以前のブログ、「『政治主導』から『官僚主導』へ(官僚の正しい使い方)」にて、少々逆説的な言い方ではあるが、「官僚主導」の重要性を説いてきた。どうやら選挙が頭にちらつく政治家には、国家天下の議論はできないから、むしろしっかりした官僚を育成して政治家に頼らなくても良い世界を目指すべきだということである。実際、官僚には非常に有能な人が多い。天下りの時期が近づき、その先の安穏とした生活のことしか頭にない事務次官クラスの人はどうか知らないが、少なくとも中堅クラスの官僚には有能な人が多いはずである。
しかし一方で、「分析力が国家の命運を分ける」でも書いたが、特に外務省官僚の劣化は少々深刻かも知れない。自民党時代の族議員という習慣は悪しきものといわざるを得ないが、ある意味で、エリート街道をまっしぐらに進んできたお上品なキャリア官僚とは一線を画したノンキャリア組の中から、特に秀でた才能の職員を一本釣りして育てるという鈴木宗男氏がとった戦略は、彼の行なった行動の善し悪しは横に置いておくとして、日本がカードとして持つ選択肢を広げるという意味では、必要悪だったのかも知れない。佐藤優氏が失脚したあとの外務省は、お上品なエリート官僚が幅を利かせ、本当に能力のある人材を活用できない組織になってしまったような気がする。
だから私は、この外務省改革を本気で実行するための体制作りを超党派で取り組んで欲しいと思う。この「体制作り」とは、改革そのものではない。一足飛びにそこまでは行けないのである。どの様なアプローチをとれば理想に近づけられるのか、そのアウトラインをデザインする人達を集めるのである。例えば、手島龍一氏(元NHKワシントン支局長、外交ジャーナリスト)、小泉元総理の飯島勲元総理大臣秘書官、森本敏拓殖大学大学院教授、一部の拉致被害者の帰国に尽力した元外務官僚の田中均氏などの有識者に加えて、防衛・外交通と呼ばれる国会議員を政党を問わずに超党派で集め、そこで政権交代などのごたごたの影響を受けずに3年程度を目処に、外務省のあるべき姿を実現するためのシステムについて議論する組織を立ち上げるのである。この中では、本丸である外務省のあり方の他に、例えばロビー活動のための体制、インテリジェンスと呼ばれる諜報活動の憲法で許される範囲でのあり方、戦略性が高いと位置づけられる国家(例えば中国、ロシア、韓国等)に対する大使館の人材のあり方(例えば外務省OBの花道的な名誉職であったり、丹羽中国大使のような中途半端な民間活用の是非)などが含まれるであろう。先程の鈴木宗男氏の件ではないが、ノンキャリアであろうと優秀な人材を育て上げる育成体制や、情報提供者などの確保の仕方も議題に登るかもしれない。泥臭いところまでやって初めて世界標準に近づけるのである。また、本題からは少しそれるが、民主党政権になってからは拉致担当大臣の首がコロコロと変わりまくっているが、この様な事態も北朝鮮に対して悪いメッセージを発する。であれば、拉致問題の「表の顔」は外務大臣が担い、それをサポートする人材を充実させることで外務大臣の負荷を減らすべきかも知れない。この様な人事までを含めて提案を出して貰えばよい。
この組織は総理大臣の諮問機関としてでも良いし、法律を定めて国会内に正式な組織を立ち上げても構わない。これと並行して、それなりの予算を計上し、民間のシンクタンクを活用して様々な条件での外交上のシミュレーションを委託することも必要であろう。当然ながら、外務省内でも同様のシナリオづくりはなされているだろうが、それらのシナリオと民間シンクタンクのシナリオを合わせて評価し、有事に対するより多数のパターンの想定を事前に手の内に持つことで、政治家(総理や閣僚)の判断を行いやすくする。最終的な判断を行うのは内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣等であろうが、情報の解析まではその筋のスペシャリストが行うべきである。
私にはこの手の話は上っ面しか分からないが、その筋の人にしか分からない奥深い世界があるのだと思う。それなりに問題がなかったとは言わないが、田中均氏などは小泉元総理、飯島元総理秘書官との二人三脚(三人四脚?)で、それまでの政治家では到底成し得なかった拉致被害者の帰国という北朝鮮を出し抜く成果を上げているのであるから、この様な人材が次々と排出される外務省に改革すべきである。
中年オヤジの話ではないが、「ちょい悪」ぐらいが丁度良い世界だと思う。
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しかし一方で、「分析力が国家の命運を分ける」でも書いたが、特に外務省官僚の劣化は少々深刻かも知れない。自民党時代の族議員という習慣は悪しきものといわざるを得ないが、ある意味で、エリート街道をまっしぐらに進んできたお上品なキャリア官僚とは一線を画したノンキャリア組の中から、特に秀でた才能の職員を一本釣りして育てるという鈴木宗男氏がとった戦略は、彼の行なった行動の善し悪しは横に置いておくとして、日本がカードとして持つ選択肢を広げるという意味では、必要悪だったのかも知れない。佐藤優氏が失脚したあとの外務省は、お上品なエリート官僚が幅を利かせ、本当に能力のある人材を活用できない組織になってしまったような気がする。
だから私は、この外務省改革を本気で実行するための体制作りを超党派で取り組んで欲しいと思う。この「体制作り」とは、改革そのものではない。一足飛びにそこまでは行けないのである。どの様なアプローチをとれば理想に近づけられるのか、そのアウトラインをデザインする人達を集めるのである。例えば、手島龍一氏(元NHKワシントン支局長、外交ジャーナリスト)、小泉元総理の飯島勲元総理大臣秘書官、森本敏拓殖大学大学院教授、一部の拉致被害者の帰国に尽力した元外務官僚の田中均氏などの有識者に加えて、防衛・外交通と呼ばれる国会議員を政党を問わずに超党派で集め、そこで政権交代などのごたごたの影響を受けずに3年程度を目処に、外務省のあるべき姿を実現するためのシステムについて議論する組織を立ち上げるのである。この中では、本丸である外務省のあり方の他に、例えばロビー活動のための体制、インテリジェンスと呼ばれる諜報活動の憲法で許される範囲でのあり方、戦略性が高いと位置づけられる国家(例えば中国、ロシア、韓国等)に対する大使館の人材のあり方(例えば外務省OBの花道的な名誉職であったり、丹羽中国大使のような中途半端な民間活用の是非)などが含まれるであろう。先程の鈴木宗男氏の件ではないが、ノンキャリアであろうと優秀な人材を育て上げる育成体制や、情報提供者などの確保の仕方も議題に登るかもしれない。泥臭いところまでやって初めて世界標準に近づけるのである。また、本題からは少しそれるが、民主党政権になってからは拉致担当大臣の首がコロコロと変わりまくっているが、この様な事態も北朝鮮に対して悪いメッセージを発する。であれば、拉致問題の「表の顔」は外務大臣が担い、それをサポートする人材を充実させることで外務大臣の負荷を減らすべきかも知れない。この様な人事までを含めて提案を出して貰えばよい。
この組織は総理大臣の諮問機関としてでも良いし、法律を定めて国会内に正式な組織を立ち上げても構わない。これと並行して、それなりの予算を計上し、民間のシンクタンクを活用して様々な条件での外交上のシミュレーションを委託することも必要であろう。当然ながら、外務省内でも同様のシナリオづくりはなされているだろうが、それらのシナリオと民間シンクタンクのシナリオを合わせて評価し、有事に対するより多数のパターンの想定を事前に手の内に持つことで、政治家(総理や閣僚)の判断を行いやすくする。最終的な判断を行うのは内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣等であろうが、情報の解析まではその筋のスペシャリストが行うべきである。
私にはこの手の話は上っ面しか分からないが、その筋の人にしか分からない奥深い世界があるのだと思う。それなりに問題がなかったとは言わないが、田中均氏などは小泉元総理、飯島元総理秘書官との二人三脚(三人四脚?)で、それまでの政治家では到底成し得なかった拉致被害者の帰国という北朝鮮を出し抜く成果を上げているのであるから、この様な人材が次々と排出される外務省に改革すべきである。
中年オヤジの話ではないが、「ちょい悪」ぐらいが丁度良い世界だと思う。
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