自分で電気・電子回路を設計して電気・電子工作をする際の手順としては,今風に次のようにしようと考えている。
ところで,世の中には「スーパーキャパシター・コンデンサー」などと呼ばれる大容量のコンデンサがある。
一昔前は,手のひらサイズの小さなコンデンサで容量が大きいものは電解コンデンサであったが,せいぜい数千μF(数 mF)であった。
ところが,いつの間にか技術は進歩しており,電解コンデンサの大型のものと大して違わないサイズなのに,その数千倍の容量を持つコンデンサが安価に出回っていた。
それがスーパーキャパシターである。
先週の木曜日 (2/28) に,もう一つの聖地である若松通商のビルを訪れた記念に一個購入してきた。1F のものを選んだつもりが,後で確認したら 0.1F で,ちょっとがっかりした。値段は 84円だった。汎用の電解コンデンサに比べるとほんのちょっと高いが,高いと言っても数十円の違いでしかない。
さっそく友人の gk 氏と共に実験してみた。単三電池 2本の 3V に 100Ωの抵抗と直列につないで 0.1 F のコンデンサを充電し,極性に注意して電池を LED に取り換えたところ,見事に点灯したのである。数十秒は確実に点っていた。ちょっとした蓄電池である。
この実験結果を受け,これほどの大容量であれば,コイルと合わせて LC 発振回路を作り,2つの LED を整流器のようにつないで交互に点滅させられるのではないか,という構想に至った。それならオシロスコープがなくとも,LC 発振回路が機能しているさまを目で見ることができて感動ものであろう。
手に入るコイルでなるべく自己インダクタンスが大きいものを探してみると,数百 mH のものが百円程度で売られているらしい。さっそく買ってアイデアを確かめたいところだが,本当にうまく行くのか,TINA-TI でシミュレーションをしてみた。
LED をつなぐつもりなので,電流制限用の抵抗をつなぐ必要があると思い,まずは LED なしの LRC 直列回路で調べてみた。コンデンサの両端の電圧の初期値を 3V に設定して過渡解析を行ったところ,電圧が単調に減少していくグラフが表示された。ピクリとも振動している様子がない。
つまり,過減衰だということである。
コイルとコンデンサだけならば振動するが,抵抗が加わると様相がもっと複雑になるということをすっかり忘れていた。
LRC 回路の電荷の時間変化は定数係数2階線形常微分方程式で記述されるが,その特性方程式は2次方程式であり,判別式の正負によって振動するか単調に減衰していくかが決まる。
抵抗を R,コイルのインダクタンスを L,コンデンサの容量を C とおくと,その判別式は R2-4LC となる。これが負でないと振動解にならない。
ということは,R の大きさは 2√(LC) よりも小さくなければならないことになる。そうすると,いかに C が数 F のオーダーであっても,L も数 H のオーダーでないと,R は数 Ωでさえ許されないことになってしまう。
ところで,コイルは導線を何十回,何百回と巻きつけたものだから,当然ある程度の抵抗を持つ。そのため,実際のコイルは抵抗がゼロの理想的なコイルに抵抗を直列につないでできたような素子とみなすべきであろう。ということで,いくら回路に抵抗を加えなくとも,もともとコイルに抵抗がある以上,それが 2√(LC) よりも大きければ,コイルとコンデンサだけからなる回路であっても振動が起こらないことになる。
コイルのデータシートから直流抵抗値をどう読み取るのかはまだ僕にはわかっていないのだが,必要であれば手に入れたコイルの抵抗をテスタで測定すればよいだけの話でもある。
僕の素朴なアイデアはうまく行かない公算がきわめて高いが,記念に一個くらいコイルを買うのもありだろう。せいぜい百円ちょっとだしね。
- いろいろな本やサイトに掲載されている回路を参考にして回路を設計する。
- LTspice などのシミュレータで動作を確認し,必要があれば修正する。
- シミュレータで期待通りに動きそうな見込みが得られたら,ブレッドボードで試作する。
- ブレッドボード上でのテストに合格したら,基板などに部品をはんだ付けし,配線して完成品を作る。
ところで,世の中には「スーパーキャパシター・コンデンサー」などと呼ばれる大容量のコンデンサがある。
一昔前は,手のひらサイズの小さなコンデンサで容量が大きいものは電解コンデンサであったが,せいぜい数千μF(数 mF)であった。
ところが,いつの間にか技術は進歩しており,電解コンデンサの大型のものと大して違わないサイズなのに,その数千倍の容量を持つコンデンサが安価に出回っていた。
それがスーパーキャパシターである。
先週の木曜日 (2/28) に,もう一つの聖地である若松通商のビルを訪れた記念に一個購入してきた。1F のものを選んだつもりが,後で確認したら 0.1F で,ちょっとがっかりした。値段は 84円だった。汎用の電解コンデンサに比べるとほんのちょっと高いが,高いと言っても数十円の違いでしかない。
さっそく友人の gk 氏と共に実験してみた。単三電池 2本の 3V に 100Ωの抵抗と直列につないで 0.1 F のコンデンサを充電し,極性に注意して電池を LED に取り換えたところ,見事に点灯したのである。数十秒は確実に点っていた。ちょっとした蓄電池である。
この実験結果を受け,これほどの大容量であれば,コイルと合わせて LC 発振回路を作り,2つの LED を整流器のようにつないで交互に点滅させられるのではないか,という構想に至った。それならオシロスコープがなくとも,LC 発振回路が機能しているさまを目で見ることができて感動ものであろう。
手に入るコイルでなるべく自己インダクタンスが大きいものを探してみると,数百 mH のものが百円程度で売られているらしい。さっそく買ってアイデアを確かめたいところだが,本当にうまく行くのか,TINA-TI でシミュレーションをしてみた。
LED をつなぐつもりなので,電流制限用の抵抗をつなぐ必要があると思い,まずは LED なしの LRC 直列回路で調べてみた。コンデンサの両端の電圧の初期値を 3V に設定して過渡解析を行ったところ,電圧が単調に減少していくグラフが表示された。ピクリとも振動している様子がない。
つまり,過減衰だということである。
コイルとコンデンサだけならば振動するが,抵抗が加わると様相がもっと複雑になるということをすっかり忘れていた。
LRC 回路の電荷の時間変化は定数係数2階線形常微分方程式で記述されるが,その特性方程式は2次方程式であり,判別式の正負によって振動するか単調に減衰していくかが決まる。
抵抗を R,コイルのインダクタンスを L,コンデンサの容量を C とおくと,その判別式は R2-4LC となる。これが負でないと振動解にならない。
ということは,R の大きさは 2√(LC) よりも小さくなければならないことになる。そうすると,いかに C が数 F のオーダーであっても,L も数 H のオーダーでないと,R は数 Ωでさえ許されないことになってしまう。
ところで,コイルは導線を何十回,何百回と巻きつけたものだから,当然ある程度の抵抗を持つ。そのため,実際のコイルは抵抗がゼロの理想的なコイルに抵抗を直列につないでできたような素子とみなすべきであろう。ということで,いくら回路に抵抗を加えなくとも,もともとコイルに抵抗がある以上,それが 2√(LC) よりも大きければ,コイルとコンデンサだけからなる回路であっても振動が起こらないことになる。
コイルのデータシートから直流抵抗値をどう読み取るのかはまだ僕にはわかっていないのだが,必要であれば手に入れたコイルの抵抗をテスタで測定すればよいだけの話でもある。
僕の素朴なアイデアはうまく行かない公算がきわめて高いが,記念に一個くらいコイルを買うのもありだろう。せいぜい百円ちょっとだしね。