対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

弁証法の創始者

2005-02-13 | 弁証法
  ヘーゲルは、『哲学史講義』の中で、弁証法の創始者として、ゼノン・ヘラクレイトス・プラトンの三人をあげています。
 わたしなりに、この三人を位置づけしてみたいと思います。そして次に、わたしが想定する弁証法の創始者を対置したいと思います。

 ゼノンは弁証法的矛盾です。ヘーゲルは、ゼノンの論理を逆手にとって、運動は存在する矛盾そのものである、と考えました。ゼノンはヘーゲル弁証法の出発点です。

 ゼノンは「弁証法的矛盾」、そして、ヘラクレイトスは「否定的理性」、プラトンは「肯定的理性」と対応していると考えます。

 いいかえれば、ヘーゲルがあげた三人は、「論理的なものの三側面」の内的な構造と対応していると考えます。

 ちなみに、許萬元はゼノンを内在主義、ヘラクレイトスを歴史主義、プラトンを総体主義と対応させています。

 ヘーゲルの弁証法には、「存在の弁証法」と「認識の弁証法」が、混在しています。わたしの試みは、「存在の弁証法」から「認識の弁証法を」切り離すことです。また、「論理的なものの三側面」を、矛盾律を前提として、再構成することです。いいかえれば、ヘーゲル弁証法から「矛盾」を排除して、「対話」を核心に据えた弁証法を提起することです。

 わたしから見ると、ゼノン・ヘラクレイトス・プラトンの三人は、弁証法の創始者ではありません。

 ゼノンとヘラクレイトスが、立ち去ります。代わりに、来るのが、アリストテレスです。アリストテレスは「矛盾律」の象徴です。プラトンは、そのまま残りますが、「肯定的理性」ではなく、「対話」の象徴です。

 プラトンとアリストテレスが、弁証法の創始者です。ヘーゲル弁証法の創始者の三人、ゼノン・ヘラクレイトス・プラトンに対置しておきたいと思います。プラトンは「対話」の象徴です。アリストテレスは「矛盾律」の象徴です。

 プラトンとアリストテレス。この二人が、ヘーゲル弁証法の合理的核心に対応します。