季節の風香

季節の山歩・散歩・花・風景

乳頭山~駒ケ岳 - 東北

2006年07月01日 | 山歩 - 東北
人には幾つかの忘れられない山歩きというものがあると思います。私の場合もかなりの数の忘れられない山歩きがありますが、時々それらの山歩きも紹介したいと思います。ただ、詳細な記録は昔からそして今も残していませんので、残っている写真と記憶だけが頼りです。しかし、残念にも写真もそれ程残っているわけではありません。もともと撮影枚数が少ない上に、一時期全く写真を撮らない時期もありましたので・・・。

まず最初は乳頭山から駒ケ岳に初めて縦走した山歩きもです。

行程 【 乳頭温泉~田代岱~乳頭山~千沼ケ原~田代岱避難小屋(泊)~乳頭山~笊森山~熊見平~湯森山~横岳~阿弥陀池~八合目 】

出かけたのは1981年の7月初めでした。まだ東北新幹線が開通する前です。奥羽本線経由の夜行急行(「津軽」だったと思います)を大曲で下車し、田沢湖線に乗り換えました。田沢湖駅からバスで乳頭温泉まで行き、そこから歩き始めました。孫六温泉の手前の沢で水を補給して、田代岱に向かいます。何故か、この沢にタニウツギが咲いていたのを憶えています。人間とは変なことを憶えているものです。



田代岱からの眺めた笹森山です。

この日泊る田代岱の避難小屋に荷物をおいて、軽装で乳頭山と千沼ケ原に向かいます。



乳頭山に向かう道から眺めた田代岱と赤い屋根の避難小屋。この避難小屋はその後立て替えられたそうで、今のものとは違います。右の奥に見える山頂部が平らな山は大白森です。



これは登る途中から眺めた乳頭山です。

乳頭山頂付近には様々な花が咲いていて綺麗でした。しかし、乳頭山頂付近の写真は一枚も残っていません。この頃は花の写真を撮ることはめったにありませんでした。



乳頭山を越えて千沼ケ原に向かいます。その途中で振り返って眺めた乳頭山です。

幾つか残る雪渓を横切って千沼ケ原に着きました。途中、岩手山が見えていた記憶がはっきりとありますが、写真はありません。



千沼ケ原からの笊森山。



湿原の中で一面白く見える部分がありました。それは初めて見るヒナザクラでした。これ以来このヒナザクラは私の大好きな花になりました。



この頃は木道はほんの一部にあっただけでした。



千沼ケ原。後ろは笊森山。



この写真の白いのはワタスゲだと思います。あと、イワカガミがたくさん咲いていた記憶があります。



千沼ケ原。



この写真の白いのはチングルマでしょう。後ろの山は三角山。

途中の雪渓の末端で水を補給して避難小屋へ戻ってきました。登る途中で採取してきたネマガリダケの筍で味噌汁を作っての夕食でした。夕食後は夕日を眺めてのんびりとコーヒーです。

夜半から風が強くなり、朝になっても止みませんでした。秋田県側はまだ雲がありませんが、岩手県側には雲が流れています。

今日は再び乳頭山に登って、駒ケ岳まで縦走します。乳頭山の山頂でも岩手県側が雲で全くダメです。そして、笊森山への登り付近からとうとう雨になってしまいました。この後は残念にも雨と白いガスの中を歩くことになります。このような状態だったため、二日目の写真は一枚もありません。

横岳への砂礫の登りになるとタカネスミレの黄色が白いガスの中に幾つも浮かび上がります。ガスで何も見えない横岳から阿弥陀池に下りて、阿弥陀池の避難小屋を覗いてみました(これも当時のもので今は立て替えられたはずです)。雨の為でしょうか数人のグループが小宴会を開いていました。この時山の中で会ったのはこのグループだけで、二日間他には全く人に会いませんでした。

雨は全く止む気配もなく降り続いています。白いガスであまり視界がききませんが、そこにチングルマの群落の白い花が浮かび上がります。ガスの中にチングルマだけが見えるので、周り全てがチングルマのような気になります。チングルマは珍しい花ではありませんからあちこちで見ていますが、記憶としてはほとんど残っていません。しかし、この時見たチングルマだけは記憶に残っています。

八合目まで下りてくると雨は土砂降り状態になりました。ここには当時もバスが上がってきていました(途中の道はまだ未舗装でしたが)。この天気ですから他に乗客はいません。貸切状態のバスを田沢湖で降りました。今日中には家に帰れませんから、ここから乳頭温泉の黒湯に電話をいれました。簡単にOKが出て、バスで再び乳頭温泉に向かいます。当時は、土曜日の午後の飛び込みでも泊ることができました。今は乳頭温泉の代表格は鶴ノ湯でしょうが、当時の代表格は黒湯でした。

案内された部屋は裸電球が下がり、鏡台があるだけで他は何もありません。さっぱりしたものですが、当時は特に何とも思いませんでした。それはそれとして、さっそく温泉です。雨の中を歩いてきた体に温泉が心地よいです。

次の日も雨は降り続きました。田沢湖駅から盛岡に出て、そこから急行で帰ってきました。

この翌年再び駒ケ岳に出かけましたが、この時も天気は思わしくなくガスで展望はききませんでした。そして、この時は乳頭山には登らず、もう一つの目的地の早池峰に向かいました。

それからしばらくは出かけませんでしたが、1999年から4年続けて出かけています。半分は乳頭温泉が目的でもありました。続けて出かけたのは、山仲間と出かけたり、大学の同窓会として出かけたり、家族を角館・乳頭温泉に連れていったりしたためです。もちろん、乳頭山・駒ケ岳と山麓の温泉が気に入っているからでもあります。しかし、写真は一枚もありません。実はこの頃は山で全く写真を撮らない時期だったのです。カメラを持ち歩いていませんでした。



この写真は同行した友人が撮ったものです。ニッコウキスゲが咲く笹森山付近です。歩いているのは私です。

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