ビールを飲むぞ

酒の感想ばかり

「すべての美しい馬」 コーマック・マッカーシー

2015-07-26 23:42:41 | 読書
先入観からかもしれないが、読み始めはトムソーヤの冒険を想起させた。時代設定も西部時代とか。
ザ・ロードからの印象だが。父親と息子の関係を描く作家なのだろうか?
まだメキシコを目指して出発したところで、途中でブレヴィンズと行動を共にするところまでしか読んでいないが、主人公のジョン=グレイディと相棒のロリンズとの会話が、大人ぶった会話でちょっと背伸びしてるなという青臭さを感じる。カウボーイかくあるべしとちょっと悪ぶったりしている。これが16歳の会話か?
しかしメキシコという国がどんなところなのか、その時代(多分、第二次世界大戦直後あたりと思われるが)がどうがったかわからないが、治安の悪い国を想像して、これからの苦難が予想され心配になる。
1部が終わりブレヴィンズがいなくなるという事件が起きるが、何事もなく無事に牧場に雇われるところまでたどり着く 。
ジョン・グレイディは牧場で働くようになるが、全てがうまくいく。まだ16歳なのになんでもできるのだ。馬の調教、馬の品種の鑑別、様々な知識、チェス、など。ただの悪ガキのように思っていたが、実はそれは見かけだけで実は優秀なのだ。グッド・ウィル・ハンティングのようなうまい話だ。映画版はマット・デイモンが演じる。いかにも彼が好きそうなキャラクターではないか?
そしてアレハンドラと恋に落ちる。しかし身分の違いを心配する大叔母に招かれ、チェスをしながら、遠回しに、手出しをするなと諌められる。その駆け引きの緊張感は、まさに迫真の場面だ。
2章まではうまく進む。ところが3章にはいると突然不条理な展開が襲ってくる。ブレヴィンスは銃殺される。ジョン・グレイディとロリンズは無法な刑務所に送られる。そこでの暮らしはまさに無法だ。日本の我々が想像する刑務所とは違う。この時代以前である、山田風太郎の地の果ての獄における刑務所とも全く違う。悪人をとらえておきながら、中は全くなんの規律も秩序も無い。ただ本能に従い相手を倒し、自らを守る。
ただ、これから想像するのは、海外ドラマの、プリズンブレイクのシーズン3だ。おなじ空気だ。私はこのドラマを先にみてしまったから、そこまで衝撃を受けなかった。もしかしてドラマの方は、この小説をオマージュしているのかもしれない。
そう考えると、この小説は全体を通して、センセーショナルだ。この小説が初めてならば。ここから、グッドウィルハンティングであり、プリズンブレイクであるなら、ドラマの前に小説を読んでおくべきだ。ともかくドラマを先にみてしまったので、公平な判断ができないのだが、もし小説が先として、純文学らしからぬ不穏な話であり、ある意味エンターテイメント的である。
4章では、女主人の力により、刑務所から釈放され一旦牧場に帰るところから始まる。アレハンドラとの関係が原因で刑務所に入れられ、おなじ理由で刑務所から釈放される。女主人と会い、そこで経緯が明かされる。その中で、女主人の昔の知人であるフランシスコの話が出てくる。のちにメキシコの大統領になる。実は実在の人物で実際に大統領でもある。。虚実ない交ぜに展開するのは山田風太郎的だ。女主人と親交があったという話なのだが、こちらはフィクションになる。作者は運命というのは偶然ではなく、初めから原因があり、それによって必然的に起きるという考えに強い思想を持っているようだ、コイントスの裏表はコインが鋳造される時、鋳造技師がどちらを先に型にはめるかどうかで、既に出る目が決まっているという例えが出てくる。これも作者に特徴的なモチーフだ。
最終盤ブレヴィンズという名前から連想して訪ねた教会。でも全く関係しなかった。
終盤はそうだ。今までの総括をしようと、自分に関係するすべての、人や土地を再訪する。
牧場主の娘と恋に落ちたことがきっかけで、理不尽にも身に覚えのない警察官殺しの罪を着せられ刑務所に入れらる。その刑務所もひどい環境で暴力が日常茶飯事であるし、警察署長も全く公平でなく、むしろ悪徳警察官だ。こう考えるとメキシコがあまりに不条理な国で、略奪や殺人など油断しているとやられてしまう。相手も平然とやってのける。そしてアメリカへ帰った時のアメリカ人の大らかさが際立つ。ジョン=クレイディは別にアメリカに逃げ帰ったわけではないし、アメリカに安寧を求めたわけでは無い。家族や友人など多少の縁が残っている、それを完全に清算するために帰ったのだ。何というタフさ、ニヒルさなのか。
読んでいるとある意味、経験豊富なカウボーイのように錯覚する。原書ならどうなのか?僅か高校生が、行く土地土地で高飛車に振るうことが。まだ未成年18歳くらいか?それなのにませている。それが一般的なのか作者の錯覚なのか?。
自分の生きる世界はもはやアメリカにはなく、理想の生活を見出せないか?友人と馬と共にメキシコに向かう。そして自分が生きるべき場所を見つけるのだが、雇い主の娘と恋に落ちたことで、次から次へと襲いかかる、あまりに理不尽な仕打ちの数々。やはり部外者が受け入れられるのは困難なことなのか。結局追い返されるようにアメリカに一旦は帰るが、それはアメリカと自分のつながりを残らず清算するためだからなのか、一つ一つ別れを告げまた馬を進める。彼はどこに向かうのだろうか? 
20150704読み始め
20150726読了

オリオン沖縄だより

2015-07-26 19:41:46 | ビール

アサヒビールとオリオンビールの共同開発とのこと。

しかしアサヒとオリオンはずいぶん以前から提携してるのではなかったろうか?

ブルーベースに黄色い配色であたかもパイナップル風の味を予感させる。

しかし全然トロピカルではなく、普通のビールだ。ただし、発泡酒に分類される。

何となく、アサヒに買収されたオリオンが、作ってもいいのは発泡酒までだ、と親から言われているようで、何となくさびしい。

発泡酒らしい粉っぽいインパクト。個性はない。普通の発泡酒だ。

これはアサヒの吸収作戦か?ライバルの個性を無くさせ消していくという。


月桂冠「鳳麟」

2015-07-23 19:27:42 | 日本酒

いつも思うのだが、月桂冠の中でも最高級に分類される。しかし、大手のありふれたメーカーの酒だ。

これはうまいのか、そうではないのか?

ただ、一度は大手の酒造会社の、しかし高級品がどんなものか味わってみたいという気持ちはある。

これはマルナカでどういうわけか30%オフで売っていたので、それを理由に買ってみた。

クラスとしては純米大吟醸。名前は鳳凰と麒麟を合わせたものらしく、ここ最近のネーミングではなく明治大正からの歴史ある銘柄のようだ。

香りは、関西の酒らしいというのか、大手の酒らしいというのか、日本酒らしい香り。辛口っぽい香りだ。イメージする純米大吟醸のフルーティーさを連想するとまったく異なる

(しかしこう考えると、私が日本酒っぽい香りと形容する時、若い時からなじみのあった地元関西の酒の個性を表しているのかもしれない、愛媛で生まれ育ったなら、フルーティーで軽い香りが日本酒っぽいと形容したかもしれない)

飲んでみる。これは濃いめだ。確かに吟醸酒らしいフルーティーさがある、しかし、米の味がしっかり残っている。そしてフレッシュで華やかなというより、落ち着いて重厚(とまではいかないが)しっかりしている。そんな味だ。

飲み口が米の味がしっかりしているため甘さすら感じる、しかし後味はピリッと辛口だ。

愛媛や広島のさらっとしてきれいな吟醸酒ではなく、やや粘度のある米の味のしっかりした、それでいて日本酒の嫌な濃密感はなく、雑味のないきれいな濃厚さがある。

若い頃に飲んだ名前も知らない地元の酒(多分灘か伏見の大手メーカーの普通酒)を、そのままきれいにした感じだ。

厳密にいうと、灘と伏見では個性が違うようだが、関西の酒とはこういう味なのかなと思った。


サッポロ-0℃

2015-07-23 19:20:21 | ビール以外

-0℃で熟成した冷たいうまさとのこと。

この系統は大概個性がなく。評価が難しい。

予想通り氷点下熟成だからどうなのか?という印象。冷たいうまさとあるが、冷感を感じる成分が熟成されて生成されるわけではないだろう。

よく冷えた缶を開けたからだからだろうが、冷たい(それはそうだ)

飲み口は嫌なグルタミン感が来そうでとどまる。

冷感のせいか、途中は味を感じずそう言われれば冷たいのどごしがある。

飲み込んだ後しばらくたって麦の風味が現れてくる。

この途中の冷感が意図したものなら、ネーミングにたがわない新ジャンルと言える。