)/バランスのとれた像容で、穏やかな丸顔
△挙身光を背負い蓮華座に鎮座する二尊石仏
△左は弥勒如来立像(推)....像高163cm....右手は施無畏印で、左手は与願印を結ぶ/右は釈迦如来立像(推)....像高164cm....説法印を結ぶ