路隘庵日剰

中年や暮れ方近くの後方凡走

怯えつつ憾む昔や冴え返る

2013年02月10日 | Weblog


 雪が多い。
 凍雪になって危ない。

 図書館で、草柳大蔵『実録満鉄調査部 上下』(朝日新聞社 昭和54年)を借りてきて読み出した頃風邪をひき、寝てるような起きてるような暮らしの中に、満蒙の野を染める真赤な落陽の夢を見た。なんというのはもちろん嘘で、読んで寝て、寝てちょっと読んだりしているとやっぱり途中からなんだかわからなくなった。


                


 満鉄調査部という巨大シンクタンクを扱った本書はよく調べてあって読み応えがあるが、それだけにある程度の基礎知識がないと読み応えがありすぎる。もっとクロニクル的な叙述に徹してくれたほうが良かったのではないか。
 これが週刊朝日に連載されていたときに時々読んだ記憶があるが、これだけのものを長期連載させたという意味で、当時の週刊誌の読者のほうが現在よりも知的レベルはだいぶ上だったんではないか。
 ともかく、新入社員は二年間は仕事といえば記事の切り抜きと読書だったという初期の満鉄調査部はおもしろい。

 巻末に附記として参考文献を載せないこととその理由が書かれているが、理由らしい理由でもない。
 何があったか知らないが、これだけの著作で参考文献を載せないのは、やはりあきらかな瑕疵であろう。