けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

大江健三郎氏の発言から見える、韓国と日本の大きな差

2012-09-30 21:56:26 | 政治
こんなニュースがあった。
産経ニュース(2012年9月29日)「反日声明”韓国で大歓迎 大江健三郎氏ら、領土問題『日本が侵略、反省を』」 

最初、この記事を読んだときは腹が立った。直前に、中国が米紙ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズに「釣魚島(尖閣)は中国領だ」との広告を出したのを読んでいたので、その怒りに更に油を注いだ感じであった。しかし、昨日のブログを書きながら少しずつ冷静になるにつれ、考え方が変わってきた。

それは、これこそが韓国と日本の大いなる差であることを証明しているからである。つまり、このような情勢でも、平気で国益を損ねるような発言をすることが日本では認められており、社会もそれを容認するほど成熟した民主主義が日本にはあることを証明しているのである。

これと対局的なニュースが下記のものである。
Livedoorニュース/韓フルタイム提供(2012年9月6日)「韓国で親日コミュニティを作った男子学生を捜査

これは、当初は「韓国のポータルサイトに、親日派向けのコミュニティを開設した13歳の男子学生が逮捕された」というものであったが、その後、「編集部にて誤訳がありました。正しくは『現在も捜査中』となります」と訂正されたニュースである。その学生は、「『私は売国奴ではなく、日本を心から助けたいと思っている親日家』と綴る男子学生は、8月15日に『世界大戦終戦記念日であり、日本帝国敗戦日を記念する文章』として韓国旗を燃やした写真を添付、『独立運動家たちは朝鮮の光復(独立)に何も役に立たなかった。連合軍が日本に対し朝鮮を諦めさせた結果』と主張した」という。韓国の有名なネチズンは当然ながら彼を攻撃し、「13歳だが、国家機構のために殴り殺せ」「親も処罰するべき」「少年法を改正すべき」「日本に国外追放しよう」「親は責任をとってあの子を連れて日本に亡命しろ」と笑ってしまう投稿で盛り上がっていたという。

これを比べると、「では、あなたはどちらの国に生まれてきて良かったと思いますか?」という問いかけを日韓両国の人々にしてみたいと思う。勿論、韓国では私の質問の意図を理解することができないのだろうけれど・・・。

ところで、この成熟した民主主義というものには、もうひとつの真実が隠されている。それは、提起された問題にはそれが正しいとか妥当であるとかいう議論とは別問題として、物事には一方的な見方は存在しないという真実を語っている。つまり、法律に照らし合わせて考えたとき、竹島や尖閣が日本の領土か否かという議論とは別に、歴史問題というものを避け続けることはできないのではないかという問題提起なのである。日本維新の会の橋下市長も言っているように、歴史問題に背を向け続けると、必ず中韓に弱みを見せることになる。だから、日本の方から積極的に歴史問題を取り上げる方がちょうど良いのである。

ただ、ひとつだけここで注意しなければならない点がある。それは、領土問題と歴史問題は全く切り離して議論するように細心の注意が必要であるということである。話が横にそれて恐縮であるが、アメリカの有名なO.J.シンプソン事件では、その決定的な証拠ゆえに、民事裁判では殺人が認定された一方で、この問題を人種差別問題にすり替えた敏腕弁護士のおかげで、刑事裁判では無罪判決を勝ち取っている。このことから分かることは、そもそも論に照らし合わせれば確実に勝てるような裁判でも、議論をすり替えれば結果を覆すことが可能かもしれないということである。中国が尖閣を中国領だと言い張るのも、客観的な史実に照らし合わせれば日本が圧倒的に優位なのであるが、それでも中国が何らかの勝算を感じているのは、話のすり替えによる逆転を狙っているからである。日本の唯一の弱点は、この点にしかない。

以上の議論を通してお願いしたいのは、もし大江健三郎氏などが歴史問題への真摯な対応を議論したいのであれば、それは領土問題とは切り離して議論すべき問題だと理解して欲しい。「歴史問題に対する中国人の気持ちを分かろう」と主張するなら、本来、歴史問題とは関係ない、あくまでも国際法に則って議論されるべき領土問題を、「殺人事件を人種差別問題に話を挿げ替えられて、悔しい思いをしたO.J.シンプソン事件の被害者遺族と同様に、今まさに話をすげ替えて悔しい思いを強いられる一般日本人の気持ちを分かろう!」という主張も合わせて声高に叫んで欲しい。「こいつのことは、死んでも許せねぇ!」という気持ちを理解することと、だから憎っくき奴を殺しても良いという話は別なのである。気持ちを理解する話と、法律上の議論は別であることを、まず彼らは理解すべきではないのか?

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「ならば、国際司法裁判所に提訴してはいかがですか?」と世界に訴えよう!

2012-09-29 23:36:59 | 政治
先日のブログ「提案!!東京都尖閣寄付金を「情報戦」のための基金に当てよう!」で、東京都への尖閣購入の寄付金を世界的な広報活動の基金とすべきという提案を行なったが、驚いたことに中国の方が先手を打ってきた。

産経ニュース(2012年9月29日)「『釣魚島は中国領』と新聞広告 日本政府『一方的』と抗議

完璧に後塵を拝した形であり、東京都でも日本政府でもどちらでも構わないので、この手の活動を世界的に行って欲しい。少なくとも、これが「『一方的』と抗議」としか言えない程度の行為であると政府は認識しているのだから、中国人がどう感じるかなどと考える必要はない。なんなら、自民党が金を出して行っても良いのではないか?その金額に見合う程度の政党のアピールにはなるはずである。先に中国がやったのだから、少なくとも中国政府には日本政府がやり返すことへの反論はできないはずである。もはや、躊躇する理由はない。

ところで話は変わるが、昨日の朝、TBSの朝ズバを見ていて「おやっ?」と思った。民主党の長島総理補佐官が出演していた。驚いたことに、彼は中国が尖閣問題を国際司法裁判所に提訴してきたら、それに応じれば良いという態度を明確にしていた。一方、これを受けて藤村官房長官は、「中国はICJの強制管轄権を受諾しておらず(裁判に応じる義務を負うケースに)該当しない。現時点で尖閣諸島をめぐる状況について、国際司法機関で争う必要性を感じていない」と述べた。この状況をどの様に見れば良いのであろうか?

私の見解は、これが野田総理の戦略ではないかという考えである。つまり、日本から国際司法裁判所に提訴するのは、論理的にはありえない。まかりなりにも実効支配をしているというのだから、わざわざその現実を否定するのはおかしい。しかし、現実には安定的な実効支配ではなく、中国がほぼ紛争地化することに成功し、世界が紛争地と認める状況になってしまっているのだから、この状況を継続するのは結果的に中国につけ込まれた状況を容認することになる。しかし、中国側から国際司法裁判所に正式に提訴してくれれば、その結果を中国は甘んじて受け入れることを世界に確約したと世界は見るだろう。であれば、勝算が非常に高い尖閣問題で受けて立つのは、(それでも裁判で負けてしまうリスクがゼロでないながらも)これ以上の尖閣問題での日中間の経済損失を回避するというメリットが大きいことを考えれば、十分に国益に適った行動である。日本維新の会の橋下市長の主張もその様な線に沿ったものであるのだろう。

この様に考えると、今、やるべきことは日本政府とは別の勢力が、中国に対して「だったら国際司法裁判所に提訴してみろよ!」とけしかけることである。日本のマスメディアで、その様な発言を行うのである。NHKは流石に無理にせよ、その他おマスコミではその程度のことはできるはずである。テレビの方がインパクトは大きいが、新聞の社説でその様に唱えても構わない。そして、それを中国のマスコミやインターネットで大々的に流してもらういのである。そうすれば、中国国民は「釣魚島(尖閣)は中国領」であると頑なに信じているのであるから、それを受けて立たない中国政府を批判するだろう。そうなれば、その様な勢力を押さえ込む理由は中国にはない。さらには、これだけ世界規模でのキャンペーンを行っているのだから、国民からの「国際司法裁判所で白黒つけて、日本のことを嘲笑ってやろうぜ!」という声に耳を貸さない政府というのを世界は不思議に感じるのであろう。

であれば、28日付の米紙ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズに対し、誰でも良いから「ならば、国際司法裁判所に提訴してはいかがですか?」と題した広告を返してみたらどうだろうか?勿論、尖閣が日本の領土であることの証拠を合わせて載せるのは言うまでもないことだが・・・。

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選挙目当てで国益を損ねる選択を阻止せよ!

2012-09-28 23:36:14 | 政治
一昨日、新自民党総裁に安倍元総理が選ばれた。この状況を見て、中国、韓国はどのように動いてくるのだろうか?

基本的な部分ないしは建前上では、彼らは温家宝首相が言うように「半歩たりとも譲歩しない」という方針であることは明らかであるが、野田総理から安倍総理へのシフトは時間の問題である。であれば、年明けには安倍総理となることを前提とした戦略を練るはずである。以前であれば、レイムダックになった総理を相手にするより、その後の新総理を相手にした方が2度手間にならないから、それまでの間は交渉を控えるということが定石であった。しかし、中国、韓国からすれば安倍新総理との交渉はどう考えても事態の好転を期待できる状況ではないから、駆け込みで野田総理との決着を目指すのであろうというのが常識的な考え方だろうと思う。

この時、野田民主党は何を考えているのであろうか?多分、それが如何に自分にとって不利なものであっても、中国、韓国からの助け舟は喉から手が出るほど助かるのであろうから、簡単に罠にはまってしまうことが容易に予想できる。民主党にとっての最優先課題は、国益なんかではなく、次の選挙で如何にして落選者を減らすかである。であれば、安倍自民党との対立軸を明確に示し、それが国論を2分するテーマであれば、反自民の票の受け皿になれるのではないかと期待している。反原発に関しては、(民主党とは一線を画しながらも)日本維新の会も同様に脱原発に沿ったものの考え方をしている。民主党の脱原発は選挙目当てのまやかしであることは既に疑いのない事実であることが国民に浸透しているので、民主党は原発とは別の自民党との対立軸を探しているはずである。ではそれは何かと言えば、安倍総裁が選出された現時点では、対中国、対韓国への対応がその第1の候補になり得る。短絡的に見れば、タカ派に見える安倍元総理は中韓との対立路線となる物言う外交を目指すのは目に見えているから、政権交代後には中国、韓国からの対日制裁が継続し、景気に悪い影響を与えることが予想される。その様な事態を(単なる先送りで構わないから)早期に終結させて欲しいと考える経済界の声や、ノー天気に「早く謝っちゃえ!」と考えるエセ平和主義者の票を期待するならば、何でも良いから中国、韓国からの助け舟に早期に乗ってしまい、見かけ上の収束を自らの手柄のように訴えるという戦略もあるだろう。野田総理にその様な考え方がなくても、民主党内にはその様な考え方をしそうなご都合主義者が多くいるのは容易に予想できる。

であれば、私が中国、韓国の側であれば、今のうちに何処までの譲歩を日本から引き出せるかということを考えるだろう。例えば、中国漁船の管理を名目に、中国の監視船が日本の領海に入っても海上保安庁の船は抗議などの妨害行動を取らずに、自由な中国の監視船の航行を認めるということもあるかも知れない。ないしは、中国国民が尖閣に上陸しても強制送還のみで対処する一方、日本国民に対しては尖閣への上陸を実刑で処罰せよ(三権分立なのだから、そんなことは土台無理なのだが・・・)というのもあるかも知れない。今日の報道では、まずは尖閣が紛争地であることを認め、その上で尖閣棚上げ論を継承せよという戦略も見えてきた。この様に、日本が国有化を撤回するわけはないので、「日本が国有化によって手にしたゲインをまったくチャラに出来るような見返りを俺にもよこせ!」ということになる。

同様のことは韓国に対しても言える訳で、安倍新政権が河野談話を否定できないように、閣議決定を伴う形での慰安婦問題の旧日本軍(日本政府)の関与の認定を行うとか、国際司法裁判所への提訴をしても韓国が拒否したら、それ以上の深追いはしない(国際社会に、それ以上のアピールは行わない)とか、考えるだろう。ただ、中国との紛争による経済損失に比べれば、韓国と多少もめても日本の経済的なダメージは小さいので、おのずと日本側から引き出せる譲歩は限られたものとなる。最低限のラインとしては、通貨スワップ協定の維持や韓国国債の買い支え程度になるのかも知れない。

しかしそれらは全て、問題先送りで将来への禍根を残す選択なのである。ここまでこじれた以上、同じことを今後も何度も繰り返し、その都度事態がエスカレートするような選択肢を選ぶのではなく、長期的な視点でこれが最後となるような選択をするのが筋である。であれば、選挙目当てに国益まで他国に売り渡すような判断を許すわけにはいかない。自民党でも日本維新の会でも良いから、このようなリスクを明らかにして、野田政権が喜んで罠に落ちるのを自制させるブレーキをかけなければならない。

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「いじめ問題」に照らし合わせて分かる中韓との接し方

2012-09-26 21:56:47 | 政治
先日もNHKスペシャル「対立を克服できるか~領土で揺れる日中・日韓~」という番組について言及していたが、私がよく愛読している「ぼやきくっくり」さんのページに詳細が記されていた。

「ぼやきくっくり」さんは櫻井よしこさんの発言を忠実に文字に起こしており、テレビで見たときの内容をもう一度復習することが出来た。これを読むとよく分かるが、議論がかみ合わない理由が非常によく分かる。

その理由というのは単純で、議論を行う場合には公平な基準で物事を評価し、論理的な議論を進めなければならないのだが、中国と同様に韓国もその常識的な公平な基準というものを持ち合わせていないということである。つまり、彼らの基準は「自分たちは何をしても許されるが、相手が自分に対してすることは些細なことであっても許容しない」というものである。だから、この様な前提を出発点にしないと韓国であろうと中国であろうと、議論は一歩も前に進まないのである。だから、対中韓戦略を練るのであれば、この現実を如何にして変えるかというところにエネルギーを割かなければならない。

昨日の日本と中国の外務次官会談を見てもこの辺の事情はよく分かる。会談が終わった後に、中国は一方的に「自分の言い分は一方的に正しい。日本は過ちを認めて国有化を撤回しろ。」と主張しているのだが、日本側は「会談の内容は明かせない」と答えるに留めている。客観的にその状況を見れば、中国が大々的に「日本はけしからん国だ!」といい続けるのに対し、日本は弁解すら出来ないと思われても仕方がない。外務省が何故会談の内容を明らかにしないかといえば、それは明らかで「こんなことを日本が主張していると中国国民が聞けば、きっとまた暴動が起きるかも知れない。公には黙ってじっとしながら、裏で中国政府と駆け引きすればよい。」ということである。しかし、ここに明らかな判断ミスがある。裏でこっそり合意に持ち込もうという淡い期待は、絶対に実現するわけがないのである。(あまり客観的に状況判断が出来ていない一般民衆が)はたから見ていれば中国が優位に立っているように見える中で、中国の官僚が勝手に日本の言い分に丸め込まれれて日本に都合のよいことを聞いてしまったら、国に帰って「国賊」と曝し首にされるのは目に見えている。だから、日本の官僚が好きな裏での交渉は既に破綻しているのである。この事態を打開するには、日本と中国の間には、前提とする物の考え方に埋めようのない大きな乖離があることを国際社会にアピールし、その様な前提で物を考えると第三者的な公平の立場の人はどの様に考えるのかを世間に問えば良いのである。

実はこの辺のものの考え方は、NHKスペシャルの中でも、木村幹神戸大学大学院教授が指摘していた。つまり、領土問題や歴史問題など国家の根幹にかかわる問題は、両国が相互にハードルを引き上げまくる事態が長く続き、既に2国間協議で解決することが不可能であることがよく分かったということである。そして、2国間協議で解決することが不可能であるが、絶対に解決しなければ誰もが困るような事態であるならば、それを解決できるのは公平中立な第3者でしかあり得ないということを両国が認めるべきであると結論付けている。これは極めて正論であり、常識的な視点ではこれに反論することは不可能なはずである。しかし、昨日の国連での玄葉外相の演説でも、彼は「国際司法裁判所にて国際問題を解決しましょう」というアピールをしたが、その後の韓国の演説では「国際司法裁判所を政治利用してはならない」という反論がなされた。しかし、国際的な国家間の対立に対し、政治的、外交的な解決が不可能な場合、残された選択肢が「国際司法裁判所による政治判断」と「軍事力による解決」のどちらかしかない。それでも「国際司法裁判所による政治判断」はダメというのであれば、残された選択肢は「軍事力による解決」のみとなってしまう。あのような主張をする人に対しては、本当にそれで良いのか?という質問をしてみたい。その質問への答えは自明である。

ところで、ここで話題を少し変えてみたい。いじめ問題についてである。ある子供が乱暴な同級生に無理難題を言われ続け、ある時、「やめてくれよ!ひどいじゃないか!」と言い返した。言われた同級生は猛烈に怒り、さらにいじめが過激になった。同じタイミングで別のいじめをしている同級生に対しても、「やめてくれ!」と言ったがこちらも猛烈な反撃を食らった。先生が心配して仲裁に入ると、いじめた側の同級生は「あいつの方が俺たちに因縁をつけたから、こっちは怒っているんじゃないか!」と言い出し、調べてみると相互のいじめた側の同級生がそれぞれの主張を擁護しあっている。この状況で先生はいじめられた子供にどう接するべきであろうか?

ひとつの安直な選択肢はいじめられっ子に対し「あなたの方から二人に謝ってしまいなさい。そうすれば、彼らも矛を降ろすから・・・。」と指導することであろう。しかし、これで事態は好転するのであろうか?答えは「否」である。いじめっ子が調子に乗り、さらにいじめがエスカレートするのは目に見えている。だから、いじめられた側に卑屈な態度を取らせるのは解決に逆行する選択肢である。一瞬は収まったかに見えるが、その後の展開は最悪の事態へと一直線に向かうことになる。ならば、どの様な指導が正しい対応なのだろうか?

私の考えはこうである。まず、裏でこそこそ何かをするのではなく、いじめられっ子には先生が同席してクラス皆の前でいじめっ子に対する自分の気持ちを明確に宣言させるのである。そして、ほとぼりが冷めるまで自宅で待機することを進めるのである。そして、いじめられっ子が欠席している中、先生は学級会を開いてクラス全員に「どの様に考えますか?」と問いかけるのである。この際、いじめっ子側にも弁解の機会を与えてもよい。この様なクラス全体の目があるなかで、いじめっ子側は自分が少数派であること、自分の理屈が世間一般には通らないことを思い知るのである。ほとぼりの冷めた2週間後、いじめられっ子が登校すると、いじめっ子はいじめを再開しようとするかも知れない。しかし、事態は2週間前とは異なっている。つまり、いじめっ子も周りの目が気になるのである。次に何かあれば、きっと他のクラスメートは自分たちを非難するかも知れない。となると、それまでの乱暴な行動を控え、流石に無茶なことはし難くなる。完全にいじめがなくなるとは思わないが、少なくとも少しは冷静な行動を促す土俵は構築されるはずである。

これが私の答えなのだが、ここでポイントなのは、明日からの上辺だけの仲直りを目指すのではなく2週間の冷却期間を覚悟すること、当事者同士だけでの主観的な争いから第3者の目を入れた客観的な議論に置き換えることなのである。そして、これはまったく国家間の領土問題にも置き換えることが出来る。

日本政府及び外務省は、短期的な視点から最短の時間での収束を目指すから、「私の方から二人に謝ってしまおう。そうすれば、彼らも矛を降ろすから・・・。」と考えがちである。しかし、これでは事態は解決の間逆の方向に進み、将来的に禍根を残すことになる。今だけ乗り切れば、自分の責任は他人に転嫁できる・・・と考えればそれでも良いと考えるのであろうが、現在は全国民が彼ら(日本政府及び外務省)の行動を見守っている。であれば、言うべきことをはっきりと宣言し、国際社会にそれをアピールし、猛烈に荒れるであろう中国からの反発の嵐が通り過ぎるまでひたすら耐え忍ぶのである。そして、2国間での争いから、国際社会を巻き込んだ公平・中立な立場からの仲裁をお願いするのである。

もちろん、中国はそんなことを受け入れるはずはないから、睨み合いの冷却期間は2週間などでは済まないだろう。しかし、放っておけば同じことが今後も繰り返し繰り返し起こる訳で、その累計の損失はここで一気に型をつけるよりもよっぽど大きい。今なら戦争にならずに済むが、10年後には本当に戦争になるかも知れない。それらのリスクを天秤にかけ、それでも今、棚上げして「将来また争い合いましょう!」という道を選ぶのであれば、その様な官僚も政治家も即座にご退席頂くしかない。

幸か不幸か、自民党の新総裁には安倍元総理が就任した。彼が次期内閣総理大臣になるのは時間の問題である。その彼のスタンスは、日本の立場を明確に世界にアピールする物言う外交である。言ってみれば一度死んだ人間(総理辞任劇の意味)であるから、相当の覚悟で臨むはずである。そして、その返り血は大きいだろうが、それに負けないための強力な経済対策を実施し、日本の再建を目指すのだと思う。その姿は、紙一重の危なさを秘めているのは否めないが、日本が長いこと待ち望んだリーダーシップに違いない。国民の支持が得られれば、長期政権になることが期待され、それは外交的にも日本の発言権の復活につながる。原発問題、普天間問題など、様々な問題に対してひとつの答えを出すことは、世論を2分させることにつながるかも知れないが、その様な産みの苦しみはいつか何処かで乗り越えなければならない。

海外のメディアには、最近、「日本の右傾化」と題した記事が多く見られるようになったそうだが、今日の産経ニュースによれば、意外にも中韓の主張を鵜呑みにした記事ではなく、意外に冷静に評価しているところが多いという。つまり、日本は確かに相対的には以前よりも右傾化しているのは事実だが、これはこれまでがあまりにも消極的な外交で相手を気にし過ぎていたのが、やっと「普通の国」に戻っただけのことであると解説では締めくくっているという。少なくとも、欧米諸国には話せば分かってもらえるのである。その努力を怠ってはいけない。

この様な方針の速やかなる転換のために、野田政権は速やかにバトンを渡すべきである。

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新自民党総裁がまず最初にやるべきこと!

2012-09-25 22:08:29 | 政治
今日は領土問題に関して書きたいことが色々あるのだが、明日、自民党の新総裁が選出されるので、その選出の前に、是非とも新総裁に行って頂きたいことを、手短にここに書くことにする。

話は単純である。公明党の山口代表と共に共同記者会見を開き、国民の前に以下の立場を明確に表明して頂きたい。その内容は以下のものである。

一. 現在の民主党政権は完全に国民の支持を失った政権であり、自民党及び公明党は、衆院及び参院の両院において、解散総選挙が実施されるまでは国会内での協議には応じることはできない。
二. ただし、特例公債法案、0増5減の選挙制度改革法案の店晒し状態は、国民の経済活動及び権利を人質に取る蛮行であり、民主党の対応の如何に係わらず、例外的にその法案成立に向けた最大限の努力をすることをここに宣言する。
三. 選挙制度改革法案は、その法案成立後も関連する事務手続き等で一票の格差が是正できるまでにはタイムラグが生じる。この状態での解散総選挙に関しては、後から最高裁で違憲&選挙無効の判決が下されるリスクを伴うが、しかし法案の成立後であることを前提とすれば、解散総選挙はそのタイムラグに縛られるべきではない。仮に選挙無効の判決が下れば、その時点で速やかに解散総選挙を行うことをここに約束する。
四. 民主党政権が悪戯に時間を使い、上記2法案の処理が円滑に進められないと判断した場合には、仮に民主党が国民生活を人質とする戦略をとったとしても、国会内外の全てのチャネルを閉じて政党間協議を完全に打ち切る。

以上の内容を明文化し、国民に対して明確な意思表示を行うのである。もちろん、厳密に言えば政治というものは水物で、近隣諸国との問題が更にヒートアップし、緊急且つ超重要な対応が余儀なくされた場合には、個別に協議を行うことはあっても構わない。しかし、解散総選挙に伴う1ヶ月弱の政治空白を許容できないほどの国家の危機でなければ、新政権樹立後に可及的速やかに法案成立させることでも対処可能なはずである。ないしは、上記の法案の審議日程の合間に議論し、短期で採決可能な案件であれば、その重要度に係わらず法案審議をパラレルに実施しても構わない。あくまでも2法案を最優先に行い、その法案成立後の速やかな解散総選挙を国民に訴えるのである。

現在の政治情勢は、自民党からすれば民主党の出方を伺いながら自らの行動を考えるようではダメである。民主党は既に政権としての体をなしていないのであり、その様な相手に対し自ら主導権を握って行動を起こせないようではとてもではないが中国、韓国など相手にできない。民主党執行部が既に、自らの党内の離党予備軍の動向にビクビクしながら、当たり障りの無いように振舞おうとしているのだから、自民党が先に行動を起こせば民主党はそれに合わせざるを得ない。攻めるべき時に攻めないで、勝利など勝ち取ることはできない。既に倒閣の大義名分は手にしているのだから、一気に攻めて年内の早期に体制を立て直して中国、韓国に対応して欲しい。

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解散へのカウントダウンを暗示するのか?

2012-09-24 23:57:47 | 政治
民主党という党は一体どういう党なのだと益々分からなくなった。細野環境相の政調会長への起用の話題のことである。

多くの新聞も書いているとおり、先日の党代表擁立劇では「福島のことが頭から離れない」という理由で立候補を断念した。今回は、政調会長という立場で福島の復興により貢献できるとの言い訳で政調会長職を引き受けたそうだが、どう考えても理屈に合わないのは誰もが認める通りである。もし、環境相、原発相という立場での福島への貢献よりも、政調会長という立場での貢献の方が効果が大きいというなら、自らが総理になればそれ以上に福島の復興に貢献できたはずである。少なくとも、本人は「誰よりも、原発事故で苦しむ福島の人々の苦しみを理解している」との自負があるだろうから、その様な人が総理大臣になれば福島の復興、東日本大震災の復興がより一層、進むことは理屈の上では考えられる話である。それが良いか悪いかは別として、福島の惨事を繰り返さないという国民への強いメッセージという意味では、福島に寄り添う政治家が、総理大臣という職を通して脱原発という形で福島県民に懺悔するという形は分かり易い。青森の六カ所村やもんじゅを廃止し、新設の原発も認めないなどの問題提起は、細野環境相であれば大義名分が立ったかも知れない。これならば、代表選直後に解散総選挙を実施し、国民に脱原発の是非を問うシングルイシューの選挙を実施すれば、それなりの人数の議員が生き残れたかも知れない。勿論、そんなことを私は決して許したりはしないが・・・。

つまり、この様に書いてきて私が理解できない最大の対象は細野原発相なのである。少なくとも、彼は断ることは可能だったはずである。勿論、野田総理が環境相を続投させないと決断すれば話はそこで終わりであるが、そんなことをしたら多分、世論が許さないのは目に見えている。大義名分が立たないことを知っている。だから、細野環境省が拒否すれば、10月以降も環境相に留まり福島のために働くことは出来たはずである。しかし、自らの意思でそれを断ち切ったのである。

勿論、このようになった理由は野田総理が強硬に細野環境相に迫ったことが背景にあるだろうから、当然ながら野田総理の罪も重い。しかし、野田総理がその様な世論の空気を全く理解できないとは思えないから、彼の目には「何が、そのリスク以上のメリットと見えたのか?」という点が疑問なのである。選挙のための人寄せパンダと指摘する人はいるが、それを言うなら細野環境相を幹事長に起用すれば良かったはずである。福島への貢献という意味でも、ギリギリ、政権与党のNo.2というポジションであれば説明がつく。しかも、選挙となれば代表、幹事長、政調会長の順でテレビ映りの頻度が多いのだから、民主党4人目となる「細野総理」は世間が認めないだろうが、「細野幹事長」ならば認めてもらえる可能性が高い。党内でも敵を作らないことで有名な細野氏だから、党内結集の旗印としても悪くない。

なのに、輿石幹事長、細野政調会長なのである。説明がつかない人選である。

私が悲しくなるのは、政治、特に政権に求められる戦略性とそのしたたかさが民主党に感じられない点である。何となくの、行き当たりばったりでの決断が多すぎる。このままでは、原口元総務相を重要閣僚に抜擢するなど、離党対策の閣僚人事が横行するのではないだろうか?とすら思ってしまう。

しかし、解散の先伸ばしは特例公債法案成立の先延ばしそのものであり、国民の生活を人質にとることになる。国民の意思に反した問責決議ならば効力も対してないだろうが、圧倒的に国民は与党民主党にレッドカードを突きつけているのだから、この問責の効果は思いのほか大きい。自民党総裁に石破氏、安倍氏の何れかがつけば、多分、野田政権の前途は風前の灯火である。であれば、もう少し真剣な人事があっても良さそうだが、そうはならない。具体的には、幹事長に前原政調会長を繰り上げ、野田民主党に反旗を翻す者を追い出し、ある意味で3年前の選挙に対する総括を行って目指すべき方向を明確にして選挙に打って出れば、もう一度信じてみようと思う支持者がいるかも知れない。

やはり、戦略なき政治家は退場して頂くしか道はない。世間の読みよりは早いが、10月中の解散は避けられないのではないかと強く感じた1日だった。

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日韓関係が何処までも改善しない理由

2012-09-23 23:58:38 | 政治
先程、NHKスペシャル「対立を克服できるか~領土で揺れる日中・日韓~」という番組を見た。と言っても、出かけていたために途中から見ることになったので、前半の日中関係の部分は見損ねた。後半の日韓関係しか見ていないが、この部分を見て今まで腑に落ちなかったものが「ああ、なるほどね!」と納得できるようになった。

物事は単純ではなく、複雑な事情が相互に絡み合っているのはその通りなので、これが全てという訳ではないが、ひとつの物事の考え方として「意識すると何かの役に立つかもしれない」ということで、敢えてここで言及してみたい。それは、何という事ではない単純な話で、日韓関係についての戦略を練る上で「韓国国民の意識は、若者から戦争経験者までを含めて全ての世代に共通で、最重要課題は『独島(竹島)問題』である」ということである。

多分、「だから、それがどうした?」という程度の内容の話である。それ以上でもそれ以下でもない。しかし、私が理解したものは微妙にニュアンスが少し違うのである。つまり、物事には「手段」と「目的」というものが有り、全ての行動は「目的」のために行われ、その「目的」達成のために様々な「手段」が講じられるのであるが、多分、「『独島(竹島)問題』=『目的』」という方程式があり、その他の慰安婦問題、歴史認識、戦争に対する謝罪要求などは全て「『独島(竹島)問題』=『目的』」を実現するための手段なのである。

例えば、慰安婦問題に関しては、「被害者だと言われる女性の名誉の問題だ。だから、軍の強制を認めてさえくれれば補償などは要求しないから、その線に沿った謝罪発言を出して欲しい」といった要求を日本側に突きつけ、それならばと、(首相官邸が調べても調べても証拠が見つからない軍の関与に対し)「これで、全てを終わりに出来るなら・・・」と河野談話を発表し、その後に「女性のためのアジア平和国民基金」という民間の基金まで立ち上げて、日本国民から集めた償い金として経済的な援助を行おうとしたのに事態は逆に悪化した。村山談話にしても、それまでの謝罪とは解りにくい表現からかなり具体的に踏み込んで、社会党政権だからこそ出来た談話(しかも、閣議決定まで付いた正式な文書)まで発表したが、真の誠意が込められていないと、エンドレスの謝罪を要求する。

私は当初、韓国にとっては、例えて言うなら言葉は悪いが、ヤクザがやっと見つけた金づるに対し「とことん絞れるだけ絞ってやろう」とペンペン草も生えないほどまで金をむしり取るように、日本から得られるものはとことんむしり取り、それで国を発展させようという、経済的、政治的、軍事的な利用が「目的」なのだと思っていた。しかし、よくよく考えてみると「竹島」は既に韓国が実効支配しており、周辺の漁場の漁業権も含めて韓国が圧勝な状況である。唯一、韓国が恐るのは日本からの国際司法裁判所への提訴であるが、国際法に照らし合わせて考えると、様々な証拠でみれば不利な部分は多々あるが、それなりに言い返すための論理武装もそれなりにはある訳で、仮に5分5部ないし4分6分程度の判定なら1952年以降の実効支配という実績で十分に勝利に導く勝算があるという明らかに優位に立ちながら、李明博大統領は日本が国際司法裁判所への提訴に踏み切るかもしれない最後の一線を超えてきたのである。これは、私には意味が理解できなかった。日本側の報道では、李明博大統領が大統領退任後の逮捕のカウントダウン(最近、そのカウントダウンの音は、更に具体的な大きな音となって聞こえだしたが・・)を恐れて、逮捕されないほどの英雄になりたかったのではとの推測もあるが、であれば竹島訪問の後の天皇陛下への非礼発言などの連続パンチは理解できない。

つまり、竹島には日本からの経済的、政治的な譲歩をとことん引き出す以上の価値があると考えるのが実は妥当なのだと思う。それは、元々、50年前からそれが「目的」ではなかったのだと思う。元々は民主的とは言い難い韓国の政権が行う反政府勢力に対するガス抜きのツールであったのかも知れないし、李承晩大統領が日本に対して「胸がスカッとすることをやった」のでそれを単に象徴的に扱っていただけなのかも知れない。しかし、少々心にやましいところのある領土であるが故に、流石にいつしか日本に取り返されることを恐れ、韓国国民が「ひょっとしたら、日本の言うことにも一理あるのかも知れない」とか、「史実をもう一度調べ直して議論しよう」という気を起こさせないように、全国民規模での徹底した「洗脳教育」を始めた。現在、その洗脳教育が定着するうちに、気がつくと、戦争で実害を被ったはずの世代よりも、若い世代の方が「日本を許せない!」と思うに至ってしまった。この過程の中で、いつしか竹島が「目的化」してしまったのだと思う。

だから言い換えれば、どんなにこれ以上の謝罪を韓国に対して行なっても、どれほど慰安婦に対して経済的な補償を日本政府が直接行っても、多分、韓国国民は日本を許したりはしないのである。当然ながら、補償の規模が足りないとか、心がこもっていないとか、幾らでもイチャモンはつけようがあるから、終わることはない。そして、それが終わるとしたら、竹島を韓国に差し出して領有権の主張を取り下げるという時なのだろうと思う。勿論、その時点で韓国のナショナリズム教育が、新たな「目的」を生んでいなければの問題ではあるが・・・。

私の勝手な仮説ではあるのだが、その前提に立つとするならば、この竹島問題は何処までも永遠に避けて通れない超最優先のテーマなのだということになる。

変な喩えではあるが、トラウマを持った精神的に傷ついた人が立ち直るためには、そのトラウマが何であるのを見極め、そのトラウマの基となった忌まわしい記憶と向き合い、それを乗り越えることでトラウマを克服するのである。同様に、韓国に対しては多分、この竹島問題を乗り越えないと何処までも何処までも、次のステージへと移行することはできないのである。この辺は、仮に尖閣問題を乗り越えてもエンドレスでトラブルメーカとなる中国とは違うところなのだと思う。

勿論、竹島問題が乗り越えられれば慰安婦問題も解決するという訳ではない。しかし、今現在の「相手の言うことに聞く耳を持たない方が勝ち!」的な考え方は、相手が竹島問題を乗り越えた後ならば変わってくるだろう。折角ここまで拗れたのだから、中途半端になかったことにしようなどと思わずに、正面から向き合う覚悟を持つべきである。そして、その本丸はあくまでも「竹島」だと思って臨むべきである。

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中国の「罠にはまった」ことに気がついているのか?

2012-09-22 23:20:37 | 政治
何とも不可解な状況である。ここ数実、急速に中国の態度が軟化してきている状況のことである。

先日も、中国が急速に日本に対して強硬な態度をとるようになったのは習近平国家副主席が主導したとの記事があった。それと前後し、パネッタ米国防長官と習近平氏が会談し、尖閣国有化を「茶番」と非難したり、尖閣は日米同盟の対象であるとする米国の介入に釘を刺すなど、表立った行動を繰り返し既に習近平氏が権力を半ば掌握したことを誇示しようとしているように見えた。実際、反日デモのデモ隊には金を配ってバスで送迎しながらデモに導いていたし、中国の漁師の月収が4万円に満たないところを、尖閣に船を出せば尖閣までの燃料代片道分として120万円以上を提供すると先導し、700隻近い船を尖閣周辺まで引き連れ、号令とともに一斉に尖閣に攻め入るぞと日本政府にブラフをかけたりもした。

一方で、中国ASEAN博覧会に習近平氏が出席した際には「周辺国との領土や領海、海洋権益をめぐる争いを平和的に解決する」「中国は永遠に覇権を唱えない」(これまでは休みなく覇権を唱え続けていたのによく言えたもんだが・・・)とも述べたとも伝えられ、柔軟路線に舵を切ったとも言われた。勿論、税関の遅れなどの様々な制裁らしきものは色々見えてくるので、全面的な動きではないが、領海内に侵入してくる漁船はいないし、政府筋からの過激なトーンの対日批判も徐々に影を潜めてきている感はある。
単純に考えて、胡錦涛国家主席と習近平副主席は国家主席移譲後の中央軍事委員会主席の座をめぐり、駆け引きを繰り返しているはずである。江沢民前国家主席は2年間も中央軍事委員会主席の地位の移譲はせずに権力を握り続けたのだから、軍を睨みながら実質的なポスト以上に実行的な全権掌握を気にするのだろう。軍からは、相変わらず威勢の良い発言が連発しているから、常識的に見れば、軍からの支持を取り付けるために習近平氏が強硬な路線を進めていたのは予想できる。

しかし、そのような中で中国が急に鉾を収めるとすれば、必ず何か裏があると考えざるを得ない。私が恐れているのは、野田総理、玄葉外相、外務省の官僚などの何れかが大幅な譲歩と引き換えに、中国側の「ひと休み」をお願いしたのではないかということである。

先日のAPECでも、野田総理、玄葉外相はひたすら低姿勢で、石原都知事などの強硬派の動きを封じるために苦し紛れに国有化したのだと説明したという。如何にも、「お許しを請う」的な発言で、「あなたを怒らせないために、私はこんなに努力をしているのです」という雰囲気が漂う。ひょっとすれば野田総理は、「中国側がここまで日本が低姿勢で出てくることでいい気分になり、『しょうがない、許してやろうか!』と言ってくれるのではないか?もしそう言ってくれれば、結果として国有化した日本の方がボロ儲け!」と楽観していたのではないか?裏で糸を引いたのは、岡田副総理あたりである可能性が高い。自民党内でも、おぼっちゃまの石原幹事長が総裁選の討論で、「政府は本気で中国に国有化する理由を説明しようとしたのか?」と言っていたが、これこそまさに民主党の外交政策をコピーしたかのような主張である。当然、当てが外れて泡を食って、慌てて藁をもすがる思いで中国の罠に乗ってしまった可能性がある。

この「罠にはまった」というのは多分間違いないのだろうが、ではその罠が何かという話は、相当、万馬券的な勝手な予想をさせてもらう。それは、玄葉外相が閣議後にインタビューに答えて言っていたが、尖閣に関連して国際司法裁判所への提訴をしないという判断ではないかと思う。何故なら、ここで国際司法裁判所へ提訴されて一番困るのは中国だからである。中国の狙いは南シナ海の様に、国際司法裁判所で争うよりも前に実効的に占領し、占有の実績を作ることなのである。それが裁判などしようものなら、一発で自国の主張の正当性を失うことになる。それは南シナ海にも飛び火し、結果的に太平洋での覇権を失うことに繋がる。トウ小平ではないが、棚上げ論を日本に承認させ、一方で徐々に尖閣への日本の影響力を排除し、何処かで中国が実効支配したところで一気に軍を投入するという作戦だろう。

繰り返すが、その罠に引っかかることへの見返りは、中国側の「ひと休み」なのである。自民党総裁に立候補した林芳正氏は、「細かいことを小出しにするから何度も何度も揉めるのである。どうせなら1度で争いは済ませた方が良いから、やるなら中途半端なことはせずきっちりとやるべきことをやり、以降は当分揉めずに済むようにした方が良い」といったニュアンスの発言をしていたが、多分、これは的を得ている発言だろう。

このまま棚上げを続ければ、そのうちに海軍力のバランスも崩れ、中国側が優位に立った時点で本当に「軍事衝突」と「尖閣の放棄」を天秤にかけなければならない時が来るかも知れない。その次には「沖縄の放棄(本島の前に、米軍基地のない離島が対象だろうが)」を迫り、エンドレスに何処までも危機は続く。弱腰を続ければ、(冗談の様に聞こえるが)韓国も対馬を取りに来るかも知れない。

まずは「罠にはまった」と気づくべきである。そして、気づいたらその真逆を行くのである。だから、次の自民党政権には本気で国際司法裁判所への提訴を検討して欲しい。

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タイガーマスクも虎の穴出身じゃないか!(原子力ムラ出身者は原子力規制委員会に適さないのか?)

2012-09-21 22:40:42 | 政治
今日は敢えて尖閣問題とは別の議題について語ることにする。テーマは、原子力規制委員会の初代委員長に野田総理から指名された田中俊一氏の是非についてである。

議論の前に、最初に私のスタンスを示しておく。ブログを御覧の方であれば分かると思うが、基本的に原発ゼロには反対である。かといって、積極的な推進波でもない。厳格に安全性を確認し、安全であると確認できるものに限定して再稼動を許すべきという立場である。ただ、大飯原発の再稼動は明らかに間違ったプロセスを経ていると考えている。どう考えても、免震重要棟すらない原発を安全だと判断できる訳がない。だから、この判断における「安全基準」は橋下市長のご指摘のように技術的な見地からの「安全基準」ではなく、あくまでも政治的な「判断基準」と断言できる。ただ、では政治的な「判断基準」は全て駄目かと言えば必ずしもそうではない。責任の所在を示した上で、再稼働に伴うリスクにも代え難い何らかの大きなリスクを回避するために、内閣総理大臣の政治決断として緊急避難的措置を講じるというのであればそれは許容する。しかし、今回の場合は野田総理はあくまでもそれが「安全基準」だと言い切っているから、何か事故が起きたとしても「私は安全基準に従っただけ」と言い張り、自分としては不可抗力であったと言い逃れできる布石を臆面もなく敷きまくっている。これでは政治決断ではない。

少々話がそれたが、この田中委員長の過去の言動を見ると、公平に見れば福島で原発事故の被害を受けた人々が感情的に「適任」と判断する訳がない人物であることは認めざるを得ない。しかし、それでも私には(この様な意味で多少のバイアスがかかっていることは認めた上で)マスコミ上で取り上げられている考え方には賛同できない部分があるのでそれを指摘したい。

まず、原子力の専門家であるならば、確実に「推進側にバイアスがかかった人」「原発ゼロにバイアスがかかった人」の何れかに分類できるはずである。よほど世の中のことに無関心でない限り、原子力の専門家であるのに真の意味で中立でいられる人はいないはずである。だから、電力会社や原子力ムラの人々と対等(ないしはそれ以上)に渡り合える人を選ぼうとすれば、必ずどちらかにバイアスがかかった人を選ばざるを得ない。その時、仮にどちらの人を選ぼうと、それと対立する陣営の人にとっては耐え難い人事となり、万人に認められる委員長を選ぶことは不可能である。おのずと「推進派の中の『慎重派』」か、「原発ゼロ派のなかの『穏健派』」の何れかを選ばざるを得ない。だから委員長人事を考えるとき、この中でどちらの方がより中立に少しでも近い人材を選べるか・・・という問題に置き換えることができる。もう少し言い換えれば、何処までも平行線で決して交わることにない勢力と接し、双方の声をちゃんと聞き届けることが出来る人材を何処から探し出すか・・・と言っても良い。

ここで、ふたつの勢力をもう少し吟味してみたい。「推進派の中の『慎重派』」というのは、かってはバリバリの推進派だったのが、3.11以降、流石に昔のままではまずいと当時に比べれば相当「慎重派」にシフトした人が多い。一方、原発ゼロの人たちは、今までは日の目を見ることが出来ない立場に追いやられていた鬱憤が募っており、今こそチャンスとばかりに僅かばかりの妥協を許さない強硬派が圧倒的である。多分、この情勢では「推進派に対して妥協する」などということは、彼らの頭の中の選択肢にはないだろう。

多分、現在の原子力に関する問題は、感情的にエイヤで決められるような単純な話ではなく、前向きに様々な立場の人と論理的な議論をしていかなければ一歩も進まない。野田総理がカッコつけて原発ゼロを宣言したが、しかし、その舌の根も乾かぬうちに青森の六ヶ所村の再処理施設の続行やもんじゅの開発継続などを決断したのには訳がある。一番典型的なのは、六ヶ所村の再処理施設であろう。今、この施設には日本中の使用済み核燃料棒が運び込まれている。福島第一原発の4号機の例が分かりやすいが、それぞれの原発にも使用済み燃料棒は管理されているが、既に殆どパンク状態なのでわざわざ青森まで運んでいるのである。しかし、この六ヶ所村への受け入れ条件は、これらの燃料棒を再処理することが前提なので、この前提が覆れば即座に日本全国の原発にこれが送り返されることになる。しかし、そうなると受け入れたくても受け入れるスペースがなかったり、新たな施設の建設が必要になったりするだろうが、当然、住民はそのようなものを認めるわけがないから、結果としてその行き場所が見つからない。高々、除染で集めた放射性廃棄物や関東の焼却場で放射線量が濃縮された焼却灰程度のものを最終処分する場所も決まらないくらいだから、それ以上に遥かに危険な使用済み核燃料棒など受け入れる先が見つかる訳がない。だから、野田総理はあっさりと矛盾だらけの決断を平気ですることになる。しかし、原子力規制委員会の委員長には、その様な矛盾だらけの決断をあっさり出来る人では困るのである。様々な基準や判断は、あくまでも純粋に技術的・論理的なものでなければならず、だからこそ、一方の言い分だけを聞いて安易な判断をするのではなく、ちゃんと双方の立場の人と話が出来る人、話を聞いてその主張の中の合理的な部分を最終的な結論の中に盛り込むことが出来る人を探さなければならないのである。

となると、電力会社や原子力ムラの人と技術論で戦うことが可能で、少しでも中立に近く、バイアスが相当かかった人とも論理的な議論が出来る人とは、「原発ゼロ派のなかの『穏健派』」の中に探すのは困難であり、結果として「推進派の中の『慎重派』」の中から選ばざるを得ない。仮面ライダーやタイガーマスクも、言ってみればその世界の「原子力ムラ」的な組織の出身者なのである。言い換えれば、そうでなければ正義の味方の彼らも悪の組織とは戦えないのである。この様な意味で、「原子力ムラ出身だから・・・」という理由で否定的な立場の人は、私に言わせれば「本気で何とかしようとは思っていない人(無責任に言いたいことが言えれば、結果はどうなっても良い人)」ではないかと疑ってしまう。

私は、この田中委員長がどの様などれ程の人かを良く知らないが、就任後の動向を見る限りでは、「推進派の中の『慎重派』」ではあり、全ての立場の人と論理的・技術的な議論が出来そうな人のように見える。まずはお手並み拝見である。そして、問題があればその時には法令を改正してでも、首の挿げ替えを行えば良いのだと思う。

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今が最悪!これからは上を向いて歩こう!

2012-09-20 22:54:35 | 政治
昨日の報道であるが、尖閣諸島に関連する強硬な中国の対応を指導していたのは次期国家主席となる習近平氏であることが明らかになったという。そして、その背景には韓国の李明博大統領の竹島訪問が引き金になったとも指摘されている。

産経ニュース(2012年9月19日)「【尖閣国有化】対日強硬策、習近平氏が主導 韓国大統領の竹島上陸など機に一変

笑ってはいけないが、思わず「オイオイ」と突っ込みたくなる状況である。この話題とは直接関係ないが、実は竹島問題がクローズアップされたとき、韓国国民がどのように感じているかという報道があり、その中で「日本は中国に対しては尖閣上陸や漁船衝突事件の様に酷いことをされても大して反発せずに寛容な措置をするのに、韓国の竹島(独島)問題に対しては非常に強硬な態度をとる。(韓国にも同様に寛容に接するべきだ!)」というニュアンスの韓国人の声を紹介していた。この例を引くまでもなく、ロシアのメドベージェフ大統領が2010年11月に北方領土の国後島に上陸したのは、2010年9月の尖閣漁船衝突事件の日本のお粗末な対応を見ての判断だし、李明博大統領が竹島訪問と天皇陛下に対する非礼な発言をしたのも、これまでの日本の外交力の低さを判断してのことだろう。全ては鳩山元総理の引き起こした普天間迷走劇と日米同盟の揺らぎが発端となり、そこから雪崩を打った様に次から次へと問題が起きた。昨年1年間は、東日本大震災に対する遠慮からか何も起こらなかったが、それから1年が経過して、もはや遠慮は要らないと判断したのだろう。当然、李明博大統領の竹島訪問を見れば中国側は「今がチャンス!」と思うわけで、一気呵成に攻めてくる。

先程のNHKの9時ニュースでは、先日のAPECでは玄葉外相は中国の楊外相に対して涙ながらに国有化の理由を弁解したのだという。さらにはその後にも、野田総理が胡錦涛国家主席に国有化は東京都が様々な施設を尖閣に作らせないための苦肉の策だと説明し、理解を求めたのだという。冷静に考えれば、こんなことを言われて中国側が「ああそうですか・・・」と言うわけがない。明らかに、中国のご機嫌取りに終始しているという印象を持たれれば、さらにこの状態をエスカレートさせるのは自明である。まさに、この行為は火に油を注ぐ行為となったのである。更に悪いことには、軍を完全に掌握しきれている訳ではない胡錦涛政権にとって、これほど「どうぞご遠慮なく、幾らでも日本に強硬に接していいですよ!」という間違ったメッセージが発せられている中では、弱腰外交と思われると政権の基盤も危うくなり、そこをすかさず習近平氏が付け込んできた状況である。まるで、底なしの泥沼に引きずり込まれるような状況である。

ただ、私は敢えて言いたい。日本はこの一連の流れを見て頭を抱える必要はない。この事実から分かることは、裏を返せば日本が変われば相手も変わらざるを得ないということである。

幸いにも、民主党政権の命運は風前の灯火である。政府の原発ゼロの方針の発表と、実際にはその閣議決定の実効上の見送り判断、原発新設の容認、青森の六ヶ所村の使用済み核燃料再処理事業の継続、もんじゅの廃炉先延ばしとくれば、我が国のエネルギー政策に対して場当たり的で矛盾だらけの政策なので、国を滅ぼしかねないとの大義名分で(国会再開後に)内閣不信任案を提出すれば、それが原発推進派だろうが脱原発派だろうが、双方が賛成しやすい。民主党内の次の選挙で落選しそうな人々は、党代表の顔をすげ替えるのに失敗し、このままでは来年夏まで待っても事態が好転する訳がないことを確信しているだろうから、「原発ゼロ」は議席確保のための最後の拠り所となり、これを理由に内閣不信任案に対して賛成ないしは棄権に回る民主党議員が多数出てくることは想像に難くない。

対する自民党総裁選の状況は、安倍、石破の両氏のいずれかが総裁になりそうな状況である。だから、自動的に総選挙が行われれば、日米同盟をより一層強固にし、強気の外交を志向するのは目に見えている。しかも戦略家であるだろうし、橋下大阪市長率いる日本維新の会が加われば、世界に向けた情報発信を上手い具合にしてくれるだろうことは予想できる。相手が日本の弱点とみなしている歴史問題についても、橋下市長は「中国、韓国が何を怒っているのか、しっかり過去の戦争を総括すべきだ。恨みを持たれてもしょうがないこともある」と発言し、別に守るべきこともない部分はさっさと誤ってしまい、一方で南京大虐殺や慰安婦問題などの証拠もなしに日本人の人格を根本から否定するような主張には、徹底的に証拠を持って対応すれば良いのである。こうすれば、世界的にも日本の行動は評価されるだろう。一方で、相手が日本に対してそうしているように、日本も相手にとって嫌な点を徹底的に突いていけば、駆け引きの中で日本に対する強硬姿勢も影を潜めるだろう。別に、戦争を目指すかのような強硬路線だけが選択肢ではない。しかし、少なくとも相手のご機嫌伺い外交は、こちらこそ選択肢には成り得ない。

今は、悪いところが出尽くして、今後はどう転んでも良くなるしかないという状況だろう。前向きに捉えて、その先の戦略を皆で練ろうではないか!

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提案!!東京都尖閣寄付金を「情報戦」のための基金に当てよう!

2012-09-19 21:36:11 | 政治
昨日のブログでも領土問題に関連して情報戦の重要性を述べた。そこで、今日はさらに一歩踏み込んだ提案をしてみたい。

その提案とは、東京都に尖閣購入のための寄付金として集まった15億円近くのお金を尖閣諸島の実効支配に向けた基金と位置づけ、世界規模での情報戦にこの基金を活用しようというものである。

以下に具体的に説明する。政府は尖閣を国有化したが、それ以上のことは何もしないから、結果的に尖閣が紛争地域であることをアピールすることとなってしまった。この1ヶ月間程度を見れば、日本と中国のどちらの方が領土確保に向けてゲインが大きかったかと問われれば、明らかに答えは中国の方であろう。だから、早急に日本は次なる手を打たなければならないが、どう考えても日本政府(民主党政権)にそのような力はない。一方で東京都への寄付は、明らかに尖閣諸島の実効支配を推進することに賛同した人々のお金である。寄付をした人の中にはこれ以上の日中間の紛争を嫌う人もいるかも知れないから、このお金の使い方として「平和的な解決を目指すための施策」であることが好ましい。船だまりの建設などに関しては、中国の猛反発を招くかも知れないし、その船だまりに船を寄せる中国船が出てきても面倒なので、そのような物の建設に対しては「お金を返せ!」という否定的な立場の人もいるかも知れない。

そこで、完全な平和的且つ話し合いでの解決を目指すための手段として、日本の立場を世界に発信するための広報活動の資金として寄付金を使うのである。具体的には、例えば米国、英国、フランス、ドイツ、ロシアなどの国々(可能であれば韓国にも)に対し、その国の主要新聞の一面見開きで尖閣を巡る歴史的背景を紹介する広告を掲載するのである。これに合わせて、インターネット上にも様々な国の言語(中国語を含む)で掲載をするのである。そして、「中立的な立場の人にジャッジをしてもらいたい」、「日本の主張に対して反論があれば寄せて欲しい」、「国際司法裁判所にて争うのが最も平和的な紛争解決手段ではないか!」・・・と言った情報を世界に発信するのである。

そしてその中では、領土問題の基本的な考え方についても解説を加えることを忘れてはいけない。最初に、議論のためのルールを確立しておくのである。具体的には、単に過去の文献に島の記述があるか否かを争うのではなく、先にその島を占有しそれを世界に宣言し、その占有状態がその後も継続しているという「先占」という考え方が基本にあり、このルールに照らし合わせて、お互いにフェアに議論しましょう・・・と世界に訴えるのである。もちろん、日本の場合の「先占」の基点となる日が1895年1月14日であり、その後、実際に島には長いこと日本人が住んで占有状態を確保していたし、この時期には中国からも日本の占有を追認する公式文書が多数存在していることも合わせて示すことになる。戦後は米軍(連合軍)により管理されたが、日本に尖閣が返還後にもその様な証拠は多数存在する。そして、中国が領有権を主張し始めたのは1971年以降で、それまでは日本の先占を認めていた事実をトクトクと説明するのである。これならば、中国政府が反発しても、「ならば平和的に証拠に基づく論理的な主張で反論を寄せてください」と言い返せば良いだけである。

なお、東京都への寄付金をこの様に使う前には、東京都は「寄付金をこの様(広報活動)に使います」と宣言し、「それならお金を返せ!」という人からの意見を募ればなお良い。反対の立場の人には、その人の寄付の内容(金額、日付、入金した金融機関等)を合わせて報告してもらい、その様な人には寄付金を返金をすればよい。最初の1週間程度の様子を見れば、全体の金額の何割ぐらいが残りそうかは当たりがつけられる。仮に、新聞1紙への広告掲載料が2千万円だとすれば、2億円で10紙程度の広告を出すことが可能である。反響が大きく、中国からの反論が返ってくれば、それに答えた第2弾、第3弾を繰り出せばよい。その程度の予算は、現在の寄付金の額からすれば十分に確保できるだろう。

ちなみに、これはあくまでも東京都の行動であるから、最悪でも日本政府はシラを切ることができる。しかし一方で、中国の反応が悪くなければ、途中から広報活動を日本政府が仕切ることになっても構わない。国有化も、結局、自らは決断できない日本政府に石原都知事が決断を促すことになった。この様な情報戦も、東京都が立ち上げて日本政府に引き取らせても良い。当然ながら、平和的な議論が出来るなら、同様の手法を韓国の竹島、ロシアの北方領土に拡張しても良い。これが、世界中の領土紛争解決のモデルケースとなれば、東南アジア諸国も日本(というか、東京都)に感謝をすることになるのではないかと思う。

色々書いてきたが、情報発信力という視点で見れば、日本政府は最悪この上ない。逆に石原東京都知事の情報発信力は素晴らしいものがある。あまり石原知事が前面に出すぎずに、無駄に中国を刺激する表現を避けて抑えた論調で広告紙面を作成すれば、その話題性は非常に大きいものがある。ある程度収束してきたところで、これとは別の企画でも構わないから、今回の中国側の暴動で受けた被害の詳細も世界に発信すればよい。それが世界中の話題になれば、次回の暴動への抑止力にもなるだろう。また、中国、韓国の反日教育、ナショナリズム教育の是非を世界に問うても良いだろう。この手の情報戦の展開先は色々あるはずだ。

あくまでも重要なのは情報戦なのである。決してアンフェアなことなどしていない。正々堂々と平和的な戦いを挑もうではないか?石原知事には決断をして頂きたい。

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漁船衝突事件の船長は英雄になれたか?(情報選で先んぜよ!)

2012-09-18 23:09:39 | 政治
国辱の日とされる柳条湖事件の記念日と、禁漁期間が解けて一斉に出発した漁船が尖閣周辺海域に到着する日が重なり、何か大きな動きがあるx-Dayと目されていた今日、予想に反してそれほど大きな動きはなかった。北京に在住の友人にメールをしてみたが、意外にあっさりとした返事が返ってきて拍子抜けした。

多分、外務省は化物でも見るかのように中国を捉えているのであろうが、実際には化物は居なかった様である。昨日のブログでも書いたが、中国政府は反日デモが制御不能に暴走し、それがブーメランのように反政府活動に転嫁するのを最も恐れている。折しも国家主席の交代を決める党大会の開催を直前に控えていることから、その様なセレモニーのバックグラウンドで政権が揺らいでいるかの様な兆候を国民には見せたくはない。しかし一方で、反日無罪を容認していた政府が急に反日行動を強権で取り締まろうものなら、その矛盾を突かれて暴動も激化しかねない。となれば、バランス的に尖閣関連で日本に対して強硬な姿勢を示し、国民に「勝った!」と印象づけるような何かを勝ち取って、だからこそ反日デモの必要性はなくなったと理由づけてデモ隊を制圧するというシナリオがあったはずである。しかし、尖閣周辺海域では何も起きなかった。国慶節とも関係あるのかどうか知らないが、尖閣周辺に16日に一斉に出発したはずの漁船団は何処かで魚釣りに勤しんでいるようで、尖閣まで来たと思ったら領海外で錨を降ろして漁に専念している。今が書き入れ時と思うのか、一向にやんちゃな漁船が現れないから、漁民の安全確保を名目に中国の監視船も乱暴な行動が取れない。というか、その様な船が現れないように裏で糸を引いているのかも知れない。結局、暫くの間はにらみ合いが続きそうである。

私も、訓練された兵士が偽装した漁船に乗り込んで尖閣に乗り込んでくるのではないかと思っていたが、実際には尖閣に上陸した後で日本の調査で「軍人」と素性がバレようものなら、それは国際社会は戦闘行為と見なすということを認識した上で、その様な事態を予想以上に中国は嫌っているという事のようだ。中国側の発言を注意深く聞けば、事あるごとに「この責任は日本にある」と繰り返している。如何にも、「引き金を引いたのは日本」と世界に印象づけたいように見えるが、これは(国内向けのポーズであるのは勿論だが)「引き金を引いたのが中国である」という印象を国際社会に持たれたくないということの裏返しのようにも見える。だから、尖閣周辺でもやんちゃな行動を取らずに、ある程度自制が効いた行動に終始していたのだろう。一方で、純粋な漁民であれば上陸しても良いが、前回と同様に反政府的な思想を持つ活動家が上陸すれば、それはそれでやり難い。好都合な条件はそう簡単には揃わないから、結局はこのまま国慶節(10月1日)まで何も動かないのかも知れない。ここまで来ると、中国政府も党大会に備えて急速に収束方向舵を切るのだろう。

ところで、このように書きながらふと思い出したことがある。一昨年の尖閣の漁船衝突事件であるが、あの時の船長は英雄扱いされて帰国時に迎えられていたが、実際にはその後は幽閉状態にされて食うにも困っているという報道をその後聞いたことがある。これが愛国無罪と言われてもてはやされた英雄の末路である。日本だけではなく何処かの国のマスコミの中で、その後の彼の置かれた状況を正確に把握している機関があれば、その情報をもっと大々的にYou Tubeなどで世界に公開すれば良い。先日の香港の活動家も、結局は香港議会の選挙に落選し、英雄とは程遠い状況である。これらの事実は、決してトンガった行動が中国政府には評価されないという証拠である。つまりは、政府にいいように利用されていることの証明である。

既に、状況は情報戦に突入している。アメリカのサンフランシスコでは中国系米国人が数千人規模の反日デモを繰り広げているという。その前には、国連に尖閣は中国領であると記載された新たな海図を申請したり、細かい手を多数繰り出してきている。しかし、日本が戦略性のある手を打ったというニュースは聞かない。今は打率よりも打数が重要である。戦争を本気で避けたいなら、相手が頭を抱えるまでに、徹底した情報戦で相手を打ち負かすしかない。

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尖閣問題で打つ手はあるか?

2012-09-17 23:54:54 | 政治
日中間のチキンゲームのステージが1段上がった。これまでは口だけゲームの感があったが、一段上がって真剣勝負の域に格上げされた。ただ、どう見ても具体的な軍事衝突までにはまだまだ遠く、如何に軍事的なアクションを起こさずに自分に有利な方向に導くかで凌ぎを削っているという感じだろう。ここで日本が取るべき具体的なアクションを考えてみたい。

まず、中国からすれば、反政府デモに直結する反日デモをここまでエスカレートさせたことから、ふたつの視点を見て取ることができる。ひとつは誰もが見て明らかな単純な話で、中国政府は完全に反日デモをコントロールする力を失っているという点である。理想的には、程良くガス抜きをしながら暴走をさせないということができれば、対日本に対するカードを握りながらも国内的な反政府的な機運を抑えることが可能であり、当然ながらこの路線を狙ったはずである。しかし、ここまで過激になると、反日デモを抑えるには国家の強権を駆使して「ここから先は許さんぞ!逆らうとこうなるぞ!」と見せつけなければならないが、そこまで自国民には厳しく接しながら日本に対して甘い対応をしていては示しがつかないので、国内を押さえ込むには日本に対して軍事行動まがいのことをせざるを得なくなる、ある種の切れるカードを狭められた状況である。

もうひとつの視点は、多分、中国政府は最初から切れる手持ちのカードが少なかったということである。多分中国政府は、反日デモを初期段階から押さえ込まなければ、時間の問題でこの様にコントロール不能になることは最初から予想できていたのだと思う。更に言えば、制御不能なほど暴徒化するデモ隊は、それが仮に反日名目のでもであっても「命取りになるかもしれないほど危険な兆候」として死ぬほど避けたいと思っている事態なのだと思う。それにもかかわらず、初期段階で反日デモを押さえ込むことができなかったのは、中国政府側に十分な手持ちのカードがなく、切りたくないのに切らされたカードだと見て取れる。

ここまで来てしまえば、途中からは反日か反政府か分からなくなるのは時間の問題だから、現状の荒れた中国を見ながらビクビクしているのは3つの人々である。ひとつは中国国内の在留邦人、ひとつは責任問題を問われかねない外務省官僚、そして中国政府である。面白いのは、日本政府の置かれた状況であるが、今は党首選が目前に迫っていて、ここでビビった態度を慌てて示してしまうと命取りだから、党首選を言い訳に何もしないと決め込んで様子見をするのだろう。野党側も、自民党の総裁選もここで弱気な意見は命取りなので、威勢の良いことを言うだろうから、経済のために中国に妥協しろといった弱気な発言は出てきにくい。結果として、弱気なきとも言えず、強気な行動もできず、何もせずに中国側の出方を見ることになる。しかし、チキンゲームにおいては相手にとってはこれ程嫌な対応はない。チキンゲームのポイントは、相手が弱気を見せてくれてナンボだから、硬直状態で身動きできない相手は非常に不都合なのである。

中国側からすればその様な前提で作戦を立てざるを得ないのであるが、そのチキンゲームは日本に向かう脅し以上に、元々自らに対しても反政府暴動という地雷を敷設するようなものだから、何処で自国民的には勝利を収めたように振る舞いながら、結果的に紛争が収束するような落としどころを必死で模索するに違いない。

では一方で日本側はどうすれば良いのか?経済界からの意見としては、とにかく穏便にというところなのだろうが、ここで話を有耶無耶にしても、近い将来にまた同様のことが起きるのは明らかなので、有耶無耶に先送りするという選択肢はあまり望まないのだろう。というよりも、この手の暴動はこれが最後とすることができなければ、今後は中国からの撤退を余儀なくされるので、ある程度の返り血を覚悟の上で、許容可能な着地点を求めるのだと思う。

そして、その無難な着地点とは「尖閣問題の、国際司法裁判所への共同提案の中国側への提示」であると私は提案したい。日本政府が尖閣問題を国際司法裁判所へ提案しない理由は、実効支配を行い明らかに相手よりも優位に立っていることを前提に、現状維持を「良し」として「領土問題は存在しない」と言い続けているのである。しかし、韓国との竹島問題では、一方が「領土問題が存在する」と言っていたらやはり領土問題は存在するのであるとの論旨であるから、返す刀でここまで紛争がこじれた状況で「領土問題は存在しない」と言うのは誰が見ても詭弁である。しかも、実効支配が確立して優位に立っていることが前提である「現状維持」についても、実効支配は確実に犯されつつあるのが現状である。どこかで中国の漁師が尖閣に上陸し、その漁師を保護する名目で中国海軍が上陸でもしようものなら、一瞬で立場が逆転しかねない。その様なリスクが高まる状況で、現状維持をノホホンと言い続けることに勝算があるとは思えない。だから、寧ろ攻めに転じる作戦が必要なのである。
幸いにして、尖閣は裁判になっても確実に日本が勝てる証拠が揃っている。竹島や北方領土は、日本に有利な根拠があるといえど、裁判官の心象しだいでどう転ぶか分からない不確定性を否定しきれないが、尖閣ほど確実に勝てる裁判はないのである。であれば、それを武器に戦えば良いのである。それは銃やミサイルを持った戦いではなく、国際法/国際的な慣習を駆使した戦いなのである。これなら、平和ボケの日本人にも有利である。

多分、中国政府は落としどころを探している最中で、日本のこの提案は渡りに船に思われる可能性が少なくない。裁判に負けても日本に対する制裁をちらつかせれば、少なくとも漁業権益ぐらいは抑えられるのではないかと楽観的に考えるかも知れない。ただ、裁判に買ってしまえばこちらのモンだから、まずはここまでたどり着くのが先決である。

外務省官僚や政府側の人間からすると、これまでの方針転換でリスクに感じるかも知れない。しかし、そうでなくても十分なリスクは迫っているのである。丹羽大使が襲われてもロクに抗議しなかった外務省であるが、これぐらいの決断はしてもらいたいものである。もし、戦争がイヤなのならば・・・。

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明日からでは遅い!今から手を打て!

2012-09-14 23:06:40 | 政治
今朝、TVのワイドショーを見ていたら、速報で中国の海洋監視船が徒党を組んで尖閣周辺の領海侵犯を行ったとの一報が入った。「遂に来たのか?」と見ていると、特に過激なことをするのではなく、想定内の主張を繰り返すだけで終わった模様である。もちろん海上保安庁の船に遮られることなく領海侵犯をしているので許せることではない。ただ、日本の船に「ここは中国の領海だから出て行きなさい!」と中国語で呼びかけている映像を録画して報道で流していたから、今日の行動は国内向けのポーズかも知れない。もし威勢の良い対日強硬派が中国政権内の主流派であれば、日本が国有化を行ったら間髪いれずに一揆果敢に攻めて来るだろうが、実際にはその様な事態にはなっていない。だから、今後についても日中の軍事衝突の可能性は意外に低く、それよりも別のアプローチの方が現実性がある。よく言われるのは、台風シーズンに、漁民を偽装して徒党を組んで数百人規模で上陸してくるのではないかという説である。しかし、実際にはもっと単純な方法でせめて来るのではないかと私は感じている。

話によれば、9月16日に中国ではこのエリアの漁業の禁漁を解かれるという。そこで、解禁となればかなりの数の漁業船が一気に詰めかけるだろう。今日の領海侵犯では、侵犯行為は6隻であったが実際には8隻がこの地域に押しかけてきていた。一方で、尖閣などを警備する第11管区海上保安本部(沖縄県)には1千トン以上が7隻配備されているだけという。今日のニュース映像では、規模的には中国側の船舶と日本の船は同規模だから、数の上ではほぼ対等である。ここに民間の船が紛れ込むと、とてもではないが中国の監視船へのケアだけで精一杯で、数十隻の漁船までは手が回らない。こうなると、それらの漁船が上陸しようとする行為には対抗できず、気がつくと大人数で上陸されてしまう可能性がある。

最近は東京都の尖閣調査の映像がTVで何度も流れているが、尖閣には大型船舶が接岸できる場所は何処にもない。したがって、上陸のためには大型船舶から上陸用の小型ボートに乗り換えて上陸を行わなければならない。前回の香港の活動家の上陸の様子のTV映像を見れば、小型ボートでも上陸のために比較的安全に接岸できそうな箇所はそれなりに限られている。つまり、海上保安庁や警察の部隊が上陸する際には、少人数ずつ順番に上陸することが余儀なくされる。これはヘリコプターによる上陸にしても同様で、海上保安庁や警察の力では少人数づつ徐々に人材を投入することにならざるを得ない。

振り返れば、中国と韓国の間では、韓国領で違法操業中の中国漁民を韓国の海洋警察隊員が逮捕する際に、中国人船長が刃物で切りつけて警官が殺されたという事件が先日起きている。だから、先に尖閣に上陸した漁民がじつは訓練された偽装漁民なら相当危険な方法で日本側の上陸に抵抗してくるに違いない。数で圧倒すれば話は別だが、数の上では相手の方が有利である。しかも、こちらは正当防衛であっても銃器の利用は最小限に制限されているのに、相手は危害を加えることに躊躇しない。どう考えても、海上保安庁や警察の出る幕ではない。

しかし、ではここで日本政府が自衛隊を動員して揚陸艇で尖閣奪還に走れるかといえば、日本政府は躊躇するだろう。最終的に決断するにしても、ある程度のタイムラグが生じる。一方、中国側からすると事情は全く違う。自国民が尖閣に上陸していて、下手をすると日本の自衛隊に制圧されて危害を加えられるリスクがあると判断すれば、自国民の救出を名目に即座に軍を派遣するだろう。民間人と一緒に軍隊が上陸すれば、そこに攻撃を加えると民間人に被害が出ることも予想され、日本政府は手が出しにくい。中国政府にとっては都合の良い人間の盾となる。ここから先は順番に入れ替わり立ち代り民間人を送り込み、様々な施設を作ってしまえば実効支配は完成である。

この様に機を逸してしまうと、日本としては次の行動を打てなくなるのは明白である。だから、最初の上陸の前に先手を打たなければならない。そのためには、日本国内の海上保安庁の巡視船を集結して、尖閣周辺を数で圧倒するしかない。中国への遠慮は、さらに危険な事態を招くことになる。
明日からではなく、今から手を打たなければ手遅れになることを忘れてはならない。

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「日本維新の会」の旗揚に際して思うこと

2012-09-13 22:17:06 | 政治
「日本維新の会」が旗揚げされた。今日は、この件に関して2点ほどコメントしたい。

まず1点目は、総選挙後の日本維新の会の立ち位置についての提言である。石破前政調会長か安倍元総理が自民党総裁になれば、総選挙後に日本維新の会も連立政権に加わる可能性が大いに出てくる。ただ私は、ここでは閣僚および政務三役の全てにおいて入閣を行わず、あくまでも閣外協力(but連立政権)という特殊な状況で対応すべきだと考える。

というのも、日本維新の会は政党構成要件を満たすために、既成政党から7人の造反議員の合流を許した(話はそれるが、私に言わせれば彼らは「竹ミツをぶら下げた『7人の侍』」である)。先日の討論会の中でも、彼らは政治信条的に日本維新の会と基本理念が一致しているのではなく、維新の会への入会を認められるために事前に7人で協議して意見を合わせてきたと公言していた。彼らからすれば口が滑ったのだろうが、この辺は有識者からも失笑がこぼれ、「バレバレじゃないか!」という空気が漂っていた。橋下市長は戦略家だから、この辺は大局に立ってどちらが得かを判断したのだろうが、彼らが維新の会に合流する狙いは自らの議席の確保に加え、閣僚という肩書きが欲しいのだろうと思う。特に参議院からの鞍替え出馬に至っては、鞍替えによって失職のリスクがある一方で、選挙後には参議院での議席数がキャスティングボートを握る鍵となり、その時になってから闇取引した方が自分の存在を高く売れる可能性がある。しかし、そこまで閣僚の椅子欲しさの造反では流石に世間が許さないだろうから、この時点で先に仕掛けてきたのだと推測される。日本維新の会の活動が、この様な議員の下心に乱されることなく王道を突き進むためには、自民党に対して「維新の会を閣僚ポストで釣ることは出来ない。閣僚を出しているのだから、少しは嫌なことでも妥協しろという考えには一線を画する。」という態度を明確にし、何のしがらみもない中で政策中心主義で是々非々の態度を貫くとした方がスジを通せて良い。実際、あと3年の間は橋下市長は大阪を離れることが出来ないし、政治的には素人の議員が多数いるから、議員個人の立場で活動するのではなく、ひとつのまとまった「日本維新の会の総意」という形で方向性を示すことで政治に関与した方が良いのだと思う。これなら、地方の首長である橋下市長が党代表のポジションであってもあまり不都合は生じなさそうだ。

2点目の論点は、維新八策についてのマスコミや有識者のコメントについて。まだ維新八策はマニュフェストにまでブレークダウンされていないので、現時点では個々の政策のマイルストーンなどは示されていない。このため、特に議員定数半減や、参院の廃止などは実現性に乏しいから、「言いっ放しの掛け声倒れで終わるのが見えている、不毛な提案だ!」と一蹴する動きがある。しかし、その様な言い方をする人は、(私の偏見入りまくりの立場から言わせてもらえば)政府や民主党の「2030年原発ゼロ!」を賞賛する人と重なるところが大きい。しかし、この原発ゼロの政策提案の何処にリアリティのある詳細な個別政策が含まれているのだろうか?提言の行間を見れば「状況しだいでチャラにすることもアリ」と書いてある訳で、首相官邸前でデモをしている人のように夢や希望を語っているに過ぎない。責任のない一般市民ならば夢や希望でかまわないが、結果責任の伴う政治家は、単に「夢と希望でした!」と開き直って無責任なことを言ってはいけない。信頼できる安全基準もなしに大飯原発を再稼働したり、青森県の六ケ所村の再処理施設の継続判断などを考慮すれば、こちらの方は明らかに選挙目当てで国民にうけの良さそうな人気取りの発言であることは明らかである。このレベルで見るなら、憲法改正の要件を緩和(所要賛成議席数の2/3から1/2への変更)や道州制の導入などの手順を踏んだ後の現状の参院廃止(厳密には自治体の首長による2院制への移行)というように、維新の会の政策はそれなりに大雑把な道筋としての戦略性は描けている。しかし、一方の原発ゼロには何もラフなスケッチすら描けていないのが現状である。

維新の会の提言が、誰もが簡単に納得して異論を挟まない様な単純なものなら既に誰かが手がけているだろう。しかし、やりたくてもそのハードルが高いと知っているから誰もが手をつけないのである。そのハードルが高いという単なる高さを指摘して「勝ったつもり」でいるのはどう考えてもおかしい。「勝ったつもり」なら、現状の制度が他の制度よりも優れていることを証明してみろ!と私は言いたい。多分、彼らは口を揃えて「いや、現状の制度はいけないから、だから議論して変えて行こうと思ってはいるが、ただその方法は維新の会のアプローチではないということだけを私たちは指摘しているに過ぎない」と逃げ口上を打つだろう。しかし、議論とは対案があって初めて成り立つのである。人のアイデアを間違っていると主張するなら、まずは自分の意見を提示するのは義務である。その辺を、マスコミも政治家も自覚すべきである。

政党を立ち上げ、マニュフェストを作り上げて段々話が具体的になってくると、マスコミなどからの突っ込みどころも多くなってくる。その粗をどう取り繕い、粗でなくするのか。その辺の手腕が今後の見所である。

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