A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

黒い服の人

2012-07-05 12:44:09 | つれづれ
昨日、変わったことがあった。

夜9時頃郵便局に行き、会社用の切手を購入して精算を済ませていた時のことだ。僕の後ろに並んでいた人が窓口の係員に「あの、あなたではなく、こっちの人に頼みたいんだけど」と言い出した。
窓口の列は2列で、僕が左側で精算が終わったタイミング。右側の係員は別の人の不在通知郵便を探している。順番としては当然左側の係員に依頼するのが普通の流れだ。

「いや、あなたが悪いとかいうことじゃなくて、黒い服を着ている人に仕事を頼むと悪いことが起きるんですよ」

僕はぎょっとしてその人を見た。

僕の後ろに並んでいたその人は、40代後半から50代の男性。やせ形で穏やかな印象で声色も優しい。とても意味不明なことを言うおかしな人や強硬なクレーマーのようには見えない。
目の前の係員は確かに黒いTシャツを着たアルバイトらしい青年だ。

まわりのいぶかしんだ目に気づいたのか、その人は小声で「ちょっと事情がありましてね。申し訳ないんですが……」とつぶやくと、後ろから来た人に順番を譲り、自分は右側の列に並び直している。
回りの客も郵便局の係員も、特にとがめることもなく、その人の言うとおりにしてあげている。ちなみに僕も何も言わずに荷物を片付けて郵便局を後にした。

しかし、何だ?
黒い服の人に仕事を頼むと起こる悪いことって一体何だ?

淡々と、「雨雲が出てくると月が隠れて暗くなるんですよ」などと、自明の事実を述べるかのように話すその人の口調は、怪異なことを話す口調ではない。
普通のことを当たり前に話すような口調だ。

この人の回りでは「黒い服の人に仕事を頼んで起こった悪いこと」が当たり前の事実として積み重なっているというのだろうか?
ちょっと背筋が寒くなる思いを抱きながら、僕は帰路についた。

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