担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

具体的には何も進んでいないのだけれども。

2013-03-03 11:29:33 | 工作・実習
電気・電子素子とは異なる方法で論理ゲートを作れないかと考えているが,なかなかうまい仕組みが思い浮かばない。

機械的にレバーを押したり引いたり,回したりすることで入力状態を変え,出力も押したり引いたり回したりするような装置を考案するのが当面の目標である。

入力の状態を L から H に変化させることがレバーを押すことに対応するなら,H から L に戻すのはレバーを引くという逆の操作を対応させるというのが普通の成り行きだろう。

回転させるとしたら,L から H にするには右に半回転するとした場合,H から L にするのは左に半回転する方法と,さらに右に半回転する方法の二種類が考えられる。

直線上をスライドさせるタイプの「押す・引く」と,「回す」タイプ以外にも機構があるかもしれないが,知らないし,今のところ思いつかない。
なお,歯車やカムを使えば直線運動と回転運動は互いに変換できるので,こうした区別はさほど本質的ではない。

NOT ゲートと,さらに AND ゲートか OR ゲートのどちらか一方が手に入れば,それらの組み合わせでどんな2入力1出力のゲートも構成できる。というわけで,AND ゲートのからくりを考えてみようと思ったのだが,どうやら OR ゲートの働きも同時に実現しなければならないことに気が付いた。

入力を L から H に変化させることをレバーを押すことに対応させ,H から L に変化させることを逆の操作,つまりレバーを引くことに対応させたとする。

AND ゲートの場合,2つのレバーが初め LL の状態にあり,どちらかのレバーを押してこれを HL または LH にし,さらに HH に変えてようやく出力のレバーが L から H の状態に変わることになる。

この動作を仮に「順方向 AND」と呼ぶことにしよう。

次に,入力を HH からどちらか一方,あるいは両方を引いたらレバーは H から L の状態に戻らなければならない。これは OR ゲート的な働きであるから,「逆方向 OR」とでも呼ぶべき機能である。

このように,入力を L から H に立ち上げるという動きと,H から L に立ち下げる動きという,方向性を持った操作に対応する装置の反応を考える必要があるように思われるので,僕にはなかなか難しい問題である。

さて,機械的なゲートを作るといっても,「機械的」とはどういうことなのかが僕自身にもはっきりとはわかっていない。今のところ,次のようなポイントが浮かび上がっている。


1. 装置にばねのような弾性体を使うか,それとも剛体だけにするか。これは,押した手を離すと勝手にレバーが戻るようにばねを使うかどうか,というようなことに関わる。

2. 重力を利用するかどうか。地上では,上に持ち上げたものの支えを外せば下に落ちる。つまり,ばねと同じような一種の復元力が利用できる。しかし星々から遠く離れた無重力状態ではそうした機能は利用できない。宇宙船の中でも地上と同じように機能する装置にするかどうかである。

3. 摩擦を使うかどうか。現実的には摩擦は必ずあるので,摩擦がない場合に備える必要はないと思うが,頭の体操にはなるだろう。


あるいは,機械ではなく,もっと別の方法で論理ゲートを作るというのも頭の体操になるだろう。


【磁石ゲート】

磁石には N 極と S 極があるから,極めて素朴にそれぞれを H,L に対応させる,という発想から始めてみよう。あ,ソッコーで行き詰まったカンジ。

このような対応のさせ方は,電荷であれば正電荷が H,負電荷が L というわけであろう。そこから一歩進んで,正電荷の作る電位を H,負電荷の作る電位を L とみなすことにすれば,現在の電子回路に非常に近い立場になる。したがって,電子回路のアナロジーをそのまま磁石に置き換えられないか,という気もするが,よくわからない。

何しろ,これまでのところ磁荷 (monopole) というものの存在が確認されていない。磁石に似た電気双極子はあるが,電流はあっても「磁流」は無いのである。

物をこすり合わせると静電気が発生するが,それに対応する「静磁気」なるものは発生しない。

こういった事情により,磁気デバイスというのは電気デバイスのサブとして使われることはあっても,なかなかメインになりにくい。磁石はどちらかというとくっついたままの状態を保持する「静的」な素材であって,すぐに流れて移動してしまう「動的」な電気とはかなり性格が異なるように思う。

けれども,静電気は放電によって「流れ」てしまいやすく,引力や斥力を保持するのが難しいが,磁石はなんらエネルギーを供給せずともほぼ永久的に引力・斥力を保持するので,何か利用できないかという気にもなる。

ああ,そうか。逆に,その融通の利かなさゆえに,磁力によるエネルギーが他のエネルギー形態へと転換しにくく,そのため,磁気デバイスの多角的な利用が難しいのか。

コンデンサに溜まった電荷はすぐに流れたがり,抵抗を通じてジュール熱を発生させる。つまり静電エネルギーは容易に熱エネルギーに転換される。しかし磁流がないのでジュール熱のような熱への転換はできない。

磁気の持つ静的な利点を生かして,ひところは情報記憶装置として非常によく用いられたが,フラッシュメモリのような電気的なデバイスにとってかわられつつあるのだろうか。テレホンカードなどの磁気カードの次に IC カードが出てきたことだし。


【熱ゲート】

温度が 0℃ 近辺の時は L で,100℃ 付近の時 H だと約束すると,温度の上げ下げで入力状態や出力状態を変化させられることになる。名付けて「熱論理ゲート」なるものが考えられないだろうか。

このアイデアを思いついたとき,宇宙空間でも機能する熱ゲートはどうかなあと,上に挙げた 2 の項目と合わせて想像していたら,別の疑問が生じた。宇宙空間,あるいは真空状態に熱した鉄などを放置した場合,それは冷えるのだろうか。

空気中なら,周りの空気と同じ温度まで冷えるはずである。いわゆる「空冷」というようなものであろう。しかし室温に達したら,それより高くも低くもならずにとどまるはずである。その理由は鉄の表面に空気が触れて熱が伝わるからだと説明できるだろう。ならば熱を拡散させる空気がない真空だったらどうだろうか。魔法瓶は真空をいわば断熱材として利用している商品である。そんなものがあるくらいだから,真空中では冷めないはずである。

ただし,真空中であろうと残念ながら実際には鉄は徐々に冷えていくだろうということにすぐ気付いたが,それはそれでなかなか奥ゆかしい話に通じているように思われる。


【化学反応ゲート】

これは実は何のイメージも付随しておらず,ただ単に知っている単語を組み合わせて作っただけのようなものである。
ただ,試薬を混ぜることを H 入力として・・・というようなことを考えても良いかもしれない。けれども,じゃあ L 入力はなんだとなると困りそうであるが。混ぜた試薬を取り除くといってもどうすればよいのか。あるいは別の試薬を入れることを L 入力と考えるのか。それに,2入力というのをどう化学的に実現するのか。

脳内の思考は化学反応の連鎖で行われる,という立場(科学的事実に沿っているかどうか自信がないが)であれば,人間が AND ゲートの動作をエミュレートできることからいって,化学的にゲートを実現する手立てが全くないわけではないだろう。

ちなみに,人間の対話機能と思考機能を利用して論理ゲートの代わりにするのは,別の観点からは【ヒト・ゲート】あるいは【生物ゲート】というジャンルを予感させるものである。


【光ゲート】

これも言葉のみが先行して中身がまるで伴っていないが,光ファイバーなんかを利用して論理ゲートに代用できないだろうか。世の中には鏡やハーフミラーという面白い装置もあるし,偏光を利用しても良い。
あるいは,赤と青の重ね合わせで紫に感じるという,ヒトの目の機能を利用して,【色ゲート】にしてもよい。似たジャンルとして【音ゲート】を立ち上げても良いだろう。


どんどん妄想が激しくなってきりがないのでここでやめておくが,理科や技術といった科目で習った知識で論理ゲートと呼ばれる機能を持つモノを作るにはどうしたらよいか,というテーマは面白いように思う。
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ローテク志向。

2013-03-03 01:36:03 | 工作・実習
デジタル IC の論理ゲートをトランジスタやダイオードで実現しようという企画が,最近再び電子工作の世界へと身を投じるきっかけであった。

実際の IC の内部にはトランジスタ回路が入っているわけだから,何も特別な発想ではないのだが,動作を理解しつつ自作しようというのが趣味としての醍醐味なわけである。

要するにハイテクの逆,ローテクで行こう,ということである。

しかしさすがにトランジスタをさらにローテクな素子で置き換えるというところまで突き詰める気はない。そういう意味では中途半端のそしりは免れない。

ちなみに,そのようにして汎用ロジック IC の中身を作るという話は,子供の頃に雑誌『子供の科学』あたりのコンクールの受賞作品として取り上げられていたのを目にしたことがあったように思う。だから,トランジスタ回路で IC を模倣した模型を作る,というのは僕のオリジナルのアイデアではない。数十年前に小中学生が実際に考えて作ったものなのである。それを見た当時は面白いことを考えるものだと感心しきりであった。

さて,IC の機能をより低いレベルで理解できたら,IC の集合体ともいえる CPU の機能を IC を並べて模倣しようというのは,一つの典型的な道筋であろう。そんな人のためにちゃんと先人は道を用意してくれていた。渡波郁氏の『CPUの創りかた』という本がそれである。TD4 と名付けられた 4bit CPU を十数個の IC で作ることを目的にした本である。全くの初心者には向かない本のようだが,少し電子工作の経験がある人ならば,全体をくまなく読んで TD4 を自作することは十分可能であろう。実際,TD4 を作ってみたというブログなどはたくさんある。

その中の一つに,TD4 をリレー回路でエミュレートするという,もっと激しくローテクなプロジェクトを実現した強者のサイト記事もあるが,僕にはとてもそこまで極める気力がない。

ちゃんとコンピュータの歴史を調べなくてはならないが,たぶん

リレー → 真空管 → トランジスタ → IC → LSI → ・・・

のような発展段階を踏んだのではなかっただろうか。(認識が間違っていたら後日訂正する。日本ではパラメトロンという素子を用いたコンピュータも研究されていたんじゃなかったっけかな。)IC からリレーへは二段階くらいのローテク化を行っているわけである。

トランジスタだけで作るのもしんどいだろうが,真空管に至っては,真空管の値段がかなり高い(一球数千円したりする)ので,何十個,何百個という数が必要だとすれば,膨大なお金がかかるだろう。

ただ,子供の頃は扱いが難しそうで敬遠していた真空管に,大人になった今,挑戦してみたい気もする。真空管を数球使って論理ゲートの一つも作ってみるのはありかもしれない。それは新たに出来た夢ということで,子供の頃の夢の実現がある程度片付いたらチャレンジするのもありだろう。
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