担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

ゲルマラジオ。

2013-03-25 17:04:47 | 工作・実習
AM ラジオ専用 IC LMF501T を用いた AM ラジオの実験から一夜明け,配線ミスを修正した後,改めて受信局数を調べたところ,最大で6局確認できた。昨晩は,深夜のため放送休止中の局もあったのかもしれない。BGM 付きでドイツ語講座を楽しめるなど,混信のおかげでミキサー要らずである。

今日は昼間にお出かけする予定だったのだが,起き抜けに数種類の金属のイオン化傾向を調べる実験をした後,ゲルマラジオを試した。そうやってぐずぐずしているうちに急用も入り,結局お出かけは見送るという,なんだかダメな感じの一日となった。

ゲルマラジオは次のような感じである。

配線は混沌を極めているが,それが後に少し災いした。

写真には二種類のダイオードが写っている。一つは小さな青い円筒のもので,これはショットキーダイオードと呼ばれる半導体であり,秋月電子通商で購入した BAT43 という品種である。10本入りの袋を買ったのだが,同封された解説プリントにはゲルマニウムダイオードの代用になると書かれている。橋本剛氏の『ブレッドボードで始める電子工作』の Section 06 でゲルマラジオとして紹介されている回路において実際には 1SS108 という品種のショットキーダイオードを使用しているのを参考にして,型番は異なるが,手持ちの BAT43 を使ってみた。

一方,青い BAT43 の右隣に,似たような形状の赤い帯のついた透明な筒が見えるが,それが有名なゲルマニウムダイオード,1N60 である。これも秋月電子通商で購入した。

回路図は,前掲書の他,丹羽一夫氏の『作って遊ぼう!おもしろ電気工作』も参考にした次のようなものである。

そういえばあさひ通信のバーアンテナ BA200 の入っていた袋に,ほとんど同じ回路図が入っていた覚えがある。

組み立てたのち,部屋の中で聞いてみたら何の音も聞こえない。

ベランダに出て,アンテナ線を物干しざおにひっかけ,アース線を手すりから下に垂らした。てきとーアースなのでほとんどアンテナの一部のようなものだろうが,Bon Jovi の Livin' on a Prayer が聞こえてきた。

1N60 と BAT43 共に聞き取れたのは3局程度であった。音量は,車が脇の道路を通っただけで聞こえなくなるような微々たるものであった。かなり集中して耳を澄ませても,パーソナリティーが何を話しているのかあまり聞き取れない。

ともあれ,電池無しでラジオが作れるというのは紛れもない事実であることが確認できた。いずれ,フェライトコアを買って,手作りコイルと手作りバリコンでゲルマラジオを楽しみたいものである。

当初,実験場としては近所の公園を想定していた。土の地面にアースを刺し,雲梯などの遊具にアンテナ線を這わせれば良好に受信できるのではないかと考えたからである。
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電波受信しました。

2013-03-25 03:27:46 | 工作・実習
何やら怪しい電波を受信する神がかった装置はすでに二種類製作したが,そういう神秘的なものではなくて,人の声や音楽が聞こえてくる,フツーのラジオを作りたい。

前にも同様のことを書いたが,趣味の電子工作の大きなジャンルとしては,ラジオ,オーディオ・アンプ,アマチュア無線,実用電子工作,デジタルゲーム,センサーを利用した計測機器,PIC 等のマイコン・チップを利用した幅広い工作,機械を制御するメカトロニクスといったものがある。実のところ,僕が最近はまっているブレッドボードは電子「工作」ではなくて「実験・観察」に分類すべきであることに気づいた。電子工作というのは,装置の中身だけではなく,装置を入れるケースの加工や仕上げ,デザインなどを全て込みで一つの作品を作る行為である。僕はそうした作品は作っていないし,今のところ作る気があまりない。

いつもの癖でだらだらと話がずれてしまった。前に似たことを書いた際,僕はラジオにほとんど興味がないと書いたが,半分ホントで半分ウソであった。

夢見る電子工作少年だったころ,ラジオの仕組みを当時の頭でわかる範囲で勉強して,この検波回路とこの増幅回路を組み合わせればこういうラジオが作れるんじゃないか,などと夢想していたことを思い出した。ただ,AM ラジオくらいならなんとかわかりそうだったものの,短波や FM になると回路も複雑になって完全にお手上げであった。そうして挫折をしたままになり,ラジオから関心が遠のいてしまった。

再びラジオへの関心を蘇らせたのは,橋本剛氏の著書『ブレッドボードで始める電子工作』(CQ出版社)である。表紙のタイトルには「初歩のラジオ製作」というフレーズがついている。その言葉の通り,さまざまなラジオ回路が全体の三分の二くらいの分量を占めている。その中に,電池管と呼ばれる真空管1本で検波するラジオの紹介があり,それをきっかけにラジオと真空管の世界に同時に飛び込もうと決意した。

ただ,今住んでいる家は近隣の高層建築物の影響で,テレビの地上波の受信状況が悪く,わざわざケーブルテレビに加入する必要があった。デジタル放送に切り替わってからは全くテレビを見なくなったので,デジタル放送が見られるのかどうか知らない。当局からの説明では電波強度に問題はないらしいので,受信状況は改善されたのだろうが,携帯電話等でワンセグを観ようとすると,窓際に置いてもろくに観られないことがある。

そんなわけで,ラジオも受信できるかどうか不安で仕方がない。ラジオも持っていないので電波が良いのか悪いのか確かめることすらできない。100円ショップでそこそこのラジオが手に入るという話をネットで見かけてさっそく近所の105円ショップに駆け込んだが,品ぞろえの悪い店で,ラジオのラの字もなかった。

そこで,まずはアンテナやアースを必要としない,十分な感度を持っているらしいラジオを自作することにした。そのために,AM ラジオ用の IC であるミツミ電機の LMF501T を千石電商で購入した。また,バーアンテナは AM ラジオ用ならどれでも使えるのだろうが,本と同じ,アイコー電子の PA-63R をマルツパーツ館で手に入れた。なお,PA-63R は秋葉原ラジオストアーの2Fでも手に入る。

必要なパーツは揃えたが,ブレッドボードでラジオを組み立てるには下準備が必要である。下準備とは,バーアンテナのリード線とバリコンの端子にブレッドボードの穴に差し込めるような線を付ける加工のことである。昨日の昼間はその作業に費やした。ついに数十年ぶりに半田コテを握ったのである。

最近流行の鉛フリーのはんだを使ってみたが,半田コテの温度が低すぎるのか,はんだが思ったように融けず,バーアンテナの4本のリード線の先端に 0.6φのすずめっき線をつけたビニール線を継ぎ足すだけで一時間半くらいかかってしまった。現在の僕の実力では鉛フリーは使いこなせないと判断し,鉛フリーでない従来のはんだを使って残りのはんだ付けをすることにした。そしたらスムーズに作業の進むこと。ほぼこちらの期待通りにとろっと融けてよじった電線などに広がってくれる。おかげであれよあれよという間に,セラミックイヤホン,圧電サウンダ,電池管用の真空管ソケットにも同じ加工を施すことができた。

その後はとある付き合いで飲み会があり,しこたま缶ビールを飲んだ挙句にコンビニのウィスキーをストレートで何倍か飲み,最寄駅から二駅のところまでしか電車が無く,一時間歩いて家に帰りついた。酔い覚ましも兼ねて,あるいは酔った勢いで LMF501T を用いた回路(前掲書,Section 30 LMF501Tイヤホン・ラジオ(その1))を組んでみた。


↑大変見苦しい配線の仕方で恐縮だが,ともかくこんな雑な作りでもちゃんと動く,という参考まで。
「ちょっとぉー,もっとおいしそうに盛り付け出来ないの?」「メシなんて,食えりゃいいんだ。見た目なんてどうでもいいのさ。」という考え方に共通した思想がここにはある。
このくらいの部品数だったら,8Pラグ板で作れそうだな。今度考えてみよう。


酔っていたおかげで電池をつないだら一発でセラミックイヤホンから何か音が聞こえてきた。しらふだったらこうはいかない。必ず何かしら配線ミスがある。しらふの時と酔った時とでの作業の精度が常識とはあべこべなようだが,事実なのだから仕方がない。

※ 寝て起きてから配線を見直したら,一か所配線を間違えていた。致命的なミスではないが,「ノーミス」だったというのは勘違いであった。


それで,まあ,とにかく聞こえたよ,という話である。特にアンテナ線やアース線をつながずに,音楽や話し声が聞こえてきた。ただし,バーアンテナのリード線を指で触っていないと音が小さかったりする。前掲書によれば夜は10局ほど受信できたとのことであるが,僕の場合はようやく3局が聞き取れただけであった。初めは一つの局で流れていた洋楽しか聞こえなかったが,バリコンのダイヤルをゆっくり回しながら聞こえてくる音に集中したところ,3種類の放送が聞き分けられたのである。特に,バリコンのダイヤルを一方に回し切った状態の時に,「NHK ラジオ深夜便です」というアナウンサーの声が聞こえた時には,なぜだか最初に受信を確認した時よりも嬉しかった。「ああ,ラジオの電波をちゃんと受信できてるんだなぁ。」とそのときようやく実感が湧いたのである。

こうして,部屋に居ながらにして AM ラジオが数局受信できることが確実となった。これでやっと憧れのゲルマ・ラジオにグレードダウンできる。それが済んだら,電池管やトランジスタを用いたラジオへと進むことができる。低周波増幅回路をつないでスピーカーを鳴らすこともできるだろう。ちなみに,セラミックイヤホンの代わりに圧電サウンダをつないでみたところ,チャカチャカ音が鳴っていることはわかったものの,放送内容をはっきり聞き取れるような音量や音質には程遠かった。セラミックイヤホンを耳に着けて聞いていると,うるさくて外したくなるほどの音量で受信できることもあったので,「この手のラジオには,やっぱクリスタル(実際にはセラミック)イヤホンだよな~」としみじみ思った次第である。
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渦の巻き方。

2013-03-24 13:56:51 | どっちだっけ?
日本の天気の話で,高気圧の中心から吹き出す風や低気圧の中心に吹き込む風の向きが,上から(宇宙から地球を見下ろす視点で)見た時,「の」の字のように渦巻いているのか,それとも「の」を鏡に映した字のように渦巻くのか,どっちだったかいつもわからなくなる。

風は気圧の高いところから低いところへ吹くから,気圧の勾配 (gradient) の向き,つまり等高線に垂直に吹くはずである。ところが現実はそう単純ではない。確か地球の自転の影響だったと思うが,風は等高線に垂直に吹かずに,ややずれた角度で吹くものらしい。その結果,吹き出しや吹き込みの流れが渦上になるわけである。

ここで理科クイズ。次の2枚の写真のうち,どちらが日本付近の台風でしょうか。

写真1

写真2


写真をここに並べて載せたかったが,著作権のことが心配なのでリンクにとどめた。

台風の渦巻き具合を覚えている自信がなくとも,テレビ等の気象情報で台風の衛星写真を何度となく目にしたことがある人ならば,どちらかの写真に違和感を覚えると思う。

なお,サイトの URL や写真に書き込まれている文字情報などからどちらが台風の写真でどちらがそうでないのか推定できてしまうが,このクイズはそういう推理力を試すものではない。渦巻いた雲の様子だけから答えていただきたい。


皆さん,写真は選びましたか?


では答えを発表します。


正解は・・・

写真2

です!


写真1は,ニューカレドニアの衛星写真だそうで,NASA の提供によるものである。

ニューカレドニアは南大西洋の島国であり,南緯21度30分に位置している。つまり南半球にある。

北半球と南半球とでは大気の渦の巻き方が逆になるというのは有名な話として知ってはいたが,こうして写真で違いを目の当たりにしたのは,僕自身初めての経験だったかもしれない。

台風の写真を探していたとき,検索結果の写真を見て一枚だけ強い違和感を覚えた。それが写真1との出会いだった。

一ヵ月ほど前に,わざわざオーストラリアの Bureau of Metorology(日本の気象庁にあたる機関であろう)でオーストラリアの風の向きのデータがないか探したりしたのだが,等圧線との関連がわかるようなデータは見当たらなかった。日本ではアメダスのデータが公開されているが,日本全土にびっしり生えた風速を表すベクトルが細かすぎて使いづらく感じた。それに,天気図の画像に重ねて解析するのは大変そうであった。

けれどもようやく,風の向きは雲の渦巻具合から読み取れるのではと気づき,台風の画像を検索したというわけである。

台風は日本のそばにやってくる。日本に馴染み深い。だからひらがなの「の」の字の形に渦巻いている。あるいはカタカナの「ノ」の字に沿って風が吹く,なんてこじつければ覚えられそうだ。もちろん,「の」と「ノ」のいずれにせよ,書き出しは気圧の中心にとることも合わせて覚えておこう。

なお,「の」の字であることは高気圧と低気圧の区別はない。高気圧はのの字に沿って風が吹き出し,低気圧は逆に吹き込むというように,「中心から周辺へ」か「周辺から中心へ」かが変わるだけである。
風の吹いている様子を撮ったビデオ映像を逆再生したものを,そのことを知らされないまま見せられた人は,高気圧と低気圧とを実際とは逆に認識するだろうが,北半球が写っているのか南半球が写っているのかは間違えないはずである。ただ,映像は非常に短い期間を撮影したものにしておかないと,逆再生したことがバレてしまうだろうが。


今回の調査で,気象衛星の画像にもお世話になった。地域を「全球」にして,種類を「可視」や「水蒸気」に変えて,過去24時間のデータを1時間ごとの区切りでコマ送りするアニメーションを見てみると,画像が白くちらつくこともあるが,まるで宇宙船から地球を眺めているような,得も言われぬ気分になって,いつまでも見飽きない。いい気分転換になる。


ちょっと宇宙の話が出たついでに,ぐるぐる渦巻いている天体の代表例,銀河の写真についても,「の」の字回りと反「の」の字回りのどちらが多いか,なんて調べてみるとよいかもしれない。調査の目的を忘れて,壮大な写真に心を奪われること,請け合いである。
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今年は何年?

2013-03-22 23:55:04 | 工作・実習
もうそろそろ四月になろうという時に時期外れで恐縮ですが,今年は何年でしたっけ?



そう,巳年ですね。

ヘビにはいろいろな柄や色があるけど,なぜだか僕は緑色というイメージを抱いている。本当に緑色のヘビがいるものなのかどうか怪しい気がするのだが。

アオダイショウなんて名前のヘビもいるくらいだから,青色バージョンも。



これをやるためだけに緑と青の 7 セグ LED を買った。

7 セグでアルファベットを表せるものかどうか考えているときに思いついたのでやってみた。十二の干支を表す漢字の中で,7 セグメント LED で表示できるのは「巳」だけである。

四か月早く思いついていれば,年賀状に使えたのに。

ちなみに,一緒に写っているかっこいいスケルトンの大きめのブレッドボードも千石電商で見かけた折,一目ぼれして衝動買いです。それに関連した話は,いずれ。


LED はマルツパーツ館で購入。LED はアノード・コモンというタイプで,ピン配置はデータシートが見られないので自分で地道に調べた。

電流制限用に 220 Ωの抵抗を挟んで 3 V の電源につないだところ,順電圧が標準 2.2 V という緑色 (KW1391A2B) はちょうどよい感じのやんわりとした明るさで点った。一方の青色 (KW1391ABB) は標準 3.5 V といいつつ,3 V で目に痛いほど光っているから不思議。

よく似たお遊びは『武蔵野電波のブレッドボーダーズ』の「PART2 作例 2 7セグメント LED を使ってみよう」にある。そこでは別のメーカーの 7 セグ LED を使っている。DIP スイッチを使って文字の表示の実験をやりやすくする工夫も紹介している。

ある本に,デジタル回路の端子の Hight と Low を調べるチェッカーの発展版として,Hight/Low だけでなく Clock も判定できるように工夫した回路が載っていた。それを少しアレンジして,7 セグ LED で H,L,C の文字を表示するようにしたいというのがささやかな夢である。そのアイデアはまた別の何かで見かけたのかもしれないが,自分で考案したのだったかもしれない。ただ,そんな装置が作れたらいいなと子供の頃に夢想していたような覚えがある。


ところで,白ヘビは神の使いと言われたりするので,白色の 7 セグメント LED があればそれも使いたいところであったのだ。けれども,そういう製品はないのかもしれない。
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乾電池チェッカー。

2013-03-22 01:18:15 | 工作・実習
ホビーといっても,工作分野は趣味と実益を兼ねた作品が多く考え出されている。電子工作の世界における花形の一つは,なんといっても乾電池チェッカーだろう。

幸い,というか,あまり喜ぶべき状況ではないのだが,我が家にはそこかしこに使えるのか使えないのかよくわからない乾電池がゴロゴロ転がっている。

そんなに乾電池に囲まれているというのに,懲りもせずに電池を自作してみようと思い立った。

櫻井俊一著,たちもとみちこ作品デザインの『子どもと一緒に電子工作』(CQ出版社)の「第4章 海水で電気をつくる発電所」を参考に,いっちょ作ろうと材料を買いに出かけた。

それはアルミと黒鉛を電極にするタイプの化学電池である。最近,JR 線の車内で放映されている番組でもお目にかかったので,作ってみたくなったのである。

著者は備長炭を使用すること,と念を押しているので,備長炭を買おうと思ったのだが,バーベキューをする予定もないのに 2kg 880円の備長炭を箱買いする気にはとてもなれない。もっと量の少ない商品はないかと売り場をうろついていたら,線香売り場に備長炭を使用した線香があった。

そんな商品は生まれて初めて見たので,とりあえずそれを購入した。電解液用に某有名スポーツドリンクの粉末を買い,家に帰ってさっそく電池もどきを作ってみた。わざわざ 2 セット作って直列つなぎにしてみたものの,テスタで測ってもほとんど電圧が発生していない様子であった。

本をもう一度見てみると,電気が十分に通らない炭は電池用には適していない,という注意書きがある。恐る恐る備長炭線香の抵抗値を測定してみると,何もつないでいないときと同じ表示のまま,ピクリともしない。

というわけで,残念ながら僕が試したものはうまく行かないタイプのものであった。

新潟県のホームセンターで,竹の割り箸を炭にしたものを全くそのままの状態で消臭剤として売っていたのだが,あれならばたぶん備長炭の代わりになったのではないだろうか。同じような商品が東京でも手に入らないかどうか,しばらく探索を続けなければならない。


こうして,お手製の電池で LED を光らせるという夢は潰えてしまった。もちろん,ホームセンターで見かけた銅版とアルミ板,あるいは十円玉と一円玉を使っても電池は簡単に作れるはずだが,とりあえず,アルミ箔と炭にこだわりたい。

炭は要するに黒鉛なわけだから,鉛筆をそのまま電池にしてしまうこともできるかもしれないと思いついたが,これについてはそのうち試すつもりである。あるいは,鉛筆の元祖ともいえる黒いコンテなども使えるのかもしれない。


さて,失敗しただけで一日を終えるのは寂しいので,何かちゃんと動く作品を作って一日を締めたい。そんな思いで,丹羽一夫著『作って遊ぼう!おもしろ電気工作』の自作作品例のトップバッターである乾電池チェッカーをブレッドボードで組み立ててみた。

回路図の紹介もあった方が,興味のある方には親切だと思うのだが,基本的に回路図の著作権は本の著者や出版社にあるだろうから,あんまり気軽にネットで公開するのは気が引ける。今回作ったのは,オリジナルでは 9 V の電源をつないで電子ブザーを鳴らすところを,3 V をつないで LED を光らせるという,実にみみっちいマイナーチェンジをしたものなので,載せておく。あ,替え歌なんかもまずいんじゃなかったっけ。それならほんのちょっとの改変でも著作権侵害になるんだろうなぁ。

回路図はこんな感じ。

多分 R1 と R2 でテスト用の乾電池の電圧を 2:3 の比に分圧して,R3 で降下した後の電圧がトランジスタのベース・エミッタ間順方向電圧降下の 0.6~0.7 V よりも高くないとコレクタ電流が流れない,というようなからくりなんじゃないかと思うが,それで本当にあっているのかどうか全然自信がない。

ぜひとも R1 と R2 の比を変えてみたり,比は変えずに数値を共に 10倍,100倍してみるとか,20Ωと30Ω,あるいは100Ωと150Ωの組み合わせにするとか,いろいろ試してみたいものである。ただ,R3 の役割についてある程度理解していないと実験しても予想が立てられず,結果の解釈も不十分になるだろうから,もっとちゃんと考えてから実験することにしたい。

ちゃちゃっと部品を配置した様子がこちら。

計画性はみじんも感じられない。何回か電源をつないでも動かないという失敗を繰り返したのちに到達した最終フォームがこれである。

デジタルテスタの乾電池チェック機能で確認しながら,目につくところに転がっていた単三電池十数本を選別していく。

まだまだ現役で頑張るぞ,という元気な子をつなぐと LED がまばゆく光る。


動作保証期限が2007年だったという,さすがに放電し切っておるわいという古株をつないでも点灯しない。


何もつないでいない時はもちろん LED は消えている。


一本だけ,最後の力を振り絞って 0.8 V くらいの電圧を記録した乾電池をつないだときはうっすらと LED が点灯した。数秒もしないうちに命のともしびが消えてしまったので写真に残すことはできなかった。代わりに,元気な電池にシリコンダイオードを直列につないでむりやり電圧降下をさせた場合の写真を撮った。

心なしか,LED がほんのりと光っている気がしませんか。すぐそばの赤い電線の色を映しているだけのような気もしないでもないけど。

この回路のスレッショルド(しきい値)を明確にするには,1.3 V とか 1.2 V あたりの微妙な電圧の電池をつなぐ必要があるが,そういうのは十数本の中には入っていなかった。
けれどもとにかく,LED が明るく光った電池はテスタで測ると 1.4 V 以上であったし,ほとんど光らなかったり全く光らなかった電池は 1 V 未満だったので,乾電池チェッカーとしての機能は申し分ない。

作品を解体する前に,この機会に他の 1.5 V 電池も選別して,捨てるべきは捨てることにしよう。


この作品だったか,あるいは別の本を参照したのだったか,乾電池チェッカーは子供の頃に一つ作ったような記憶が蘇ってきた。
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LM3909 という名の IC.

2013-03-21 23:58:45 | 工作・実習
思い出の書,丹羽一夫著『作って遊ぼう!おもしろ電気工作』(小学館入門百科シリーズ167)には自作用の作品例が9つ掲載されている。

この本は子供向けの入門書であるから,回路の解説はほとんどない。したがって,改めて見直すと,回路図たちがこう囁きかけてくるかのようである:

最初の出会いから数十年が経過してキミはいい大人になったようだけど,ボクたちの動作原理を解読できるかい?,と。

激しく狼狽しながら,僕は心の中でこう言い訳する:

いや,確かにね,数十年が経ったけどもね,その間ろくに回路理論を勉強してこなかったから,僕の知識レベルは小学生当時のものとほとんど変わっていないんだよ。

というわけで,回路図の個々の記号の意味はわかるものの,全体としての機能がまるで理解できない。さながら,外国語で書かれた文章を前にして,単語一つ一つの意味はわかるけれども,文全体として何を言っているのかさっぱりわからずに悩んでいるのと同じである。

9つの回路図たちは,僕にとって,ブラックボックス以外の何者でもない。

なお,この本には回路の動作に関する詳しい解説がないといっても,ときおり回路図中の抵抗器の値を変えたらどうなるか,試してみるよう促す記述がある。基本的にラグ版(部品を取り付けるための金属端子のついた板)やプリント基板に部品をはんだ付けするというオーソドックスなスタイルの工作であるから,一度はんだ付けしてしまったら,手軽に部品を取り換えるわけにはいかない。そういう意味で,工作教室などでなく,一人でパーツを集めて作っていた僕のような子供たちは,こういった実験をすることはほとんどできなかった。いったん完成させたらそれでおしまい,というのが関の山であったのである。けれども,著者の教育的配慮は,ブレッドボード全盛の現在にこそ輝きを放つように思える。丹羽一夫氏の最近の著書には『実践 作って覚える半導体回路入門』という,僕のような人間のために用意して下さったかのようなタイトルの本があるので,こちらにもいずれ挑戦したいと思っている。

『おもしろ電気工作』には LED を点滅させる作品が2つ紹介されている。しかし,当時生意気盛りの小中学生だった僕は,LED を光らせるだけなんてつまらないと思っていた。大人になった今では,逆に点滅させるだけの回路にとてつもなく大きな魅力を感じている。まるで子供の頃に(多分に食わず嫌いで)嫌いだった食べ物が大人になって好物になったかのようなものである。

それら2つの LED 点滅回路の内訳は次のようである。一つは「弛張(しちょう)発振回路」として有名なトランジスタ2石を使用するものである。ただし,「弛張発振回路」なんていう小難しい用語はこの本では一切伏せてある。とはいっても,回路の仕組みに全く触れていないわけではなく,トランジスタが「電子スイッチとして働」いていると,ポイントそのものずばりを簡潔に述べている。つまり,トランジスタのデジタル的な動作を利用した発振回路だということである。これはこれでトランジスタ2石と抵抗,コンデンサそれぞれひとつずつの簡単な回路なので,早いところ自分で実験してみようと思っている。僕の好きな無安定(astable)マルチバイブレータも弛張発振回路の一種だと,とある本に書いてあった。

もう一つの LED 点滅回路は LM3909 という IC と抵抗 8 個,コンデンサ 1 個のものである。抵抗の個数がかなり多いように思えるが,それは,LED を 6 個並列に光らせるというハデなことをしているからである。

子どもの頃と同じように回路図をぼんやり眺めていたら,とんでもないことに気が付いた。電源は単三の乾電池 1 本なのである。つまり,1.5 V の電源で,光らせるのに 2 V は必要なはずの LED を駆動しているわけである!

これは僕が追いかけているテーマの一つ,チャージポンプ(昇圧)回路ではないか!

子どもの頃の僕はその事実にちゃんと気づいていただろうか。たぶん気づいていなかっただろう。もし気づいていたなら,今から何年も前の昇圧回路に興味を持ち始めた頃にこの回路のことを思い出してしかるべきであったはずだが,そんな覚えはない。

というわけで,ぜひともこの回路を実験してみたくなり,LM3909 が売られているかどうかを探した。もしもう廃盤になってしまったとしても,データシートがあれば同等品を探す手がかりになるかもしれないし,等価回路が載っていればどうにか再現できるかもしれない。

そう考えて "LM3909" をキーワードに検索したところ,この IC は知る人ぞ知る,超有名どころだったことが判明した。動画までアップされているにぎわいっぷりである。『ブレッドボードで始める電子工作』(CQ出版)の著書,橋本剛氏のサイト「ブレッドボードラジオ」には LM3909 を用いたいろいろな実験回路が紹介されている。ただ,すでに生産が終わっているらしい LM3909 は手に入りにくい部品なので,さすがに『ブレッドボードで始める電子工作』にはそれらは採録されていない。ただし,その代わりに 1.5 V の乾電池 1 本で LED を点滅させる昇圧回路が数種類紹介されていて,僕にとって勉強しなければならない本の一冊である。(ただ,これも入手が困難な PUT と呼ばれる半導体 N13T1 を使った発振回路は載っている。)

入手が難しいとはいっても,売っている店が極端に少ないというだけであって,売っている店はあることはある。ついに通信販売で部品を買う時が到来したように感じているが,LM3909 のデータシート(この IC の機能はそのものずばり,LED フラッシャーであることがわかる)に記載された等価回路を自分で実装するという道も魅力的である。そして実際,それを実践している先人たち何人かどうやら海外にも )いらっしゃる。頼もしい限りである。なお,外国の方は "An De-Integrated Circuit" と表現し,邦人の方の一人は「ローテクに走った」というような表現を使っておられる。まさに僕の目指すべき先達である。

昇圧回路を理解するということは,トランジスタの電子スイッチとしての機能を極めることに他ならないのではないかとにらんでいる。これが片付いてようやくデジタル回路に進めるのではないか,とさえ思えてきた。
ディスクリート(集積回路というワンチップの IC ではなく,個々の部品を組み合わせて組んだもの,というような意味だろうか)で LED フラッシャーを組むのは少し先のことになるだろうが,今回見つけた先人たちの回路を参考にさせていただくつもりである。


この話はこれでおしまいだが,一つだけおまけの話を書いておく。

PUT が手に入る店を検索して調べていた過程で,「電子機器組み立て」という国家技能検定があることを知った。はんだ付け技術検定なんてものがあったら面白いかも,なんてことを冗談半分に書いたことがあるが,実際に,しかも国が認定する大真面目な検定として存在したとは。僕が想定していたのは『TVチャンピ○ン』みたいなノリの大会だったのでちょっと路線が違うが,似たようなものであることは確かである。将来的に取得を目指すのもありかな,なんてね。
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LED vs シリコンダイオード。

2013-03-21 01:43:18 | 工作・実習
今では廃盤になってしまったと言われる小信号用スイッチングダイオードのかつての代表選手,1S1588 と LED を用いて簡単な実験をしてみた。

次の2通りの回路で LED が点くか点かないかを観察する。

まず,LED に 3V の電源をつなぐ(図1)。

468Ω(要するに470Ω)の抵抗は電流制限用である。

そうすると,当然のことながら LED は点灯する(図3 ※よく計画を練らずに図番号を付けたので,順番が変になった)。

LED の両端の電圧を測定したところ,1.869V であった。2.4mA 程度しか流れていないだろうに,そこそこ光るものである。


では,LED と並列にシリコンダイオード 1S1588 をつないだらどうなるだろうか(図2)。


実験をする前に予想を立ててみよう。

使用した LED の順方向電圧はデータシートによると 1.9V~2.6V だそうだが,電流が少ないためか,実測値は 1.87 V 程度であった。
いずれにせよ,1.8 V は電圧がかかっていないとまともに光らないということである。

一方,シリコンダイオードはおおむね順方向電圧が 0.6 V~0.7 V だと言われている。これくらいの電圧をかけないとまともに電流が流れないということだが,逆に,ダイオードに電流が流れているとき,かかっている電圧がこの程度だということでもあるはずである。

ところで,中学校の理科で習うことだが,並列つなぎの抵抗の両端には同じ電圧がかかるという。しかし,今回取り扱っているのは半導体と呼ばれる素子であり,抵抗とは異質なものである。電流が流れているときの両端の電圧がかたや 2.1 V の LED と,かたや 0.7 V のダイオードとでは,一体どちらの性質がこの回路では支配的なのだろうか。


LED やダイオードの性質を上の説明で初めて知った人は,ぜひここで一度立ち止まって自分なりの予想を立ててみていただきたい。


なんとなくであるが,0.7 V がかかるだけで電流が流れ始める 1S1588 の性質がきくような気がしないだろうか。少なくとも僕にはそう思えた。けれども専門家ではないので理論についてはよくわからない。

そんなときこそ実験である。この程度の回路なら実験はあっという間である。

結果は次のようになった(図4)。


LED は点灯せず,その両端の電圧は 0.675 V であって,まさにシリコン・ダイオードの順方向電圧そのものであった。
この結果を解釈するに,0.7 V 弱で電流が流れてしまうので,2.1 V まで電圧が上がらない,ということだろう。

このような素朴な実験により,はっきりとわかったことが一つある。
それは,ダイオードには Ohm の法則が通用しない,ということである。
つまり,ダイオードに電流が流れているということは,その両端の電圧は 0.7 V 程度であって,それ以外の数値ではないということを意味するのである。

そういえば,昔ちょっとかじったことのある電磁流体の方程式では,電圧と電流の間の関係式が必要なため,Ohm の法則が成り立つという仮定を置いて話を単純化するという取り扱いがあったが,その話を学んだときには至極まっとうな仮定のように思っていたが,Ohm の法則が成立する電気・電子材料は実は極めて特殊なのではないかという気がしてきた。もっとも,Ohm の法則よりももっと複雑な関係が成り立つとみなしたとしても,扱いが複雑すぎてろくに解析ができないだろうから,とりあえず Ohm の法則を仮定するというのは,やはり至極健全な立場であったろう。

少し話がそれてしまったが,LED とダイオードを並列つなぎにした回路においては,ダイオードの特性が勝つことが判明した。

実はこの実験は,ダイオードを利用して論理ゲートである AND ゲートが作れるかどうかを確かめる予備実験という意味合いがあった。AND ゲートの実験についてはいずれまた紹介しようと思う。


今回この記事を書くにあたり,2つの新しいことに挑戦した。

一つは回路の図解である。
ローテクにこだわり(?),ホワイトボードを使おうと前々から構想していた。数週間前にダイソーで購入したホワイトボードとマーカー,そしてイレーザーがこれでようやく日の目を見たわけである。

もう一つは最新の規格である JIS C 0617 に準拠した回路記号を使うことである。
僕が電気回路を学び始めた当時は抵抗の記号は M や W に似た,山と谷がそれぞれ 3 つずつあるジグザグ線だったのだが,知らないうちに中学校や高校の教科書で使われている記号が細長い長方形に変わっていた。
個人的には昔から慣れ親しんでいる記号の方が好みであるが,こうしてブログで(全世界に向けて?)発信するにあたり,JIS 規格にチャレンジしてみた。
JIS の検索ページで "C 0617" を検索すると電気用図記号の資料一覧が表示されるが,ブラウザの設定のせいか,PDF ファイルが閲覧できなかったのでなかなか苦労した。ダウンロードしてローカルで閲覧することは禁じられているため,使い勝手はよくない。Firefox と Goole Chrome で試したがだめだった。IE を使ってようやく文書の内容を拝むことができた。

その作業の方が,実験をしたり図を描いたりするよりもよっぽど手間がかかった。
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電気を通すスポンジ。

2013-03-21 01:06:32 | 工作・実習
世の中には本当にいろんな電気素材がある。

今回は導電スポンジを紹介しよう。

僕が静電気に弱いといわれている CMOS IC を使って遊んでいた二十数年前に,すでに導電スポンジはこの世に存在した。
使うのがもったいなくてついつい溜めこんでしまった IC 保管するために,B5 サイズほどの導電スポンジのシートを買った。

当時,たぶん一度はテスターで調べただろうとは思うのだが,はっきり覚えていない。そこで今回,実測して記録を残しておくことにした。

秋月電子通商秋葉原店で買い物をすると,レジのところに導電スポンジの切れ端が置いてある。ご自由にお持ちくださいと札に書いてあるので,記念にひとかけらもらってきた。

写真では比較対象が何も写っていないので大きさがわからないと思うが,単三の乾電池ほどの長さと幅の小さい切れ端である。

この導電スポンジに,デジタルテスタ CD771 のテストリードをぶっ刺すと,不思議と赤黒二本のリードの間隔にほとんど関係なく,3~4MΩの数値を示した。

かなり大きな抵抗値であるとはいえ,導電性があることは間違いない。

それにしても,仕組みは一体どうなっているのだろうか。

色が黒いことからすぐに思い浮かぶことは,黒鉛を混ぜているのではないかということである。

とあるサイトの解説にはカーボンナノチューブを練り込んであるとのことである。したがって,黒鉛を混ぜているのではないかという僕の予想は間違っていないようだ。けれども,カーボンナノチューブが発見されたのは 1991 年だそうだから,確かに 22 年前のこととはいえ,僕がそのころに導電性スポンジを手に入れたのかどうか,かなり微妙なところである。それより数年前に見かけたような気もする。いや,やはりちょうどその頃に新素材として市場に出回ったのだったかもしれない。

ちなみに,ノーベル化学賞を受賞された白川秀樹氏の業績は,導電性のプラスチック,ポリアセチレンの発見だそうだが,それは透明らしいので,黒い導電性ウレタンスポンジとは導電性の由来が異なるのだろう。
導電性高分子の方は,透明タッチパネルなどで広く使われているらしいので,駅の券売機や ATM などで常日頃指で触っているのかもしれない。たぶんスマートホンなどのタッチパネルにも使われているのだろう。
ノートパソコンのタッチパッドにも使われているかどうかはよくわからない。

なお,カーボンナノチューブの発見にも日本人が深く関わっているので,導電性の有機媒体の分野における日本人の貢献が極めて大きいものだということを,今回改めて知った次第である。
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電気マラカス。

2013-03-20 22:44:32 | 工作・実習
櫻井俊一著,たちもとみちこ作品デザイン『子どもと一緒に電子工作』(CQ出版)の「第5章 振動で発電する光るマラカス」という作品がある。

発音体のみの圧電サウンダ(圧電スピーカーともいう)に LED をつなぐだけという,極めてシンプルな構成である。

昔,ゲルマラジオで音声を聞く際などによく使われていたのは,ロッシェル塩という天然の圧電体材料を用いたクリスタル・イヤホンだったそうだが,今では人工セラミックスを用いたセラミック・イヤホンに取って代わられてしまった。
僕はぎりぎりクリスタル・イヤホンを使ったことがあるかもしれないが,はっきりしない。すでに圧電サウンダは広く出回っていたので,クリスタル・イヤホンだと思っていたものは実はセラミック・イヤホンだったのかもしれない。

イヤホンは耳につけて聞くための装置であるが,圧電サウンダはスピーカーのようなものである。

圧電体は変形すると電圧を発生する物質である。逆に電圧変化を加えて変形させることもできる。その性質を利用して,マイクとして使われたり,音を出す用途でも用いられる。

クリスタル・イヤホンと対になるマイクはクリスタル・マイクと呼ばれるものだが,これはクリスタル・イヤホンと共に世の中から姿を消してしまったようだ。

さて,『子どもと一緒に電子工作』の工作例にしたがって,2つの LED を極性を逆にして並列に圧電サウンダにつないだ。

写真に写っている赤黒のコードがついた黒い円盤状の物体が圧電サウンダである。基板に直接取り付けられるタイプのものも出回っているが,手持ちのものはリード線タイプだけだったので,それを用いている。おそらく本に載っているのと全く同じ製品であろう。

コンコンと圧電サウンダを指ではじいたり,軽く何かにぶつけると,時々2つの LED がチカッと光る。写真には親子のような大小の LED が写っているが,小さい方は最近お気に入りのオレンジ色の LED で,2V で光るタイプ,大きいのはもう少し高い電圧をかけないと光らない青色の LED であるが,だいたい同じタイミングで光った。

圧電サウンダの出力する電圧は,赤いリード線の方がプラスで黒い方がマイナスという風に極性が決まっているわけではなく,その逆向きの電圧も出力されるはずである。それを利用して,2つの LED が交互に点滅するように極性を逆にして接続しているはずなのだが,僕がやってみた限りでは両方ともほぼ同時に点灯して消えた。もしかしたら交互に光っているのかもしれないが,点滅が速過ぎて同時に光っているようにしか見えないのかもしれない。

それではせっかく互い違いに LED を接続している面白味がない。改めてオレンジ色 LED 二個で試してみたところ,圧電サウンダを指でぐっと強くつまんだ時には一方が一瞬だけうっすらと光り,力を緩めた時にはもう一方だけが一瞬光った。これこそが求めていた動作に違いない。残念ながら,光り方は極めて弱い。ぐっと押した程度では電圧が低く,電流も弱いのだろう。超高輝度 LED を使えばいいのかもしれないが,それはまたの機会に試してみたい。

本には,第5章の最後に,圧電サウンダが丈夫ならば靴の底に取り付けて光る靴が作れるかも,などと書かれているが,体重の軽い子どもならともかく,BMI 的に標準より重い体重の僕は怖くて試す気になれない。象が踏んでも壊れない,なんてわけはないだろうから。
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気が付いたら,結構咲いていた。

2013-03-20 22:30:49 | 爺ネタ
東京では16日にすでに桜が開花していたとのことである。16日と18日に桜の木がたくさん植わっている近所の遊歩道を歩いたが,つぼみを見かけた覚えはあるものの,花が咲いているのを見た記憶はない。

今日,買い物に出た時に同じ道を通ったら,木の上の方はまだほとんど咲いていないものの,目に近い高さの下の枝は満開に近い状態だった。全体としても四分咲き以上といえるのではないだろうか。

日中は25℃を超す夏日であったくらいで,3月に入ってから暖かすぎるほどの日が一週間に数日はほぼ必ずある。そういった気候の影響で,九州や四国と時を同じくして東京でも開花したのだろう。

東京の満開日の予想は23日だそうだ。3月の下旬に卒業式を行う学校では,ちょうど満開の桜の木の下で別れのドラマが繰り広げられることになりそうである。
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