けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

切り札のカードをドブに捨てるな!

2012-09-04 23:54:59 | 政治
誰が聞いても、「いったい、何なんだ!」と叫びたくなるニュースである。丹羽大使襲撃の後日談のニュースである。

丹羽大使を襲撃した犯人への処分はたった5日間の拘留だけで、刑事罰は科さないのだという。仮に日本国民が中国国内で、中国政府要人の車に対して同様の狼藉を働き、中国国旗を奪おうものなら、彼は次に日本の地を踏めるのは何時になるかわからない。余りに対照的な量刑の扱いである。この情報の意味することは、「どうぞ、中国国民の皆さん、日本政府や中国国内の在留邦人に対して、積極的に乱暴な行為を働きましょう!英雄となっても、決して犯罪者にはなりませんよ!」と中国国民に向けてメッセージを送ったことになる。

しかも驚くことに(というか、こちらの方に本当は驚いているのだが)、当然の如く予想された中国側の対応であるにもかかわらず、外務省や日本政府は中国に対して強い抗議を示していない。中国の大使館側から抗議として「遺憾の意」を表明しただけである。こちらもこの情報の意味することは、「日本政府は中国の顔色を伺いながら、中国を怒らせないように細心の注意を図ることをここに誓います!」と世界に向けて宣言したに等しい。一体どれだけの日本人が中国国内にいるのかを、日本の外務省は知らないとでも言うのだろうか。そして、彼らの身に危害が加えられたとき、外務省はどの様な責任を負うつもりなのだろうか?明らかに日本政府の対応は常軌を逸している。

2年前の尖閣漁船衝突事件の時には、客観的に見れば明らかに中国側に非があるのであるが、仮に世界が尖閣を「紛争地域」と認めるならば、中国側が怒り心頭に発して無茶苦茶な行動をとっても、何となく「気持ちは分かる」と感じる人がいるかも知れない。一方的にこちらが正しくても、「相手側に一方的な非がある」と世界が認めてくれない状況ならば、政府の対応が微妙になってしまったとしても(納得はできなくても)感覚的に分からなくもない。しかし今回の事件に関しては、当の中国は外国の外交官の身の安全を確保する最大限の努力義務を果たせておらず、一方で外交官の身に危険が及ぶ事態の再発を助長するような行為を堂々と取っているのであるから、世界中の誰もが中国に非があることを確実に認めてくれる状況である。にもかかわらず、中国の非道さを世界に訴えることもせずに、中国に対しても形式的な対応しかとっていない。世界にアピールすれば世界中から非難が集中することは明らかなのに、みすみす中国への切り札カードを放棄した形だ。

思い起こせば2005年、反日暴動が激化した時に北京の日本大使館や大使公邸への投石などによる破損被害や、各地の総領事などでも被害が相次いだ。その被害の謝罪要求と原状回復の責任については中国との間ですったもんだがあった。中国側は、「原因は日本が作った!謝罪はせん!」と言っていたが、その被害の様子を写真に撮り、世界中に中国の無政府状態ぶりをアピールすれば、相当なインパクトがあったはずだ。日本国内でも、「修理などせず、被害にあったそのままの状態を『歴史的証拠』として保存すべき」との意見もあったが、問題を短期に収束させることを望んだ日本政府は、あっさりと修理をしてしまった。あの時の経験があるのだから、「相手が困るところを突く」という戦略を学習していて欲しいのだが、全く学習した形跡はない。間違いなく、今、反日デモが中国全土に広まった時に困るのは中国であるのに、そうならないように気を使っている日本政府の対応は全く意味が見えない。先方は明らかに戦闘モードで自動小銃をこちらに向けているのに、こちらは和平交渉のための筆記用具を持って臨もうとしている。勘違いも甚だしい。

もう、イライラ感が尽きないのであるが、この現状を変えるには3つのポイントがあると思う。最大の課題は長期の安定政権を築くことである。第2のポイントは、長期的視点に立った外交上の戦略家を多数招集し、様々な条件設定でのシミュレーションシナリオを書き上げ、そのメリットとデメリット及びリスクを定量的に評価して、その結果をもとに外交的な判断を下すプロセスの確立を図ることである。そして最後は、ロビー活動に代表されるように、戦略的に世界に情報発信するための体制確立とそのための予算と人材確保を図ることである。

順番に見ていけば、政権を取ること(政権交代)だけが目的化した烏合の集団が政権の座につき、政治的な志向性が真逆の人達が与党内で足の引っ張り合いをして、結果的に毎年総理大臣が変わる不安定政権ができてしまった。自民党時代も1年使い捨ての総理が3代続いたが、安倍政権と麻生政権の退陣は選挙結果を受けて妥当なものであったが、福田政権の退陣などは民主党が権力を弄んだ結果と見て良い。日銀総裁の同意人事をみれば、民主党における国益と権力闘争の優先順位がどうなっていたかが分かる。一方、民主党に関しては、(現在の野田総理に対する評価には若干時間がかかるが、その他のふたりは)野党から足を引っ張られたでのはなく、明らかに自滅した状況である。殆ど外交にエネルギーを割く余裕などもなく、必然的に諸外国は隙を見つける。特に鳩山元総理が壊した日米安保体制はボディーブローのように効き、現在の目も当てられない状況の元凶である。小泉政権下でも、中国の反日デモなどが激化し日中関係は劣悪な状態に陥ったが、それも政権末期の話であり、中国側が「次の総理との関係が重要であり、戦略的に任期の残り少ない現在の総理に揺さぶりをかけよう!」という戦略が透けて見える。やはり基盤の弱い政権は諸外国から狙われやすいし、先方も本気の交渉を行う気持ちを持たない。絶頂期の小泉政権では、不可能と思われた一部の拉致被害者とその家族の奪還を達成したのだから、安定政権の意味するところは大きい。小泉元総理のように5年とは言わないが、せめてアメリカ大統領と同じ4年ぐらいの任期を務められる総理が選ばれることを祈る。

ふたつ目の「戦略」については誰もが思うことであり、現在の外務省の対応は、とてもシミュレーションシナリオを描いての判断とは思えない。国家戦略局的に外交戦略局的なものを総理の私的諮問機関でも良いから早急に作り、そこに様々な有識者と戦略家を集め、民間のシンクタンクなども巻き込んでありとあらゆるシナリオに対する評価を行い、物事の判断を定量的に下せるような体制を築くべきである。当然ながら、そこではタブーなど存在しない。極端な話、日本の核武装のようなことも検討し、定量的な評価により「主体的な判断として、核武装を選択しない」と結論付ければ良いのである。集団的自衛権を認めるとする判断にしても、それが定量的に有益性が高くリスクが思うほど大きくはないと言うのであれば、それを提言としてまとめて総理に諮問すればよい。この手の問題は少しづつ露払いをしながら前に進まざるを得ないから、その様な役割もその機関で担えば良い。細かい担当者などは氏名を公表しないが、最終判断の責任を負うべき人は当然公開され、その責任の所在をはっきりさせればその担当者も無茶なことはできない。リスクを取れない現在の外務官僚などには期待するものはないから、リスクと責任を覚悟できる人材を外部から集めて、総理大臣、官房長官、外務大臣の言葉を通して外務官僚に指示して彼らを操るのである。

最後の情報発信は先日からブログで述べている通りであり、韓国、中国を見習うところが大きい。今回の竹島問題、尖閣問題は良い練習問題であるから、この機会を利用して人材を育成しながら体制を気づけば良い。ただ、そのための予算確保などを考えれば、問責で国会が停滞している現状を考えると、新政権が成立しないと動き出せない。まずは、解散総選挙を待たなければならない。本当は待ったなしなのだが・・・。

ここまで書いても怒りは収まらない。(あくまでも短期的な対応に過ぎないが)明日のうちに野田総理が何らかのアクションを起こしてくれることを祈る。

←人気ブログランキング応援クリックよろしくお願いいます