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「アルスラーン戦記」田中芳樹(3/4)

2020-10-10 20:33:48 | 読書
2012年4月に光文社文庫版の第一巻がスタートし、半年に1回順調に続編が刊行され2020年8月に完結する。考えてみたらそれでも第1巻から8年経っている。光文社文庫から読み始めた人は半年に1回コツコツと読み続けそれを8年間続けるのも大したものだ。今、まとめて読めるのは幸せだ。
「旌旗流転9」
19920720刊行。大学3年。8か月ぶり。今思えば大した期間ではない。ただ、前回の内容は覚えていなかっただろう。
ラジェンドラからチュルクが攻めてくるから助けてほしいと、厚かましい依頼がある。人のいいアルスラーンは加勢に向かう。
先巻でチュルクのカルハナ王はヒルメスにシンドゥラで暴れろと指示している。アルスラーンはトゥラーンを通りチュルクを通りシンドゥラに助けに行く。つまりチュルクに逆方向から侵入して意表を突く作戦。これをアルスラーンの半月形。チュルクの将軍たちは予想外の方面からの攻撃にパルスに翻弄される。硫黄を使った刺激性の爆弾で太刀打ちできない。カルハナの歳の離れた従兄弟のカドフィセス(30歳くらい)、この人物はチュルク版ギーヴとのことだが、カドフィセスにシンドゥラに向かいパルス兵を殲滅しろという。ただし、今から兵を集めるのでなく負けたシングたちの兵を再組織して戦えということ。
チュルク兵はシンドゥラのコートカプラ城を攻め占領する。籠城しようとするが逆に補給路を閉ざされれば飢死だ。チュルク本国からはヒルメスにコートカプラへ行き合流せよと指示が来るが、カルハナ王の指示ではないと一蹴。ここはヒルメスにスカッとする。
カドフィセスが一人でフラフラしている。真相はわからない。カルハナと袂を分かったのか、逆にカルハナの策略か?いとも簡単にエラムとアルフリードに捕らえられる。拷問を受ける。といってもくすぐりの刑。そしてチュルク王への手紙と称して何通もの手紙を書かせる。それはカドフィセスの筆跡を盗む作戦であった。筆跡を盗めばいかようにも親書を捏造できるのだ。カドフィセスは、無慈悲なカルハナを倒しチュルクの王位を望む。そのあかつきにはパルスと不戦協定を結ぶ。win-winの関係を提案するが、その本心は果たして。
ヒルメスはトゥラーンの残兵を集めて、自分の配下とするが、ブルハーンという若い将は、実はジムサの弟だ。(兄はアルスラーンのパルスの将となっているが)。ヒルメスにはカルハナから軍監をつけられている。軍監とはつまり監視役だ。ことあるごとに対立している。軍監とトゥラーンのブルハーン、ドルグ、クトルミシュが遂にいさかいが起きる。ブルハーンは軍監のイパムを斬ってしまう。こうなっては引き下がれない。カルハナは大義名分を得てヒルメス達を始末しようとするだろう。そこでヒルメスは軍監とその配下のチュルク人を全て抹殺し証拠隠滅のため深い穴を掘って皆埋める。この辺り凄絶で震える。ヒルメスはこれで(そもそもブルハーンがカルハナの部下を殺したことで信用をなくすだろう)カルハナを敵に回してしまった。チュルクに帰ることはできない。3年前アルスラーンに負けて、イリーナだけをつれて流浪の旅に出た。イリーナは死んだ自分はチュルクでなく、本来はイリーナの故郷のマルヤムに王国に行くべきではなかったか?この辺り悲壮感があって共感したくなる。
コートカプラ城で籠城するチュルクのシング将軍。これに対する作戦は、ヒルメスの銀仮面を装った兵士をシンドゥラが追いたてる。銀仮面の集団がチュルクのシングの仲間と思わせて城に入れたところを一網打尽にする。ヒルメスはもちろん全く関係ない。作戦は成功しシングを生け捕りに。シングをカドフィセスの親書と称してカルハナに密書を託す。果たしてその密書の内容は?
ミスルではヒルメス風を仕立ててザンデを拘束する。次の章では意外な展開で、ザンデはパリザードという女を嫁にしている。しかも尻に敷かれている。パリザードはヒルメスに不信感を持っている。ミスルにいるヒルメスと称する人物をだ。ザンデに、ヒルメスと称する人物にかまをかけてみろと助言する。ルクナバードを手にしようとしたときの一件を尋ねると、やはり正確な答えをしなかったため偽者と気付く。監視役にそれを悟られたため始末されそうになる。一度は逃走するが、ホサイン3世は有能な人材と見込み生け捕りにするよう指示を出す。しかし結局対決の場で殺されてしまう。パリザードはザンデに逃がされ河に飛び込み逃げる。だが生きている保証はない。長く活躍してきたザンデだが寂しい最期となった。
マルヤム王国からミスルのホサイン3世のところに使者が来る。オラベリアだ。つまりボダンではなくギスカール側の使い。友好関係を結ぼうと言う。オラベリアが宿舎にいると川から女が流れてきたと言うパリザードだった。
ヒルメスはコートカプラ城に向かう。しかし内部はチュルクでなくパルスに占拠されていた。逃げては逆に全滅と判断したヒルメスは奥へ突き進みアルスラーン達を皆殺しにしようとする。ダリューンとの一騎打ち。両者互角でなかなか決着がつかない、ただほんの僅かダリューンの方が上だということを悟ったヒルメス。長い決闘に耐えられなくなった現在の重臣であるクトルミシュが間に割ってはいる。プライドを傷つけられたヒルメスはクトルミシュを斬ってしまう。それこそがしてはならない恥ずべき行為であることに苦悩する。ここで死ぬわけにはいかないということで逃走する。ヒルメスのもとにはブルハーンというトゥラーン人が従っていた。これがなんとジムサの弟だ。この戦場で兄弟が出くわす。アルスラーンに仕えるよう諭すジムサだが、ヒルメスに心酔しているブルハーンは断り喧嘩となる。そこに矢が軽く飛んできてブルハーンの冑に当たる。牽制するようアルスラーンから指示され、ギーヴが弓矢を飛ばしたのだった。ブルハーンは逃走。命からがらヒルメスの隊は100騎程となり壊滅状態。全てナルサスの策なのだった。
ダリューン対ヒルメスが見られたわけだが、どう決着つけるのかこれは見ものだった。どちらかが倒されるしかない対決で、作者も考えただろう。意外な結末となったが、これでしばらくヒルメスの活躍が見れる。
チュルクの王弟カドフィセスだが、捕らえられ、そのままラジェンドラ預りとなる。上等な捕虜である。
ヒルメス達は再起をかけ、シンドゥラの武装商船を拉致し西へと向かう。
パルスでは王宮に有翼猿鬼が出没する。退治したあとアルスラーンはファランギースから過去の話を聞く。同門のイグリーラスと恋仲であったが、イグリーラスは事故死する。イグリーラスの弟であったグルガーンは神に失望し魔道の道へ身を落とす。
魔導師たちは尊師を復活させつつある。
よい返事は得られなかったオラベリアはマルヤムへ帰る。パリザードを伴い。パリザードは何か腕輪を大切にしている。ホサイン3世の悪事を知っているパリザードは何か役に立つだろう。それと入れ違いにヒルメスの乗った船がミスルに向かっている。
表紙はジャスワント。扉絵は有翼猿鬼を襲う告死天使アズライール。
「妖雲群行10」
19991201刊行。第9巻から7年経っている。この間に大学院を出て社会人になり4年目となっている。第1巻当時のダリューンの歳になってしまった。この歳になったらある程度読んだ記憶が残ってそうだが、もしかしたら買ったまま読まなかったのかもしれない。まあ7年ブランクがあるとストーリーがわからなくなっていただろう。あと、天野喜孝のイラストがカバーと扉だけでなく、挿画も組み込まれていたので、それを見たさに流し読みしていたかもしれない。
メルレインとトゥースがぺシャワールに向かう。クバードが近くまで迎える。空から有翼猿鬼が10匹ほど襲ってくる。有翼猿鬼が増えてきているではないか。数匹退治すると残りは飛んで逃げていった。トゥースは3人の女性を妻にした話があり、本題はクバードにデマヴァント山に兵を送るよう指令が出たことを伝える。エクバターナでは鳥面人妖が現れた。王都の役人に扮していて挑発してきたのだ。それを受けてのクバードへの出兵命令だった。これまで人力での戦いであったが、魔物の登場が増えてきて、人力で戦えるのかと心配になる。あと国内の政治や、文化や教育といった話(これが俄話ではなくしっかり構築されている)や、余談が増えてきて回りくどい。そしてジョークがくどくなってきた感がある。7年のブランクで作風が若干変化したかもしれない。
クバード、トゥース、メルレイン、イスファーン、ジャスワントが終結してデマヴァント山に向かう。アルスラーンは旧臣達と会議。ナルサスはザッハークと言う架空の存在より近隣諸国の侵攻に備えるべきと言う考え。ミスルには偽のヒルメスがいる。そこへ本物のヒルメスが船でやって来たと言う噂がホサイン3世に来る。これをどう扱うかが思案のしどころ。いまなお他国とのかけひきで引っ張る。ザッハークは先送りだ。シンドゥラは協力関係。トゥラーンはほぼ絶滅、チュルクは牽制して抑えた。次はミスルというわけだ。
ミスルにたどり着いたヒルメスだが、兵を集めるために画策する。なかなか合理的でいい。パルス人商人を味方に引き入れミスルの情報を得る。そしてミスルを乗っ取ろうと決心する。実は作者はヒルメスに思い入れがあるのではないか?アルスラーンは文化的、人道的に王になった。ヒルメスは戦国時代真っ只中の人物で、その時代にあって一般人を自分に従わせることにかけては絶妙な手腕を発揮する。まあ、多分後の巻ではナルサスによってヒルメスはやり方が間違っていたと、ひっくり返すことになるに違いないが、この時点においてはヒルメスの行動はアルスラーン以上だと思われる。いや作者はそれもわかっていて、読者にヒルメスに共感を持たせておいて、後で簡単にポイ捨てするのではないか?作者お得意の手法だ。かなり重要な人物として育てながら、死ぬときはあっけない。ともかくミスルでの名前をクシャーフルと称することにした。ザンデの代わりとしてミスルにおけるパルス人の指導者としてホサイン3世に取り入る。うまく潜入に成功し、初仕事として盗賊討伐に出兵する。これも大きな成果を出す。完全にホサイン3世の信頼を勝ち取る。ヒルメスがかなり活躍する章で、主軸のアルスラーンと両立できる展開。
ファランギースとアルフリードがオクサスに向かう。オクサスの領主はムンズィルという。ザラーヴァントの父親である。領内にあるアシ神の神殿で3人の女性神官の失踪事件があり、その調査に来てほしいという。この章はちょっとミステリー風の展開となる。ナーマルドが村人に狼藉を働いている。レイラという女性が立ち向かう。それをファランギースたちが加勢しナーマルドは逃げる。ムンズィルの邸宅に着くと祝宴が催される。そこで息子として紹介されたのがナーマルドだった。ナーマルドは身分を第一と考えるため反アルスラーンを公言する。調査が始まった。神殿に潜入捜査することになる2人。そこで見習いとしてつとめてるのがあのれいらだった。レイラは捨て子で神殿の門の前に捨てられていた。高級そうな腕輪と共に。歳はアルスラーンと同じくらいだし、腕輪のデザインは王家に由緒あるものだと言うファランギース。タハミーネが産んだなぞの本当の子は女児だったという。もしかしたらレイラはその子ではないかと。さて、神官誘拐事件の真相。邸宅と神殿は通路でつながっており、誘拐犯はナーマルドだった。そしてムンズィルと称する人物はムンズィルの兄であるケルマインだった。ケルマインを疎むムンズィルはケルマインを狩りに誘い、事故死したとして地下通路に20年も監禁していた。そして助けられた後は逆にムンズィルを地下に閉じ込めたのであった。ケルマインとナーマルドは蛇王ザッハークに身を売ったのであった。ファランギースたちはムンズィルを助け出し逃げようとしたが、ムンズィルは途中でナーマルドの矢によって殺される。その上通路に油を流し火をつけられたのだった。死んでしまったムンズィルの髪の束を切り落とし、火に巻き込まれないよう逃げるファランギースとアルフリード。その先に何とギーヴが現れる。ここで終わる。続巻に続くわけだが、今は続きはこの手にある。しかし当時続巻はいつ発売するとも知れず、当時の読者はさぞイライラさせられたであろう。因みに誘拐された3人の神官は生け贄として殺されたらしい。
デマヴァント山に向かうクバード達5人。大雨が降りそうになり、一時鍾乳洞で雨宿りをする。途中でとらえた鳥面人妖2匹。イスファーンは嘴を切ったはずだが、いつの間にか修復され驚く。その時鍾乳洞の入り口を巨大な岩でふさがれ、閉じ込められてしまう。
表紙はアルフリード(だろうか?)扉絵はイスファーンが鳥面人妖2匹と対決する場面。
「魔軍襲来11」
角川文庫版は前巻「妖雲群行」第10巻でストップしている。カッパノベルズで20050922に刊行。5年9ヶ月ぶり。このカッパノベルズ版は恐らくこの第11巻から再開するのに合わせて20030221に「王都炎上」「王子二人」合本として再刊された。以降2作品を1冊にまとめて10巻、つまり5冊刊行された。
今回はマルヤム王国から始まる。つまりボダン対ギスカールであるが、途中の経緯は省略されており、ボダンが始末されようとする場面。聖職者の名をかたった狂信者であるとしてギスカールに密かに処刑される。公開処刑にしないのは、大義名分があるとはいえ反感を持つものも出てくるだろうということだ。ギスカールはここまでに自分を助けたマルヤム人のコリエンテ候とトライカラ候を重心としている。オラベリアも重用されている。ある時歳の割には白髪の男と女騎士が盗賊に襲われている。男女盗賊はそれを退治する。オラベリアは近づくとその白鬼と呼ばれる白髪の男はなんと、かつて同僚だったドン・リカルドだった。オラベリアは気づいたがドン・リカルドは記憶がない。女騎士の方はエステルだ。ルシタニアからギスカールに会いに来たという。オラベリアは二人を家に迎える。そこで給仕しているのはパリザードだ。いずれギスカールに捧げようと家に置いているのであった。オラベリアは公用で不在だったが、ドン・リカルドは留守番しエステルギスカールに会いにいく。ルシタニアに帰ってきて国をまとめてほしいというため。ギスカールはルシタニアに戻っても敗残の将ということで厚遇されないだろうということで断る。エステルは過去に数度会ったことがある。が、ここはエステルには悪いがボダン殺害の汚名をかぶってもらおうと考える。エステルが王宮から帰ってきた夜、盗賊が復讐に来る。葡萄酒の瓶で頭を殴られたドン・リカルドは記憶を取り戻す。ザッハークを目撃したことを思い出した。パルス人のパリザードはそれはザッハークと知り恐怖を覚える。続いてギスカールの手のものがやってきて、エステルをボダン殺しの罪で連行しようとする。罠にはめられたと悟った3人は追手を斬る。数人は逃げたがいずれ大人数を連れて戻ってくるに違いない。ということでマルヤムから脱出しようと考える。パルスを通ってルシタニアへ行こうと決める。ギスカールも深追いはせずボダン殺しの汚名だけ被って国外へ逃亡してくれたらそれでいい。しかし果たして禍根は残らないだろうか気になる。ギスカールはマルヤムで国造りを計画する。アルスラーンはパルスを。ヒルメスはミスルを。ギスカールはマルヤムを。これでうまく収まりそうなものだが果たして。
オクサス領の領主ムンズィルを騙ったケルマインの続きがやっと始まる。つまりナーマルドが地下通路に火を放ちファランギースとアルフリードが逃げてるところにギーヴが現れた場面の続き。5年待たず、続けて読むことができてよかった。ケルマインは完全にザッハークに魂を売っていた。ファンタジー色が強くなっていくのだが、レイラは武闘会で優勝したときに出された葡萄酒に、ザッハークの血が混ぜられていた。それを飲んだものは大抵死ぬがレイラは受容できた。それが何を意味するかはまだ分からないが、尋常ではない強さを発揮するようになり、ケルマインをかばおうとする。ギーヴに手を出さぬよう指示し、ファランギースはレイラ、アルフリードはケルマインと対決する。どちらも取りつかれた相手に苦戦するが、アルフリードはケルマインを倒す。ケルマインの死体は灰となり崩れ去る。つまりケルマインはすでに死んでいて復活されたのだった。ファランギースはからくもレイラに逃げられる。ナーマルドは有翼猿鬼に変化していた。こちらも退治。領主のいなくなったオクサスだが、本来ならザラーヴァントが後継となるべきだが、それまでパラザータという千騎長が治めることになる。
アルスラーンはお忍びで城の外に出ることが好きだ。エラムをつれて街を散策する。暗闇に入ったとたん、グールに襲われる。ピンチを迎えるが、そこにダリューンが現れ、5匹とも退治する。
ナルサスの邸宅に避難する。そこでも有翼猿鬼が現れる。ダリューンは背中に乗って退治しようとする。高所で殺すと自分の身も危ないが、池に墜落することで免れた。キシュワードとジムサが現れ加勢する。ジムサは少女を連れている。キシュワードの家で会合。少女はトゥラーンに近い草原の村が魔物に全滅させられていた所の唯一の生存者。ザンデはそこで魔物と戦闘する。そこでかつてのトゥラーンの親王イルテリシュを目撃する。しかしかつてのイルテリシュのような覇気がなく虚ろだ。ジムサとイルテリシュは対決。ジムサが優勢だが魔導師ガズダハムが現れる。ジムサを仲間に引き入れようとするがジムサは従わない。ジムサの吹矢によって右目を刺され恨みの言葉を残し消え去る。イルテリシュは有翼猿鬼4匹が吊り下げた円盤に乗って飛び去る。イルテリシュはトゥラーンとパルスの地を統一し、選ばれた女との間に子を産み、その子が地上におけるザッハークの代理人として汝らを統治すると言い残す。何だか山田風太郎的な展開だ。
ヒルメスのパート。街を歩いていると一人の女が助けてほしいと接触してくる。ナバタイ東王国からホサイン3世の後宮に捧げられるフィトナであった。フィトナは野心家で自分の相手にふさわしい男は王出なければならないと考えている。さらには王になろうとしている男。ヒルメスは目をつけられたのだ。ミスラの客将軍となった自分の身分を明かす。フィトナはホサイン3世に取り入り、まず第一歩としてミスルで最も実力者が担うとされる、南方軍都督の地位をヒルメスに与えるよう話をつけるとした。フィトナは身に付けていた腕輪(パルスの王族か貴族しか持つことができない)を半分に切り、ヒルメスとそれぞれ持つ。事実、マシニッサの讒言という邪魔が入ったものの、ヒルメスは見事に南方軍都督に任命される。このころのヒルメスはパルスの王などではなく。ミスルを乗っ取り、国造りをしていきたいというというほうに熱意を持っていて好感が持てる。
クバード達、デマヴァント山に向かった兵士たち。鍾乳洞に閉じ込められたところの続きから。まず捕えていた2匹の鳥面人妖をだまし、(1匹は仲間割れで死ぬが)巣に帰らせる。自分たちはそれと反対の方向に洞窟の奥へと進む。芸香(ヘンルーダ)という魔よけの香をあらゆるものに塗り付け急いで奥へと進む。しかし、早くも魔物たちが仲間を連れて襲ってくる。ヘンルーダは効果があるらしく。魔物を近づけない効果があるし、それを塗った武器を使うと敵の復活力が低下する。魔物は鳥面人妖と有翼猿鬼に加え新たに犬のような四眼犬(シムエル)という上2つが赤い目、下2つが黄色い目の魔物が登場する。斬っても斬っても次々と現れる魔物たち。3日半かけてやっと反対の出口から脱出に成功。急いでペシャワール城に戻り態勢を整える。この魔物の数の多さに、この先の展開に気が遠くなりそうだ。
表紙は鉄鎖を持っていることからトゥースとわかる。3人の女性は誰だろう?そうトゥースの3人の妻たち、パトナ、クーラ、ユーリン。扉絵はレイラと戦うファランギース。
「暗黒神殿12」
20061207刊行。前巻から1年2ヶ月ぶり。長いといえば長いが比較的早い刊行だったろうか。読んではいないが刊行当時は社会人11年目。
ぺシャワールに戻ったクバード達。息つく間もなく数万数千の魔軍が襲来する。ヘンルーダを仕込む間さえない。果てしのない戦いが続く。その中、千騎長ムフタセブを失う。魔軍を操るのは魔将軍と化したイルテリシュだ。イスファーンは対決するがピンチ。ピンチを助けたのはクバード。イルテリシュは消え去る。次に現れたのはトゥースの前だ。一進一退。そこにクバード、メルレイン、ジャスワント、イスファーンが集合。司令塔であるイルテミシュを総力戦で仕留めようという。しかしイルテリシュは逃げおおせる。魔軍の攻勢は収まらず、諦めかけたとき。河の方からグラーゼの援軍がやって来る。シンドゥラから買い占めた芸香の原料の柑橘を塗り大弓を打ち、次々と魔物を打ち落とす。イルテリシュは例の円盤で逃げていく。一時休戦。地下では魔導師がイルテリシュに脅迫されている。魔導師はイルテリシュの子供を作る女を紹介することで事なきを得る。その女の名はレイラ。
ヒルメスは南への赴任を準備していた。南で、ナバタイ人を含めて兵を集めて、ミスルを乗っ取る一歩を踏み出す。ところが急展開。ホサイン3世が黄金仮面に面会する。すると隠し持っていた、食事に出た羊肉の骨で作った刃物でホサイン3世を拉致する。黄金仮面は護衛兵から奪った剣で王の小指を落とし脅迫。しかしなんの計画性もない。手当てと称して後宮に入ったフィトナが手当てをする。ヒルメスはパルス人とトゥラーン人による国王救出隊を組織する。負けてはいられないマシニッサもミスル兵を組織してそれに加わる。そして王が人質になっている部屋にはいる。入るや否やヒルメス陣はミスル人を斬る。ヒルメスもマシニッサを討ち取る。自分の名を騙る黄金仮面つまりシャガードに王へとどめをさすよう指示する。その結果は。マシニッサは黄金仮面と結託してホサイン3世を殺した。ヒルメスはその犯人を討ち取ったということになる。その後サーリフという8歳の幼い王子を王にたて。ヒルメスは事実上ミスルの権力を握る。爽快な話だった。ザンデの敵であるマシニッサへ恨みを晴らすこともできた。
ギーヴはバダフシャーンに向かう。タハミーネを探るため。侍女として侍っているのがレイラだった。つい先日ケルマインの邸宅から逃げ出したのに、もうこんなところに(ギーヴより先に)潜り込んでいた。タハミーネはレイラが自分の生き別れになった娘と信じている。レイラは裏ではイルテリシュと密会して何かたくらんでいる。ぺシャワールの魔軍襲来後、エクバターナに向かうイスファーンとジャスワントだが、思うところあってイスファーンは単騎バダフシャーンに向かう。ギーヴがイルテリシュと対峙している。イスファーンは加勢する。2人はタハミーネに悟られずどのようにレイラを引き離せるか思案する。イルテリシュがレイラを連れ去れば一番無難と考える。結果オーライでレイラとイルテリシュは空を飛んで去っていく。じきに王座を奪いに戻ってくると言い残して。ギーヴとイスファーン、そしてタハミーネの不興をかって追い出された侍女アイーシャはエクバターナに向かう。
久々に将達が集まる。お互いの経験したことを情報共有する。カリヤーンの石切場で地割れがあり、そこから怪しいものが現れ誘拐事件がある。ザラーヴァントとキシュワードが地割れの地下通路を探索する。そこには巨大な暗黒神殿。そのとき地上の貯水池が魔導師によって破壊され地下に水が押し寄せる。辛くもザラーヴァントやキシュワード達は地上に逃げ出せた。グルガーンは行方不明。グンディーは生きて捕らえられた。
ナルサスがアルスラーンに王としての風格が具わったことに喜ぶと共に、恐ろしい予感に悪寒を覚え、エラムにお前は自分達より長く生きてアルスラーンを守るよう誓わせた。その理由が気になる。
パリザード、ドン・リカルド、エステルはパルスに入国していた。ルシタニアではなく一瞬パルスで住んでもいいとも考える。僧院の廃墟で有翼猿鬼に出くわす。そいつに自分達が手にいれた馬を殺されてしまう。魔物がわかるのはパルス人であるパリザードだけ。同じときにチュルクのシング将軍の集団も有翼猿鬼を目撃していた。シング将軍の集団は問答無用でドン・リカルド達を襲う。ドン・リカルドはなかなか強い。チュルク人の大半を一人で倒す。そしてシングも倒す。そこへ領主のカーセムが現れ、領内の牢屋に捕まっているルシタニア人から正体を聞いてくれと頼まれる。その牢人はパルス語を一切しゃべらない。その牢人はルシタニアの貴族ルトルド侯爵だった。悪の塊でしかないルトルドだがエステルは同情心から釈放してやってほしいとカーセムに頼む。ルシタニアに帰るまで手を拘束すること、パルスに攻めてこないことを条件に牢から出そうとするが、狂気をまとったルトルドは牢格子に体当たりし一本格子を吹き飛ばす。それを足に受けたエステルは動けなくなる。抜け出したルトルドがパリザードを襲ったためドン・リカルドはルトルドを殺す。エステルは足を複雑骨折し二度と杖なしでは歩けない体となってしまった。その夜高熱を出したエステルはエクバターナに行ってアルスラーンに会いたいと言う。そして、エステルは車に載せ、カーセムの手引きで一行はエクバターナに向かう。
表紙はタハミーネだろうか。なぜ今ごろ、そして他に表紙にするキャラがいるだろうと思っていたが、この巻で久々にタハミーネが登場したからかもしれない。扉絵はイルテリシュ
 
「旌旗流転」
20200911読み始め
20200912読了
「妖雲群行」
20200913読み始め
20200914読了
「魔軍襲来」
20200914読み始め
20200916読了
「暗黒神殿」
20200916読み始め
20200917読了

「アルスラーン戦記」田中芳樹(2/4)

2020-10-10 20:28:15 | 読書
「征馬孤影5」
19890305に刊行。第4巻が19880825なので7か月ぶり。高校2年。旭屋書店で購入。19881231に「タイタニア」が開始。19881220に「灼熱の竜騎兵PART1」なんてのも刊行されている。
トゥラーンがパルス、シンドゥラの国境(ペシャワール城)に攻めてくる。城を守るルーシャンは武人ではないため、籠城して西進したアルスラーンの援軍を待つ作戦。パラザータという男を伝令に出す。無理をして走らせたため馬が死ぬ。歩くしかない。そこで旅人と出会う。クバードだった。事情を知らないクバードははじめ馬を貸さなかったが、名前を知ったパラザータは恐れ入り、事情を説明。そしてクバードは馬を貸し、自分はその場にとどまりアルスラーンが引き返してくるのを待とうとした。
王都奪還のため軍を進めたアルスラーン一行だが、トゥラーン制圧のためあっさりと引き返す。またもや回り道。初めて読んだ当時はさぞがっかりしただろう。
ナルサスは使者としてファランギースをペシャワールに遣いする。その途中で片目の旅人と出会う。パラザータは途中で馬を借りたその男(クバードという名前は出さないと約束していた)に馬を返してほしいと頼んでいたので、馬と砂金を礼として渡すと、その男はパルスで2番目に強いとメルレインの真似をして自己紹介し自分もついていくという。ペシャワールにつくとトゥラーンが待ち構えている。ここで一戦。クバードはトゥラーンのイルテリシュ親王と対戦する。イルテリシュはかつてダリューンによって父を殺されていた。なかなか好敵手だが、クバード達の役目はアルスラーンの伝言をルーシャンに伝えることなので軽く流す。ペシャワールに入城して片目の男が万騎長であるクバードであることを知るファランギース。
トゥラーンは半分をペシャワールに充て、半分を西から戻ってくるであろうアルスラーンに充てた。しかし予想に反してアルスラーンは東からやってきた。ペシャワールの南を通り、シンドゥラを経由してきたのだ。意表を突かれたトゥラーンは敗北(全滅ではない)。トゥラーンが再戦と、陣を構えた
時、巨大な地震が起きる。方角はデマヴァウント山の方角。
p56ナルサスの言「上に立つ者は、殿下のようにあるべきだ。悲観的なことは、おぬしやおれが考えればよい。闇のなかに光を見出だすような人物でなければ、あたらしい時代をきずくことなどできぬさ」自分の会社人生に当てはめてみる。高2の時ではわからないだろう。
ヒルメスはデマヴァント山で宝剣ルクナバードを掘り起こす。別行動を取っていたギーヴはそれを目撃する、ルクナバードが相応しいのはヒルメスでなくアルスラーンだと皮肉る。怒ったヒルメスは試し切りにギーヴを斬ろうとする。その時巨大な地震が発生。蛇王の封印を解いてしまったと皆が揶揄する。ヒルメスはルクナバードをザンデに預け、自分の剣でギーヴを斬ろうとした。その時ザンデは大地の割れ目にルクナバードを落とし入れた。すると地震が止まる。怒ったヒルメスはザンデを叱るが、ヒルメスが正式に王になったあかつきに改めて剣を手にすべきと諌める。多勢に無勢、ギーヴは逃げる。そこで見たのはトゥラーンの王トクトミシュの本軍が進発するところだった。
デマヴァント山にはもうひとつのグループがいた。ギスカールからヒルメスの監視を命じられていたルシタニア兵だった。地震で皆死に、2人だけ生き残った。1人はオラベリアでこれは逃げた。もう1人は大地の裂け目から転落したドン・リカルド。地下通路をさ迷ううち、蛇王らしき影に遭遇。凄まじい瘴気に死に物狂いで逃げる。地上に帰り自分の姿をみたとき、30歳になったばかりなのに髪と髭が真っ白になっていた。
魔導師の術によって気弱だったイノケンティスが狂暴になり、アンドラゴラスと一騎討ちをすると言い出す。この茶番がボロクソに描かれる。対決することはなく眠らされる。アンドラゴラスはギスカールを人質に、馬と馬車を用意させ、王都を脱出する。大軍を率いて王都を奪還しに来る、そこで正々堂々と対戦しようと宣言。途中でギスカールを解放する。
トゥラーンのトクトミシュ王陣とアルスラーン陣の対決。トクトミシュの卑劣な振る舞いにアルスラーンが珍しく怒りを表し、挑発的な鬨を上げたりする。アルスラーンがトゥラーンの一騎士の目に留まりピンチを迎える。そこへ助けに入ったのがギーヴであった。一旦退避する。つまりアルスラーンのストレスを開放するためにひととき対戦するというナルサスの作戦。ペシャワールに戻ったアルスラーンと、そしてギーヴ。これまでの流れからギーヴはパルス人の不興を買って脱退したことになっているので、大体のパルス人はギーヴに不信感を持っているだろう。ギーヴ本人や昔からの幹部はどうも思っていないだろうが。ギーヴは久々に会ったファランギースしか興味がない。ところがファランギースの横でなれなれしくしている片目の男が気になりつまりクバードと火花を散らす。これは単なるギャグなのだろうか?クバードとギーヴは今後しこりを残すのだろうか気になる。当のファランギースはどこ吹く風。ナルサスの作戦はトゥラーンの主要な将軍を捉えることにある。ダリューンたちはさらに戦場に出るがなかなか見つからない。そんななかジムザというイルテリシュと並んで最も若い将軍がいる。ジムザは毒を塗った吹き矢を扱う。ザラーヴァントはその毒矢を腕に受け戦闘不能になる。必死に城に帰って倒れる。
面白いがかなり風呂敷を広げている。初期の段階から14巻で完結と宣言していたが、ここまで広げると収まり切れないだろう。著者らしく、各登場人物のそれぞれ個性を持ち、一人ひとりの伝記も書けそうなくらいの作り込み。外伝でもつくって乗り切ろうと思ったのかもしれないが、こうなったら14巻では収まらない。後に批判の種になるが、14巻で納めるためにはやや強引に話を切り捨てるほかなかったのではないか?それがやっつけ仕事風に見えたのではないか?と良いように解釈する。だから素直に「14巻で完結」に縛られず、気の向くまま書き続ければよかったのだ。と、偉そうに思ってみる。
捕らえたジムザをトゥラーンに返す。パルス語を知らないフリでパルスの秘話を聞き覚えた。それをトクトミシュに伝える。しかしそれは罠。トゥラーンの2つの軍を互いに敵と思わせ相討ちにさせる作戦。それにはまる。気づいたトクトミシュは、ジムザは裏切り者と見なす。クバードはアルフリードを知り、兄のメルレインを知っていることを話す。二人は何となくいい感じになる。タルハーンとダリューンの一騎打ち。これは見所だ。戦いはパルス優位で終わる。後には矢を受けて倒れているジムザ。ナルサスはジムザをこちらに取り込もうとする。アルスラーンは武勲をたてたものでなく、今回裏方で罠を仕掛けて回ったトゥースを功労者とした。これには皆、驚きと賛辞。
ヒルメスとイリーナ一行はすれ違う。お互い気づくが、ヒルメスは他人の振りをする。イリーナに相応しい人物にまだなってないから。切ない場面。
負けたトゥラーンはルシタニアと手を結び共通の敵パルスを倒そうと企む。敗北後腑抜け状態のトクトミシュがイルテミシュにより殺害される。一方ルシタニアに占領されたエクバターナにエステルが到着。怪我人や幼い子供達を助けるよう同国人に頼むも無視される。そんな中助けてくれそうなのがイノケンティスであった。しかし、現在はほぼ幽閉されているためルシタニア兵に二度と近づかないよう釘を刺される。しかしエステルの中ではイノケンティスが救いの神のように感じられるのだった。
アンドラゴラスとタハミーネがぺシャワール城に自力で帰ってくる。アルスラーンが救い、恩を売ろうとしていたのに想定外。アンドラゴラスは無慈悲にふんぞり返る。やはり強大だ。アルスラーンに兵を王である自分に全て返せと命じる。そして、アルスラーンには南へむかい王都奪還のための兵を5万集めよと命じる。言ってみれば放逐されたわけだ。さらにダリューンとナルサスは城に残れといい、アルスラーンと離される。不条理だ。他の人物たちはどうするか判断を迫られる事になる。ギーヴ、ファランギース、ジャスワントは当然アルスラーンに付く。キシュワードは元々アンドラゴラスと確執がないため残る。アンドラゴラスの迫力がすごい。囚われの身であったことや、アルスラーンが善戦していたこと、多くの家臣たちがそれに従って戦ってきたこと。そんな感傷的なことは一切出さず、そんなことをブツブツ言ってるものには一喝する。無情にも思える。しかし、司馬遼太郎の「関ヶ原」「城塞」に出てくる徳川家康を読んだ今となっては、かつて読んだ時(高2?)の「なんだこいつは?」感を感じず全然受け入れられる。ところがナルサスはエラムとアルフリードに指示して小屋に火を放つようにしていた。その混乱に乗じてダリューンとナルサスは城を脱出する。クバードはそれを高みの見物で、残ってしばらく様子見することにする。1人南へ向かうアルスラーンに仲間が追い付く。この再開が感動的。一番の見せ場。
表紙はギーヴ。扉絵は地下でザッハークらしい影を目撃するドン・リカルド。
「風塵乱舞6」
19890925刊行。前作から6ヶ月と順調。高校3年ということは受験勉強の真っ只中。近所の東西書房で購入。
パルスの南の港町ギランへ赴く一行。アルスラーン、ナルサス、ダリューン、ギーヴ、ファランギース、エラム、アルフリード、ジャスワントの8名。パルス第2の都市。商人達が自治を行っている。言ってみれば堺のようなものだろう。総督はペラギウス。国のことより自分の蓄財のことばかり考えている。この巻は番外編のような様相だ。兵を集めようとするが金がない。財政が主題となる。グラーゼという商人を助け人心を買う作戦。またナルサスは奴隷廃止の布石として、かつての親友で志を同じくしていたシャガードと会うが、長年の優雅な生活から奴隷廃止反対の考えを持つに至っていた。対立する二人。ペラギウスに隠し財産を吐き出させる。サフディー島には海賊商人アハーバックが稼ぎだした財宝が隠されているという。
ペシャワールにおいては、トゥラーンの王となったイルテリシュが、王としての威厳のため再度攻めてくる。アンドラゴラスは司馬遼太郎の徳川家康張りに、キシュワードに任せる。武勇はあるが戦略的才能はそれほどではないキシュワードは任されプレッシャーとなるが、ナルサスが残したもしもの時の作戦を思い出し、それを実行する。そして見事に作戦成功し、トゥラーン軍を壊滅状態にした。クバードも目立とうとする裏心から活躍する。キシュワードはナルサスの策とは言えないまま、アンドラゴラスから王都奪還の暁にはそれなりの褒賞を与えると褒められる。
イルテリシュは敗れ去り一人馬を走らせる。その途中で魔導士に出会う。狂戦士と呼ばれるイルテリシュだが、魔術でいともたやすくとらえられる。魔導士たちはイルテリシュを蛇王ザッハークの憑依(よりしろ)としてつかおうとた眩んでいるのだった。そもそもはヒルメスを憑依にしようとしていたらしいが、暗灰色の衣の魔導士の思惑は弟子たちにはわからない。
エクバターナにはイノケンティスが幽閉されている。少し前に偶然窓から顔を出したイノケンティスと面したエステル。優しかったイノケンティスを助けようとする。マルヤムの内親王を偶然捕らえるルシタニア兵。ギスカールは内親王に故国の仇として厄介な兄イノケンティスを討たせようと謀る。メルレインは一旦逃げ、後でペシャワールに忍び込んで内親王を助けようとしていた。そんなメルレインとエステルが合流。内親王イリーナは策通りイノケンティスを刺す。しかし、致命傷とはできなかった。ヒルメスはイリーナが捕らえられたと知り、これをもってギスカールとの縁を切ろうと、兵を率いてギスカールの元に来る。イリーナを救出しサーブル城に立てこもるため向かうヒルメス。しかしそれは見せかけで、エクバターナの近辺に潜み、タイミングを見てアンドラゴラスVSギスカールの隙を見てエクバターナを獲ろうと考えているのだった。メルレインとエステルはアルフリードを知っているということでアルスラーンの元に共に向かうことになる。
シャガードが話した財宝を求めサフディー島に向かうアルスラーンたち。その嘘をついていたシャガールが不在の王太子府を乗っ取ろうと襲う。実は騙されて島に向かったふりをしたアルスラーン達が登場。シャガールは惨敗し、自分は奴隷として一年扱われる事になる。結局サフディー島の財宝伝説は嘘だったのか。ナルサスも知っていた。読者も騙された。
飲んでる間に読むと、読んだ内容があとになって思い出せない。というのはありがちだ。しかし、高3の時にはもちろん酒など飲んだこともないのに、この読んでなさは何なのだろうか?高校生当時の自分の政治知識(しかも皆無)では何も理解してなかった。今では楽しめそうだ。一旦田中芳樹の政治批判に背を向けかけていたが、今となってはちょっと理解できそうな気がする。田中芳樹とは20歳違い。読んでいたころは高3で17歳だった。作者は37歳だ。そんな高校生には理解できない政治的考えが、48歳の今ではわかる気がする。創竜伝も理解できるかもしれない。
ギーヴとファランギースが馬を走らせていると、盗賊に追われている2人に会う。メルレインとエステルだ。ギスカールの指示でヒルメスを追うゼリコ子爵。こちらもヒルメスに一気に斃される。
ペシャワールでとらえられていたトゥラーン兵の毒矢のジムザ。アルスラーンによって命を助けられたが、アンドラゴラスによって出陣の際の血祭りにささげられる運命となった。しかし、キシュワードが不憫に思い公然とは助けないが、脱走するよう勧められる。ザラーヴァントも病床にあったが、アルスラーンを追放したアンドラゴラスが許せず脱走した。かつて敵同士だった、ジムザとザラーヴァントは何の因果か行動を共にする。いずれアルスラーンと合流するようだ。キシュワードはヴァフリーズの密書を見つけたようだ。しかし開ける勇気がない。そんな時にタハミーネが現れ(全く唐突に?)キシュワードから密書を奪われる。そして横に来たアンドラゴラスによって密書は焼かれる。
アンドラゴラス軍、キシュワードとクバードを万騎長とした軍。ルシタニアはギスカールが持つ2枚の切り札の1人ボードワン将軍。パルスはトゥースを先発させルシタニアの陣形を崩す。アンドラゴラスは自ら陣頭に立ち、クバードも大いに暴れる。ボードワンを追い詰めたのはキシュワード。一騎打ちするがボードワンはキシュワードに倒される。ルシタニアの敗北。同じ頃アルスラーン2万5千とヒルメスの3万が王都に向かいつつあった。
表紙はキシュワード。扉絵は海賊と対決するダリューンとギーヴ。
「王都奪還7」
19900325刊行。今回も前巻から6か月で順調。高校3年だが、大学入学直前の時期。
ギスカールのところに魔導師の1人プーラードが現れ、見えない蛇で相手を締め付ける技を使う。その時夜襲隊としてイスファーンが潜入してくる。たまたま大将のギスカールと出くわしたのだが、プーラードの魔術に翻弄され早々に帰陣する。プーラードはギスカールを捕らえるつもりだったがイスファーンに倒される。
アンドラゴラスとギスカールの対決。キシュワードの策により実行するが、元はナルサスが残した作戦書による。
そのすきにヒルメスはエクバターナに侵入する。城を守るルシタニア兵は少ない。パルス人はここぞとばかりにルシタニア兵への恨みを晴らす。ルシタニア兵を制圧した後ヒルメスは自分の素顔と素性をパルス人の前にさらし、正統性を訴える。しかしパルス人は無関心だった。正統性よりもこれからどのような政治を行うかに関心がある。そこでヒルメスはよき政治を行わなければ三日天下で終わるという試練を与えられる。しかも、王宮の財宝が空っぽとなっていた。金がなければ何も始められない。
パルス軍は圧倒的な強さでルシタニアを攻めていく。兵の数では圧倒するが、様子がおかしい。ギスカールは一旦西へ引き上げて兵を立て直そうとしている。パルスの王宮から財宝をすべて奪っていたのでそれを資金として再起しようとしていた。そして兵の数も減らし少数精鋭にしようとした。簡単にルシタニアは敗走する。
ギスカールが陣を布いた頃、アルスラーンの軍とぶつかる。ここでナルサスの奇策。兵では圧倒的に数が劣る。これを多く見せる作戦。戦のシーンもこういった奇策がないと盛り上がりに欠ける。ルシタニアのもう一人の切り札モンフェラートはギーヴに打ち取られ、ギスカールは生け捕りにされる。処刑されるかと思いきや、生きてマルヤム王国に逃がされた。ナルサスの作戦は、ルシタニアの王であるイノケンティスと不戦条約を結ぶこと、そしてマルヤムにいるボダンをギスカールに倒させることだった。
アンドラゴラスとヒルメスの戦い。ヒルメスは戦を早期に済ますにはアンドラゴラスと一騎打ちをすることだと考える。またサームにより、侵入できないよう城は完璧に守備を固める。地下道からアンドラゴラス軍が侵入してくるが、網や綱で封じ、火を放って守っている。そこにキシュワード自ら乗り出してくる。あわやサームvsキシュワードの万騎長対決。そこへアンドラゴラスが登場し、万騎長同士の戦いがもったいないという。そしてヒルメスと対決ではなく対話するという。ヒルメスと対面するやアンドラゴラスは「わが弟よ」と予想外の呼称で呼ぶ。アンドラゴラスはヒルメスの出生の秘密を話し出す。大体これはアンドラゴラスが地下牢に捕らえられているときにサームに語った内容と同様だった。ゴタルゼスは良き王だったが、後半は迷信深くなる。兄のオスロエスに子ができない為、妃を差し出した。それで生まれたのがヒルメス。オスロエスは病床にありアンドラゴラスにヒルメスを殺すよう頼む。そんな秘密を明かす。そこへ魔導師が現れる。アンドラゴラスはその若さに驚く。代々王の前に現れてきたが、最後にみたときから計算しても魔導師の年齢が合わない。
アルスラーンもタハミーネから自分の出生の秘密を明かされる。タハミーネの本当の子ではない。名も知らない中程度の騎士の子供である。養父母はアルスラーンがアンドラゴラスに引き取られる際に口封じに殺害された。アンドラゴラスとタハミーネの間には女児が1人生まれたが、その後はタハミーネが子供を産めないからだとなった。女児の行方はわからない。つまりアルスラーンは王家の血を一滴も受け継いでいないのだった。アルスラーンは自分を王太子と信じて死んでいった者に申し訳ない気持ちと、王たるは血筋でないということを証明するためデマヴァント山へ向かい宝剣ルクナバードを手にしようとする。カイ・ホスローに告げる。自分が王にふさわしければエクバターナを手に、相応しくなければ雷を落とすように。そしてアルスラーンは無事ルクナバードを手にする。これをもってエクバターナで王であることを宣言しようとする。
ヒルメスのもとにアルスラーン一派、アンドラゴラスが集まる。
暗灰色の衣の魔導師は大蛇に変身しルクナバードを奪って逃走しようとする。サームが阻止しようとするが、蛇に巻き付かれ、一瞬のうちに生命力を吸いとられる。ほどかれたサームはほどなくして事切れる。イノケンティスはまさかの行動。アンドラゴラスを道連れに塔から身を投げる。あれほどの豪勇があっけなく死んでしまう。あのいい迷惑な扉絵のシーンだ。一度読んで内容をほぼ忘れていたが、それだけにあの扉絵をみたときその場面を思い出してしまっていた。一度も読んだことがなければ気づかなかったものを。さておき、一度読んだときあのむくつけきアンドラゴラスが史上最弱のイノケンティスに予想外の道連れにされる事に失望したような記憶がある。しかし、今はすんなりと受け入れられる。ヒルメスはイリーナを連れて二人で去る。この第7巻は第一部の完結編になるが、全ての伏線、謎が回収され急展開かつ濃密な巻だった。何だかこれで本当に完結してもいいのではないかと思うくらいだ。エステルはルシタニア人なのでここで退場するようだ。
解放王アルスラーンの十六翼将。ダリューン、ナルサス、ギーヴ、ファランギース、エラム、アルフリード、ジャスワント、キシュワード、クバード、メルレイン、グラーゼ、イスファーン、トゥース、ザラーヴァント、ジムザ。あと1人は誰だろうか?
表紙は誰だろう?銀仮面らしきものが左下にあるが素顔の右半分が見えないため不明。扉絵は塔から転落するイノケンティスとアンドラゴラス。
「仮面兵団8」
19911210刊行。1年9か月ぶり。大学2年になっている。第2部スタートと新たな物語が始まるのでそんなものか。
アルスラーンは国王に即位し3年経つ。つまり3年後の時代。アルスラーンは18歳となっている。ナルサスと同じくらいの身長。即位記念日を祝うことなく、ミスル王国がパルスの奴隷解放令に反抗し、ホサイン3世が侵攻してくる。側で侍るのがパルス人らしい右頬に傷のある男。この段階では正体は不明で、ミスル陣営ではヒルメスではないかという噂もある。この男はやたらパルスの人物に詳しい。ファランギースの事をよく知る。この戦いはナルサスの鏡反射作戦で相手の兵4分の1を減らして終結。ファランギースは右頬に傷のある男に何か記憶にあるようだが思い出せない。
狩りの大会が催される。賓客としてラジェンドラが招かれる。この場でアルスラーンは獅子を討ちシールギールの称号を得る。ここから色々事件が立て続けに起こる。奴隷廃止に不満を持つ貴族がアルスラーン暗殺を謀り複数現れる。また、ラジェンドラのもとにチュルク兵がシンドゥラの国境を侵したとの報告が入る。ラジェンドラはアルスラーンに協力を求め、直ちに制圧に向かう。これは小説の本筋でないのか、ナルサスは短期決戦で収めようとする。つまり言いたいのは西側のミスルと東のチュルクが同じ時期に兵を出したのは偶然なのかということだった。
マルヤム王国におけるボダンとギスカールの戦い。ギスカールがたった1人マルヤムに入国し、1から兵を集めてボダンと戦う。この章だけで1巻書けそうなくらいの濃密な話。ギスカールは勝利し、ボダンは逃亡し、マルヤム王国は二分される。やがてボダンはミスルに自分に協力するよう使者を出す。気に入らないミスルのホサイン王は、使者を捕らえ、ギスカールと手を組むためその使者を土産として送る。
ミスルではシンドゥラに右頬に傷のある男を使者として送り、西から東からパルスを挟撃しようと提案する。納得できなかったラジェンドラは使者を殺害しようとしたが逃げられる。パルスへ行きミスルと組んでパルスに攻め込もうとしていると嘘をつきシンドゥラに攻め込めと提言すると言ってるが果たしてどうなるか?
チュルクのカラハナ王の元には、顔の右半分を隠した男がいる。無論ヒルメスだ。妻であるイリーナが子を宿したまま死去した。その葬儀が終わったところ。カラハナ王はヒルメスに再起を図るよう進める。周辺国がそれぞれ手を組み、複雑な状況となってきた。右頬に傷のある男はヒルメスではないことがわかったが、まだ正体は不明。
アルスラーンの正義とは?に関する議論と、妃候補の話(18歳で早いような気もするが)アルスラーンは実は心の底ではエステルが気になっているのではないかとナルサスたちは推測する。また、タハミーネの産んだ消息不明の女児も出てくる。この二人が婚姻を結ぶことで両王家がめでたくつながる。
右の顔面に傷がある点で共通点のあるヒルメスと右の頬に傷のある男、早くも正体がわかる。いやヒルメスはチュルクにいることが読者にはわかる。しかしナルサス、ダリューンたちはわからない。ただここでナルサスは推理を働かせ、ミスルにいる右の頬に傷のある男の正体は、自分の親友で、ギラン滞在中に自分を裏切り、逃げる際にアズライールの爪によって顔を傷つけられたシャガードではないかと。チュルクとの戦いで捕虜にしたゴラーブ将軍からヒルメスらしき人物であることを聞いている。ナルサスはゴラーブ将軍をチュルクへ還そうと考える。ギーヴを使者とする。従者としてジャスワントとエラム。ジャスワントはシンドゥラとパルスは昵懇であることを匂わせるため。エラムは海外の知見を広げるため。
湖での一騒動。精霊の声を聞き湖に向かうファランギースとクバード。魔術を使うような者との応酬。ファランギースはその者(グルガーン)の兄を知っているようだ。
ラジェンドラを落とすことに失敗した右頬に傷のある男がミスルに帰ってくる。ホサイン王はこの男をヒルメスに仕立てあげ、パルスの王とし、奴隷解放制度を廃止させ、自分の王室の女と婚姻を結ばせることでパルスとミスルに血の繋がりを作ろうと考える。面白くなってきた。一回読んだと思うが全く記憶にない。当時は謎解きばかりに興味があって、こういった駆け引き的なところに関心がなかったのだろうか?はっきり言ってこの第二部はそこがミソだから。当時の記憶から消えていても仕方ない。
ギーヴたちはチュルクへ来る。ゴラーブ将軍を返還に来たがカラハナ王は敗残の将ということで非情に処刑する。客将となったヒルメスはカラハナ王にトゥラーンから兵を雇い、自分がそれを指揮する事を提案し、了承を得る。ヒルメスと集めた兵は全員銀仮面をかぶりヒルメスにカモフラージュする。手始めにギーヴたちパルス兵の帰還時に襲撃する。ピンチを救ったのはゾット族だった。パルスが助けるとチュルクが不信感を抱くのではじめからゾット族で守護する計画であった。パルス兵は難を逃れる。ミスルではヒルメスがここにいるということをつかんだ(実際は勘違いになるが)ザンデが訪れる。ヒルメスは事故で声を失ったということにし、シャガードであることがバレないようにザンデを騙し、利用することになる。
アンドラゴラスの墓荒らしがあった。魔導師たちの生き残りの仕業。逃げる際ファランギースに顔をみられ、兄を知っていると思い出させた。つまり魔導師グルガーン、その兄はミスラの神官でファランギースと顔見知りなのだった。魔導師たちはザッハーク復活に先立ち尊師を冥界から呼び戻さなければならない。そこへ運ばれてきたのは生死の判別しがたいイルテリシュだった。
表紙はエラム(?)。扉絵はチュルクに遣いしたギーヴを襲おうと崖の反対側を行進する仮面兵団達。
 
征馬孤影
20200902読み始め
20200903読了
風塵乱舞
20200904読み始め
20200906読了
王都奪還
20200906読み始め
20200907読了
仮面兵団
20200907読み始め
20200908

「アルスラーン戦記」田中芳樹(1/4)

2020-10-10 20:24:21 | 読書
文庫版において20200820に16巻をもって完結したので、これを機に読み返す。
アルスラーン戦記に関しては思うところも多く、それを交えながら感想を書いていく。
そもそも読み始めたのは、角川文庫でファンタジーフェアというフェアがなされていて、19860825に出版されている。同時期にフェアのラインナップとして、井沢元彦「反逆王ユニカ」、斎藤英一朗「怪盗戦士T.T」、永井泰宇「バイオレンス・ジャック1」などがあった(実際には出版日が複数月に渡るので、ある程度の幅の期間でフェアを実施していたのだろう)。当時松原市にあったダイエーの中に松原書店があり、そこにフェアの製品群が並んでいた記憶がある。多分そこで買ったと思われるがそこは確かではない。そのフェアの製品の帯についている応募券を集めて送ると、フェアの製品のカバーイラストのテレフォンカードがもらえるとあって、5冊買った記憶がある。天野喜孝ファンであった私は、この田中芳樹「王都炎上」のイラストのテレフォンカードを希望した。はじめは天野喜孝のテレフォンカード目当てで読んだアルスラーン戦記だが、これが一番面白く、運命の出会いだった。当時は銀河英雄伝説も完結間際だったが、そちらの方は知る由もなく。この後に銀河英雄伝説を知ることになった。実際銀河英雄伝説を読み始めたの19870420辺りからのようだ。完結の10巻は19871115に出版なので、丁度完結のタイミングで読み始めることができたのだろうと思う。
さてアルスラーン戦記に戻る。田中芳樹という作家を知らなかったが、何としゃれた文章を書くのかと感動した。登場人物たちの会話のやり取りが、毒舌の応酬で、小気味よい。
 
「王都炎上1」
アンドラゴラス44歳。アルスラーン14歳。ダリューン27歳。クバード31歳。ナルサスはダリューンの一つ下なので26歳。
田中芳樹の手法として、若いけれども才能があるという設定。初めて読んだ当時、アンドラゴラスはものすごく巨大な存在に思えたが、44歳だったのだ。今の自分は48歳で、この時のアンドラゴラスより年上になっている。当然、作者本人も書いている当時より年を取っている。そこに作者は何か感じているのではないか?
「王都炎上」の章。ここでギーヴが登場する。捕らえられて人質となった万騎長であるシャプール。どうせ殺されるであろうから味方の手で死にたいと宣言する。そこに豪弓で息の根を止めたのが、旅の吟遊詩人ギーヴだ。ふてぶてしい男だ。タハミーネ王妃から金貨200枚を褒美に与えられる。さらに地下の隠し水路から安全な場所へ連れ出すという依頼を受ける。しかしそれは替え玉。地下水路でルシタニア兵に出くわす。銀仮面の男、そしてギーヴは知らないがパルスの万騎長カーラーンだ。訳あってルシタニアに寝返ったようだ。城を守るのは二人の万騎長、ガルシャースフとサーム。はじめは籠城で対抗していたが、奴隷の暴動により内部から崩れていく。ガルシャースフは討たれ、サームも重大な傷を負う。しかし命は助かったようだ。銀仮面の男はアンドラゴラスとタハミーネを両方捕らえたらしい。ルシタニアの王、イノケンティス7世の前に連れ出されるタハミーネ。狂信的な王であるので恐らく異教徒であるタハミーネは死罪を受けるであろう。しかしタハミーネを見た王は様子が違う。ギスカールはイノケンティスの弟。ルシタニアの中にあってはまともそうだ。善悪は別として。そしてカーラーンよりは立場が上のようだ。
その後ギーヴとファランギースの出会いがある。これも記憶にある。ファランギースが襲われるのを打算的な作戦でギーヴが助けようとするが、ファランギースが単独で制圧しかけたため 、慌てて登場する。
ファランギースはふてぶてしいが、アルスラーンには神の思し召しか、全幅の尊敬を置く雰囲気だ。その後合流した際、ファランギースから、アルスラーン側は何人かと問われ、ナルサスは5人と答えた。アルスラーン(かエラム) ダリューン、ナルサス、そしてファランギースを入れ、洒脱にも後ろに控えるギーヴもカウントして、5人と答えたのだ。
カーラーンとアルスラーン側の戦い。アルスラーンは危なげながら対戦する。カーラーンが登場するとそこに相手は自分とダリューンが登場する。勝負はダリューンが勝つ。というか、折れた自分の槍が自分自身の首を貫いてしまったのだ。今の自分の歳となってはカーラーンの気持ちも汲める。カーラーンは絶命の直前、アンドラゴラスは生きている。そして、アルスラーンは正統でないというような謎めいたセリフを吐き死ぬ。
その後ファランギースがアルスラーン仕えるよう指示を受けているため仲間に加わるギーヴは打算的にアルスラーンにつかえると宣言する。わずか数人の同志。しかし数十年前読んだときワクワクしたもだ。
銀仮面の男が暗灰色の衣の老人の元を訪ねる。この老人がアトロパテネで霧を発生させたり、未来を予言したりする。蛇王ザッハークを復活させるためパルスの大地に無数の人の血を吸わせなければならない。
アンドラゴラスの消息の手がかりを探しに変装して町へ出るナルサスとダリューン。ここでいきなり銀仮面の男と出くわす。ダリューンが名を名乗るとヴァフリーズの甥であることを知っているようだ。ダリューンは剣で仮面を叩き割る。早くも仮面の下の素顔が露になる。顔の右半分が火傷に覆われている。ナルサスが加勢に来たので男は逃げる。
獄舎にアンドラゴラスが囚われている。そこへ銀仮面の男。そして早くも自分の正体を明かす。パルスの先代王であるオスロエスの嫡子ヒルメスである。城を焼かれて始末されたと思われていたが、からくも脱出することができ復習を胸に今まで生きてきた。そして目的はアルスラーンの首を見せつけつつアンドラゴラスを殺すと宣言。ヒルメスが去ったあとのアンドラゴラスの謎の笑い。
巻末にパルス王家の系図が掲載。
まだ1巻なのにここまで展開が早かったのかと再確認。
表紙はアルスラーン。扉絵はルシタニア兵に襲われるアルスラーン。
「王子二人2」
1巻が19860825に出版で2巻が19870325なので7か月ぶり。半年に2冊とか始め言っていて、2月に発売予定と出ていて、1か月遅れたのだったか?早くも第2巻から遅れ始めていたのか?作者はいつも予定と宣伝にありながら遅れるので、何巻のことだったかわからないが。
巻頭にパルスとその周辺の地図が示される。これは便利と思いきや、他国との位置関係が分かるが、2巻を読み始めてパルスの細かい地名が多く出てきて、いきなり意味がなくなる。
暗灰色の衣の魔導師のもとに弟子が7人。これらは不思議な術を使う。この辺りの非現実さはファンタジーならでは。魔導師はいかに大地に多くの人の血を吸わせるかをたくらんでいる。アルザングという弟子は地行の術を使う。この術でルシタニアの将軍を1人殺すよう命じられる。
アルスラーン一行は諸侯の1人ホディールの城に向かう。しかし欲望にまみれたホディールはアルスラーンを敵に売ろうとしたため、討たれる。主がいなくなったのでアルスラーンは奴隷を解放しようとしたが、主殺しと見なされ逆恨みされる。一筋縄ではいかないことを学ぶ。ナルサスも過去に同じような経験をしている。
第1巻の末尾にあったパルス王家の系図の意味が分かる。代々オスロエスのあとにアンドラゴラスが王となっている。3度続いている。これは偶然か意図的か?
東方国境を守るぺシャワールの城塞にはキシュワードとバフマンの万騎長がいる。キシュワード29歳、バフマン62歳である。キシュワードは双刀将軍(ターヒール)と呼ばれ告死天使(アズライール)と呼ばれる伝書鷹を飼っている。
ルシタニア王はイノケンティス7世。王は弱く大司教であるボダンの影響力が大きい。王の弟はギスカールで、一番まともな考えを持っている。そのギスカールを上官としているのがルシタニアに間借りしているヒルメスである。
ヒルメスは傷の手当てを受けているサームの元に現れ、自分の正体を明かす。正当な継承者と主張。サームはにわかに信じられない。そして、これからは誰に仕えればいいのか迷う。
ヒルメスの元にカーラーンの息子ザンデ(19、20歳くらい)が志願してくる。カーラーンを失った今、そしてカーラーンの家族は取り立てると誓ったこともあり。部下とする。あとサームをなんとかこちらに引き入れたい。
ぺシャワールに向かうが3つの道を3つのグループ分けて別々に向かう。ダリューン、ファランギース組はザンデに阻まれる。いきなりザンデは退場かと思ったが逃げる。アルスラーン、エラム、ギーヴの組も多くの敵に狙われるがギーヴの手腕で抜け出すことができた。軽薄そうなギーヴみ見えたが、なかなかいい奴だ。ナルサスは単独。ヒルメスが待ち伏せしていたが、ゾット族という盗賊とひと悶着があり直接対決を避けることができた。ここでアルフリードという娘を助け、以降同行する。アルフリード16歳。ヒルメスは27歳、ダリューンと同い年だ。
ザンデがまたもダリューン、ファランギース組の前に現れる。しかし今度は一撃。ザンデは谷へ落ちていく。その後ギーヴ、アルスラーン、エラム組と合流。ぺシャワール手前の唯一の橋が生きていたザンデによって破壊される。アルスラーン達を助けようとするキシュワード。逆にバフマンは虚ろ状態(アトロパテネの戦いの直前、ヴァフリーズから謎の手紙を受け取り、その内容がそうさせた。恐らくパルス正統の王が誰かという内容だったのだろう)。そんな時に様子見でシンドゥラが攻めてくる。こちらにもキシュワードが乗りだし早々と制圧する。
何とかキシュワードと合流する一行。今後の戦の打ち合わせをするもバフマンだけ上の空。
バフマンが場内で馬を走らせていると銀仮面の男が現れる。何と、忍び込んだのだった。そして自分の正体がヒルメスであることを明かす。そして正統の王になるべきものであることを説く。正統を重んじるバフマンは心揺らぐ。ヒルメスはバフマンは味方につけると思ったのだろう。しかし、そのときキシュワードが現れ、銀仮面の男を追おうとするが、バフマンはそれを止め、銀仮面の男は逃げ去る。
今度はアルスラーンが外気にあたろうと一人で外に出たところまたもや銀仮面の男が現れる。アルスラーンに敵愾心を持つ銀仮面は一度で殺さず、会うたび手足首を一つずつ切り落としていくと宣言し、まず右手首を切ろうと剣を走らせるが、かわされる。しかし城壁に追い詰めた銀仮面であったが、アルスラーンに松明の火を向けられ、過去のトラウマをよみがえらせてしまう。そしてダリューン、ナルサス、ファランギース、キシュワードが現れ、1対4(キシュワードは双刀なので剣の数では1対5)となる、4人が銀仮面に襲い掛かるが、バフマンの「その方を殺せば、パルス正統の血が絶えてしまうぞ」という声に、銀仮面を逃してしまう。いきなり、ヒルメスの正体がアルスラーンたちにわかってしまったのだ。なかなか展開が早い。バフマンはアルスラーンたちに告白するかというとき、シンドゥラが攻めてきたとの報を受け、それどころではなくなる。ここで第2巻終了。
表紙はダリューン。扉絵はアルスラーンの前に現れる銀仮面の男。
「落日悲歌3」
第2巻から6ヶ月後の19870925に出版されたので今回は順調と言える。因みにこの前月19970805に「創竜伝」が開始されている。
シンドゥラには王子が二人いて対立している。カーデーヴィとラジェンドラだ。どちらかを王にたてて、反対側を倒す作戦をたてる。今回攻めてきたのはラジェンドラ。これを捕らえ、シンドゥラ本国にはラジェンドラはパルスと組み国都に(カーデーヴィを倒しに)進軍したと流言した。アルスラーンと組まざるを得ないラジェンドラ。その間、ファランギースはバフマンと対話している。バフマンの真意を探るためだが、堅苦しそうなファランギースがバフマンと1対1でやり取りしていたとは、昔読んだときの記憶がない。その対話においてファランギースは、バフマンは苦悩故に死にたがっているのではないかと推測する。ナルサスは、バフマンには死に場所を与えるしか、もはややりようがないと考える。ラジェンドラは本心はわからないが、単純で陽気そうな男だ。捕らえられたものの饗宴で盛り上がる。ファランギースに目をつけ隣に座る。心配したギーヴが反対側に座る。その後。ラジェンドラは酔いつぶれ、ギーヴは謀って、自分が1杯飲む間にファランギースに3杯飲ませたつもりが、かなり二日酔いとなった。それに対してファランギースはほぼ素面。これを読んだ当時は高校1年で、酒など飲んだこともなく、酔うとはどういう事かも知らなかったので、当時どう読んだのだろうか?
アルスラーンのもとにラジェンドラがやって来て、シンドゥラのカーデーヴィ倒す競争しようともちかける。この提案を逆手に取り、シンドゥラがしばらくおとなしくするよう策略を巡らす。ラジェンドラから道案内としてジャスワントが送られてくる。ジャスワントの名前は記憶にあるが、どういう人物かは思い出せない。今のところ、カーデーヴィ側の回し者のようである。
シンドゥラのカリカーラ王の容態が回復する。後継者を指名すればいいのだが決めきれない。そこでシンドゥラ伝統の両者の決闘で決めようという。ただ、本人同志と言うのは差し支えがあるので、代理人を使って対決することとなった。ラジェンドラはダリューンに頼む。アルスラーンはダリューンの強さを信じているので了承する。カーデーヴィはバハードゥルという野獣とも言える巨人の罪人を使う。対決の場面。しかしアルスラーンも他国のために、最悪死もありえる決闘に自分の大切な部下を貸し与えるとは、人が良すぎるのも甚だしい。対決だが、こんな重要なシーンがあったのは記憶にない。人間とは言いがたいバハードゥルは痛覚を持たない。死ぬまで襲い続ける。それが戦斧を持って襲ってくるのだからダリューンに勝ち目があるのか。肉体戦ではなく、どちらかというと知力を使って、勝利した。それはラジェンドラが王になるということである。カーデーヴィは受け入れることができず抵抗する。一時両陣営の争いとなる。その混乱のうちにバフマンが槍で討たれる。アルスラーン出生の秘密を明かすことなく死んでしまう。カーデーヴィは身を隠すが、ラジェンドラに捕らえられ殺される。そもそもはカーデーヴィの側の人物だったジャスワントだが、アルスラーンにまたもや救われ、アルスラーンの元で仕える事になった。ただしシンドゥラがまともになったら帰るという条件付きで。アルスラーンはぺシャワールに帰る。その際ラジェンドラから、ルシタニア掃討のための三千の兵を貸し与えられる。しかしそれは獅子身中の虫であり、アルスラーンたちを挟み撃ちにするためのものだった。とっくに見抜いていたナルサス。ラジェンドラを生け捕りにし、3年は国境を侵さぬ約束をさせた。
失脚したボダンは聖堂騎士団を引き連れ王都の西北にあるザーブル城に立てこもった。ヒルメスはそれを攻めるようギスカールから指示を受ける。ギスカールは共倒れを狙うが、ヒルメスはサームに助言を求め、独自に兵士を徴募することで了承した。
地下牢に囚われているアンドラゴラスのところにサームがやって来て王家の真相を尋ねる。アンドラゴラスとオスロエスの父であるゴタルゼスは良い王だが迷信を信じすぎる欠点があった。予言者の話によってオスロエスの妻に自分の子供を産ませたそれがヒルメスであると。つまりアンドラゴラスの弟になるのだ。アルスラーンのことも聞き出そうとしたが時間切れで謎のままになる。
ボダンと聖堂騎士団の討伐のためザーブル城に向かうヒルメス一行。サームは途中でアトロパテネ会戦以来行方不明になっていたクバードを仲間に誘う。誰かにつかえることを堅苦しいと考えるクバードで、今は一匹狼として自由人として楽しんでいるが、試しで参加したのだった。ザーブル城は堅固で攻めるのが難しいため、イアルダボート教の聖旗を燃やし怒った騎士団たちをおびき寄せた。そこでまず一戦。クバードも大いに暴れまわる。しかし休戦の後ヒルメスと対面したクバードは、相性が合わないと判断し離脱する。アルスラーンにはダリューンやナルサスがついている。ヒルメスには自分がついていないと不公平だと考えるサームだが。果たしてクバードは誰につくのだろうか。
表紙はナルサス。口絵はバハードゥルと対決するダリューン。
「汗血公路4」
19880825に刊行なので11ヶ月ぶり。遅れがちになってきたか?高校2年。2月前19880625に「マヴァール年代記」の第1巻が刊行。遅れながらいくつかの長編をスタートさせていたのだな。
ナルサスはアルスラーンの名でぺシャワールに集まるようふれを出す。そして続々と諸侯達が集まってくる。例えば、レイの城主ルーシャン50歳代、オクサス領主のムンズィルの息子ザラーヴァント20代前半、万騎長だったシャプールの弟イスファーンも20代前半、南方のザラで守備隊長をしていたトゥース20代後半。兵が集まり、一方で王太子の暫定政府の組織作りも着々と進めるナルサス。こういった戦闘の描写ばかりでなく、政治の駆け引きなども細かく設定されるところが作者らしい。ジャスワントはアルスラーンの護衛。ルーシャンは中書令という宰相の役につく。
ギスカールは36歳。ボダンが逃亡する際に用水路を破壊したため修復工事に兵を割かなければならない。いっそエクバターナを放棄しようかとも考える。一方ザーブル城に籠城したボダンを早く落としたいヒルメス。サームの策を採用し、城の用水路に油を流し、火攻めにし場外にあぶり出したところを一斉に掃討した。これで聖堂騎士団を制圧したが、ボダンはマルヤム王国へ逃亡する。
ダルバンド内海に面するダイラム領にマルヤム国のイリーナ内親王の一団が内海を船でやってくる。ダイラムの住民に共通の敵であるルシタニアと戦おうと交渉する。ダイラムには現在有力者はいない。そんなときにルシタニアの兵士が略奪のためダイラムに侵入した。抵抗することもできないダイラム民とマルヤム民。そこへ大剣を抱えた将がやってくる。勿論クバードだ。アルスラーンのもとへ向かう途中であった。クバードともう1人メルレインという18、9歳の若者が加わり危機を救う。メルレインはアルフリードの兄で、妹を探している途中だという。残りのルシタニア兵は夜にまた襲ってくるだろうということで、マルヤムの内親王とクバードは、ルシタニア兵を一掃することを契約する。クバードの策により300人近くのルシタニア兵は全滅する。
イリーナ内親王に個別に呼ばれるクバードとメルレイン。そこでヒルメスという王子の消息を訪ねられる。イリーナはヒルメスの事を知っており、ヒルメスは盲目のイリーナには優しかったようだ。そして自分の正体を明かしている。クバードはザーブル城で聖堂騎士団と戦っているヒルメスの居場所を知っているが、メルレインに場所を教えそちらに任せる。クバードはなかなかの快男児だ。
アルスラーン一行はエクバターナに向かい進発する。その前にヒルメスの事をアルスラーンに打ち明ける。そして魔導師の1人が場内に放火する。追い詰めるギーヴだったが間一髪で逃げられる。しかし翌日濠の底から遺体となって発見され、正体を知ることはできなかった。
ギーヴとイスファーンはいさかいを起こし、ギーヴは去ってしまう。早くも退場かと思いきや実はナルサスの作戦で別の任務を与えられていたのだった。
第一陣はトゥース4千、ザラーヴァント3千、イスファーン3千である。手柄に逸るが、ルシタニアの狡猾な策略で劣性となる。善戦したのはトゥースで鉄鎖術で1人威力を見せた。ダリューンによってクレマンス将軍は討たれ、カステリオという騎士が生け捕られ、エクバターナに帰りルシタニアに宣戦布告する役を与えられた。こうしてぺシャワールからもっとも近いチャスーム城塞を制圧。
シャフリスターンの野に布陣。儀式として狩猟大会を催す。そこでアルスラーンはルシタニア兵と出くわす。小競り合いが起き、その勢いにのって、ルシタニアが乗っ取った、聖マヌエル城に攻め込む。パルスは圧倒的な武力で制圧する。そこで14歳の騎士見習いの少女と出会う。殺すのに忍びないと地下牢に捕らえる。アルスラーンは自ら食事と飲み物を運び、話を聞く。少女の名前は男性名でエトワール、本名はエステル。翌日ルシタニア兵達を埋葬するので、ルシタニア語で祈りの言葉を捧げてほしいと頼む。この聖マヌエル城での戦闘描写辺りからクドさが見え始めてきた感がある。今まではスマートな描写であったが、人が変わったかのような文体となる。あとは、アルスラーンと同年代15歳位の登場人物がよく出てくる。よく考えたら1巻を読み始めたのが、自分自身が14歳の時だったのが、再読するときにはアンドラゴラスより年上になりむしろルーシャンに近い。
ヒルメスはギスカールに自分の素性を(今頃)明かす。アルスラーンが王を宣言してからでは遅いから、先に言っておこうと言うこと。ヒルメスは魔導師に会い助言を求めると宝剣ルクナバードをてに入れろという。パルス王の象徴であるから。しかし本意は蛇王ザッハークの封印を解くためであった。
クライマックスは、地下牢に囚われていたアンドラゴラスを、ヒルメスがデマヴァント山に出掛けている間に会っておこうとギスカールが訪れる場面。半年拷問攻めにあっていたアンドラゴラスではあるが、その威圧感に圧されるギスカール。そしてアンドラゴラスが鎖を断ち切り復活を遂げる。鎖に半年間汗と尿と食事である塩汁をかけ、腐食させていたのだった。一気にギスカールは捕らえられ、反対の立場になる。圧倒的な強さだ。この場面だけは記憶にある。タハミーネと再会するアンドラゴラスだが、互いに冷めている。アンドラゴラスは兄から奪ってから一度も気持ちを通じたことがないと皮肉る。しかし時間はたっぷりあるし自分も今までがそうであったように待ち続けると。
その時トゥラーンが進出してきそうな様子。で、第4巻は終わる。単騎のクバードはアルスラーン一行とからくも入れ違い、まだ接触はなし。
光文社文庫の解説は山田風太郎でおなじみの日下三蔵。日下らしく、内容の解説というより刊行の歴史なのが、それらしい。
表紙はファランギース。扉絵はクバード。
 
王都炎上
20200823読み始め
20200827読了
王子二人
20200827読み始め
20200829読了
落日悲歌
20200829読み始め
20200830読了
汗血公路
20200831読み始め
20200901読了

サッポロクラシック2020

2020-10-10 19:02:17 | ビール

マルナカで北海道フェアをしていて、サッポロクラシックも討っていたので久しぶりにレビュー

飲むと

やはり、飲み口は、まろやかな甘めな風味が拡がる。

苦みっぽいのもあまりない。

ふくらみのようなものがある。これもサッポロクラシックらしい。

軽快。


キリン一番搾り糖質0

2020-10-10 18:13:02 | ビール

ビールでありながら糖質ゼロ。新ジャンルでなくビールでは初めてとのこと。発売を待望していた。

注ぐ。糖が無いので褐変反応が起こらないためか薄い琥珀色。

泡立ちはあるが、アミノ酸由来の泡っぽく、粘りのある泡だ。

飲む。

軽快な飲み口で、ウェハース的香ばしさが少し感じられる。

ただ、なんだろうか。中心に味がぽっかり抜けた感じ。

コクがないのだろうか?平板な味といえる。

ビールの代わりになるかと言えば微妙なところだが、ビールの何本かに一本これを入れるか、

ビールを数本飲んでから、酔って味がわからなくなってから飲むのがいいだろうか。