今では廃盤になってしまったと言われる小信号用スイッチングダイオードのかつての代表選手,1S1588 と LED を用いて簡単な実験をしてみた。
次の2通りの回路で LED が点くか点かないかを観察する。
まず,LED に 3V の電源をつなぐ(図1)。
468Ω(要するに470Ω)の抵抗は電流制限用である。
そうすると,当然のことながら LED は点灯する(図3 ※よく計画を練らずに図番号を付けたので,順番が変になった)。
LED の両端の電圧を測定したところ,1.869V であった。2.4mA 程度しか流れていないだろうに,そこそこ光るものである。
では,LED と並列にシリコンダイオード 1S1588 をつないだらどうなるだろうか(図2)。
実験をする前に予想を立ててみよう。
使用した LED の順方向電圧はデータシートによると 1.9V~2.6V だそうだが,電流が少ないためか,実測値は 1.87 V 程度であった。
いずれにせよ,1.8 V は電圧がかかっていないとまともに光らないということである。
一方,シリコンダイオードはおおむね順方向電圧が 0.6 V~0.7 V だと言われている。これくらいの電圧をかけないとまともに電流が流れないということだが,逆に,ダイオードに電流が流れているとき,かかっている電圧がこの程度だということでもあるはずである。
ところで,中学校の理科で習うことだが,並列つなぎの抵抗の両端には同じ電圧がかかるという。しかし,今回取り扱っているのは半導体と呼ばれる素子であり,抵抗とは異質なものである。電流が流れているときの両端の電圧がかたや 2.1 V の LED と,かたや 0.7 V のダイオードとでは,一体どちらの性質がこの回路では支配的なのだろうか。
LED やダイオードの性質を上の説明で初めて知った人は,ぜひここで一度立ち止まって自分なりの予想を立ててみていただきたい。
なんとなくであるが,0.7 V がかかるだけで電流が流れ始める 1S1588 の性質がきくような気がしないだろうか。少なくとも僕にはそう思えた。けれども専門家ではないので理論についてはよくわからない。
そんなときこそ実験である。この程度の回路なら実験はあっという間である。
結果は次のようになった(図4)。
LED は点灯せず,その両端の電圧は 0.675 V であって,まさにシリコン・ダイオードの順方向電圧そのものであった。
この結果を解釈するに,0.7 V 弱で電流が流れてしまうので,2.1 V まで電圧が上がらない,ということだろう。
このような素朴な実験により,はっきりとわかったことが一つある。
それは,ダイオードには Ohm の法則が通用しない,ということである。
つまり,ダイオードに電流が流れているということは,その両端の電圧は 0.7 V 程度であって,それ以外の数値ではないということを意味するのである。
そういえば,昔ちょっとかじったことのある電磁流体の方程式では,電圧と電流の間の関係式が必要なため,Ohm の法則が成り立つという仮定を置いて話を単純化するという取り扱いがあったが,その話を学んだときには至極まっとうな仮定のように思っていたが,Ohm の法則が成立する電気・電子材料は実は極めて特殊なのではないかという気がしてきた。もっとも,Ohm の法則よりももっと複雑な関係が成り立つとみなしたとしても,扱いが複雑すぎてろくに解析ができないだろうから,とりあえず Ohm の法則を仮定するというのは,やはり至極健全な立場であったろう。
少し話がそれてしまったが,LED とダイオードを並列つなぎにした回路においては,ダイオードの特性が勝つことが判明した。
実はこの実験は,ダイオードを利用して論理ゲートである AND ゲートが作れるかどうかを確かめる予備実験という意味合いがあった。AND ゲートの実験についてはいずれまた紹介しようと思う。
今回この記事を書くにあたり,2つの新しいことに挑戦した。
一つは回路の図解である。
ローテクにこだわり(?),ホワイトボードを使おうと前々から構想していた。数週間前にダイソーで購入したホワイトボードとマーカー,そしてイレーザーがこれでようやく日の目を見たわけである。
もう一つは最新の規格である JIS C 0617 に準拠した回路記号を使うことである。
僕が電気回路を学び始めた当時は抵抗の記号は M や W に似た,山と谷がそれぞれ 3 つずつあるジグザグ線だったのだが,知らないうちに中学校や高校の教科書で使われている記号が細長い長方形に変わっていた。
個人的には昔から慣れ親しんでいる記号の方が好みであるが,こうしてブログで(全世界に向けて?)発信するにあたり,JIS 規格にチャレンジしてみた。
JIS の検索ページで "C 0617" を検索すると電気用図記号の資料一覧が表示されるが,ブラウザの設定のせいか,PDF ファイルが閲覧できなかったのでなかなか苦労した。ダウンロードしてローカルで閲覧することは禁じられているため,使い勝手はよくない。Firefox と Goole Chrome で試したがだめだった。IE を使ってようやく文書の内容を拝むことができた。
その作業の方が,実験をしたり図を描いたりするよりもよっぽど手間がかかった。
次の2通りの回路で LED が点くか点かないかを観察する。
まず,LED に 3V の電源をつなぐ(図1)。
468Ω(要するに470Ω)の抵抗は電流制限用である。
そうすると,当然のことながら LED は点灯する(図3 ※よく計画を練らずに図番号を付けたので,順番が変になった)。
LED の両端の電圧を測定したところ,1.869V であった。2.4mA 程度しか流れていないだろうに,そこそこ光るものである。
では,LED と並列にシリコンダイオード 1S1588 をつないだらどうなるだろうか(図2)。
実験をする前に予想を立ててみよう。
使用した LED の順方向電圧はデータシートによると 1.9V~2.6V だそうだが,電流が少ないためか,実測値は 1.87 V 程度であった。
いずれにせよ,1.8 V は電圧がかかっていないとまともに光らないということである。
一方,シリコンダイオードはおおむね順方向電圧が 0.6 V~0.7 V だと言われている。これくらいの電圧をかけないとまともに電流が流れないということだが,逆に,ダイオードに電流が流れているとき,かかっている電圧がこの程度だということでもあるはずである。
ところで,中学校の理科で習うことだが,並列つなぎの抵抗の両端には同じ電圧がかかるという。しかし,今回取り扱っているのは半導体と呼ばれる素子であり,抵抗とは異質なものである。電流が流れているときの両端の電圧がかたや 2.1 V の LED と,かたや 0.7 V のダイオードとでは,一体どちらの性質がこの回路では支配的なのだろうか。
LED やダイオードの性質を上の説明で初めて知った人は,ぜひここで一度立ち止まって自分なりの予想を立ててみていただきたい。
なんとなくであるが,0.7 V がかかるだけで電流が流れ始める 1S1588 の性質がきくような気がしないだろうか。少なくとも僕にはそう思えた。けれども専門家ではないので理論についてはよくわからない。
そんなときこそ実験である。この程度の回路なら実験はあっという間である。
結果は次のようになった(図4)。
LED は点灯せず,その両端の電圧は 0.675 V であって,まさにシリコン・ダイオードの順方向電圧そのものであった。
この結果を解釈するに,0.7 V 弱で電流が流れてしまうので,2.1 V まで電圧が上がらない,ということだろう。
このような素朴な実験により,はっきりとわかったことが一つある。
それは,ダイオードには Ohm の法則が通用しない,ということである。
つまり,ダイオードに電流が流れているということは,その両端の電圧は 0.7 V 程度であって,それ以外の数値ではないということを意味するのである。
そういえば,昔ちょっとかじったことのある電磁流体の方程式では,電圧と電流の間の関係式が必要なため,Ohm の法則が成り立つという仮定を置いて話を単純化するという取り扱いがあったが,その話を学んだときには至極まっとうな仮定のように思っていたが,Ohm の法則が成立する電気・電子材料は実は極めて特殊なのではないかという気がしてきた。もっとも,Ohm の法則よりももっと複雑な関係が成り立つとみなしたとしても,扱いが複雑すぎてろくに解析ができないだろうから,とりあえず Ohm の法則を仮定するというのは,やはり至極健全な立場であったろう。
少し話がそれてしまったが,LED とダイオードを並列つなぎにした回路においては,ダイオードの特性が勝つことが判明した。
実はこの実験は,ダイオードを利用して論理ゲートである AND ゲートが作れるかどうかを確かめる予備実験という意味合いがあった。AND ゲートの実験についてはいずれまた紹介しようと思う。
今回この記事を書くにあたり,2つの新しいことに挑戦した。
一つは回路の図解である。
ローテクにこだわり(?),ホワイトボードを使おうと前々から構想していた。数週間前にダイソーで購入したホワイトボードとマーカー,そしてイレーザーがこれでようやく日の目を見たわけである。
もう一つは最新の規格である JIS C 0617 に準拠した回路記号を使うことである。
僕が電気回路を学び始めた当時は抵抗の記号は M や W に似た,山と谷がそれぞれ 3 つずつあるジグザグ線だったのだが,知らないうちに中学校や高校の教科書で使われている記号が細長い長方形に変わっていた。
個人的には昔から慣れ親しんでいる記号の方が好みであるが,こうしてブログで(全世界に向けて?)発信するにあたり,JIS 規格にチャレンジしてみた。
JIS の検索ページで "C 0617" を検索すると電気用図記号の資料一覧が表示されるが,ブラウザの設定のせいか,PDF ファイルが閲覧できなかったのでなかなか苦労した。ダウンロードしてローカルで閲覧することは禁じられているため,使い勝手はよくない。Firefox と Goole Chrome で試したがだめだった。IE を使ってようやく文書の内容を拝むことができた。
その作業の方が,実験をしたり図を描いたりするよりもよっぽど手間がかかった。
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