けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

遅ればせながらの米朝首脳会談の意味

2018-06-21 22:40:09 | 政治
長いことブログが書けなかった。これからもかけないと思うが、気が向いた時に書いてみたい。

今日の話題は米朝首脳会談の意味についてである。余りに最近の報道が現実を捉えていない様に感じるので、現状、何が起きているのかを私なりにまとめてみたい。基本的な考え方は、過去のブログ、「もしかして歴史的転換点かもしれない?」に通じるところがある。

まず、様々な多くの報道では、「トランプの負け」、「金正恩の勝ち」というのがもっぱらの評価である。特にこの評価はアメリカにおいて顕著である。常識的に考えれば、この会談の目的は北朝鮮の非核化だと思うから、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(Complete Verifiable Irreversible Dismantlement)」を共同宣言に明記できなければ、それはトランプの負けだと誰もが信じるはずである。しかし、これにはひとつのトリックがあることを気がついている人はどれ程いるだろうか?それは、「この会談の目的は北朝鮮の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」であるという仮定である。この仮定を真としてとらえるならば、多くの報道での結論は多分、正しいだろう。しかし、その前提が崩れると結論は180度変わるのである。ここにトランプのトリックがある。

まず現状確認であるが、このタイミングで金正恩は3度目の中朝首脳会談を行ったという。言うまでもないが、北朝鮮と中国の仲は本来は最悪である。金正恩は習近平に頭を下げるなど死ぬほど嫌に違いない。しかし、その様な関係にありながら2回目の中朝首脳会談では習近平の語る言葉をメモする、到底、対等な首脳がやるとも思えないような失態を犯すことになる。これは、北朝鮮が如何に経済的に追い込まれているかの裏返しである。ちょっと前までは、アメリカの国防筋は北朝鮮が核開発、長距離弾道弾開発を終えてアメリカを直接核攻撃できるようになるまでには数ヵ月と言っていたので、時間稼ぎをしたいのは北朝鮮であると思われていた。これが正しいならば、北朝鮮がここまでなりふり構わない態度など見せる必要はなかった。しかし、ここ最近のアメリカの動きを見ていると、その程度の時間稼ぎは特に気にしないという態度に変わってきている。大きな変化である。その様なアメリカの「見切り」に合わせての北朝鮮のなりふり構わぬ態度である。つまり、状況証拠を見る限りでは、時間稼ぎをされて困るのは北朝鮮であることが明らかなのである。

この仮説が正しいとすると、アメリカにとって重要なことは、北朝鮮への制裁解除を先伸ばしすることである。この先伸ばしの根拠は、北朝鮮が完全な非核化を達成していないということで十分である。北朝鮮の戦略は、北朝鮮が非核化プロセスに入ったことに対する段階的非核化に対する「行動対行動」の原則に基づく経済制裁解除および援助である。だとすれば、アメリカにとっては北朝鮮がそれらしき段階的「行動」を仮にとったとしても、制裁解除、経済援助を言い逃れる言い訳が必要である。

それは何か?

言うまでもなく、トランプは既に米韓軍事演習の中止というカードを切っている。これは相当思いきったカードだから、トランプは金正恩にもそれに見合う「アメリカによる査察を伴う核廃棄」を求めるはずである。これを北朝鮮は飲めるはずはないのだが、面白いのは北朝鮮は完全なトップダウン国家であるということである。金正恩がOKを出せば、それを覆すことが出来る人が北朝鮮内に誰もいないことを誰もが知っている。であれば、核査察をアメリカが要求したときに北朝鮮が拒めば、トランプは金正恩に「まさか俺を騙そうと思ってないよな?俺を世界中の笑い者にしようと言うなら、それなりの覚悟があるんだよな?」と恫喝することが出来る。金正恩は、次なる「行動対行動」のご褒美を求めてギリギリのところで核査察を受け入れざるを得なくなるのは目に見えている。

すると、トランプが「行動対行動」のご褒美として次に切るカードは何か?「在韓米軍の撤退」である。在韓米軍の撤退にはそれなりに時間がかかるので、その間、北朝鮮は疲弊し続ける。しかし、ここまでやったら北朝鮮の核を丸裸にでもしないとアメリカと北朝鮮のバランスが取れない。金正恩の正念場である。

しかし、金正恩も北朝鮮首脳部も、本当に核放棄したらカダフィになるのが目に見えているから、この条件は飲めずに拒否するはずであろう。ここまで来る間に、北朝鮮の経済状況はさらに劣悪になっているはずである。それは、金正恩暗殺クーデターを呼び込むには十分な条件が揃うことを意味する。さらに言えば、この様に追い詰められたら金正恩の権威は地に落ちることになる。「老練なトランプにしてやられた若造」というレッテルは、神聖化された金正恩にとっては命取りである。

国内ではクーデターに怯える生活。国外では、トランプが北朝鮮に対して軍事行動を起こす恐怖に怯えることになる。金正恩も卓袱台返して暴発したいところだが、ここまで習近平との間で築いた信頼関係を裏切ることになるから、それでは中国からのサポートを期待することができない。トランプからすれば、習近平に対しても「ここまでやったのに、ロケットマンの野郎がブチ切れたんじゃねーか!」と開き直ることができる。さらに言えば、北朝鮮が暴発した際に最も厄介だった米軍への被害についても、韓国から撤退していれば被害は最小化することができる。

多分、トランプの頭の中の詰将棋はこんな感じだろう。そこまで条件が整えば、北朝鮮内のクーデターか、ないしは金正恩が亡命する可能性は飛躍的に高まる。折しも、柔軟路線を示し始めた北朝鮮だから、受け入れ先国にとっての金正恩の亡命のハードルも下がっているはずである。

もう一つの朗報は、韓国経済の失速である。在韓米軍の撤退となれば、韓国国内世論は二分される。そんなタイミングでの経済破綻前夜である。韓国国内では文在寅に対する甘い声だけでは決してない。「北朝鮮と心中するのか?」という声が湧きあがり、オリンピックの時の様な飛び道具は通用しなくなるだろう。北朝鮮にとって、韓国はもはやあてになる存在ではない。

北朝鮮の最後のカードは日本に対する「拉致問題」である。何らかのカードを切ってくる可能性は格段に高まる。安倍総理の腕の見せ所である。「最後の一人が帰国するまでは絶対に諦めない」を合言葉に、北朝鮮を焦らすことが可能である。トランプも援護射撃をしてくれるだろう。

以上のシナリオはあくまでも憶測だが、決して絵空事と笑えるレベルではないだろう。それなりの信憑性を感じてくれる方も多いのではないだろうか?

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