けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

本当の「弱気」と戦略的「弱気のふり」

2012-09-02 23:52:15 | 政治
先日起きた中国の丹羽大使の襲撃事件で、中国は犯人を特定しながらも現時点では逮捕に踏み切っていない。報道における予測では、日本の対応を観察しながら、あまり反応がきつくなければ犯人に対して軽い行政処分で済ませようとしているという噂がある。実際、反日デモの襲われた日本料理屋などの店舗に対し、犯人を捕まえたという実績はないらしい。今回も同様に、日本政府に対しては進捗状況の情報を素早く入れながら、これだけ報道で犯人の情報が明らかになっても全く逮捕の動きがない。中国では80%以上の国民が今回の犯罪を評価しており、反日(愛国)無罪の精神からすれば、当然ながら無罪となってしかるべきと考えているとも言われる。しかし、仮に中国国内で日本人右翼ないしは反体制派の中国人が中国政府高官に同様のことをしたら、多分、その人は牢屋に入って数年間はシャバの空気を吸うことはできないのではないか。一昨年の尖閣の漁船衝突事件の際にも、フジタの社員が報復的に1ヶ月以上も拘束された事実などからも、中国では量刑の相場が日本に対して桁違いに重い。特に反政府活動的な色彩を帯びると、国家的な意思が現れ途端に桁が一つ以上あがる。チベットなどでは、その結果として多くの人の血が流された。だから、逮捕さえも躊躇し、仮に処罰しても軽い行政処分というのであれば、アンフェアの程度は計り知れない。

しかし、この様な状況で日本の外務省は、中国大使館からの抗議はしても、国内の本省側からは抗議がなされず、「先方も謝ってきているのだから、ことを大げさにしない方が良い」と超ド級の弱腰ぶりである。これは明らかに誤ったメッセージを国際社会に発信している。先日のブログでも触れたが、国際社会にこの様な中国の非道ぶりを淡々とアピールする行動は、相手にとってはボディーブローのように効いてくるはずである。中国という国は、外国の大使の車を国民が襲撃をしておきながら十分に処罰できない国、つまり、それほどまでに治安が不安定な信じられない国である国とアピールするのが筋である。もし、中国側の反発を嫌うなら、「そういう国ではないことを、態度で示して欲しい!そうすれば、今回の件は両国間のマイナスにはならない」と結べば、決して相手を非難していることにはならない。そして、一方で日本のマスコミはこれにシンクロして、チベットなどの国内向けでは無茶苦茶な警察権力で罪のない国民も処罰していることを対比させ、このアンバランスさは何なのか?と世に問えば良いのである。

直接関係はないが、先日起きたルーマニアでの女子大生殺人事件では、ルーマニアという国の治安の悪さを世に示すことになった。別に違法なポーターがいたとしても、世界的にはどの程度のことは特殊なことではないし、たまたまその犯人が悪い奴だったというだけかも知れないが、その空港では現在ではそこら中に警官が配置され、違法ポーターを見つけるのが難しくなっているという報道があった。この報道から分かるのは、国家というものは、国際社会での評判(特に治安)の悪さに非常に神経質であるということである。だからこそ、ルーマニア政府は即座に対応を取ったのである。同様に、継続的に中国の蛮行を世界にアピールし続ければ、それは長期的には非常に大きなインパクトがある。しかし、そのアピールが事実であるならば中国も抗議はし難いし、仮に抗議してもその主張の正当性のなさは世間にはバレバレで反論の効果は薄い。だからこそ、相手側がポカをしでかして日本側にはリスクが少ない今回の様な状況で、明らかな弱腰外交を行うことは、大きく国益を損なうことになる。

一方、私の持論ではあるが、戦略的に「弱腰のふり」というのはあり得ると思っている。

今朝のフジテレビの「新報道2001」に石原都知事が出演していた。ちょうど良いタイミングで東京都の尖閣諸島の調査が始まり、彼らしいアピールとなった。面白いのは、この東京都の行動に対しては中国からは抗議はあるが、あくまでも形式上のもので、全くもって日本側としては考慮する必要などない状態だ。上手い具合に政府が上陸を認めず、東京都も上陸をしなかったから全くもって中国の付け入る隙がない。しかし、地権者からの土地購入という経済活動に関して着々と一歩ずつ進んでいるために、「達磨さんが転んだ」状態で、徐々にそして確実にゴールに近づいている。そこまで演技をしているとは思えないが、東京都が国に国有化の条件を示し国が二の足を踏んでいる状況が、結果的に「日本政府がここまで弱腰なので中国側も責めるに責められない」という状況に繋がっている。正直なところ、ここまで野田総理が考えて行動しているとは思えないし、実際、それだけの戦略性があれば何故丹羽大使の襲撃事件で抗議しないのか!と思ってしまうが、結果論としては東京都の尖閣購入に対する対応を見ると、「ひょっとして阿吽の呼吸?」と言いたくもなるほど絶妙である。過去の例を見れば、郵政解散直前の小泉総理と森前総理(それぞれ、当時)の缶ビール会談などが、まさに狸の馬鹿し合いのようであった。

この様に、実際はそんな裏はないのかも知れないが、「弱腰」と「弱腰のふり」を戦略的に使い分けれれば良いのであるが、あまり期待できそうもない。後で振り返ったとき、結果論として「弱腰のふり」的な効果があった・・・というのは、結果オーライではあるが、やはり責任ある立場の人には戦略を持って臨んで欲しい。

どうやら、今日の「新報道2001」によれば、石原都知事は尖閣の国有化は諦めたらしい。自民党の石原伸晃幹事長も同様のことを言っている。ここに戦略はあるのだろうか?また、石原都知事の(大阪維新を絡めた)次期総選挙に対する発言から察するに、どうも石原都知事も橋下大阪市長も、現在の乗りかかった船とも言うべき課題(尖閣購入と大阪都構想)に一区切りがつかないと、国政選挙に打って出ることはありえないとのことらしい。何となく、これは本音のように聞こえたが、だとすると、こちらに対する戦略はあるのだろうか?

答えが分かるのはまだ先だろう。どうなるだろうか?

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