酒を飲んだ帰り道の晩、東京駅を歩いていた。
傍らに携帯を手にした若い女性。どうやら彼氏に自分がいる場所を伝えて迎えにきてもらうらしい。甘い声で自分の居場所を伝える声が耳に入る。
「うん。いま丸の内中央口」
『あれ? いまそんなところにいるのか? 丸の内北口から八重洲中央口を過ぎ、東北新幹線の乗り換え口に近いあたりだから、どっちかといえば八重洲中央口と南口の間のあたりだぞ』
ほろ酔いのほんわかした頭で、ふとそんなことを考えているうちに気づいた。
『あ。あいつ、あの看板見て話しただけだな』
僕が歩く右側。若い女性の正面前側に【「→」丸の内中央口】という案内看板がある。
案内看板は当然、進行方向先の説明をしているだけで、いまいる場所の説明をしているわけではない。彼氏が彼女の言葉を信じて丸の内中央口付近を探したところで、絶対に見つかるわけはないのだ。
瞬間的に戻って説明してやりたい衝動にかられたが、そんな野暮なことをする必要もない。お互いが携帯電話を持っているなら、話し続けていれば絶対に会うことができる。
携帯電話が普及する前のドラマのように、主人公とヒロインが運命的なすれ違いをしてしまうというシチュエーションが過去のものであることに疑いの余地はない。
しかも、それに増して携帯電話の普及は、「ここはどこ」、「僕はここにいる」という説明能力を奪う要因になっていることも、どうやら事実のようである。
<4/14加筆>
酔っぱらった頭でもっともらしいことを書いてしまったが、これは間違いだな。(-_-;
携帯電話が普及したことで、むしろ目印がない場所で待ち合わせができる機会を提供しやすくなった訳だから、逆に「いまいる場所」を説明する能力こそが必要になっているのだと思う。
それにしてもあの女の子は無事に彼氏に会えたんだろうか? 他人事ではあるがちょっと気にかかる。
傍らに携帯を手にした若い女性。どうやら彼氏に自分がいる場所を伝えて迎えにきてもらうらしい。甘い声で自分の居場所を伝える声が耳に入る。
「うん。いま丸の内中央口」
『あれ? いまそんなところにいるのか? 丸の内北口から八重洲中央口を過ぎ、東北新幹線の乗り換え口に近いあたりだから、どっちかといえば八重洲中央口と南口の間のあたりだぞ』
ほろ酔いのほんわかした頭で、ふとそんなことを考えているうちに気づいた。
『あ。あいつ、あの看板見て話しただけだな』
僕が歩く右側。若い女性の正面前側に【「→」丸の内中央口】という案内看板がある。
案内看板は当然、進行方向先の説明をしているだけで、いまいる場所の説明をしているわけではない。彼氏が彼女の言葉を信じて丸の内中央口付近を探したところで、絶対に見つかるわけはないのだ。
瞬間的に戻って説明してやりたい衝動にかられたが、そんな野暮なことをする必要もない。お互いが携帯電話を持っているなら、話し続けていれば絶対に会うことができる。
携帯電話が普及する前のドラマのように、主人公とヒロインが運命的なすれ違いをしてしまうというシチュエーションが過去のものであることに疑いの余地はない。
しかも、それに増して携帯電話の普及は、「ここはどこ」、「僕はここにいる」という説明能力を奪う要因になっていることも、どうやら事実のようである。
<4/14加筆>
酔っぱらった頭でもっともらしいことを書いてしまったが、これは間違いだな。(-_-;
携帯電話が普及したことで、むしろ目印がない場所で待ち合わせができる機会を提供しやすくなった訳だから、逆に「いまいる場所」を説明する能力こそが必要になっているのだと思う。
それにしてもあの女の子は無事に彼氏に会えたんだろうか? 他人事ではあるがちょっと気にかかる。