最近、忙しくてブログを疎かにしていたが、以前のブログ「マイケル・ヨン氏をケネディ大使に会わせることは出来ないだろうか?」に長い長いコメントを頂いていた。遅くなって申し訳ないが、こちらへの返信をこのブログで行いたい。
まず、最初にコメントとは関係ない所から入らせて頂く。様々な記事は全てニュートラルな視点からの報告などという前提は有り得ず、常にバイアスがかかったり、些細なものを大事に扱ったり、逆に重要なことをあたかも意味のない事の様に扱ったりするのは当然で、だからこそ客観的な視点で多くの記事を漁り、その妥当性を少しでも肌で感じていたいと思っている。だからケント・ギルバート氏が紹介した記事を読んだとき、アメリカでの反応がどうであったかが非常に気になっていた。しかし、アメリカでの反応は全くなく、完全に黙殺されている様な雰囲気であった。しかし、その辺は実は池田信夫氏が自身のTwitterの中で解説していた。
池田信夫 on Twitter 2014年12月3日
「このマイケル・ヨンって別に著名じゃなくて、彼の『記事』もFacebookの投稿だけ。」
実はこのタイミングで英語のサイトを探したが、本人がFacebookに紹介した記事は見つかったが、その他の大手のメディアに掲載された形跡を見つけることは出来なかった。その意味で、私は「どうしてなんだ・・・?」と疑問に思っていたのだが、少なくとも現時点で言えることは、マイケル・ヨン氏は大々的に大論争をアメリカ国内に仕掛けている状況ではなく、現在の進捗状況をFacebookに紹介したに過ぎず、そのFacebook記事に食いついたアメリカメディアは皆無に近いということの様である。その意味で、彼は産経新聞が持ち上げる程の大物ではなく、それなりにヒットした著作がある、まあまあ名の知れたジャーナリストという程度の様である。ノー天気に楽観できる状況ではなく、今後の展開に期待は出来るが、現時点で未知数であることは否めない。
さて話を戻せば、2件の「とんちゃん」さんからのコメントでは、このマイケル・ヨン氏が如何に信頼できない人間で、ケント・ギルバート氏が紹介した記事も誤りが滅茶苦茶多く、アメリカ国内での評価なのだろうが、
「彼は戦闘に参加したこともないから、彼の戦闘についての記事は『糞だらけ(まったくの屑)』で、彼の記事をありがたがるのは『アホウ』だそうです。」
とコメントに記載していた。早い話が、「とんちゃん」さんからのご指摘は、「産経新聞やマイケル・ヨン氏の記事はバイアスが非常に強くかかっているから気を付けろ!!」ということのようである。上述の様に、手放しでノー天気に持ち上げていた感がある私のブログを「鵜呑みにしてはいけない!!」という点について、私なりにも再考させて頂いたので、その意味ではこの様なご指摘は大歓迎である。勉強になる部分も多い。ただ、そこで調べてみた結果としては、やはり「とんちゃん」さんからのコメントも、相当強いバイアスがかかっていて、「お互い様」と言えばそれまでであるが、このコメントを読んだ方に私なりの解釈は伝えておいた方が良いと考え、ここに幾つか書かせて頂くことにした。あまり、バイアスがかかった者同士で議論してもキリがないので、それぞれの言い分を読んだ方が率直に感じ取ってもらえればそれで良い。
では順番に・・・。
まず、一番衝撃的なご指摘は「酒場での喧嘩で人を殺したことがある」と言う点である。日本のWikipediaで「マイケル・ヨン」を検索すると、殆ど何も情報がない。しかし、英語版のWikipediaには詳しく情報が書かれており、彼がアメリカ国内では如何に著名であるかは理解できる。この中の記述に、殺人に関する記述があった。
「He killed a man in a bar room fight in Ocean City, Maryland in the 1980s; criminal charges were filed but later dropped.」
最後の部分は、専門的な表現が良く分からないが多分「刑事告発はなされたが、後に取り下げられた」という意味だと思われるので、飲み屋の争いで男を殺したのは事実だが、正当防衛か情状酌量の余地が大きいのか分からないが、その殺害の責任は殆ど問われることがなかったのであろう。この意味で、「人殺しだから信用できない」というレッテル張的な誘導は不適切で、その後の彼のジャーナリストとしての仕事ぶりで判断した方が良さそうである。
次に、ご指摘によれば彼が米軍から忌み嫌われ、何度も従軍を解かれていたのだそうが、これの評価は対極的な見方に分かれる。例えば、ご指摘の様に本当に機密漏洩などの問題があり解かれている可能性はある。例えば、戦地から「我々は現在ここにいて、今から何処に向かう」などという様な情報発信をしていたら、それは機密漏洩的な責任が問われて当然であろう。しかし、朝日新聞や毎日新聞などが特定機密保護法の一大キャンペーンをやるように、国家や軍にとってはホンの些細なことでも情報開示を嫌がり、しかしそれを一般市民に情報公開するのがジャーナリズムの仕事だと、少なくともサヨク的ないしは反日的と一部から揶揄される人達は言っている訳で、従軍して軍が喜ぶような報道をしていたらジャーナリストとしては失格で、ここまで軍に嫌われているということは、それ程、真実に迫ろうという気概があるジャーナリストである証明なのかも知れない。そのどちらかは私には分からないが、少なくとも大本営発表を鵜呑みにして喜んでマイケル・ヨン氏を糞野郎的にレッテル張するのは非常にリスキーであるとは言えるだろう。この様に、糾弾する者を「全く信用できない奴」と貶めるのは常套手段過ぎて、寧ろ逆に私は「なるほど、そこまでの人なのね!マイケル・ヨン氏は・・・」とすら感じてしまう。
次に、産経が引用した記事の事実誤認についてのご指摘を少し検証してみる。
================
●第二次世界大戦中、大日本帝国陸軍が20万人もの韓国人女性を強制連行して、性奴隷(慰安婦)にした。
⇒現在は、韓国政府も韓国の挺対協も、あまり正しくないとおもわれる慰安婦碑・像の碑文でもここまではいっていません。
================
こちらは言いたいことは分からないでもない。慰安婦の碑はアメリカ以外にも韓国や日本にもある。特に日本での碑文には「20万人」なる記述はない。アメリカ国内の碑文でも、全ての碑文に「20万人」の記述はないのだろう。しかし、Wikipediaの「慰安婦の碑」を検索すると、何カ所かの碑文の記述が掲載されている。幾つか紹介してみよう。
================
【ニュージャージー州バーゲン郡パリセイズ・パーク碑文】
IN MEMORY OF THE MORE THAN 200,000 WOMEN AND GIRLS WHO WERE ABDUCTED BY THE ARMED FORCES OF THE GOVERNMENT OF IMPERIAL JAPAN, 1930's – 1945 KNOWN AS "COMFORT WOMEN,"
THEY ENDURED HUMAN RIGHTS VIOLATIONS THAT NO PEOPLES SHOULD
LEAVE UNRECOGNIZED. LET US NEVER FORGET THE HORRORS OF CRIMES AGAINST HUMANITY.
DEDICATED ON OCTOBER 23, 2010
COUNTY OF BERGEN,
COUNTY EXECUTIVE
THE BOARD OF CHOSEN FREEHOLDERS,
AND THE BOROUGH OF PALISADES PARK
翻訳:日本帝国政府軍により誘拐された200,000人以上の婦女子を偲んで。(後略)
================
【ニュージャージー州バーゲン郡ハッケンサック碑文】
In memory of hundreds of thousands of women and girls from Korea, China, Taiwan, the Philippines, the Netherlands and Indonesia who were forced into sexual slavery by the Armed Forces of Imperial Japan before and during World War II.(後略)
一部翻訳:第2次世界大戦中そしてそれ以前から日本帝国軍によって性奴隷状態になることを強制された韓国・中国・台湾・フィリピン・オランダ・インドネシアの何十万人もの婦女子を偲んで。(後略)
================
【ニューヨーク州ナッソー郡のアイゼンハワー公園碑文】
THE "COMFORT WOMEN"
IN REMEMBRANCE OF THE MORE THAN 200,000 WOMEN AND GIRLS WHO WERE ABDUCTED FOR THE USE OF SEXIAL SLAVERY BY THE ARMED FORCES OF THE GOVERMENT OF IMPERIAL JAPAN 1930'S-1945 KNOWN TO THE WORLD AS "COMFORT WOMAEN".(後略)
翻訳:1930年代~1945年 「慰安婦」として世界に知られている、日本帝国政府軍によって性奴隷の用途のために誘拐された200,000人以上の婦女子を偲んで。(後略)
================
【バージニア州 フェアファックス郡碑文】
(前略)OVER 200,000 WOMEN AND GIRLS FROM KOREA ,CHINA,TAIWAN,THE
PHILIPPINS,INDONESIA,MALASIA,VIETNAM,THE NETERLANDS AND EAST
TIMORE WERE ENFORCED INTO SEXUAL SLAVERY AND EUPHEMISTICALLY CALLED "COMFORT WOMEN" BY IMPERIAL JAPANESE FORCES DURING WWⅡ. (後略)
翻訳:(前略)200,000人以上の韓国、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナム、オランダ、東チモール、の婦女子が第二次世界大戦中、日本帝国軍によって性的奴隷状態や婉曲的に呼ばれる「慰安婦」を強いられた。(後略)
================
以上の通り、「とんちゃん」さんからのコメントでは「20万人もの韓国人女性を・・・」とまでは慰安婦碑・像の碑文でも言っていないとのご指摘だが、実際にはこの様に多くの碑文でしっかりと書かれている。数の上では書かれていない方が多いのか、書いている方が多いのかは分からないが、問題はその先である。慰安婦を設置するアメリカの町では、多くの韓国系の人々、時として影響を受けた白人までもが「20万人もの韓国人女性を強制連行した」と声高に叫び、中学や高校などでも徹底してこの様な誤った情報を刷り込む教育がなされ、多くの日系の子ども達が肩身の狭い思いをしている。少なくとも現地の日系の人々からは、その様な悲痛な声が届いている。朝日新聞が「強制連行」の証拠がない事が白日の下に晒されて、苦し紛れに「広義の強制性」で逃げようとしているが、最近では韓国国内でもこの様な論調の傾向が出てきているのだと私は予想する。何故なら、裁判での証拠能力を有する裏付けの検証可能な一次証拠が何もなく、唯一というか、スマラン事件の様に現地の兵隊が勝手に強制連行した例が見つかっていても、終戦前に日本軍がその関係者を処罰し、戦後にはBC級戦犯として既に処刑され処罰が完了していることから、日本軍の組織的関与も否定され、更には本来は「未だに責任追及がなされていないから、今になって処罰要求と補償を求めている」というスタンスからは、「決着済み」の事案しか見つかっていない。だから、戦術として「具体的な表現」を避け、イメージ戦略で韓国国民の被害者感情を煽る戦略に出ているのであるが、アメリカの地ではその辺のニュアンスが伝わらず、イケイケ・ドンドンで「20万人もの韓国人女性を・・・」と書いてしまい、ひょっとすると韓国人ですら「勇み足」と感じてしまっているのかも知れない。しかし、問題は遥か異国のアメリカの地でこの様になっているという事実であり、これは深刻であると考えなければならない。
なお、それ以降も色々指摘がある。「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)アメリカ議会あて最終報告」というタイトルで2007年4月に公表された調査結果についてもご指摘がある。この調査報告書は本来は慰安婦問題を扱うものではなく、ナチスや日本の戦争犯罪全てを扱っているから慰安婦の記述が少ないのも当然であるとか、この調査報告書は長ったらしい報告書で、誰も最初から最後まで読む訳がない・・・とか、色々ご指摘を頂いた。これは、同様に当たっている部分もあればそうでない部分もある。私も、ブログを書いたときにこの報告書の原文を探し、ナナメ読みを試みた。しかし、大部分は本筋から外れた記述が多く、弁解じみた記述も長々と続いていた。その意味で、マイケル・ヨン氏の「誰も、この報告書を最初から最後まで読むことなく、慰安婦問題について書いたり語ったりする資格を持っていない。」という主張がある意味で正しくないのは私も賛成である。しかし、この報告書は何かバイアスがかかっているのがアリアリとしていて、その辺の解説が下記の記事に書かれていた。
JBPress 2014年12月24日「米国政府の結論は出ている、慰安婦『強制連行』の証拠はなかった~日本糾弾勢力がひた隠す不都合な真実~(古森義久)」
この記事の著者は産経新聞ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員の古森 義久で、産経新聞のマイケルヨン氏に関する記事を書いていたのがこの古森氏である。IWGの調査はスタート時点ではナチスの罪を調査するのがメインであったが、途中から中国系組織からの圧力で、日本の戦争犯罪を調査する方向にシフトすることになる。この辺の経緯を下記の様に記事では記している。少々長いが要点を引用する。
================
本来はドイツを主対象とした調査だったが、後から日本も含まれた。その過程では在米の中国系政治組織である「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下「抗日連合会」)が動き、日本も調査の対象に含めることを米国の政府や議会に強く要請したことが明らかとなっている。
(中略)
最終報告の序文で、IWGの委員長代行だったスティーブン・ガーフィンケル氏は調査結果について「失望」を表明していた。
日本関連の文書のなかに、慰安婦問題などに関して戦争犯罪の裏づけが発見されなかったことを「失望」と評し、これまた驚くべきことに、前述の「抗日連合会」の名前を具体的にあげて弁解の限りを尽くしていた。この事実は、慰安婦問題で日本を不当に糾弾する主役はやはり中国系の「抗日連合会」であることを示すものと言ってよい。
ガーフィンケル氏は、特に抗日連合会が代表するとされる世界各地の犠牲者、被害者たちに向けて、以下のようにも述べていた。
「世界中の多数の人々が、この調査が日本の残虐行為の文書化に役立つ記録を数多く発見するだろうと期待していた。だが私がそれらの人々に明確に伝えたいのは、IWGによるアジアでの戦争犯罪の関連記録の探索は勤勉かつ徹底をきわめた、ということだ」。それでもなお、なにも発見されなかったというのだ。
================
つまり、少なくともIWGの委員長代行は中国系組織の意図を組んで、日本叩きのための証拠集めに奔走していたのである。だから、何も見つからないことに対し、長々と「これが証拠の全てではないから、やはり日本の慰安婦に対する罪は決して否定されたりしない。寧ろ、証拠を素直に出そうとしない日本政府の方が悪い!!」と負け惜しみを言うのである。主として未公開の資料が調査対象だが、公開済みの資料で慰安婦の強制連行の証拠があるのであれば、この調査の趣旨からすればそれらを引用して日本叩きをしないはずはない。常識的に見ればそうだろう。
「とんちゃん」さんからのコメントの後半の方でも、徐々に「広義の強制性」に話題が移って行ったりしているが、我々の主張は「広義の強制性」が問題であるならば、その「広義の強制性」に見合ったペナルティを求めるようにして欲しいのである。常識的に考えれば、沖縄で米兵によるレイプがあったとして、沖縄県民感情として「米軍なんかいらない!」と思うのは十分に理解できるのであるが、それを日本国総理大臣がイギリスやフランスやドイツに行って、「アメリカ政府は組織的に日本の民間人のレイプを奨励している。世界で連携してアメリカ政府を糾弾し、被害者に対して国家賠償するように世界から声を上げよう!!」と訴えて回ったら、誰も相手にしないはずである。イギリスの日系人が連携して、イギリス中に「アメリカはレイプ国家」の碑を設置しようとしていたら、アメリカ人は「いい加減にしろ!」と言いたくなるはずである。しかも、「広義の強制性」の実行犯の大部分は朝鮮人である。これら多くの実行犯を糾弾することなく、結果的にそれを利用していた側だけが強く糾弾されるのはアンバランスである。例えば、買収宿に警察のガサ入れが入り、買春していた客だけが牢屋にぶち込まれ、売春宿の経営者や売春婦がお咎めなしと言うのは理解できない。
この様に、このアンバランスさや、犯した罪の内容とペナルティの不釣り合いの状況などに多くの日本人は不満を持っていて、マイケル・ヨン氏はまさにその辺をご指摘しているに過ぎない。
やはり、このコメントに対して見直しをしてみたが、結論は全く変わらないというのが私の現時点での回答である。後は、このブログを読んだ方が判断をして欲しい。
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まず、最初にコメントとは関係ない所から入らせて頂く。様々な記事は全てニュートラルな視点からの報告などという前提は有り得ず、常にバイアスがかかったり、些細なものを大事に扱ったり、逆に重要なことをあたかも意味のない事の様に扱ったりするのは当然で、だからこそ客観的な視点で多くの記事を漁り、その妥当性を少しでも肌で感じていたいと思っている。だからケント・ギルバート氏が紹介した記事を読んだとき、アメリカでの反応がどうであったかが非常に気になっていた。しかし、アメリカでの反応は全くなく、完全に黙殺されている様な雰囲気であった。しかし、その辺は実は池田信夫氏が自身のTwitterの中で解説していた。
池田信夫 on Twitter 2014年12月3日
「このマイケル・ヨンって別に著名じゃなくて、彼の『記事』もFacebookの投稿だけ。」
実はこのタイミングで英語のサイトを探したが、本人がFacebookに紹介した記事は見つかったが、その他の大手のメディアに掲載された形跡を見つけることは出来なかった。その意味で、私は「どうしてなんだ・・・?」と疑問に思っていたのだが、少なくとも現時点で言えることは、マイケル・ヨン氏は大々的に大論争をアメリカ国内に仕掛けている状況ではなく、現在の進捗状況をFacebookに紹介したに過ぎず、そのFacebook記事に食いついたアメリカメディアは皆無に近いということの様である。その意味で、彼は産経新聞が持ち上げる程の大物ではなく、それなりにヒットした著作がある、まあまあ名の知れたジャーナリストという程度の様である。ノー天気に楽観できる状況ではなく、今後の展開に期待は出来るが、現時点で未知数であることは否めない。
さて話を戻せば、2件の「とんちゃん」さんからのコメントでは、このマイケル・ヨン氏が如何に信頼できない人間で、ケント・ギルバート氏が紹介した記事も誤りが滅茶苦茶多く、アメリカ国内での評価なのだろうが、
「彼は戦闘に参加したこともないから、彼の戦闘についての記事は『糞だらけ(まったくの屑)』で、彼の記事をありがたがるのは『アホウ』だそうです。」
とコメントに記載していた。早い話が、「とんちゃん」さんからのご指摘は、「産経新聞やマイケル・ヨン氏の記事はバイアスが非常に強くかかっているから気を付けろ!!」ということのようである。上述の様に、手放しでノー天気に持ち上げていた感がある私のブログを「鵜呑みにしてはいけない!!」という点について、私なりにも再考させて頂いたので、その意味ではこの様なご指摘は大歓迎である。勉強になる部分も多い。ただ、そこで調べてみた結果としては、やはり「とんちゃん」さんからのコメントも、相当強いバイアスがかかっていて、「お互い様」と言えばそれまでであるが、このコメントを読んだ方に私なりの解釈は伝えておいた方が良いと考え、ここに幾つか書かせて頂くことにした。あまり、バイアスがかかった者同士で議論してもキリがないので、それぞれの言い分を読んだ方が率直に感じ取ってもらえればそれで良い。
では順番に・・・。
まず、一番衝撃的なご指摘は「酒場での喧嘩で人を殺したことがある」と言う点である。日本のWikipediaで「マイケル・ヨン」を検索すると、殆ど何も情報がない。しかし、英語版のWikipediaには詳しく情報が書かれており、彼がアメリカ国内では如何に著名であるかは理解できる。この中の記述に、殺人に関する記述があった。
「He killed a man in a bar room fight in Ocean City, Maryland in the 1980s; criminal charges were filed but later dropped.」
最後の部分は、専門的な表現が良く分からないが多分「刑事告発はなされたが、後に取り下げられた」という意味だと思われるので、飲み屋の争いで男を殺したのは事実だが、正当防衛か情状酌量の余地が大きいのか分からないが、その殺害の責任は殆ど問われることがなかったのであろう。この意味で、「人殺しだから信用できない」というレッテル張的な誘導は不適切で、その後の彼のジャーナリストとしての仕事ぶりで判断した方が良さそうである。
次に、ご指摘によれば彼が米軍から忌み嫌われ、何度も従軍を解かれていたのだそうが、これの評価は対極的な見方に分かれる。例えば、ご指摘の様に本当に機密漏洩などの問題があり解かれている可能性はある。例えば、戦地から「我々は現在ここにいて、今から何処に向かう」などという様な情報発信をしていたら、それは機密漏洩的な責任が問われて当然であろう。しかし、朝日新聞や毎日新聞などが特定機密保護法の一大キャンペーンをやるように、国家や軍にとってはホンの些細なことでも情報開示を嫌がり、しかしそれを一般市民に情報公開するのがジャーナリズムの仕事だと、少なくともサヨク的ないしは反日的と一部から揶揄される人達は言っている訳で、従軍して軍が喜ぶような報道をしていたらジャーナリストとしては失格で、ここまで軍に嫌われているということは、それ程、真実に迫ろうという気概があるジャーナリストである証明なのかも知れない。そのどちらかは私には分からないが、少なくとも大本営発表を鵜呑みにして喜んでマイケル・ヨン氏を糞野郎的にレッテル張するのは非常にリスキーであるとは言えるだろう。この様に、糾弾する者を「全く信用できない奴」と貶めるのは常套手段過ぎて、寧ろ逆に私は「なるほど、そこまでの人なのね!マイケル・ヨン氏は・・・」とすら感じてしまう。
次に、産経が引用した記事の事実誤認についてのご指摘を少し検証してみる。
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●第二次世界大戦中、大日本帝国陸軍が20万人もの韓国人女性を強制連行して、性奴隷(慰安婦)にした。
⇒現在は、韓国政府も韓国の挺対協も、あまり正しくないとおもわれる慰安婦碑・像の碑文でもここまではいっていません。
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こちらは言いたいことは分からないでもない。慰安婦の碑はアメリカ以外にも韓国や日本にもある。特に日本での碑文には「20万人」なる記述はない。アメリカ国内の碑文でも、全ての碑文に「20万人」の記述はないのだろう。しかし、Wikipediaの「慰安婦の碑」を検索すると、何カ所かの碑文の記述が掲載されている。幾つか紹介してみよう。
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【ニュージャージー州バーゲン郡パリセイズ・パーク碑文】
IN MEMORY OF THE MORE THAN 200,000 WOMEN AND GIRLS WHO WERE ABDUCTED BY THE ARMED FORCES OF THE GOVERNMENT OF IMPERIAL JAPAN, 1930's – 1945 KNOWN AS "COMFORT WOMEN,"
THEY ENDURED HUMAN RIGHTS VIOLATIONS THAT NO PEOPLES SHOULD
LEAVE UNRECOGNIZED. LET US NEVER FORGET THE HORRORS OF CRIMES AGAINST HUMANITY.
DEDICATED ON OCTOBER 23, 2010
COUNTY OF BERGEN,
COUNTY EXECUTIVE
THE BOARD OF CHOSEN FREEHOLDERS,
AND THE BOROUGH OF PALISADES PARK
翻訳:日本帝国政府軍により誘拐された200,000人以上の婦女子を偲んで。(後略)
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【ニュージャージー州バーゲン郡ハッケンサック碑文】
In memory of hundreds of thousands of women and girls from Korea, China, Taiwan, the Philippines, the Netherlands and Indonesia who were forced into sexual slavery by the Armed Forces of Imperial Japan before and during World War II.(後略)
一部翻訳:第2次世界大戦中そしてそれ以前から日本帝国軍によって性奴隷状態になることを強制された韓国・中国・台湾・フィリピン・オランダ・インドネシアの何十万人もの婦女子を偲んで。(後略)
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【ニューヨーク州ナッソー郡のアイゼンハワー公園碑文】
THE "COMFORT WOMEN"
IN REMEMBRANCE OF THE MORE THAN 200,000 WOMEN AND GIRLS WHO WERE ABDUCTED FOR THE USE OF SEXIAL SLAVERY BY THE ARMED FORCES OF THE GOVERMENT OF IMPERIAL JAPAN 1930'S-1945 KNOWN TO THE WORLD AS "COMFORT WOMAEN".(後略)
翻訳:1930年代~1945年 「慰安婦」として世界に知られている、日本帝国政府軍によって性奴隷の用途のために誘拐された200,000人以上の婦女子を偲んで。(後略)
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【バージニア州 フェアファックス郡碑文】
(前略)OVER 200,000 WOMEN AND GIRLS FROM KOREA ,CHINA,TAIWAN,THE
PHILIPPINS,INDONESIA,MALASIA,VIETNAM,THE NETERLANDS AND EAST
TIMORE WERE ENFORCED INTO SEXUAL SLAVERY AND EUPHEMISTICALLY CALLED "COMFORT WOMEN" BY IMPERIAL JAPANESE FORCES DURING WWⅡ. (後略)
翻訳:(前略)200,000人以上の韓国、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナム、オランダ、東チモール、の婦女子が第二次世界大戦中、日本帝国軍によって性的奴隷状態や婉曲的に呼ばれる「慰安婦」を強いられた。(後略)
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以上の通り、「とんちゃん」さんからのコメントでは「20万人もの韓国人女性を・・・」とまでは慰安婦碑・像の碑文でも言っていないとのご指摘だが、実際にはこの様に多くの碑文でしっかりと書かれている。数の上では書かれていない方が多いのか、書いている方が多いのかは分からないが、問題はその先である。慰安婦を設置するアメリカの町では、多くの韓国系の人々、時として影響を受けた白人までもが「20万人もの韓国人女性を強制連行した」と声高に叫び、中学や高校などでも徹底してこの様な誤った情報を刷り込む教育がなされ、多くの日系の子ども達が肩身の狭い思いをしている。少なくとも現地の日系の人々からは、その様な悲痛な声が届いている。朝日新聞が「強制連行」の証拠がない事が白日の下に晒されて、苦し紛れに「広義の強制性」で逃げようとしているが、最近では韓国国内でもこの様な論調の傾向が出てきているのだと私は予想する。何故なら、裁判での証拠能力を有する裏付けの検証可能な一次証拠が何もなく、唯一というか、スマラン事件の様に現地の兵隊が勝手に強制連行した例が見つかっていても、終戦前に日本軍がその関係者を処罰し、戦後にはBC級戦犯として既に処刑され処罰が完了していることから、日本軍の組織的関与も否定され、更には本来は「未だに責任追及がなされていないから、今になって処罰要求と補償を求めている」というスタンスからは、「決着済み」の事案しか見つかっていない。だから、戦術として「具体的な表現」を避け、イメージ戦略で韓国国民の被害者感情を煽る戦略に出ているのであるが、アメリカの地ではその辺のニュアンスが伝わらず、イケイケ・ドンドンで「20万人もの韓国人女性を・・・」と書いてしまい、ひょっとすると韓国人ですら「勇み足」と感じてしまっているのかも知れない。しかし、問題は遥か異国のアメリカの地でこの様になっているという事実であり、これは深刻であると考えなければならない。
なお、それ以降も色々指摘がある。「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)アメリカ議会あて最終報告」というタイトルで2007年4月に公表された調査結果についてもご指摘がある。この調査報告書は本来は慰安婦問題を扱うものではなく、ナチスや日本の戦争犯罪全てを扱っているから慰安婦の記述が少ないのも当然であるとか、この調査報告書は長ったらしい報告書で、誰も最初から最後まで読む訳がない・・・とか、色々ご指摘を頂いた。これは、同様に当たっている部分もあればそうでない部分もある。私も、ブログを書いたときにこの報告書の原文を探し、ナナメ読みを試みた。しかし、大部分は本筋から外れた記述が多く、弁解じみた記述も長々と続いていた。その意味で、マイケル・ヨン氏の「誰も、この報告書を最初から最後まで読むことなく、慰安婦問題について書いたり語ったりする資格を持っていない。」という主張がある意味で正しくないのは私も賛成である。しかし、この報告書は何かバイアスがかかっているのがアリアリとしていて、その辺の解説が下記の記事に書かれていた。
JBPress 2014年12月24日「米国政府の結論は出ている、慰安婦『強制連行』の証拠はなかった~日本糾弾勢力がひた隠す不都合な真実~(古森義久)」
この記事の著者は産経新聞ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員の古森 義久で、産経新聞のマイケルヨン氏に関する記事を書いていたのがこの古森氏である。IWGの調査はスタート時点ではナチスの罪を調査するのがメインであったが、途中から中国系組織からの圧力で、日本の戦争犯罪を調査する方向にシフトすることになる。この辺の経緯を下記の様に記事では記している。少々長いが要点を引用する。
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本来はドイツを主対象とした調査だったが、後から日本も含まれた。その過程では在米の中国系政治組織である「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下「抗日連合会」)が動き、日本も調査の対象に含めることを米国の政府や議会に強く要請したことが明らかとなっている。
(中略)
最終報告の序文で、IWGの委員長代行だったスティーブン・ガーフィンケル氏は調査結果について「失望」を表明していた。
日本関連の文書のなかに、慰安婦問題などに関して戦争犯罪の裏づけが発見されなかったことを「失望」と評し、これまた驚くべきことに、前述の「抗日連合会」の名前を具体的にあげて弁解の限りを尽くしていた。この事実は、慰安婦問題で日本を不当に糾弾する主役はやはり中国系の「抗日連合会」であることを示すものと言ってよい。
ガーフィンケル氏は、特に抗日連合会が代表するとされる世界各地の犠牲者、被害者たちに向けて、以下のようにも述べていた。
「世界中の多数の人々が、この調査が日本の残虐行為の文書化に役立つ記録を数多く発見するだろうと期待していた。だが私がそれらの人々に明確に伝えたいのは、IWGによるアジアでの戦争犯罪の関連記録の探索は勤勉かつ徹底をきわめた、ということだ」。それでもなお、なにも発見されなかったというのだ。
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つまり、少なくともIWGの委員長代行は中国系組織の意図を組んで、日本叩きのための証拠集めに奔走していたのである。だから、何も見つからないことに対し、長々と「これが証拠の全てではないから、やはり日本の慰安婦に対する罪は決して否定されたりしない。寧ろ、証拠を素直に出そうとしない日本政府の方が悪い!!」と負け惜しみを言うのである。主として未公開の資料が調査対象だが、公開済みの資料で慰安婦の強制連行の証拠があるのであれば、この調査の趣旨からすればそれらを引用して日本叩きをしないはずはない。常識的に見ればそうだろう。
「とんちゃん」さんからのコメントの後半の方でも、徐々に「広義の強制性」に話題が移って行ったりしているが、我々の主張は「広義の強制性」が問題であるならば、その「広義の強制性」に見合ったペナルティを求めるようにして欲しいのである。常識的に考えれば、沖縄で米兵によるレイプがあったとして、沖縄県民感情として「米軍なんかいらない!」と思うのは十分に理解できるのであるが、それを日本国総理大臣がイギリスやフランスやドイツに行って、「アメリカ政府は組織的に日本の民間人のレイプを奨励している。世界で連携してアメリカ政府を糾弾し、被害者に対して国家賠償するように世界から声を上げよう!!」と訴えて回ったら、誰も相手にしないはずである。イギリスの日系人が連携して、イギリス中に「アメリカはレイプ国家」の碑を設置しようとしていたら、アメリカ人は「いい加減にしろ!」と言いたくなるはずである。しかも、「広義の強制性」の実行犯の大部分は朝鮮人である。これら多くの実行犯を糾弾することなく、結果的にそれを利用していた側だけが強く糾弾されるのはアンバランスである。例えば、買収宿に警察のガサ入れが入り、買春していた客だけが牢屋にぶち込まれ、売春宿の経営者や売春婦がお咎めなしと言うのは理解できない。
この様に、このアンバランスさや、犯した罪の内容とペナルティの不釣り合いの状況などに多くの日本人は不満を持っていて、マイケル・ヨン氏はまさにその辺をご指摘しているに過ぎない。
やはり、このコメントに対して見直しをしてみたが、結論は全く変わらないというのが私の現時点での回答である。後は、このブログを読んだ方が判断をして欲しい。
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