あるボート部員Aには、数年上の憧れの先輩がいた。先輩の名前はB。どんなときも、部を引っ張っていくエースだった。練習でも試合でも、Bは圧倒的なパワーを発揮していた。
Aはあるとき、先輩Bがいつも練習前後に体に謎のローションを塗っていることに気づいた。Aはそのローションに興味をもち、Bに頼んだ。
「先輩がいつも使っているローションは何ですか?僕にもそのローションを使わせてください」
Bは答えた。
「このローションが何かは秘密だ。そして、お前は使ってはならん。お前が使うなんぞ百万年早~いわ!」
なんだ、ケチ。Aは内心がっかりした。
「お前はこれでも食ってろ!」
と、代わりにBから渡されたのは生臭い金魚のえさのようなタブレット。
なんで、こんなものを食べなくちゃいけないんだ。
と思いつつも、Bがしつこく食べるよう言ってくるので、Aはしぶしぶタブレットを食べ続けた。
そして、数週間が経ち、試合の日。Bが口を開いた。
「Aよ。今までローションを分け与えなくて悪かった。今日、試合のときは、思う存分このローションを体に塗ってくれ!」
「え?塗っていいんですか??」
「そうだ。実は、このローションはチタン含有で、体に塗るとスタミナが30%アップする代物なのだ。今まで練習をまじめにがんばってきたお前が使えば、鬼に金棒となるだろう。これでお前は試合で最高のパフォーマンスを発揮できる!ただ、よく気をつけろよ。このローションは、あまりに効きすぎるため、一度使うとやめられなくなってしまう。普段の練習のときでも使ってしまうと、練習が楽になって、鍛えられなくなってしまう。この俺を見てみろ。普段から使う癖がついてしまったせいで、もはや練習しても成長しない。」
言われてみれば、Bは強いけれど、練習している割には頭打ちになっている感もあった。
Bは続けた。
「それと、Aよ。お前に渡したタブレット。あれはな、魚肉ペプチドといって、練習効果を高め、パワーアップするための秘密兵器なんだ。ローションを塗る代わりに、黙々と魚肉ペプチドを食べ続けたAは、想像をはるかに超えた成長をしているだろう。」
Aは、驚いた。Bはローションが勿体ないからAに分けてくれないのではなかった。Aが強くなることを望んで、あえて厳しい態度で接していたのだった。
AはBの秘めたる心遣いに感激しつつ、試合で渾身の漕ぎを見せ、見事優勝したのだった。
次回は新美です。春なのでテーマは「出会いと別れ atボート部」です。
Aはあるとき、先輩Bがいつも練習前後に体に謎のローションを塗っていることに気づいた。Aはそのローションに興味をもち、Bに頼んだ。
「先輩がいつも使っているローションは何ですか?僕にもそのローションを使わせてください」
Bは答えた。
「このローションが何かは秘密だ。そして、お前は使ってはならん。お前が使うなんぞ百万年早~いわ!」
なんだ、ケチ。Aは内心がっかりした。
「お前はこれでも食ってろ!」
と、代わりにBから渡されたのは生臭い金魚のえさのようなタブレット。
なんで、こんなものを食べなくちゃいけないんだ。
と思いつつも、Bがしつこく食べるよう言ってくるので、Aはしぶしぶタブレットを食べ続けた。
そして、数週間が経ち、試合の日。Bが口を開いた。
「Aよ。今までローションを分け与えなくて悪かった。今日、試合のときは、思う存分このローションを体に塗ってくれ!」
「え?塗っていいんですか??」
「そうだ。実は、このローションはチタン含有で、体に塗るとスタミナが30%アップする代物なのだ。今まで練習をまじめにがんばってきたお前が使えば、鬼に金棒となるだろう。これでお前は試合で最高のパフォーマンスを発揮できる!ただ、よく気をつけろよ。このローションは、あまりに効きすぎるため、一度使うとやめられなくなってしまう。普段の練習のときでも使ってしまうと、練習が楽になって、鍛えられなくなってしまう。この俺を見てみろ。普段から使う癖がついてしまったせいで、もはや練習しても成長しない。」
言われてみれば、Bは強いけれど、練習している割には頭打ちになっている感もあった。
Bは続けた。
「それと、Aよ。お前に渡したタブレット。あれはな、魚肉ペプチドといって、練習効果を高め、パワーアップするための秘密兵器なんだ。ローションを塗る代わりに、黙々と魚肉ペプチドを食べ続けたAは、想像をはるかに超えた成長をしているだろう。」
Aは、驚いた。Bはローションが勿体ないからAに分けてくれないのではなかった。Aが強くなることを望んで、あえて厳しい態度で接していたのだった。
AはBの秘めたる心遣いに感激しつつ、試合で渾身の漕ぎを見せ、見事優勝したのだった。
次回は新美です。春なのでテーマは「出会いと別れ atボート部」です。