けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

尖閣問題で打つ手はあるか?

2012-09-17 23:54:54 | 政治
日中間のチキンゲームのステージが1段上がった。これまでは口だけゲームの感があったが、一段上がって真剣勝負の域に格上げされた。ただ、どう見ても具体的な軍事衝突までにはまだまだ遠く、如何に軍事的なアクションを起こさずに自分に有利な方向に導くかで凌ぎを削っているという感じだろう。ここで日本が取るべき具体的なアクションを考えてみたい。

まず、中国からすれば、反政府デモに直結する反日デモをここまでエスカレートさせたことから、ふたつの視点を見て取ることができる。ひとつは誰もが見て明らかな単純な話で、中国政府は完全に反日デモをコントロールする力を失っているという点である。理想的には、程良くガス抜きをしながら暴走をさせないということができれば、対日本に対するカードを握りながらも国内的な反政府的な機運を抑えることが可能であり、当然ながらこの路線を狙ったはずである。しかし、ここまで過激になると、反日デモを抑えるには国家の強権を駆使して「ここから先は許さんぞ!逆らうとこうなるぞ!」と見せつけなければならないが、そこまで自国民には厳しく接しながら日本に対して甘い対応をしていては示しがつかないので、国内を押さえ込むには日本に対して軍事行動まがいのことをせざるを得なくなる、ある種の切れるカードを狭められた状況である。

もうひとつの視点は、多分、中国政府は最初から切れる手持ちのカードが少なかったということである。多分中国政府は、反日デモを初期段階から押さえ込まなければ、時間の問題でこの様にコントロール不能になることは最初から予想できていたのだと思う。更に言えば、制御不能なほど暴徒化するデモ隊は、それが仮に反日名目のでもであっても「命取りになるかもしれないほど危険な兆候」として死ぬほど避けたいと思っている事態なのだと思う。それにもかかわらず、初期段階で反日デモを押さえ込むことができなかったのは、中国政府側に十分な手持ちのカードがなく、切りたくないのに切らされたカードだと見て取れる。

ここまで来てしまえば、途中からは反日か反政府か分からなくなるのは時間の問題だから、現状の荒れた中国を見ながらビクビクしているのは3つの人々である。ひとつは中国国内の在留邦人、ひとつは責任問題を問われかねない外務省官僚、そして中国政府である。面白いのは、日本政府の置かれた状況であるが、今は党首選が目前に迫っていて、ここでビビった態度を慌てて示してしまうと命取りだから、党首選を言い訳に何もしないと決め込んで様子見をするのだろう。野党側も、自民党の総裁選もここで弱気な意見は命取りなので、威勢の良いことを言うだろうから、経済のために中国に妥協しろといった弱気な発言は出てきにくい。結果として、弱気なきとも言えず、強気な行動もできず、何もせずに中国側の出方を見ることになる。しかし、チキンゲームにおいては相手にとってはこれ程嫌な対応はない。チキンゲームのポイントは、相手が弱気を見せてくれてナンボだから、硬直状態で身動きできない相手は非常に不都合なのである。

中国側からすればその様な前提で作戦を立てざるを得ないのであるが、そのチキンゲームは日本に向かう脅し以上に、元々自らに対しても反政府暴動という地雷を敷設するようなものだから、何処で自国民的には勝利を収めたように振る舞いながら、結果的に紛争が収束するような落としどころを必死で模索するに違いない。

では一方で日本側はどうすれば良いのか?経済界からの意見としては、とにかく穏便にというところなのだろうが、ここで話を有耶無耶にしても、近い将来にまた同様のことが起きるのは明らかなので、有耶無耶に先送りするという選択肢はあまり望まないのだろう。というよりも、この手の暴動はこれが最後とすることができなければ、今後は中国からの撤退を余儀なくされるので、ある程度の返り血を覚悟の上で、許容可能な着地点を求めるのだと思う。

そして、その無難な着地点とは「尖閣問題の、国際司法裁判所への共同提案の中国側への提示」であると私は提案したい。日本政府が尖閣問題を国際司法裁判所へ提案しない理由は、実効支配を行い明らかに相手よりも優位に立っていることを前提に、現状維持を「良し」として「領土問題は存在しない」と言い続けているのである。しかし、韓国との竹島問題では、一方が「領土問題が存在する」と言っていたらやはり領土問題は存在するのであるとの論旨であるから、返す刀でここまで紛争がこじれた状況で「領土問題は存在しない」と言うのは誰が見ても詭弁である。しかも、実効支配が確立して優位に立っていることが前提である「現状維持」についても、実効支配は確実に犯されつつあるのが現状である。どこかで中国の漁師が尖閣に上陸し、その漁師を保護する名目で中国海軍が上陸でもしようものなら、一瞬で立場が逆転しかねない。その様なリスクが高まる状況で、現状維持をノホホンと言い続けることに勝算があるとは思えない。だから、寧ろ攻めに転じる作戦が必要なのである。
幸いにして、尖閣は裁判になっても確実に日本が勝てる証拠が揃っている。竹島や北方領土は、日本に有利な根拠があるといえど、裁判官の心象しだいでどう転ぶか分からない不確定性を否定しきれないが、尖閣ほど確実に勝てる裁判はないのである。であれば、それを武器に戦えば良いのである。それは銃やミサイルを持った戦いではなく、国際法/国際的な慣習を駆使した戦いなのである。これなら、平和ボケの日本人にも有利である。

多分、中国政府は落としどころを探している最中で、日本のこの提案は渡りに船に思われる可能性が少なくない。裁判に負けても日本に対する制裁をちらつかせれば、少なくとも漁業権益ぐらいは抑えられるのではないかと楽観的に考えるかも知れない。ただ、裁判に買ってしまえばこちらのモンだから、まずはここまでたどり着くのが先決である。

外務省官僚や政府側の人間からすると、これまでの方針転換でリスクに感じるかも知れない。しかし、そうでなくても十分なリスクは迫っているのである。丹羽大使が襲われてもロクに抗議しなかった外務省であるが、これぐらいの決断はしてもらいたいものである。もし、戦争がイヤなのならば・・・。

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